後遺障害7級は交通事故によってなりうる後遺障害等級のうちのひとつです。
交通事故によって一定の後遺症が残った場合は、治療費や慰謝料とは別に「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」などの項目について、加害者に対して損害賠償請求することができます。
後遺障害等級7級が認定された場合も同様です。
今回は、
- 後遺障害等級認定されるとはどういうことか?
- 後遺障害等級7級が認定される場合
- 後遺障害等級認定を受けるための方法
などについて、ベリーベスト法律事務所の交通事故専門チームの弁護士が解説していきます。
今回の内容が交通事故に遭われた方のご参考になれば幸いです。
交通事故の後遺障害については以下の関連記事もご覧ください。
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目次
1、後遺障害7級も…後遺障害が残るとはどのような状態か?
(1)後遺障害とは?
そもそも後遺障害とは、交通事故によって残ってしまった後遺症のうち、自賠責保険の後遺障害等級表に規定されている一定の症状で、後遺障害認定を受けた障害のことを言います。
よって、医学的な意味での後遺症が、必ずしも交通事故における後遺障害に該当するとは限りません。後遺症の中の一部の症状が、後遺障害として認定される可能性があるのです。
(2)後遺障害等級認定とは?
後遺障害は、病名や症状によって画一的に決められているものではなく、損害保険料率算出機構という組織の自賠責損害調査事務所において審査して、認定するかどうかを決定しています。
そして、その判断材料として、後遺障害診断書や検査結果などをはじめとする資料一式の提出が必要となります。また、後遺障害等級認定は、一部の症状を除いて原則として「書類審査のみ」で等級が決まります。よって、提出する書類や添付する資料の精度がとても重要です。
2、後遺障害等級第7級の認定を受けることができる後遺障害の症状とは?
後遺障害別等級表・別表第2
交通事故の後遺障害等級第7級については、次の13項目に分かれています。
等級 | 内容 |
7級1号 | 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの。 |
7級2号 | 両耳の視力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの。 |
7級3号 | 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの。 |
7級4号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの。 |
7級5号 | 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの。 |
7級6号 | 1手の親指を含み3の手指を失ったもの又は親指以外の4の手指を失ったもの。 |
7級7号 | 1手の5の手指又は親指を含み4の手指の用を廃したもの。 |
7級8号 | 1足をリスフラン関節以上で失ったもの。 |
7級9号 | 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの。 |
7級10号 | 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの。 |
7級11号 | 両足の足指の全部の用を廃したもの。 |
7級12号 | 外貌に著しい醜状を残すもの。 |
7級13号 | 両側の睾丸を失ったもの。 |
次の項目では、この13種類の後遺障害7級の症状が具体的にどのようなものとなるのか、説明します。
(1)各障害の説明
①7級1号:1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの。
視力障害で屈折異常がある場合については、メガネやコンタクトレンズをつけた状態の「矯正視力」によって測定を行います。
②7級2号:両耳の視力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの。
聴力についてはオージオメータで測定を行い、両耳の平均純音聴力レベルが70dB以上、又は両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上であり、かつ、最高明瞭度が50%以下の場合に認定されます。聴力には個人差がありますが、概ね0dB〜20dBの範囲内であれば正常と言えます。
③7級3号:1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの。
1耳の平均純音聴力レベルが90dB以上、又は両耳の平均純音聴力レベルが60dB以上の場合に認定されます。
④7級4号:神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの。
交通事故によって頭部に物理的なダメージが加わると、その影響で高次脳機能障害など、脳神経系に異常症状が出ることがあります。
具体的には、物忘れが激しくなったり、仕事のミスが増える、効率が悪くなるといった症状が出始めます。
高次脳機能障害は、被害者自身でも自覚症状がない場合もありますので、周りにいる家族が異変に気付くことが重要です。
⑤7級5号:胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの。
胸腹部臓器の障害については、被害者自身の仕事内容次第で逸失利益における労働能力喪失率にも差が生じてくる可能性があります。
⑥7級6号:1手の親指を含み3の手指を失ったもの又は親指以外の4の手指を失ったもの。
⑦7級7号:1手の5の手指又は親指を含み4の手指の用を廃したもの。
