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労災の「第三者行為災害」って?知っておくべき6つのこと

第三者行為災害

第三者行為災害ってご存知でしょうか?

労働災害では、例えば「単独での業務中に作業機械に腕を挟まれた」というように、「物」を原因として負傷等した場合と、「チームでの業務中に他の作業員が作業用機械の操作を誤り負傷した」というように「第三者の行為」を原因として負傷等する場合があります。

後者のような「第三者の行為」によって労働災害の負傷等を負うことを「第三者行為災害」といいます。

第三者行為災害では、加害者に対し不法行為を原因とした損害賠償請求や、加害者を雇用する会社に対する使用者責任を原因とした損害賠償請求が可能なケースがありますが、労働災害保険(労災)の請求とそれらの損害賠償請求とは、どのような関係にあるのでしょうか?

今回は、

  • 第三者行為災害の基本 について、最低限知っておくべきこと

についてベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
実際には技術的な細かな問題が多く、労基署や弁護士との相談が必要ですので、そのための予備知識として役に立てていただけましたら幸いです。

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1、労災の「第三者行為災害」とは何か

労災の「第三者行為災害」ってなに?第三者行為災害の6つの基本を弁護士が解説

まず、第三者行為災害とは何か簡単に解説していきます。

(1)第三者行為災害の定義

「第三者行為災害」とは、労災保険給付の原因である災害が第三者によって生じたもので、労災保険の受給権者である被災労働者または遺族(以下「被災者等」)に対して、第三者が損害賠償の義務を有しているものをいいます。

(2)「第三者」とは〜派遣労働者の労災での注意点

「第三者」とは、労災保険の保険関係の当事者(政府、事業主および労災保険の受給権者)以外の者のことをいいます。

派遣労働者における業務災害においては、派遣先は「事業主」ではありませんから、「派遣先」は「第三者」となり、第三者行為災害になりうるということになります。

「派遣先事業主」を第三者とする第三者行為災害として扱われるのは、次のケースです。

  1. 派遣労働者の被った災害について、派遣先事業主の労働安全衛生法令違反が認められる場合
  2. 上記「1. 」の労働安全衛生法令違反が、災害の直接原因となったと認められる場合

(3)第三者行為災害の例

第三者によって負傷等することの代表例といえるのは、なんといっても「交通事故」でしょう。

その他には、第三者からの有形力の行使(暴力等)などが考えられますが、これらの行為は故意(わざと)である必要はありません。ミス(過失)であっても第三者行為災害の対象です。

2、第三者行為災害での「労災請求」と加害者への「損害賠償請求」の関係

労災の「第三者行為災害」ってなに?第三者行為災害の6つの基本を弁護士が解説

第三者行為災害は、「第三者」によるものとはいえ、業務中または通勤中の災害ですので「労災請求」が可能です。

一方、第三者行為災害の場合は、基本的には、被害者は加害者(第三者)に対し、民法上の不法行為責任(民法709条)を根拠にした「損害賠償請求」が可能です。

この労災保険への請求と第三者に対する直接の請求の2つの請求は、どちらを行使してもかまいません。

(1)両方へ請求してもいいの?

労災保険と第三者への損害賠償請求は、補填する損失の範囲が若干異なります。

まず、「損失」は、細かい項目に分類することができます。
例えば、怪我の治療費、入院費、休業中の給与相当額、働けなくなった場合に将来得られたであろう利益というような具合です。

このように分類した場合でも、労災保険ではある程度の項目は補償されるものの、大きなところでいえば精神的損害(慰謝料)の費用の補償はありません。

一方、第三者への損害賠償請求では、加害者の行為と因果関係がある損失は全て賠償の範囲となります。

ただ、実際、どこまでが因果関係があるのか、この判定は一筋縄ではいきません。
そのため、示談(交渉)が難航したり裁判沙汰になる可能性が高いというデメリットがあります。

また、第三者行為災害において負った怪我が重傷である場合、そのぶん賠償額も高額になることから、加害者に十分な資力があるのか、これが一番の問題点となるでしょう。

もっとも、同じ分類項目に対する二重取り、例えば怪我の治療費を労災に支払ってもらった上で、加害者からも同額を支払ってもらう、というようなことはできませんから、結局、労災請求をした上で保険外の損失があれば加害者へ損害賠償請求する、というルートが合理的であるといえます。

