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役員の労災適用の2つのポイント|「労働者性」と「特別加入」

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「うちの会社の取締役工場長は現場で他の工員たちと一生懸命に働いている。でも万が一業務でケガをしても労災の適用にならないのではないか?」
「私は会社で常務という役員の立場にあるものの、新業務のために出張や長時間の残業を繰り返し、いつも疲れきっている。病気で倒れないか心配だ。病気で倒れても、労災が適用されないなら一体どうなるのか。」

そんな心配をしている方はいらっしゃいませんか。
「役員は労災の適用外」そのように思い込まないでください。役員でも労災の適用を受けられることがあるのです。

今回は、このテーマについて弁護士がわかりやすく説明いたします。

経営者・役員の方、役員一歩手前の方、将来役員になりたい方、役員を支えるスタッフの方々、ぜひご一読ください。

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1、労災の対象「労働者」は実質的に判断

労災の対象「労働者」は実質的に判断

(1)労災の対象とは

労災保険の対象者は「労働者」です。
「労働者」とは、職業の種類にかかわらず事業に使用される者で、労働の対価として賃金が支払われる者をいいます。
常用・臨時雇用・日雇・アルバイト・パートなどの職業の種類は関係ないため、労災保険では、短時間労働者を含む全ての労働者が対象です。

(2)労災の対象が「労働者」に限定される理由

逆に言えば、労災の対象は「労働者」だけになっており、「使用者(≒会社、経営者)」は含みません。
なぜなら、労災保険は、使用者(会社)の労働者に対する義務をカバーするための制度だからです。

使用者(会社)は、労働者が仕事のうえでケガをしたり病気にかかったときには、労働者の療養費を負担する義務があります。

また、それらのケガや病気の療養のために労働者が働けず賃金を得られないときには、労働者に平均賃金の6割の休業補償を行わなければなりません(労働基準法第75条、76条)。
自分の事業のために労働者を雇い、そのことで利益を上げている以上は、雇った人には労働者を守る義務がある、という考え方によるものです。

しかし、労働災害が発生したとき、会社に十分な支払い能力がないとか、大きな事故で補償額が多額になって支払えなくなる、ということもあるかもしれません。

そこで、労働者災害補償保険法という法律において、日頃から、会社が保険料を納めておいて、災害が発生したときは、そこから補償を行うように定められています。
会社が保険料をそれぞれ持ち寄って、みんなで助け合って労働者を守る制度、と考えていただければわかりやすいでしょう。

(3)労災の適用対象になるかどうかは「労働者性」で決まる。

以上からお分かりかと思いますが、労災の適用対象になるかどうかは、実質的に「労働者」に該当するかどうかで決まります。

さらに、中小企業などでは経営者や役員といっても労働者と実際に変わりはないような働き方をしている人もいるでしょうから、そのような人を特別に労災の適用対象にする制度もあります。

以下、これらの点についてわかりやすく解説します。

2、労災の対象となる「役員」とは

労災の対象となる「役員」とは

概要を以下、一覧化しました。

労災の適用有無は、労働者としての保護の必要性によります。

名称

労災適用:有(○)場合による(△)無(×)

(1)執行役員

役員という名称がついているだけで、実際には賃金で雇われている労働者そのものといえれば、労災が適用されます。

(2)使用人兼務役員

労働者としての役割や業務負担が大きいことや、就業規則の適用を受けているなどの事情があれば、従業員としての給与部分に対して労災が適用されます。

(3)事業主や役員等

△から×

代表権・業務執行権を有する役員は、労災保険の対象となりません。

「業務執行権」を有しない役員は労働者として労災保険の対象になる可能性があります。

(4)(次項「3」)

中小企業の事業主や役員等の特別加入

以下のような人は特別加入によって労災の対象になりえます。 

①中小事業主

一定の数以下の労働者を常時使用する事業主(事業主が法人等の団体であるときは、その代表者)

②労働者以外で①の事業主の事業に従事する人(事業主の家族従事者や、中小事業主が法人その他の団体である場合の代表者以外の役員等)

③運送業や個人タクシー業、土木作業等について、いわゆる「一人親方」として働く人

以下、それぞれについて詳しく説明していきます。

(1)執行役員

「役員」という名称がついていますが、実際には従業員(労働者)であることも多いです。
雇用契約に基づいて企業に雇われ、取締役会などの決定に基づいて業務を執行し、役員報酬ではなく給与として賃金が支払われているなどの事情があれば、労働者と判断され、労災保険が適用されることになります。 

常務執行役員、専務執行役員といった名称の人も見受けられますが、上記のとおり、会社法上の取締役等の役員とは異なることがあるので注意が必要です。

会社法上の役員は「取締役、会計参与、監査役、執行役、理事、監事」に限定されていますが(会社法362条363条など参照)、労働者性はあくまでも実質的に判断されますので、「常務執行役員」や「専務執行役員」が会社法上の役員でもあることもあるし、そうではないこともあるということです。

執行役員制度は、取締役の数が肥大化した大企業等で工夫されたもので、取締役を本来の役割である「重要な業務執行の意思決定」「その執行の監督」に専念させ、業務の実際の執行を執行役員に任せることで、取締役の人数をしぼり、取締役会の活性化と会社全体の方針決定の迅速化と監督機能の強化を図ることを狙いとした、などとされています。

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(2)使用人兼務役員

取締役工場長、常務取締役本店営業本部長など、取締役であり、かつ使用人(労働者)としての役割も兼ねる人は多く見受けられます。
執行役員取締役という人もいます。

このような兼務役員の場合は、使用者の面と労働者の面を持っており、報酬もそのように区別されています(労働者としての給与と役員報酬)。

労災の適用については、執行役員のところで述べたとおり、取締役等の指揮監督を受けて労働に従事していたり、給与が役員報酬よりも多く支払われていたりするような場合には、その限りで労災保険法上も労働者として取り扱われる可能性があります。