手に関する後遺障害です。
6号は手指の所定の箇所が切断、もしくは離断した場合が該当し、7号は著しい運動機能障害や末節骨の半分以上を失ったような場合に認定される可能性があります。
⑧7級8号:1足をリスフラン関節以上で失ったもの。
リスフラン関節とは、足の背に向かって反っている部分の関節で、これより足先の骨を中足骨と言います。なお、両足をリスフラン関節以上で失った場合は、7級ではなく4級が認定されます。
⑨7級9号:1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの。
⑩7級10号:1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの。
交通事故で骨折した場合に、骨の癒合がうまくいかず、関節が異常可動してしまう場合があり、これを「偽関節」と言います。骨折しただけでは後遺障害には該当しませんが、骨折によってこのような症状が出た場合は後遺障害に認定される可能性があります。なお、7級に該当するのは、偽関節を残し、かつ、常に硬性補装具を必要とする場合です。
⑪7級11号:両足の足指の全部の用を廃したもの。
用を廃したという表現が独特ですが、具体的には一定の箇所の切断、離断、関節の可動域制限等がこれに該当します。
⑫7級12号:外貌に著しい醜状を残すもの。
外貌醜状による後遺障害認定に関しては、書類審査のほかに面談によって審査が行われます。具体的には、頭部、顔面、首など日常生活を送る上で露出する箇所に、一定以上の欠損や傷跡等が消えずに残った場合に認定されます。
⑬7級13号:両側の睾丸を失ったもの。
なお、失わなかったものの、睾丸に著しい障害が残ってしまった場合は、9級16号に認定される可能性があります。
3、後遺障害等級第7級認定の場合に獲得できる損害賠償額について
後遺障害第7級に認定された場合の損害賠償金総額については、損害賠償の項目ごとに金額を算出して、それらを合算して算出します。具体的な項目は以下の通りです。
1:治療費、それに伴う交通費や雑費など
2:車両修理費
3:入通院慰謝料
4:休業損害
ここまでは、人身事故に共通している損害賠償項目です。なお、後遺障害第7級に認定された場合は、以下の2点について別途請求することが可能になります。
5:後遺障害慰謝料
後遺障害に認定された場合は、その等級に応じた後遺障害独自の慰謝料である「後遺障害慰謝料」を請求することができます。入通院慰謝料とは別枠となりますので、後遺障害に認定されることで、賠償金の総額が一気に増額することになります。
6:逸失利益
後遺障害の影響で、本来得られるはずだった収入を得られなくなったことについて損害賠償請求できます。後遺障害の症状が、仕事に多大な影響を与えるような場合や、被害者の年齢が若い場合は非常に高額になるため、損害賠償請求において重要な項目と言えます。
損害賠償金額の総額は、これらすべての項目を個別に計算して、最後に合算して加害者側に請求します。
(1)後遺障害等級第7級が認定された場合の後遺障害慰謝料の金額について
後遺障害が認定された場合は、通常の入通院で請求できる慰謝料とは別に「後遺障害慰謝料」という後遺障害独自の慰謝料を請求することができます。
後遺障害慰謝料の金額は、等級別におよその目安が決まっています。具体的な金額は以下の表の通りです。
慰謝料の基準 | 慰謝料の金額 |
弁護士基準(裁判基準) | 1000万円 |
任意保険基準 | 500万円程度 |
自賠責基準 | 409万円 |
なお、それぞれの基準の内容は以下の通りです。
【自賠責基準基準】
強制加入保険である自賠責保険から支払われる際の基準で、最も低い算定基準です。
後遺障害第7級の場合、409万円と定められています。
【任意保険基準】
任意保険会社が独自に設定している基準で、一般には公表していません。概ね、自賠責基準に近い金額設定であることが多いです。
【弁護士基準(裁判基準)】
過去の交通事故裁判で認められてきた後遺障害慰謝料をベースに作られている基準で、最も高い算定基準です。後遺障害第7級の場合は約1,000万円が目安となり、自賠責基準に比べ2倍以上も高くなります。
(2)後遺障害等級第7級が認定された場合の逸失利益について
逸失利益については、次の計算式に当てはめて計算をします。
逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数
各項目について詳しく説明します。
1:基礎収入
被害者の事故当時の実際の収入額(確定申告書や課税証明書など)をベースに計算をします。なお、主婦や未成年者の場合は、賃金センサスの金額を基準として請求します。
2:労働能力喪失率
等級ごとに決められている労働能力喪失率を用いて計算をします。後遺障害第7級の場合、労働能力喪失率は56%です。
3:ライプニッツ係数
逸失利益は、将来にわたる収入減少額を現時点において一括で受け取ることから、将来の利息を考慮して計算します。この時に用いる係数がライプニッツ係数です。
(3)損害計算シミュレーション
それでは実際に後遺障害第7級に認定された場合の、損害賠償金の総額を計算してみましょう。なお、今回は車両の修理費等は除いて、人身部分の総額を計算します。
ステップ1:まずは実費を計算する
治療費やそれに関係する費用については、治療が終了する症状固定時期までの実費を加害者に対して請求できます。このように実際に支出せざるを得なかった損害のことを「積極損害」といいます。
今回は6ヶ月の通院で100万円がかかったとします。
ステップ2:休業損害を計算する
被害者が仕事をしていた場合は、直前の給料をベースに休んで減収になった分を請求することができます。いくらの損害が発生したのかについては、勤務先で発行してもらう休業損害証明書に記載してもらいます。
今回は50万円の休業損害が発生したとします。
ステップ3:慰謝料を計算する
