日本で同性結婚はできる?!同性カップルが知っておきたい6つのこと

日本で同性結婚はできる?!同性カップルが知っておきたい6つのこと

日本にも著名人を含め、LGBTの方が多数いらっしゃることは周知の事実です。

しかし、日本国内ではまだまだ差別の風潮は残っています。

今回は、

  • 日本で同性結婚はできるのか
  • 同性カップルが知っておきたい6つのこと

についてご紹介していきます。

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1、同性カップルは日本で結婚できる!?

2015年には、アメリカで同性婚が認められる判決が下されたのはまだ新しい記憶です。
それを受けて、日本国内では同性結婚ができるように動いているのか気になるところです。

実際に社会生活において、まだまだ日本国内では同性カップルを蔑視する風潮があるのは事実です。
病気の説明は家族限定だったり、交番に保護されたパートナーを迎えに行く際には家族を証明する身分証明が必要だったり、同性カップルには、難しい問題が山積しています。

では、日本の法律では本当に同性婚は認められていないのでしょうか。

結論からいうと、現在の日本国憲法では、同性婚はまだ認められていません。

それは、第24条1項にこのような記述があるからです。

婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない”

ここで、注目して欲しいのが「両性」という言葉です。
現在の日本の憲法の解釈では、この両性が男性と女性のことを指しているという見方が有力とされています。
そのため、同性婚は認められない結果になっているのです。

しかし、一部の見識者の解釈は違います。
両性というのは男女のことではなく、一つの独立した性という解釈ができるというもの。
つまりは、「女性と女性」「男性と男性」でも問題ないのでは?という解釈もできると主張しているのです。

そして、日本国憲法の大元である、大日本帝国憲法でこの条項が定められた際には、同性婚についての議論はされていません。
当時の日本の風潮に則った憲法策定だったことに鑑みても、時代に沿った憲法の改訂が必要になってきています。

どこにも同性婚が禁止されている条項は記載されていないのが現在の憲法です。
今後の憲法改正に期待が持てる状況だといえるでしょう。

2、世界(海外)の同性カップルの結婚事情について

では、世界の同性カップルの結婚事情は2019年現在ではどうなっているのでしょうか。

日本だけが遅れているのかが気になります。

実は、世界で見ても同性婚を認める風潮が高まっています。
2015年のアメリカでの判決の例を見てもわかります。

2019年では、27カ国、世界の約20%の国で同性婚やパートナーシップ(後述)を認めています。
今後も同性婚を認める動きが高まる見通しです。

国名法律施行日
オランダ2001年4月1日
ベルギー2003年6月1日
スペイン2005年7月3日
カナダ2005年7月20日
南アフリカ2006年11月30日
ノルウェー2009年1月1日
スウェーデン2009年5月1日
ポルトガル2010年6月5日
アイスランド2010年6月27日
10アルゼンチン2010年7月22日
11デンマーク2012年6月15日
12ブラジル2013年5月16日
13フランス2013年5月18日
14ウルグアイ2013年8月5日
15ニュージーランド2013年8月19日
16英国(北アイルランドを除く)2014年3月29日
17ルクセンブルク2015年1月1日
18米国2015年6月26日
19アイルランド2015年11月16日
20コロンビア2016年4月28日
21フィンランド2017年3月1日
22マルタ2017年9月1日
23ドイツ2017年10月1日
24オーストラリア2017年12月9日
25オーストリア2019年1月1日
26台湾2019年5月24日
27エクアドル2019年6月12日
28コスタリカ2020年5月までに

 

<引用元:NPO法人 EMA日本

3、同性結婚できない日本の制度は変わるべきとの声も増えている

現時点で同性結婚が認められていない日本国内でも、同性カップルに対する日本国憲法の平等性に疑問を感じる声が高まっています。
世界の同性婚事情を見てもらえばわかりますが、先進国では同性婚が認められている国が多いのです。

そして日本国憲法の第14条1項にある

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

法の下に平等の理念が同性カップルには正しく施行されていない実情がわかるでしょう。
例え同性カップルであったとしても法の下に平等に家族としての制度保証があるべきなのです。
そのため、日本国内でも制度は変わるべきとの声が高まってきています。

4、ご存知ですか?自治体における「パートナーシップ証明」

ところで、日本の法律改正はまだ先送りになっていますが、それに先立ち自治体における「パートナーシップ証明」は徐々に広まりつつあることはご存知ですか?

これによって、同性カップルにも希望が見えてきています。 

(1)パートナーシップ証明とは

 パートナーシップ証明とは、法的な拘束力はないものの、同性カップルに婚姻したカップルと類似の権限を与えるというものです。

実際には法的な拘束力がないため、同等とまではいきませんが、家族として認められるシーンが増えることは確かでしょう。
例えば、病院の面会や病状説明を家族として受けられたり、同性カップルが一緒に住むことを大家さんが拒否せずに認めるなどの権限です。

2019年現在、全国で24自治体(渋谷区、世田谷区、伊賀市、宝塚市、那覇市、札幌市、福岡市、大阪市、中野区、大泉町、千葉市、堺市、熊本市、東京都府中市、横須賀市、総社市、小田原市、枚方市、江戸川区、豊島区、鹿沼市、宮崎市、茨城県、長崎市)がこのパートナーシップ証明を認めています。

