債務整理をするとお金を借りるのが難しくなるという話を聞いたことがあるかと思いますが、本当なのでしょうか。
今回は、
- 債務整理してもキャッシングはできる?
- 債務整理中の注意点
などについて弁護士が解説していきます。
目次
1、債務整理とは?
債務整理とは、借金の減額、将来利息のカット、借金の支払いの猶予などにより、多重債務者の借金問題を解決する手続きのことです。
手続きの種類としては、「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」「過払い金請求」などがあります。
自分ですることも可能ですが、弁護士・司法書士などの専門家に依頼する場合がほとんどです。
専門家に債務整理を依頼すると、債権者からの取り立てはすぐに停止します。
2、債務整理中や債務整理後はキャッシングできなくなるのか?
まず、債務整理するとキャッシングはできなくなるのでしょうか。
(1)中小の貸金業者にはキャッシングできるところもある
債務整理をすると信用情報機関へ金融事故情報として登録されるため、大手の金融機関や消費者金融からキャッシングすることはできなくなります。
しかし、債務整理をした人でもキャッシングできるという広告を打って貸し付けている中小の貸金業者はあります。
これらの中には闇金も混在していますが、通常の貸金業者もいます。いわゆる町金と言われている消費者金融です。
通常の貸金業者と闇金には、一般に以下のような違いがありますので、闇金が借りないように注意しましょう。
①利息制限法を遵守している
大手の金融機関や中小の貸金業者は利息制限法の制限利率内でお金を貸し付けますが、闇金は制限利率を無視して貸し付けます。
②違法な取立てをしない
深夜の取立てや自宅・職場へ押しかけての取立ては貸金業法で禁止されていますが、闇金は法律を無視して取り立てます。
大手の金融機関や一般の貸金業者は違法な取立てはしません。
③貸金業登録の有無
通常の貸金業者は貸金業登録をしていて、店頭やホームページに登録番号を提示しています。
闇金は貸金業登録をしていないので、登録番号はありません。
闇金については詳しくは「闇金とは?闇金の実情と闇金以外でお金を工面する方法」をご参照ください。
(2)中小の貸金業者で審査が緩いところがある理由とは?
一般的に債務整理するとブラックリストに載ってしまうため、融資の審査に通りにくくなります。これは審査基準に「ブラックリストに載っている人を対象外とする」という基準を設定しているためで、法律で規制されているからではありません。
つまり、金融会社がこの基準を設定していなければ、ブラックリストに載っている人でも審査を通過できるのです。大手の金融会社にはお客がたくさんいるため、リスクをとってブラックリストに載っている人にキャッシングする必要はありません。
一方で、中小の貸金業者はお客さんを獲得したいため、大手では借入れできないブラックリストに載っている人にも貸し出しを行っているところがあります。
ただし、どんな人でも申し込めば審査を通過するわけではなく、中小の貸金業者が設定している独自の審査条件を通過しなくてはなりません。例えば、年齢、収入が安定していること、他の金融会社での借入状況など、独自の審査基準を設定しています。
3、債務整理中にキャッシングするとどうなるのか?
債務整理してもキャッシングすることは可能ですが、実際にキャッシングするとどうなるのでしょうか。
債務整理は弁護士に依頼して行うことが多いのですが、どんな影響があるかについて説明します。
(1)債務整理中に弁護士が知ったらどうなる?
債務整理の手続きをしている最中にキャッシングしたことを、担当弁護士に知られると信頼関係が崩れるリスクがあります。
場合によっては、弁護士が辞任するという事態にまで発展することがあるでしょう。
(2)債務整理した後で弁護士に知られる可能性はある?
では、債務整理の手続きが完了した後に、キャッシングすると弁護士に知られることはあるのでしょうか。
債務整理後のキャッシングは、弁護士に知られる可能性はかなり低いでしょう。
ただし、債務整理して返済中であれば、新たな借金をすると返済が苦しくなるものです。その結果、再度債務整理をしなくてはならなくなる可能性があり、弁護士に知られることになります。再度の債務整理の相談がしにくくなるのは言うまでもありません。
また、債務整理の手続きの一つである自己破産は、2度目は免責が認められにくいため借金をゼロにできない可能性があります。借金した理由にもよりますが、裁判所は2度目の自己破産では免責を認めにくいということは知っておきましょう。
4、債務整理後に完済していればキャッシングできる?
では債務整理後に返済がすべて済んでいれば、キャッシングしても問題ないのでしょうか。
ブラックリストに載っている人でもキャッシングしてくれる正規の貸金業者はあります。そのような業者であれば、完済した後にキャッシングしても問題ないでしょう。
ただし、また多重債務に陥り債務整理をしなくてはならなくなるリスクはあります。キャッシングするかどうかの判断は、自己責任になるということは自覚しておきましょう。
5、債務整理後キャッシングがしにくいからと闇金で借りてはいけない
債務整理してもキャッシングすることができる貸金業者はありますが、闇金から借りるのは避けなくてはなりません。
闇金とは法律による規制を無視した貸金業者のことで、法定金利や総量規制などを遵守せずに融資を行っています。債務整理をするとキャッシングしにくいと思い闇金に手を出してしまう人もいますが、決して利用しないようにしましょう。
どうしてもキャッシングする必要がある場合は、金融庁の監督を受けている正規の貸金業者でキャッシングすることをおすすめします。
闇金の金利は非常に高いため返済不能になる場合がほとんどで、闇金からの借金をするとトラブルを起こします。一見すると低い金利に見えても、年利に計算し直すと高い金利を払うことになるものです。場合によっては、再度債務整理の手続きを行わなくてはならなくなることもあるため、闇金では絶対に借りないようにしましょう。
なお、正規の貸金業者であれば事務所やホームページには貸金業者の登録番号が表示されているので、借入をする前に確認することをおすすめします。
なお、闇金について詳しくは「闇金とは?闇金の実情と闇金以外でお金を工面する方法」をご参照ください。
6、債務整理後にキャッシングできるところで借りても問題ない?リスクはあるの?
前述のとおり、債務整理後にキャッシングしたことが弁護士に知られてしまうと、担当弁護士に再度の債務整理の依頼ができないリスクがあります。依頼者のことを考えて真剣に取り組んでいてくれた弁護士の信用を失うことになるのです。
たしかに弁護士にバレなければ特に困ることはありませんが、バレたらどうしようという不安は常に付いて回ります。新たにキャッシングしても無事に返済していければいいのですが、何かのきっかけで支払いが滞ることがないとは言い切れません。
債務整理後にキャッシングをすることにはリスクがあるので、キャッシング前によく考えるようにしましょう。
まとめ
今回は、債務整理をしてもキャッシングは大丈夫なのか、さらには債務整理中の注意点について見てきました。
債務整理をするとブラックリストに載るため新たな借金は10年ほどできないと言われていましたが、貸金業法が改正され導入された総量規制により状況は変わりました。
債務整理してもキャッシングすることは不可能ではなく、闇金ではない貸金業者でキャッシングができます。
ただし、債務整理してキャッシングをすることのリスクを理解し、できるだけキャッシングを利用しない方がいいでしょう。
債務整理に関する詳細は、以下の関連記事をご参照ください。