入通院についての精神的苦痛に対する慰謝料を計算します。
慰謝料の金額については、民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準のいわゆる「赤い本」にその基準が表で示されています。
今回は、6ヶ月間通院したと仮定して116万円とします。
ステップ4:後遺障害慰謝料を計算する
後遺障害慰謝料は、等級別に慰謝料相場の基準があります。後遺障害第7級の場合、自賠責基準では409万円ですが、弁護士に依頼した場合に請求できる弁護士基準であれば、およそ1,000万円を請求することができます。
ステップ5:逸失利益を計算する
以下のような収入と仮定して計算をします。
24歳男性会社員
事故前の収入:年収500万円
労働能力喪失率:56%
ライプニッツ係数:17.5459(24歳から67歳になるまでの43年間)
500万円×0.56×17.5459=4,912万8,520円
今回はわかりやすくするために、1万円以下の端数は無視して考えます。
ステップ6:損害賠償金の総額を計算する
すべての項目を合算します。
治療費:100万円
休業損害:50万円
慰謝料:116万円
後遺障害慰謝料:1,000万円
逸失利益:4,912万
合計:6,178万円
これが今回仮定したケースでの損害賠償金の総額です。
ただし、実際の交通事故では、ここから被害者と加害者の過失割合に応じて過失相殺が行われるため、必ずしもこの金額が認められるわけではありません。完全なる「もらい事故」の場合で、車両修理費を含まない金額を考えてください。
4、適切な後遺障害等級認定の獲得方法
交通事故の損害賠償金額は、後遺障害に認定された場合に請求できる「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」の金額が非常に高額であることが上記の金額からお分かりいただけたかと思います。
よって、後遺障害に認定されるかどうかが、損害賠償請求のポイントであると言えます。
では、どうすれば適切な等級を獲得することができるのでしょうか。
ポイントは以下の2点です。
(1)申請手続きは被害者請求で
後遺障害認定申請の手段は、加害者側の保険会社経由で申請する「事前認定」と、被害者が直接自賠責保険に請求する「被害者請求」の2つのやり方があります。
後遺障害認定は一部の症状を除いて、完全なる「書類審査」のため、申請手続きを相手方である加害者側に任せてしまう事前認定よりも、こちらで全てを掌握してベストを尽くせる被害者請求の方が、より適切な等級が認定される可能性が高まります。
(2)事故直後からの適切な治療を受ける
後遺障害認定は、その時点の症状だけではなく、事故直後からどのような経緯で現在に至るのかについても重要です。
例えば、事故後すぐに病院で診察を受けず、マッサージや整体にばかりかかっていたような場合は、それによって症状が悪化したと思われてしまう場合もあります。
そのため、事故後は必ず病院で診察を受けて、その後も医師の指示通りに無理をせず治療を継続することが大切です。
後遺障害第7級に該当する場合は、事故後そのまま病院へ搬送されるケースが多いと思いますが、その後の治療方針や通院頻度などにも十分注意しましょう。
5、弁護士に依頼した方がいい?依頼する場合のメリットとデメリットについて
(1)弁護士に依頼するメリット
交通事故の損害賠償金については、計算するだけであれば被害者自身でもできなくはありません。ただ、相手から獲得できるかというと、そう簡単ではなくなってきます。
加害者側の保険会社は、できる限り支払う保険金を低く抑えたいと考えているため、法的、医学的に根拠立てて適切に請求しなければ、低い金額で納得させられてしまう恐れがあります。
後遺障害第7級の場合、保険会社から提示される後遺障害慰謝料は、409万円の自賠責基準に近い可能性が高いのですが、弁護士に依頼して交渉してもらえば、弁護士基準である1,000万円程度まで引き上げられる可能性があります。そうなれば、およそ2倍以上の増額となるため、弁護士に依頼したことによって発生する弁護士費用を差し引いても、より多くの賠償金が手元に残ることになります。
また、逸失利益を請求する際についても、相手からこちらが提示した基礎収入や労働能力喪失率に対して、何らかの反論をされる可能性があります。そんな場合も、弁護士に依頼していれば、すべて弁護士が窓口となって対応してくれますのでとても安心です。
(2)弁護士費用特約に加入していれば弁護士費用の負担が軽くなる
皆さんが加入している自動車保険に、弁護士費用特約が付帯されている場合は、弁護士に依頼した費用について300万円を限度として保険金が適用できます。(保険会社によって、保障内容や金額に違いがあります)
もし、弁護士費用特約に加入している場合は、ぜひ特約を利用することをおすすめします。なお、弁護士費用特約は利用しても保険料の等級に影響ありませんのでご安心ください。
(3)弁護士の探し方
弁護士といっても、医師のようにそれぞれ専門分野があるため、交通事故に強い弁護士を探して依頼することがとても大切です。
最近では、交通事故に強い弁護士を検索できる検索サイトが複数存在します。過去の解決実績なども閲覧できる場合があるので、それらのサイトを活用して、地域にある交通事故に強い弁護士を検索すると良いでしょう。
まとめ
交通事故で後遺障害第7級に認定された場合は、賠償金の総額が数千万円になってくる可能性が高く、弁護士の力量によっても受け取ることができる金額に差が出てくる可能性があります。
また、弁護士に依頼した場合の増額幅が非常に大きくなる可能性が高いため、自分で無理をしてすべて対応するよりも、交通事故に強い弁護士に依頼して代理人になってもらったほうが、弁護士費用を差し引いてもよりメリットがあると言えます。
まずは自分一人で無理をせず、交通事故に強い弁護士を検索してみましょう。