(2)「結婚」との違い

しかし、パートナーシップ証明を受けたとしても、法の下では正式な夫婦とは言えません。

戸籍上は他人です。
婚姻関係は認められませんし、財産分与や、税制優遇などは受けられません。
パートナーの扶養に入ることもできないのです。

あくまでもパートナーシップ証明では、自治体や企業ができる範囲のサポートに止まっています。
法的な拘束力はないと理解してください。

(3)パートナーシップ証明をした有名人

日本国内でパートナーシップ証明をした有名人を見ていきましょう。

  • 一ノ瀬文香さん(タレント)×杉森茜さん(女優)
  • 東小雪さん(元タカラジェンヌ)×増原裕子さん(一般人)
    ※東さんと増原さんは2017年にパートナー解消

国内の著名人ではまだパートナーシップ証明を取得している方は少ないですね。
一般人では100組以上のカップルがパートナーシップ証明を受けています。
また、タレントの牧原朝子さんは、フランス人のパートナーとフランス国内のPACS契約を結びました。PACS契約とは、日本でいうパートナーシップ証明のことです。 

5、二人の子供が欲しい場合はどうすればいい?

同性カップルが、パートナーシップ証明を受けたとしても子どもをもうけることは難しいのが現状です。
戸籍の上で子どもをカップル間の子どもにすることは現時点では不可能だと理解しておけばいいでしょう。
それでも愛するパートナーと育児の楽しみを分け合うことはできます。

(1)男性カップル 

男性カップルの場合には、養子の手があります。

カップルのいずれかが、普通養子縁組で子どもと養子縁組を行えば、片親にはなりますが、法的にも親子になることはできます。

カップル2人の子どもにはなりませんが、子どもを養育し、2人の子どもとして育てていくことはできるでしょう。

(2)女性カップル

女性カップルでも男性カップルと同様に普通養子縁組で子どもを持つことは可能です。
その他、第三者から精子の提供を受けて子どもを作ることはできます。

しかしながら、日本の法律では、病院内での人工授精の施術を受けることはできません。
あくまでも自らの手で人工授精をしなければいけないのです。

日本の法律で人工授精は、原則として男女のカップル間だけで認められています。
そのため、もしも出産したとしても、同性カップルとの親子関係は結べないのです。

出産した女性が未婚の母として届け出を出して実子にすることは可能ですが、カップルの子どもとしては認められません。

(3)子どもをもうける時の注意点

このように同性カップルにとっては子どもをもうけるのが難しいのが現実です。
そして運良く養子縁組をしたり、精子提供で妊娠できたとしても、注意点は存在します。

先述した通り、カップルのどちらか一方との間としか法的にな親子関係がないので、法律親ではない者は、子どもを養育していくにあたり、必要な義務や権利が得られないことを覚えておきましょう。

もしも、子どもが大きな手術をするにしても、その許可を出せないケースがあります。

そして精子提供で子どもをもうける場合には、医療機関での人工授精ができないため、しっかりとした精子の安全性を調べられない可能性があるということ。
そして安全に出産できる保証がないことも覚えておきましょう。

6、同性パートナーに相続させることは可能?

日本では同性婚がまだ認められていませんが、実は、遺産相続を行う手段は存在します。

(1)遺言書

遺言書を残すことで、パートナーに遺産を残すことは可能です。

ただし、法定相続人がいる場合には、全額をパートナーには残せないかもしれません。
たとえ遺言だったとしても、遺留分があった場合には、法定相続人には遺留分が侵害された場合、遺留分侵害請求を申し立てる権利があるからです。

それでも、遺留分は遺産の一部に限られるため、遺産のほとんどをパートナーに残すことはできるでしょう。

また、遺留侵害請求は権利であり、義務ではありません。
請求しなければ全額パートナーの物です。
そのため、あらかじめ法定相続人と相談しておけば問題なくパートナーに残額残せる結果になります。

なお、相続税には注意が必要です。
相続人以外への遺贈(遺言で財産を譲渡すること)では、基本的に相続人が支払うより2割増の相続税がかかってしまいます。

(2)生前贈与

その他、生前贈与という手段もあります。

ただし、生前贈与には贈与税が付加されるため、金額には注意が必要です。
年間110万円以下であれば贈与税はかかりません。毎年コツコツパートナーに贈与していけば税金がかからずに遺産を残せるでしょう。

(3)養子縁組

パートナーと養子縁組を行う方法も存在します。
普通養子縁組は特別養子縁組とは違い、年齢制限がありません。
例え同じ年でも養子縁組は可能なのです。
数日でも年長者が親となり、年齢の低い方が子どもという契約になっています。

そして実親との縁が切れることもありません。
普通養子縁組を生前に行っておけば、法定相続人として認められています。
同性婚ができない日本においては、家族になれる一つの手段なのかもしれません。

(4)弁護士に相談して準備を整えておくのがおすすめ

同性カップルの養子縁組や遺産相続については内容が難しいため、早い段階での弁護士への相談をおすすめします。
いざという場合の準備を整えておくためにも信頼できる弁護士を見つけておくといいでしょう。

まとめ

日本国内ではまだ同性結婚は認められていません。
しかし、今後法改正の可能性はあるでしょう。

現時点では、同性カップルにとって、家族として平等に暮らすだけの保証制度などは整備されていないのが現実です。
それでも、愛するパートナーとできる限り家族として生きていけるように周囲の理解を得ることが大切なこと。今後の制度改正に期待しながら今ある法律でできる限りのことをしておけるといいでしょう。

パートナーと幸せに末長く暮らせることを願います。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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