弁護士保険は弁護士費用保険とも呼ばれる保険で、日本では2000年に導入された保険です。
弁護士保険では、法的トラブルに遭った場合にかかる弁護士費用がカバーされます。
以前は主に交通事故時に補償されるものが主流でしたが、最近では様々なトラブルについて補償を受けられるものが増えてきました。
一例としては、
- 相続問題に関して弁護士に相談・依頼する際
- 離婚問題に関して弁護士に相談・依頼する際
- 交通事故問題に関して弁護士に相談・依頼する際
- ペット問題に関して弁護士に相談・依頼する際
に活用することができます。
ここでは、弁護士保険ではどのような補償が受けられるのかを説明し、弁護士保険に加入するメリットをまとめています。
いつ起こるかわからない法的トラブルに備えたい方や、将来弁護士に依頼する場合に備えて準備をしたい方は、参考にしていただければ幸いです。
目次
1、弁護士保険(弁護士費用保険)とは?
まずは、そもそも弁護士保険とは何かについて説明していきます。
(1)トラブルの際の弁護士の必要性
我々は日常生活を送る中で、何らかの法的トラブルに巻き込まれことがあります。
法的トラブルの場面で、自らが不利にならないように対処するには、どうしても法的知識が必要になります。
法的知識をもち、相手方との交渉を任せられる専門家といえば、弁護士です。
弁護士に依頼すれば、代理人となって相手方と話をしてもらえるだけでなく、裁判を進めてもらうことも可能になります。
ただし、弁護士に相談したり、事件を委任したりする場合には、高額の弁護士費用がかかってしまいます。
弁護士費用が用意できなければ、自分で対処せざるを得ません。
知識のないまま相手方と交渉すれば、最終的に不利な結果になってしまうこともあります。
裁判となると素人では歯が立ちませんから、結局泣き寝入りをせざるを得ないこともあります。
(2)将来発生するかもしれない弁護士費用に備えられる保険がある
法的トラブルというのは、予測がつかないことがあります。
ある日突然、高額の弁護士費用を払えと言われても、用意できないということは普通に起こり得ます。
そのような場合に備えられるのが弁護士保険(弁護士費用保険)です。
弁護士保険とは、弁護士に依頼する場合にかかる費用を補償する保険です。
弁護士保険に加入していれば、法的トラブルに遭った際の弁護士費用が保険金から支払われます。
いざというときに必要な弁護士費用を準備できますから、大きな安心につながります。
(3)弁護士費用特約との違い
いざというときの弁護士費用を準備できる保険として、自動車保険の特約として加入できる「弁護士費用特約」があります。
弁護士費用特約でカバーされるトラブルは、主に自動車事故になります。
一部日常生活で起こる事故全般をカバーしているものもありますが、それ以外の相続や離婚などの法的トラブルには、弁護士費用特約は使えません。
弁護士保険は、単体で入ることができ、弁護士費用特約よりも幅広い法律トラブルに利用できる保険として注目を浴びています。
2、弁護士着手金が半分!相談料がいつでも無料!弁護士保険の魅力とは?
次は具体的な弁護士保険の魅力について説明していきます。
(1)着手金が約半分になる
弁護士費用は、着手金と報酬金に分かれています。
着手金とは、事件を依頼するときに支払う費用で、事件の成否にかかわらず必ずかかるものです。
一方、報酬金は事件終了時に結果に応じて支払う費用で、弁護士が介入することで得られた利益に応じてかかるのが一般的です。
弁護士保険では、保険金から着手金を支払ってもらえます。
特定偶発事故(自動車事故などの突発的な事故)の場合には着手金全額が保険金でカバーされますが、その他の一般事件(離婚、相続など)でも、着手金から免責金額として5万円を差し引いた金額の70%が支払われます。
たとえば、一般事件で着手金が20万円かかるケースで、保険金でカバーされる額は
(20万円-5万円)×0.7=10万5,000円
となり、着手金については約半分の自己負担ですむことになります。
ちなみに、20万円というのは着手金の最低ラインです。
着手金の金額がもっと大きくなれば保険金額でカバーされる割合も大きくなります。
つまり、ほとんどのケースで、着手金の半分以上が保険金でカバーされることになります。
※なお、今回の記事では主に弁護士保険「mikata/ミカタ」の保障内容を一例として紹介しておりますが、保険会社によって保障内容は異なります。
