
妻と別れたい男はどのような離婚準備をすればよいのだろう…と途方に暮れていませんか?
男性の離婚準備は慎重に進めていく必要があります。なぜなら、
- 慰謝料(浮気などをしてしまった場合)
- 養育費
- 財産分与
などの観点において、男性側の金銭的負担が大きい場合が多いからです。
妻が離婚に承諾する可能性が低い場合は特に注意が必要です。しかしご安心下さい。本記事では男性のための適切な離婚準備について詳細な解説を行います。
本記事がお役に立てば幸いです。
目次
1、妻と別れたい男の離婚準備はまず何から始めればよい?
妻と別れたい男の離婚準備について、まず何から始めればよいのかを確認していきましょう。
- 離婚条件の確認
- 離婚後の生活をイメージ
- 離婚したいと妻に伝えて話し合う
- 財産分与について
- 親権や養育費について
- 慰謝料の有無について
- 婚姻費用について
(1)そもそも離婚するための条件を満たしているのか確認
男性側が離婚を望んでいても、女性側が離婚に応じてくれるとは限りません。
話し合いで離婚するのが難しい場合、離婚するには離婚するための条件を満たしていることが必要になります。
離婚するための条件は、以下のとおりです。
- 相手方に不貞行為(配偶者以外の異性との肉体関係を持つこと)があったとき
- 相手方から悪意で遺棄(正当な理由なく生活費を渡さないなどの行為)されたとき
- 相手方の生死が3年以上明らかでないとき
- 相手方が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な理由があるとき
このうち、多くの場合は「その他婚姻を継続し難い重大な理由があるとき」に該当するかどうかが争点となります。これは、婚姻関係が破綻しており、関係性の再構築の見込みがないことを指します。
「その他婚姻を継続し難い重大な理由があるとき」に該当するケースの具体例としては、
- 婚姻継続の意思がない
- 暴力
- 精神的虐待
- 犯罪行為
- 家庭の放置
- 親族との不和
- 性の不一致
- 性格の不一致
- 相当長期間の別居
などが挙げられます。
また、婚姻を継続し難い重大な理由の判断には
- 子の様子
- 双方の年齢や健康状態
- 経歴や職業
- 収入
なども考慮されるため、上記の具体例に該当していなくとも一度弁護士などの専門家に相談することをお勧め致します。
(2)離婚後の生活をイメージして支出や環境の変化を考える
妻と別れたい男の離婚準備を進めるにあたっては、離婚後の生活を具体的にイメージしましょう。
- 離婚後の経済的支出
- 環境の変化
についても考えておく必要があります。
たとえば、今家族で住んでいる家から自分だけ出て行く場合は、一人で暮らす物件を探しておく必要があります。
また、
- 家族の状況
- 経済的負担
を考えて転職を視野に入れるべき場合も出てくるでしょう。
離婚の話を持ちかけて夫婦でもめる場合は、離婚の話に気力や体力を奪われます。
- 引っ越し
- 転職の準備
などをする必要がある場合には、離婚の話を妻に持ちかける前にある程度準備を進めておきましょう。
(3)離婚したいと妻に伝えて話し合う
離婚準備が進んだら、離婚したい旨を妻に伝えましょう。
夫婦関係の険悪な状態が続いていれば、妻側も離婚を覚悟しているケースもあります。
まずは夫婦でお互いの意思を確認してみてください。
一方、妻側が離婚を拒否しており、そもそも話し合いにならない場合は、調停手続に進む必要があります。
調停とは、調停委員が第三者として介入し、話し合いによって合意を目指す手続きです。調停委員が介入することで、財産分与などのもめやすい離婚条件について、意見のすり合わせを行なってくれます。
(4)財産分与について
離婚する場合、大きく争点になるものの一つが財産分与です。
夫婦が結婚してから形成した財産は夫婦の共有財産として財産分与の対象になります(逆に、結婚前から夫婦の一方が個人的に有していた財産や結婚後でも相続や贈与を受けた財産は特有財産として財産分与の対象となりません)。
財産分与の対象となる財産の具体例には以下のようなものが挙げられます。
- 現金や預貯金
- 車
- 退職金
- 生命保険や学資保険
- 不動産
財産分与の対象となる財産は、一つずつリストアップして