ただし、加害者への損害賠償請求は、加害者がすんなりと応じないことも多く、その場合には、裁判を起こして強制的に支払わせる必要があるため、個人で行うことは現実的ではありません。専門家への依頼が必要です。

(2)加害者から先に金銭を受領してしまったら

① 加害者からの一方的な金銭の提示

加害者が申し訳なさから、先にある程度の金銭を渡してくる、という場面もあるでしょう。
それを受け取った後でさらに労災請求をすれば、二重取りになりかねません。

このような場合は、労災保険金を請求する際に、加害者から支払われた金銭について報告する義務があります。

また、加害者も支払った旨の報告をする義務があります。

この報告に基づき、同一の事由により第三者の損害賠償が先に行われていたことがわかると、その価額の限度で労災保険給付はなされず(「控除」といいます)、残り部分が支給されることになります。

なお、交通事故による第三者行為災害で、自動車保険(自賠責、任意保険を問わない)を使って加害者からの賠償の支払いがなされた場合であったとしても同様です。

② 話し合いによって金額を決め受領―「示談」に注意!

当事者双方において労働災害であることが頭になかったような場合では、すでに話し合い、お詫び金として支払いを受け、書面を取り交わしているようなケースもあるでしょう。
これを「示談」といいますが、示談をしてしまったケースでは注意が必要です。

示談が成立したということは、加害者の資力や被害者の状況に鑑みて、お互いの妥協により双方が納得できる金額で折り合いがついたということを意味します。
言い換えれば、「被害者が、その金額を受け取ることで加害者に対する損害賠償の全てを受け取り、それ以上の請求はしないということについて同意した」ということであり、これはすなわち、被害者が自分の権利を一部放棄したということになります。

ところで、第三者行為災害における労災保険は、あくまでも、「加害者が支払うべきものを肩代わりして被害者に支払っている」に過ぎないため、労災側は、保険金を支払った後に、加害者に対してその分を請求することがあります(これを「求償」といいます)。 
そのため、有効に示談が成立した場合には、被害者は加害者から受給した以上の賠償を受け取らないことについて同意しているわけですし、加害者もそれ以上の支払には応じない(=求償にも応じない)わけですから、それを理由として労災の給付も行われなくなることがあります。
したがって、安易な示談は控えるべきでしょう。

示談については、労基署や弁護士等専門家との相談が必須です。

労働者災害補償保険法 第十二条の四 

政府は、保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、保険給付を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。

2 前項の場合において、保険給付を受けるべき者が当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で保険給付をしないことができる。

(3)労災から支払いを受けたら加害者は損害賠償責任を免れるの?

労災で損害を補填できれば問題ないとはいえ、もしそうすることで加害者が無傷で済んでしまったら気持ち的に腑に落ちないというケースもあるでしょう。

加害者の不法行為があるケースでは、被災者等への損害のてん補は、政府(労災保険)ではなく、加害者が最終的には負担すべきものです。
そのため、労災保険給付を先に受けた場合には、政府は労災保険給付と引き換えに被災者等が第三者に対して持っている損害賠償請求権を取得し、この権利を第三者(交通事故の場合は保険会社など)に直接行使します。
これを「求償」といいます。

3、交通事故の場合、自動車保険と労災保険どちらに請求するべき?

