子供を3人抱えて離婚することは多くの不安を抱えるものですが、その中でも特に子育ての期間が長くなるため、仕事をセーブしなくてはならない期間も長くなるでしょう。
しかし、一方で子供3人を育てるためには経済的な面でも支えが必要です。本記事では、子供3人を抱えながら離婚を考えている方々に役立つ情報を提供します。離婚のポイントや養育費に関する解説や紹介を行い、離婚後の不安を抱えながらも、結婚生活を続けることが困難だと感じている方々のサポートとなるでしょう。
離婚に伴う心理的・経済的な負担を考慮し、子供3人を抱える離婚の現実を正面から向き合いながら、より円満な解決への道筋をご案内します。子供の幸福を最優先に考えながら、離婚に関する重要な判断を下すためのヒントをお伝えします。本記事の内容がお役に立てば幸いです。
離婚が子供に与える影響については以下の関連記事をご覧ください。
目次
1、子供が3人いる夫婦の離婚
子供3人がいると、子供が1人や2人の場合よりも離婚を決断することへの不安も大きくなるでしょう。子供が3人いる夫婦が離婚した場合、離婚後の生活はどのようになるのでしょうか?
(1)子供が3人いる家庭の特徴とは?
子供の人数が1人や2人の場合に比べると、子供が3人いると子育ては一気に大変さを増すでしょう。子供が3人いる場合、子育てにおいて次のことが課題になると考えられます。
① お金がかかる
子供を1人に育てるには、まず幼稚園から大学まで全て公立学校に通った場合でも
- 教育費だけで約700万円
- 全て私立校ならば約2000万円
かかることが文部省の調べで分かっています。
参考:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」、「平成30年度子供の学費調査の結果について」
そして、食費や生活必需品などの養育費は、子供1人当たり大学を卒業するまでには約2000万円が必要になると言われています。
参考:内閣府「インターネットによる子育て費用に関する調査」
参考:独立行政法人日本学生支援機構「平成30年度学生生活調査」
つまり、子供を1人育てるには約3000万円が必要になるのです。
子供が3人いれば衣類などはおさがりなどで抑えることができますが、教育費で非常に多くのお金がかかることが分かります。
② 子育て期間が長い
子供の人数が多いほど、子育て期間が長くなります。年齢が小さいほど手がかかることが多いですが、子供3人になると手がかかる期間も長くなるため子育て期間が長くなると言えます。
子供が学校に通学するようになれば多少なりとも手がかからなくなりますが、子供間の年齢差によっては子育て期間が長引くことになるでしょう。
(2)子供が3人いる夫婦が離婚するとどうなる?
子供が3人いる夫婦が離婚すると、
- 分担
- 子供の負担
が問題になってしまう可能性があります。それぞれの問題点についてみていきましょう。
① 分担ができなくなる
婚姻期間中は子供3人の
- お金の工面
- 子育て
などを夫婦二人で分担するものです。
しかし、離婚をして一方が子供3人全員の親権を持つことになれば、お金の工面や子育ての負担が分担できなくなります。そのため、親権者にかなりの負担がかかると考えられるでしょう。
子供の世話をしながら子供を育てるためのお金を稼ぐための仕事も必要になります。
② 分担を重視すると子供に負担がかかる
分担を重視して親の一方が全員の親権を持つのではなく、
- 一方が2人
- 一方が1人
というように子供の親権を分担して育てることもできます。
しかし、分担を重視した場合には、どちらの親がどの子供を引き取るのかという点において話し合う必要があり、兄弟を引き離すことで子供の心を傷つけてしまう可能性があります。
離婚においては「兄弟不分離の原則」があり、これは兄弟姉妹を引き離さずに一緒に育てる方が子どもの生育にとって望ましいという考え方です。もし兄弟の分離を考えている場合には、是非こちらの記事をご覧ください。
2、子供3人の夫婦の離婚で特に注目すべき3つのこと
子供3人を抱えた夫婦が離婚する場合、とくに注目すべきポイントが3つあります。離婚前にこの3つのポイントについてしっかり知っておきましょう。
(1)養育費
子供3人を抱えて離婚する際には、子供の養育費に関する心配をする方も多いでしょう。
しかし、子供の親権を持つ場合、親権を持たない方の親に対して養育費を請求することができます。
親には子供を扶養する義務があり、離婚で子供を引き取らないからといって扶養の義務がなくなるというわけではありません。
養育費は、子供の年齢や年収によって金額が異なります。子供3人全員が14歳未満で義務者の年収500万円で権利者の年収が0円だった場合には、養育費の相場は10~12万円ほどです。
しかし、15歳以上の子供がいれば養育費はさらに高額になります。
- 親権を持たない義務者の収入が低い場合
- 無職の場合
でも支払ってもらうことはできるので、弁護士に相談してみましょう。
養育費の具体的な相場についてはこちらの記事をご確認ください。
(2)共同養育
一般的に、子供を引き取る側の親が親権者になるため親権者は1人であり、日本で共同親権は認められません。
しかし、近年では「共同養育」の考え方が広まってきています。
共同養育とは、離婚後も父親と母親が協力して子育てを行うことです。
離婚をしても親としての責任は継続するため、離婚後も共同して子育てをしていく共同養育ならば共同親権のような形を実現することができます。共同養育を上手く取り入れることができれば、1人で子育てを背負いこむことなく負担が軽減されるでしょう。
共同養育に関する詳細は、こちらの記事をご覧ください。
(3)母子手当制度
シングルマザー(シングルファザー)は経済的に厳しいというイメージを持つ方も多いでしょう。
日本では、国または自治体で母子手当制度などシングルマザー(シングルファザー)を対象とした各種支援制度が用意されているため、利用することで負担を多少なりとも軽減することができます。