- 財産の内容
- 評価額
を確認する必要があります。
資産の合計額が明らかになったら、その合計額の2分の1ずつを夫婦それぞれに分配します。
(5)子供がいる場合〜親権や養育費について
子供がいる場合は、以下のことも離婚準備として考えておく必要があります。
①親権はどちらが獲得するのか
まずは子供の親権についてです。
日本では、夫婦が婚姻関係にあるときは共同親権となりますが、離婚した場合は共同親権が認められておらず夫婦のどちらか一方が親権を有することとなります。
親権は多くの場合、母親側が有するケースが多いです。そのため、父親側が親権を求める場合はしっかりとした準備が必要となります。
もっとも、妻が子育てを問題なく遂行している場合には、親権を自分が持つことを希望しない男性も多いのが実情です。
親権を妻に渡す場合は、以下の
- 養育費
- 子供との面会
の点についてしっかり考えておきましょう。
②養育費の額や支払い方法
妻に子供の親権を渡す場合でも夫婦それぞれが子供の親である、という事実に変わりはありませんから、夫は子供の養育費を支払う必要が生じます。
養育費の額については養育費算定表(養育費算定表では、子供の年齢や人数、両親の収入から養育費の金額目安が記載されています)を元に計算しますが、具体的な金額については個々のケースにより異なります。
養育費の
- 金額
- 支払い方法
についてもおおよその目安の金額を確認し準備しておきましょう。
③子供との面会について
子供の親権を妻に渡す場合、子供とは今までのように毎日会うことはできなくなる家庭が多いです。
いくら妻と離婚したい気持ちがあるとはいえ、子供と全く会えなくなってしまうのは夫側にとっても耐えがたいものでしょう。
離婚の準備を進めるにあたり、子供との面会についても妻と話し合い取り決める必要があります。たとえば
- 月に1回会うこと
- どのような手段で面会の日時を決めるか
など、事前に希望内容をかためておきましょう。
(6)慰謝料の有無について
離婚の原因が夫婦のどちらにあったとしても、慰謝料の支払いについては準備をしておく必要があります。
たとえば離婚の原因が夫側の浮気などの場合は、慰謝料はほぼ確実に支払う必要が生じます。そうでなかったとしても、離婚は妻に精神的苦痛を生じさせるケースが多いので、金額の大小はあれど、慰謝料の支払いを覚悟しておいた方が良いでしょう。
(7)別居についても考えておく
すぐに離婚が成立しなさそうな場合は、妻と別居することも視野に入れておきましょう。
妻が離婚に応じてくれるのであれば問題ありませんが、妻が離婚に応じない場合、別居期間の長さが離婚成立の重要な一要素になる場合もあります。
(8)婚姻費用の観点から、話し合いは早めに進める
離婚が成立するまでの間、夫が生活費を支払わないと生活していけない妻子もいますよね。
そのような場合に備え、離婚成立までの間、夫は婚姻費用を支払う必要があります。
婚姻費用は離婚が成立するまで支払わなければなりませんから、離婚成立までの期間が長引くほど夫の婚姻費用支払額は大きくなります。
離婚に争いがあり調停手続に進む場合は、調停を経て離婚が成立するまで婚姻費用を支払う必要がありますから婚姻費用支払額は大きくなります。
これに対し離婚することに争いがなく離婚できる場合(協議離婚)は、離婚成立までの期間が比較的短くなりますから婚姻費用支払額もさほど大きくはなりません。
2、妻と別れたい男の離婚準備は離婚の種類毎に異なる
妻と別れたい男の離婚準備は離婚の種類ごとに異なります。
離婚は、基本的には
の3種類があります。
協議離婚は、夫婦間の話し合いで合意に至る離婚の方法です。離婚の中で最も多い方法となります。
続いて調停離婚とは、話し合いで合意に至らない場合に調停を申し立てて調停手続により離婚が成立する方法です。
家庭裁判所が選任した調停委員が夫婦の間に入り、調停委員がお互いの言い分を踏まえ離婚の合意を目指します。
第三者が間に入るため、当事者同士で話し合うよりはお互い冷静に自分の気持ちを伝えられるでしょう。
裁判離婚とは上記の調停が成立しない場合に離婚訴訟を裁判所に訴え、離婚判決の確定により離婚が成立する方法です。