労災の「第三者行為災害」ってなに?第三者行為災害の6つの基本を弁護士が解説

第三者行為災害で自動車事故の場合、第三者の損害賠償は、ほとんどの場合において自動車保険でまかなわれると思います。

この場合、保険 vs 保険 です。

どちらも支払えないということはありませんから資力は関係ありませんし、要件さえ満たせばどちらからも支払いを受けることができます。

このような場合、どちらに請求すると良いのでしょうか。

(1)原則、自動車保険(自賠責等)優先(自賠先行)がお勧め

一般的に、原則として自動車保険(自賠責等)を先に請求することが多いようです。
その理由は以下の通りです。

① 補償項目が幅広い

自賠責保険等は労災保険の給付より幅が広く、前述の通り精神的苦痛に対する慰謝料が支払われたり、療養費の対象が労災保険より幅広いのです。

② 休業損害の補填が大きい

自賠責保険等では、休業損害が原則として100%てん補されます(労災保険では60%+特別支給金の20%)。

(2)一部の場合においては労災保険優先(労災先行)がお勧め

例えば、次のようなケースでは、労災保険を優先したほうが被災労働者にとって有利になることがあります。

① 被災労働者にも過失がある場合

自賠責保険は、被災労働者の過失割合が70%以上になると減額されてしまいます。
任意保険からお金を受け取る場合でも過失相殺が行われます。

他方で、労災保険は本人に過失があっても支給金が減額されることはありません。

② 相手方が自賠責保険にしか加入していない

自賠責保険の限度額は治療費、治療関連経費、休業損害、慰謝料等の合計で120万円なので、損害額が大きい場合には補償が不十分となるおそれがあります(後遺障害・死亡分は別途支給)。

③ 負傷の程度が重い

治療が長期化すると自動車保険会社の負担が大きくなるため、治療経過の確認や早期示談の確認が頻繁に入り、最終的に治療の「打ち切り」を提案してくることもあります。
被災者側の精神的な負担は非常に大きなものになり、治療に専念できなくなる可能性があります。

他方で、労災保険の場合には、それほど急な打ち切りを求められることはあまりなく、じっくりと治療に専念できることが多いといえます。

4、第三者行為災害における労災請求手続き

労災の「第三者行為災害」ってなに?第三者行為災害の6つの基本を弁護士が解説

本項では、第三者行為災害における労災請求の手続きについて解説していきましょう。

(1)被災者側が提出する書類

被災者等は労災の給付請求書のほか、「第三者行為災害届」を提出します。
この提出に際し、さらに次の書類を添付します。

なお、正当な理由なく第三者行為災害届を提出しないと、労災保険給付が受けられないことがありますので注意が必要です。
このうち、「念書(兼同意書)」によって、上述した示談に関する注意点を被災者がしっかり理解しているかの確認が求められています。

「第三者行為災害届」に添付する書類 」

添付書類名交通事故による災害交通事故以外による災害備考
念書(兼同意書)(詳細後述)
「交通事故証明書」または「交通事故発生届」自動車安全運転センターの証明がもらえない場合は「交通事故発生届」
示談書の謄本示談が行われた場合(写しでも可)
自賠責保険等の損害賠償金等支払証明書または保険金支払通知書仮渡金または賠償金を受けている場合(写しでも可)
死体検案書または死亡診断書死亡の場合(写しでも可)
戸籍謄本死亡の場合(写しでも可)

(2)第三者(加害者)が提出する書類

労災保険給付の原因となった災害を発生させた第三者は、「第三者行為災害報告書」を提出するよう、労働基準監督署から求められます。
第三者に関する事項、災害発生状況および損害賠償金の支払状況などを確認するために必要な書類です。
提出を求められた場合には速やかに提出することが必要です。  

5、損害が大きいなどの場合は弁護士に相談を

労災の「第三者行為災害」ってなに?第三者行為災害の6つの基本を弁護士が解説

以上は労災の第三者行為災害についてポイントだけを説明したものです。
これをお読みになっただけでも、第三者行為災害のイメージがずいぶん変わるのではないでしょうか。

第三者行為災害として一番多いのは交通事故ですが、その場合、保険会社との示談の話も必ず出てきます。
注意して対応しないと取れるべき給付を取り損なうことになりかねません。
安直に対応せず、労基署と相談し、また何よりも労災を含む民事事件に詳しい弁護士と相談して、間違いのないように手続きを進められることをお勧めします。

まとめ

労災の第三者行為災害に関する制度は、労災と民事の損害賠償責任とを調整するために整備された仕組みですが、内容は極めて複雑です。インターネット上にも様々な断片的な情報が飛び交っているようです。

この記事では、まずは全体のイメージをつかめるように、ざっくりと説明いたしました。
専門家との相談の一つの手がかりとしてご活用いただければ幸いです。

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