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離婚を望むけれどできない場合の理由と解決策!

「夫婦仲が冷え切っているのに、なぜ離婚しないのか理解できない…」

自分が離婚を望んでいるのに、相手が離婚に応じない場合、経済的要因、社会的制約、感情的な絆、信念、文化的背景、宗教的信念、そして責任感など、さまざまな要因が影響している可能性があります。

離婚は簡単な決断ではなく、子供や将来の生活など多くの要素を検討する必要があります。そのため、夫婦の一方が単独で離婚を進めることは容易ではありません。

この記事では、夫婦関係が冷え切っているのに離婚しない理由について詳しく解説し、離婚に応じない配偶者との離婚方法、離婚できない状況での幸せな生活のアプローチについても紹介します。

経験豊富なベリーベスト法律事務所の弁護士が、わかりやすく解説いたします。

相手が離婚してくれない場合でも離婚をするための手順については以下の関連記事をご覧ください。

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1、夫婦関係が冷め切っていても離婚しない理由ランキング

夫婦関係が冷めて切っていても離婚せず、「夫婦」としての生活を継続することを望む人は意外に多いものです。

その理由は人それぞれですが、多くのケースで、ある程度共通の「離婚しない理由」というものがあります。

男女別で少し傾向が異なりますので、夫側と妻側に分けて、主な「離婚しない理由」をご紹介します。

(1)離婚しない夫の理由5選

夫側の離婚しない理由として、主に以下の5つを挙げることができます。

  1. 日常生活の世話をしてくれる人がいなくなる
  2. 子どもの親権を失いたくない
  3. 世間体が悪い
  4. 離婚手続きが面倒
  5. 慰謝料や財産分与など金銭的負担が気になる

男性の心理としては、今の生活を維持したい、面倒なことは避けたいという傾向が強いようです。また、女性よりも世間体を気にするという側面もあります。

(2)離婚しない妻の理由5選

一方で、妻側の離婚しない理由としては、主に以下の5つが挙げられます。

  1. 離婚後の生活が不安
  2. 子どもに寂しい思いをさせたくない
  3. 老後に寂しい思いをしたくない
  4. ブランクが長いため働けるか不安
  5. 世間体が気になる

女性の場合は、一般的に男性よりも経済力に不安があるので、離婚後の生活を気にする方が圧倒的に多くなっています。また、結婚中は社会との関わりが薄くなるため、離婚後に再び社会で活動できるかを心配する方も少なくありません。

なお、未成年の子どもがいる夫婦の場合は、夫側・妻側とも、子どもの問題が上位にランクインしています。

2、離婚したがらない相手と離婚する方法

離婚したがらない相手と離婚する方法は、「法定離婚事由」があるかどうかによって大きく異なってきます。

(1)法定離婚事由がある場合

法定離婚事由とは、夫婦の一方が離婚に反対しても裁判で強制的に離婚が認められる事情のことです。民法第770条1項で、次の5つの法定離婚事由が定められています。

  1. 不貞行為
  2. 悪意の遺棄
  3. 3年以上の生死不明
  4. 強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由

配偶者に以上の事由のいずれかがある場合には、離婚に反対されても裁判をすれば最終的に離婚できます。

簡単にいうと、配偶者が不倫や浮気、DV、モラハラなどをした場合は、協議離婚ができなくても裁判離婚ができるということです。

性格の不一致は原則として法定離婚事由に当たりませんが、夫婦関係が破綻していて修復が難しい場合は「5. その他婚姻を継続し難い重大な事由」として裁判離婚が認められる可能性があります。

具体的な離婚手続きとしては、まずは離婚協議を行い、話し合いがまとまらなければ離婚調停を申し立て、そこでも合意に至らなければ離婚訴訟を提起して、判決を仰ぐことになります。