日本では調停前置主義が採用されているため、調停を省略してはじめから離婚訴訟を提起することは認められておらず、まずは調停の申し立てをすることとなっています。
また、離婚訴訟では,
- 親権者の決定
- 養育費
- 財産分与
などについても裁判所で決めてもらうよう提起することができます。
それぞれの詳しい内容については、以下の関連記事もあわせてご参照ください。
(1)妻と話し合い合意に至った〜協議離婚における離婚準備
妻との離婚の話し合いが合意に至った場合、
- 共有財産の把握
- 離婚を長引かせないこと
などがポイントになります。
人間の気持ちはうつりやすいものですので、離婚の準備を進めていく中で妻の気持ちが変わり「やっぱり離婚しない!」と突然言い出す可能性もあります。
妻の気持ちが変わらないうちに早めに離婚の準備を進めていきましょう。
また、妻が離婚に合意していても離婚成立までの間は婚姻費用を支払う必要があります。
支払額が大きくなりすぎないようにするためにも、離婚準備は早めに進めていきましょう。
協議離婚の場合は、
- 離婚する際に財産分与や慰謝料についての取り決め
- 子供がいる場合は親権や養育費、面会交流
などについての取り決めを記載した離婚協議書を公正証書の形で作成しておくことをおすすめします。
公正証書とは、公証人に頼んで作成してもらう書類のことで、厳格な手続きを経て作成されるため「言った」、「言わない」の問題を回避することができます。
離婚協議書を作成しておかないと、後になってから
- 子供には会わせない
- 慰謝料をもっと支払え
などと当初の約束とは違った主張を妻からされる可能性がありますので注意してください。
(2)妻と話し合い合意できなかった〜調停離婚における離婚準備
妻が離婚に反対し話し合いでは離婚の合意ができなかった場合、調停離婚の準備を進めていく必要があります。
離婚に関する調停は、
- 相手方の住所地の家庭裁判所又
- 当事者が合意で定める家庭裁判所
などに申し立てます。
調停では調停委員を味方につけられるかどうかが離婚成立の鍵になってきます。
- 調停委員に嫌われた
- 不信感を持たれてしまった
などの場合には調停委員が妻側の味方となり離婚成立から遠のいてしまいます。
- 妻にとって不利な事情の整理
- 証拠の準備
などを進めていきましょう。
(3)調停でも合意に至らなかった〜裁判離婚における離婚準備
調停でも合意に至らなかった場合は、最終手段として裁判手続に進むことになります。
裁判手続に進みそうな場合は、弁護士に必ず相談しましょう。
裁判でも離婚できなかった場合は、新たな離婚事由が増えない限り離婚は難しいです。
弁護士と相談しながら
- 妻にとって不利な事情の整理
- 証拠の準備
を進めていきましょう。
3、男性が離婚を準備するにあたり覚悟しておいた方が良いこと
(1)子供がいる場合親権を失うかもしれない
男性が離婚を準備するにあたっては、子供の親権を失う可能性を覚悟しておきましょう。
現在の日本では、多くの場合、母親が親権を有する傾向にあります。
裁判所が親権者を決めるにあたって最も重要視するのが従前の監護状況です。
多くの場合母親が主に子供の監護を担っていることが多いため、母親が親権者になるケースが多いのです。
また、子供が小さい場合は、それだけで母親が有利になります。
これは母性優先原則と呼ばれ、子育てにおいては母性が重視されるという考え方を指します。
また、たとえ母親が浮気をしていたような事情があっても、父親が必ず親権を持てるとは限りません。
子供の親権を失った場合、面会交流の取り決めをしていれば子供と会うことはできますが、通常は月に1回程度です。
今までのように毎日子供と会うことはできません。
妻と離婚するということは、子供とほとんど会えなくなるということを覚悟しておきましょう。
どうしても子供の親権が欲しい場合は、
- 母親が子供を育てることは子供にとって悪影響が生じること
- 父親である自分が子供を育てた方が子供のためになること
を主張、立証していく必要があります。
父親が親権を獲得する場合には継続性の原則が重要なポイントです。
これは、離婚後の子供の環境について変化はなるべく少ない方がよいとされる考え方であり、母親よりも父親が子育ての中心であった場合には、離婚後も父親が親権を獲得できる可能性があります。