(3)事業主や役員等

業務執行権を有する取締役などは労働者ではなく、労災保険は適応されません。
ただし、次の厚生労働省の通知にあるように、これも実質で判断されます。

とても読みにくい通知だと思いますので、ここでは、概要をかいつまんでご説明しています。

①実質的に労働者かどうかで判断。ポイントは「業務執行権」の有無

名前の上では法人の取締役等の地位にある人でも、実際の「業務執行権」を有する人でなく、業務執行権を有する取締役等の指揮監督を受けて労働に従事し、その対償として賃金を得ているのならば、原則として、「労働者」として取り扱われます。

②実際に業務執行権を有しているならば労働者にならない。

法令又は定款の規定上は業務執行権がないとされる取締役等でも、取締役会規則その他内部規定によって業務執行権を有するならば「労働者」として取り扱われません。

③監査役なども実質的に労働者かどうかで判断

監査役及び監事は法令上使用人を兼ねることはないとされていますが、事実上一般の労働者と同様に賃金を得て労働に従事しているなら「労働者」として取り扱われます。

(厚生労働省「労働者の取扱い」より)

3、労災特別加入制度

労災特別加入制度

(1)労災特別加入制度とは

労災保険は、「1」で申し上げたように、「労働者」の業務または通勤による災害に対して保険給付を行う制度です。

しかし、誰かに雇用されている労働者でなくても、業務の実情、災害の発生状況などからみて、特に労働者に準じて保護することが適当と考えられる人がいます。

このような人には、特別に労災保険への任意加入を認めています。

これが、特別加入制度です。

特別加入制度にはいくつかの種類があります。
ここでは、中小企業の事業主等の特別加入制度について解説します。
(これ以外に、一人親方等・特定作業従事者・海外派遣者、農業者などが特別加入制度を利用することができます)。

(2)特別加入者の範囲

特別加入できるのは中小事業主等です。

次のいずれかに当たる場合をいいます。

  • 表1に定める数の労働者を常時使用する事業主(事業主が法人その他の団体であるときは、その代表者)
  • 労働者以外で上記の事業主の事業に従事する人(事業主の家族従事者や、中小事業主が法人その他の団体である場合の代表者以外の役員など)

【表1:中小事業主と認められる企業規模数】

業種

労働者数

金融、保険、不動産、小売業

50人以下

卸売、サービス業

100人以下

上記以外の業種

300人以下

(注)一つの企業に工場や支店などがいくつかある場合にはその労働者数を合算して判定します。

(3)加入手続き

事業主本人のほか、家族従事者など労働者以外で業務に従事している人全員を包括して特別加入の申請を行う必要があります。

(4)補償の対象となる範囲

業務災害または通勤災害を被った場合のうち、一定要件を満たすときに労災保険から給付が行われます。
すなわち、一般的な労働者よりも補償の対象が限定されていることに注意が必要です。

細かな定めですが、重要な事項なので一通り目を通してください。
特に、業務災害においては、「事業主の立場で行われる業務」が除かれることに注意してください。

①業務災害

業務災害として補償が認められる範囲

1.特別加入申請書の「業務の内容」欄に記載された労働者の所定労働時間(休憩時間を含む)内に特別加入申請した事業のためにする行為およびこれに直接附帯する行為を行う場合(事業主の立場で行われる業務を除く)

2.労働者の時間外労働または休日労働に応じて就業する場合

3.1または2に前後して行われる業務(準備・後始末行為を含む)を中小事業主等のみで行う場合

4.1,2,3の就業時間内における事業場施設の利用中および事業場施設内で行動中の場合

5.事業の運営に直接必要な業務(事業主の立場で行われる業務を除く)のために出張する場合

※船員である中小事業主等が船員法の適用のある船舶に乗り組んでいる場合は、積極的な私的行為を除き業務遂行性が認められます。

6.通勤途上で次の場合

 ア 労働者の通勤用に事業主が提供する交通機関の利用中

 イ 突発事故(台風、火災など)による予定外の緊急の出勤途上

7.事業の運営に直接必要な運動競技会その他の行事について労働者(業務遂行性が認められる者)を伴って出席する場合

②通勤災害

一般の労働者の場合と同様です。

4、判断に迷う場合は弁護士へ相談を

判断に迷う場合は弁護士へ相談を

以上で一通りの内容を説明いたしました。

結局のところ、
「○○役員という名称にかかわらず、実質的に労働者性が判断されて労災が適用される。」
という簡単な理屈になっていることがおわかりいただけたかと思います。

とはいえ、実際に発生した労働災害に対して労災保険が適用になるかについては、これまでに触れてきたような考慮要素を一つ一つ丁寧に検討していく必要があり、簡単に判断できない場合も多いでしょう。

労災保険が適用されないことを不服として訴訟になったケースも数多くあります。
大切なことは「役員だから労災の適用はない」と思い込まず、人事労務関係に詳しい弁護士に相談してみることです。

まとめ

「特別加入制度」については任意加入という形が取られているため、制度を知らずに加入していなければ、いざというときに補償が受けられません。加入しておけばよかったと後悔しても後の祭りです。

日本の企業の99%は中小企業です。すなわち「特別加入制度」は、皆さんがしっかりと把握しておくべき制度です。

労働災害が起きてしまう前に、ぜひ一度確認しておいてください。
また、執行役員、使用人兼務役員等の問題は、企業規模にかかわらず必ず押さえておくべきポイントです。

この記事が不幸な事故が起こる前の転ばぬ先の杖となることを願っております。

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