(2)協議離婚を目指す場合

法定離婚事由がない場合には、配偶者と話し合うことによって協議離婚を目指すしかありません。

その場合には、相手が離婚しない理由を把握して、その理由に配慮して話し合いを進めることが重要となってきます。

その結果、相手が納得して離婚に合意すれば、協議離婚が成立します。話し合う際に配慮すべきポイントは、後ほど「4、離婚後の生活を気にする相手に配慮すべきポイント」で詳しく解説します。

なお、法定離婚事由がない場合でも、別居が長引いた場合には夫婦関係が破綻していることの証となるので、「5. その他婚姻を継続し難い重大な事由」として裁判離婚が可能となることもあります。

どうしても離婚したい場合は、相手とじっくりと話し合うとともに別居をするのもひとつの方法といえます。

(2)離婚しない方がよいケース

一方で、以下のようなケースでは離婚を思いとどまるか、保留した方がよいでしょう。

①子どもの前では仲良くできる

夫婦関係は冷め切っていても、子どもとの関係は両親ともに良好で、家族としては仲良くできる夫婦も多いものです。

このような状況なら、大人の都合ですぐに離婚するよりも、子どものために良好な家庭生活を継続することを検討してみましょう。

②数年以内に子どもの成人や就職・結婚などを控えている

子どもにとって重要なライフイベントは、できる限り両親がそろった状態で迎えたいものでしょう。

間近に子どもの成人や就職・結婚などを控えている場合には、それまでの間、仲の良い夫婦として振る舞うのも悪いことではありません。

ただし、DVやモラハラなどに発展しそうな場合は、無理をせず離婚または別居をした方がよいでしょう。

③夫婦関係の修復が見込める

一時的に夫婦がいがみ合っていても、時が経てば修復が見込める場合は、離婚を思いとどまるのもよいでしょう。

配偶者に不倫や浮気をされて「許せない」と思っても、ほとぼりが冷めるとお互いに悪かった点を反省し、夫婦関係が修復されるケースもよくあります。

ただし、子どもの前でもいがみ合ってしまうような場合は、いったん別居した方がよいといえます。

4、離婚後の生活を気にする相手に配慮すべきポイント

特に妻側に多いのですが、離婚後の生活に不安があるため離婚に同意できないという人は数多くいます。

そんな相手と離婚するためには、離婚後の生活に配慮してあげることが大切です。具体的には、以下のポイントについて、相手のメリットになるような提案をしてみるとよいでしょう。

(1)財産分与

離婚する際に、婚姻中に夫婦が共同で築いた財産を分配することを財産分与といいます。財産分与は離婚原因にかかわらず、相手方から請求されれば応じなければなりません(民法第768条1項)。

通常は夫婦共有財産を半々にしますが、離婚後の生活を気にしている相手には、多めに分け与えることを検討してみましょう。

離婚後、すぐに自活するのが難しい相手に対して、一定の期間は現金を毎月渡す「扶養的財産分与」という形もあります。

離婚を成立させたいのなら、「財産は渡さない」と争うのではなく、離婚後の一定期間だけでも相手の生活を補助することを考えるのがベターです。

(2)慰謝料

慰謝料についても、財産分与と同様に相手のメリットになるような提案を考えてみましょう。

例えば、不倫や浮気で離婚する場合の慰謝料は200万~300万円程度が相場ですが、少し上乗せして400万円を提案するなどです。

多額の慰謝料を一括で支払うのが難しい場合は、分割で支払えば相手の離婚後の生活を補助するような形になります。話し合い次第では、分割払いで合意できる可能性もあります。