(2)年間10万円までの法律相談料が無料に
弁護士に法律相談する場合には、30分につき5,000円程度の費用がかかるのが通常です。
弁護士保険では、法律相談料については1案件につき2万2,000円まで、年間の上限が10万円という制限はありますが、基本的に実費が全額カバーされます。
実際のところ、トラブルが起こったときには、法律相談で弁護士にアドバイスを受けるだけで解決できるケースも多数あります。
弁護士保険に加入しているだけで、困ったときに無料で気軽に弁護士に相談することができるとうのは大きなメリットです。
(3)付帯サービスも充実
弁護士保険には、次のような付帯サービスもあります。
①弁護士直通ダイヤル
弁護士直通ダイヤルは、無料で弁護士に電話相談ができるサービスで、初期相談に利用できます。
制度等の一般的な内容を知りたい場合や、弁護士に事件を依頼した方がよいのかがわからない場合などに、気軽にアドバイスを受けることができます。
②弁護士紹介サービス
弁護士に相談したいけれど、そもそも弁護士の探し方がわからないということもあると思います。
そのようなときに利用できるのが、弁護士紹介サービスです。
弁護士紹介サービスでは、日本弁護士連合会(日弁連)を通じて、地域の弁護士を無料で紹介してもらえます。
③なんでも悩みごと相談ダイヤル
産業カウンセラー、精神保健福祉士、看護師、栄養士、税理士など、様々な分野の専門家やカウンセラーに無料で電話相談ができるサービスです。
健康相談やメンタル面での相談など、様々な悩みの解決に役立ちます。
3、明日は我が身?弁護士保険の具体的な利用シーン
次は弁護士保険の具体的な利用シーンを紹介していきます。
(1)離婚問題
①<夫と離婚したいAさんの場合>
主婦のAさんは、夫の浮気が原因で、離婚を考えています。
Aさん夫婦には6歳の子どもがおり、Aさんは子どもの親権をとったうえで、夫に養育費を払ってもらいたいと考えています。
もちろん、離婚原因を作った夫には、慰謝料もきちんと払ってもらいたいというのがAさんの希望です。
自らが不利にならないよう慎重に対処したいと2年前に弁護士保険に加入して離婚の準備を進めていたAさん。
子どもが小学校に入学するタイミングで離婚したいと、弁護士に相談することにしました。
②<Aさんの弁護士保険活用法>
Aさんは、弁護士紹介サービスを利用して離婚に強い弁護士を紹介してもらい、法律相談を受けることになりました。
そして、相談した弁護士に依頼して夫と離婚調停を行い、無事調停離婚が成立しました。
Aさんが弁護士を依頼するのにかかった費用は、法律相談料(1時間)1万円のほか、着手金25万円、報酬金50万円です。
このうち、法律相談料の全額である1万円と、着手金から免責金額5万円を差し引いた額の70%である14万円の合計15万円が保険金から支払われました。
Aさんが弁護士保険に加入後2年間(24ヶ月)で支払った保険料は、
月額保険料2,980円×24ヶ月=7万1,520円
受け取った保険金が15万円ですから、
15万円-7万1,520円=7万8,480円
となり、Aさんは7万円以上得することになりました。
(2)交通事故
①<バイクで事故に遭ったBさんの場合>
Bさんは、バイクで走行中、自動車に追突されケガをしてしまいました。
加害者側の保険会社からはBさん側の過失が大きい旨主張され、提示された損害賠償金額は予想より少ない500万円です。
Bさんは到底納得がいきません。
弁護士保険に加入していたBさんは、自分で交通事故の実績が豊富な弁護士を探し、相談することにしました。
②<Bさんの弁護士保険活用法>
Bさんは法律相談をした弁護士に交通事故の示談交渉を依頼し、加害者側が提示した金額を大幅に上回る1,000万円の損害賠償金を獲得することができました。
交通事故のような特定偶発事故では、弁護士保険により、法律相談料だけでなく、300万円を限度として、着手金や報酬も全額カバーされます。
Bさんは約100万円かかる弁護士費用をすべて保険金で払うことができました。
(3)ペットのトラブル
①<飼い犬が近所の人に噛みついてしまったCさん>
Cさんが飼っている犬を散歩させていたところ、近くを通りかかった男性に犬が噛みついてしまいました。
ケガはたいしたことなさそうでしたが、Cさんは謝罪して治療費を支払う旨申し出ました。