- 生活に必要な費用の給付
- 生活にかかる費用の負担軽減
などさまざまな制度があります。
どのような制度を利用できるのかあらかじめ調べておきましょう。
しかし、公的な支援は制度が複雑なことも多いので、疑問や不明点がある場合には
- 福祉事務所
- 市区町村の窓口
などに相談してみましょう。
母子手当制度の詳細は、こちらの記事を参考にしてください。
3、子供が3人いる夫婦の離婚はタイミングが大切
子供の人数に関係なく、子供がいる夫婦が離婚する場合には、子供のイベントなどのタイミングで離婚を決めることが多いでしょう。
幼稚園や学校を卒業・入学するタイミングが一般的だと言えます。
しかし、子供が3人いる夫婦の離婚では、それぞれの子供のイベント時期がピッタリ合うことは難しいと考えられます。
子供全員のイベント時期が合わないということの方が多いため、どの子供のイベント時期に合わせて離婚すべきなのか検討することになります。
場合によっては転校なども必要になるため、学年の途中でも問題ないのかなどという点についても考えなければなりません。子供の年齢や特徴なども踏まえ、最もスムーズに新生活を始められるタイミングについて考えるべきです。
4、子供が3人いるからこそ!離婚準備に大切な経済的な自立
子供が3人いると子供の世話に追われてしまうため、仕事は無理だと考える女性も少なくないでしょう。
しかし、子供がいるからこそ離婚時には経済的に自立することが大切です。
離婚時には
- 財産分与:婚姻期間中に協力して築いた財産を離婚時に清算する制度
- 慰謝料:不貞行為などがあった場合に請求可能
などで新生活を始められますし、養育費の請求によって基本的な生活をすることは可能ですが、より子育てや今後の人生を楽しむにはお金が必要だと言えます。
働きながら子育てする人を支援する会社も増えているので、そういった会社を探してみることが重要です。
働きに出ることで、会社を味方につけて子育てをすることができるようになるでしょう。そして、自分の自信にも繋がり、離婚をプラスに捉えることができるようになるはずです。
5、子供が3人いる夫婦の離婚での財産分与でのおすすめ
離婚時には、財産分与が問題になることも少なくありません。
財産分与とは夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産を離婚時に分配する制度であり、原則的には夫婦で財産を2分の1ずつ分配することになります。
財産分与の対象になる財産の例としては以下のようなものがあります。
結婚後に購入した夫婦共有の
- 預貯金
- 家
- 車・家具など
財産分与で最も大きなポイントになる部分は家でしょう。
家は売却しない限りは分配することができないため、夫婦のどちらかが受け取ることになります。
子供が3人いる夫婦における離婚では、子供を引き取る側が家を受け取ることをおすすめします。なぜならば、子供が3人住めるような家を探すとなると広めの家を探す必要がありますが、広めの家は家賃が高くなるため経済的に厳しくなることが予想されるからです。
- 今の自宅は配偶者との思い出が多くて住み続けることが辛いという場合
- 配偶者の家族の家と近いので気まずいというような場合
など、住み続けることが難しい理由があれば家を出ることは仕方ありません。
しかし、そういった事情がない限りは自宅を財産分与として受け取ることが望ましいと言えるでしょう。
ただし、住宅ローンが残っている場合には分担を考えなければなりません。離婚後の住宅ローンの分担に関してはケースバイケースになり、
- 離婚に至った経緯
- 離婚原因
などから負担割合を決めることになります。
「住宅ローンが残っていて、払えないから出て行く」と考えてしまうのではなく、相手に負担してもらえることが可能であるのか考えてみましょう。
財産分与における住宅ローンの考え方については、こちらの記事を参考にしてください。
6、子供が3人いる離婚で失敗しない離婚を実現するために
子供が3人いる離婚では、子供の将来や今後の生活を考えると不安も大きいものでしょう。
離婚で失敗しないためにも、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することで
- 養育費の請求
- 財産分与
などを適切に行うことができ、自分に有利な条件で離婚をまとめられる可能性も高まります。
離婚時には離婚条件に双方が合意していたとしても、子供を引き取らない側は将来的に養育費や共同養育のことが次第に負担になってくることも珍しくありません。
そのため養育費の支払いなどの将来の義務を保全するために「離婚協議書」を作成するべきです。
離婚協議書を作成して養育費や共同養育のことを記載していれば、後からトラブルになることを避けられます。
離婚協議書の書き方については以下の記事で確認していただけますが、弁護士に無料相談して直にアドバイスを受けることもおすすめです。
子供3人を抱えて離婚することは不安なことも多いと思いますが、弁護士は味方になってくれます。
また、今後の展開の説明やアドバイスだけではなく、少しでも有利な条件で離婚できるようにサポートもしてもらえることでしょう。
初回は無料相談を行う法律事務所も多いので、まずは無料相談から利用してみてください。
弁護士に相談することで、ご自身の考え方や方向性がまとまることも期待できます。
まとめ
子供3人のいる夫婦の離婚では、子供のケアに加えて子供の今後の将来に必要となるお金や世話などのことも考えると不安も大きいものでしょう。
しかし、親権を持つ場合には養育費を請求することができ、子育てに関しては共同養育という方法を選ぶこともできます。
子供3人を連れて離婚する際には、一人で抱えこまずに弁護士のサポートを受けましょう。
子供が3人いれば離婚条件が複雑化しやすいですが、弁護士のサポートを受ければ離婚条件や協議もスムーズに進むことが予想されます。
離婚後の新生活や子供の将来のことを考える上でも、第三者のサポートを受けることは大切です。