ただし、これまでの養育環境を離婚後にも保てるか、という生活の継続という観点も重視されます。
(2)金銭的負担
離婚をするとなれば、
- 財産分与
- 養育費の支払い
などで金銭的負担が大きくなります。
子供とはほとんど会えなくなるにもかかわらず金銭的負担だけを負い続けることにやるせなさを感じる人も少なくありません。
離婚を決意するのであれば、金銭的負担を覚悟しておきましょう。
(3)世間体が悪くなる
結婚した夫婦が離婚することは珍しいことではなくなったものの、それでも離婚は世間体が悪くなることもあります。職場からもマイナスイメージを持たれることがあるため、世間からの風当たりも覚悟しておきましょう。
(4)一時的な感情だと後から後悔する
人間の感情は移り変わりやすいので、一時の感情に流されて離婚を決めてしまうと後から後悔する可能性があります。
離婚を進めていく場合、離婚したいという気持ちが一時の感情ではなく本気で離婚をしようと決断できているのかについて、自分でも今一度確かめるようにしましょう。
4、妻と別れたい男性は弁護士に相談を
妻と別れたい男性は、自分の判断で行動する前に一度弁護士に相談することをおすすめします。
(1)妻と直接離婚の話し合いをしなくて済む
あなたの中で妻との離婚を決意したということは、
- 妻とこれ以上話したくない
- 関わりを持ちたくない
という気持ちがあるかもしれません。
離婚の話を進めていく上で、細かい取り決めなどは妻と決めていかなければなりませんが、弁護士に依頼しておけば、弁護士があなたの代理人として妻と様々な連絡や取り決めを進めてくれます。
直接妻と離婚の話し合いをしたくない人は、弁護士に依頼しておくと安心です。
(2)財産分与の算定
離婚の話し合いを進めていく上で複雑になるのが財産分与の算定です。
- どの財産が結婚後の共有財産になるのか
- 財産分与の対象となる財産には何が該当するのか
- どのように評価額を決めるのか
など、複雑な側面もあります。
弁護士に依頼をしておけば、財産分与の算定も弁護士が行うので、手間が省けるという点は大きなメリットになるでしょう。
(3)慰謝料や養育費の算定
慰謝料や養育費の算定をしてもらえることも弁護士に依頼する大きなメリットです。
慰謝料や養育費の総額は決して安いものではないので、妻の言いなりにならないようしっかりとした算定を行っていきましょう。
(4)別居など、今すべきことのアドバイスをもらえる
妻との離婚の話が難航しそうな場合は、別居を含め、今すべきことについて弁護士にアドバイスをもらいましょう。
(5)子供の親権獲得の可能性が上がる
妻との離婚を考えているものの子供の親権は欲しいという場合、親権獲得に向けての戦略が必要になります。
通常は母親が親権を有することが圧倒的に多いので、親権を獲得したい男性は弁護士に依頼し親権獲得に向けた準備を進めていきましょう。
妻と別れたい男の離婚準備に関するQ&A
Q1.妻と別れたい男の離婚準備はまず何から始めればよい?
妻と別れたい男の離婚準備について、まず何から始めればよいのかを確認していきましょう。
- 離婚条件の確認
- 離婚後の生活をイメージ
- 離婚したいと妻に伝えて話し合う
- 財産分与について
- 親権や養育費について
- 慰謝料の有無について
- 婚姻費用について
などに寄与し、児童福祉の増進を図ることを目的として支給される手当です。
Q2.男性が離婚を準備するにあたり覚悟しておいた方が良いこととは?
- 子供がいる場合親権を失うかもしれない
- 金銭的負担
- 世間体が悪くなる
- 一時的な感情だと後から後悔する
Q3.妻と別れたい男の離婚準備は離婚の種類毎に異なる?
離婚は、基本的には
- 協議離婚
- 調停離婚
- 裁判離婚
の3種類があります。
協議離婚は、夫婦間の話し合いで合意に至る離婚の方法です。離婚の中で最も多い方法となります。
まとめ
以上、妻と別れたい男の離婚準備についての解説でした。
女性は経済的側面を男性に頼っていることが少なくないので、いくら男性が離婚を望んでいても妻が離婚を承諾しない可能性があります。
財産分与や慰謝料・養育費等に関して経済的負担を負ったとしても、男性が妻と離婚して自分の望む人生を生きていけるように、離婚を検討している人はお気軽に弁護士にご相談ください。