ところが、男性は慰謝料を理由に100万円の支払いを請求し、対応に困ったCさんに嫌がらせをしてくるようになりました。
Cさんはどうしたらよいか困っていたところ、知人のすすめで弁護士保険に加入していたことを思い出しました。
②<Cさんの弁護士保険活用法>
Cさんはまず弁護士直通ダイヤルを利用して、今起こっているトラブルにどう対処すればよいかを無料で弁護士に相談しました。
弁護士に依頼すれば相手方との間に入って話をしてくれるということがわかり、相手方との示談交渉を依頼しました。
示談金として5万円支払うという内容で、無事示談が成立しました。
Cさんの場合には、着手金、報酬金とも弁護士保険でカバーされ、約50万円の弁護士費用について自己負担はありませんでした。
示談金も相当額におさまり、今後は嫌がらせをしない旨も示談書に書いてもらえたため、大きな安心を得ることができました。
4、実はこんなに高い!法的トラブルに巻き込まれる確率
「法的トラブルなんて自分には関係ない」と思っている人もいるかもしれませんが、法的トラブルは特別なものではなく、誰もが巻き込まれる可能性があるものです。
実は、法的トラブルに巻き込まれる確率は意外と高いのです。
(1)離婚や相続は他人事ではない
たとえば、身近な法的トラブルの代表として離婚問題がありますが、現在は夫婦の3組に1組が離婚しているというデータもありますから、決して他人事ではないのはおわかりいただけると思います。
また、どこの家庭でも避けては通れないのが相続問題です。
遺産相続争いは財産がある家だけの問題ではなく、相続トラブルの30%以上が遺産1,000万円以下のケースというデータもあります。
離婚や相続は家族間の問題であるからこそ、こじれやすいという特徴もあります。
ひとたびトラブルが起こってしまうと、当事者だけではなかなか解決できないことがあります。
(2)様々な法的トラブルのリスクがある
家族以外の他人との間にも、いつトラブルが起こるかわかりません。
働いている人なら、不当解雇やパワハラ、セクハラなど、職場でのトラブルに巻き込まれることもあります。
また、車を運転する人でなくても、道路を歩くことがあれば、交通事故に遭う可能性はゼロではありません。
その他に、近隣との騒音や境界にまつわるトラブル、ペットのトラブル、賃貸住宅の敷金返還や原状回復に関するトラブル、医療過誤、痴漢冤罪、いじめ、上階からの水漏れ、欠陥住宅など、身近な法的トラブルの例を挙げればキリがありません。
今の時代、こうしたトラブルに対する備えは、欠かせないといえます。
5、弁護士費用保険に入れば1日わずか98円で弁護士着手金が半分に
(1)弁護士保険に入れば法的トラブルのリスクに備えられる
法的トラブルに遭ったときに、気軽に弁護士に依頼できれば、これほど頼もしいことはありません。
しかし、実際に弁護士に頼むとなると、多くの人が費用の心配をすると思います。
高額の弁護士費用が用意できなければ、結局泣き寝入りをしてしまわざるを得ないことがあります。
弁護士保険に加入していれば、思わぬトラブルに巻き込まれたときでも、費用を気にせず弁護士に相談・依頼ができます。
日常にひそむリスクに対して適切な備えができますから、大きな安心感を得られます。
(2)弁護士保険の保険料は高くない
弁護士保険の保険料は、月額2,980円となっており、1日あたりにするとわずか98円です。
これにより、困ったときにいつでも弁護士に無料で相談ができ、弁護士に依頼する際にも着手金の半分以上がカバーされるという安心が得られます。
コーヒー1杯にもみたないくらいの値段で安心できる生活を買えると思えば、弁護士保険は決して高いとはいえないでしょう。
まとめ
弁護士保険に入っておけば、いつ起こるかわからない事故などのリスクに対する備えができます。
また、弁護士保険は、将来の離婚や相続に備えて弁護士費用の準備をしておきたい場合にも役立ちます。
トラブルに遭ったときには、弁護士に法律相談をするだけで解決できるケースも多数あります。
弁護士保険に加入していればいつでも無料で法律相談ができますから、日々の安心のために加入を検討してみてはいかがでしょうか?
※なお、今回の記事は、プリベント少額短期保険株式会社の保険の内容を基に記載しており、保険会社によって弁護士保険の保障内容が異なりますので、ご契約を検討される際には保険内容をご確認ください。