ご自身に法定離婚事由がない場合は、法的には慰謝料を支払う必要はありませんが、離婚に応じてもらうために一定の金額を提案するのもよい方法です。

その場合、支払いの名目は「慰謝料」でも「解決金」でも構いません。

(3)養育費

夫婦間に未成年の子どもがいる場合で、相手が親権者となる場合、あなたは養育費を支払っていく義務があります。

養育費の金額は、両親それぞれの収入に基づき、裁判所の「養育費算定表」を参照して決めるのが一般的です。

参考:裁判所

ここでも、離婚の合意を得たいなら養育費算定表の金額に少しでも上乗せすることを検討してみましょう。

養育費は子どものために支払うお金ですので、余裕のある範囲で構いませんが、積極的に支払うことが大切になります。

(4)年金分割

年金分割とは、婚姻中に夫婦が納めた厚生年金と旧共済年金の納付記録を分割するものです。

あなたが厚生年金や旧共済年金を納めてきた場合は、年金分割をすることで相手が受給できる年金額が増えることになります。

年金分割は、離婚した相手が請求すれば確実に認められる制度ですので、離婚の話し合いの段階で積極的に提案するようにしましょう。

そうすることで相手の精神的不安が軽くなり、話し合いをスムーズに進めやすくなる可能性があります。

5、どうしても離婚できないときの対処法

離婚を渋る相手との離婚を成立させるためには、相手にとってのメリットを提案することが基本です。

しかし、あなたにも譲歩できる限度があるでしょうし、いくら譲歩しても相手が離婚に応じないこともあります。

そんなときには、以下の対処法を試してみましょう。

(1)別居する

離婚が無理なら、まずは別居を提案しましょう。

前記「2」(2)でもご説明したように、別居期間が長引けば、それだけで離婚が認められる可能性もあります。

別居だけを理由に離婚が認められるための別居期間は、少なくとも5年がひとつの目安となります。

ただ、夫婦が離れて暮らせば、やがて心も離れていきますし、相手も「もう離婚しても大丈夫」と考えて離婚が成立する可能性もあります。

もちろん、別居しつつ誠意をもって離婚の話し合いを継続することも大切です。

(2)当面は仮面夫婦として生活する

別居も難しい場合は、仮面夫婦として生活していくことを検討するのもよいでしょう。

仮面夫婦とは、一般的に人前では普通の夫婦として振る舞うものの、2人の間に愛情はなく、夫婦としての実体がない夫婦のことをいいます。

このような生活を続けていくうちに、相手もむなしさを感じて離婚に応じてくれる可能性があります。

ただし、「愛情はないけれど生活のために離婚しない」という相手にとっては、仮面夫婦としての生活は好都合でしかありません。

その場合は、離婚の話し合いも続けていきましょう。

(3)卒婚を検討する

卒婚とは、戸籍上は夫婦のままで、お互いが自由に生活するという夫婦関係の形のことをいいます。

分かりやすくいえば、紙切れ一枚で夫婦関係は残っているものの、実態としては離婚したも同然という状態です。

卒婚をすれば、単なる別居よりも夫婦間に距離ができるので、離婚につながりやすいというメリットがあります。

ただし、やはり「愛情はないけれど生活のために離婚しない」という相手にとっては好都合でしかありません。また、離婚していない以上、他の相手と交際すれば不貞行為として責任を負わなければならない可能性もあります。

まとめますと、相手がどうしても離婚に応じてくれない場合は、

  • 別居
  • 仮面夫婦
  • 卒婚

などの形で相手との距離を取り、そうしながら離婚の話し合いを続けることがポイントとなります。

6、相手が離婚に応じないときは弁護士へ相談を

「離婚したいのに相手が応じてくれない」、そんなときは自力だけで解決しようとせず、弁護士へ相談することをおすすめします。

法定離婚事由がある場合には、早期に離婚できる方法に導いてもらえます。

法定離婚事由がない場合でも、相手が納得しやすい離婚条件などについて専門的なアドバイスが受けられます。

弁護士に対応を依頼すれば、弁護士が相手と話し合いをしてくれます。経験豊富な弁護士は、相手の立場にも配慮した上で、離婚に応じることのメリットを説明し、法的な観点から離婚に向けて説得してくれます。

弁護士の力を借りることで、円満な離婚の成立が期待できることでしょう。

まとめ

離婚しない理由は人それぞれですが、離婚後の生活や子どものこと、世間体などが主なものです。離婚を成立させるためには、相手の「離婚しない理由」を解消してあげるような提案をすることが大切です。

どうすればよいのか分からないときは、弁護士にご相談の上で、適切に対処することをおすすめします。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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