後遺障害5級の具体的な後遺障害とはなんでしょうか?そして、どのように認定されるのでしょうか。
交通事故で怪我をすると、身体の様々な箇所に後遺障害が残ってしまうことがあります。後遺障害5級に該当するケースは、労働能力喪失率も79%と非常に高く、日常生活にも仕事にも大きな支障が発生してしまいます。ですから、適切に後遺障害の等級認定を受けて、正当な金額の補償(賠償金)の支払いを受けるべきです。
今回は、後遺障害5級が認定される症状の内容と、認定を受ける方法について、ベリーベスト交通事故専門チームの弁護士が解説します。
交通事故に遭ってしまい悩まれている方のご参考になれば幸いです。
交通事故の後遺障害については以下の関連記事もご覧ください。
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目次
1、後遺障害5級とは|後遺障害が残るとはどのような状態か?
(1)後遺障害とは?
そもそも、「後遺障害が残った」というのは、どういう状態なのでしょうか?
後遺障害とは、「治療を行っても、完治することなく、残ってしまった症状」のことです。つまり、それ以上治療しても改善の見込みがなく、固定してしまった症状です。
たとえば、目が見えなくなってしまった場合や指がなくなってしまった場合、臓器の機能が失われた場合などには、元に戻ることがないので、後遺障害が認定されます。
(2) 後遺障害等級認定とは?
後遺障害等級認定とは、後遺障害にランクをつけて、そのランクを認定する制度です。
ひと言で「後遺障害」と言っても、その内容や程度は非常にさまざまです。当然、支払われる慰謝料や逸失利益などの賠償金の金額も、ケースによって異なります。
ただ、同じような後遺障害が残った場合には、同じ金額の賠償金にならないと、不公平です。そこで、同じ内容の後遺障害については同じ等級を認定し、同程度の慰謝料や逸失利益を支払うことにしています。
そのため、後遺障害の症状を分類して、それぞれについてランク付けするのが後遺障害等級認定です。後遺障害の等級は、高い(重い)方から1級から14級まであります。
後遺障害の等級ごとの認定基準は、自賠責保険が定めています。
後遺症が残ったとしても、正式に後遺障害等級認定を受けないと、慰謝料も逸失利益も支払ってもらうことができませんから、被害者にとって、後遺障害等級認定を受けることは、極めて重要です。
2、後遺障害等級5級の認定を受けることができる後遺障害の症状とは?
後遺障害5級は、上から数えて5番目に高い後遺障害の等級ですから、症状は相当重いです。以下で、後遺障害5級が認定される場合の症状をご説明します。
(1)後遺障害別等級表・別表第2
自賠責が定める「後遺障害別等級表」によると、後遺障害5級が認定される症状は、以の8種類です。
等級 | 内容 |
5級1号 | 1眼が失明し,他眼の視力が0.1以下になったもの |
5級2号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
5級3号 | 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
5級4号 | 1上肢を手関節以上で失ったもの |
5級5号 | 1下肢を足関節以上で失ったもの |
5級6号 | 1上肢の用を全廃したもの |
5級7号 | 1下肢の用を全廃したもの |
5級8号 | 両足の足指の全部を失ったもの |
次の項目では、この8種類の後遺障害5級の症状が具体的にどのようなものとなるのか、説明します。
(2)各号の症状の説明
①5級1号 1眼が失明し,他眼の視力が0.1以下になったもの
交通事故によって、片目が完全に失明してしまい、もう片方の目の視力も0.1以下になってしまったケースです。この場合の視力は、眼鏡やコンタクトレンズによって矯正した矯正視力が基準となります。
②5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
脳や神経系統が損傷を受けることにより、身体機能や認知機能に障害が発生して、単純作業などの簡単な仕事しかできなくなってしまった状態です。
日常生活に必要なことは、自力で可能な状態です。また、仕事がまったくできない場合には3級以上となるので、それよりは軽いです。
③5級3号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
呼吸器や心臓、腎臓などの内臓機能に重い障害が残ったため、特に負担のない簡単な作業しかできなくなったケースです。
④4号 1上肢を手関節以上で失ったもの
片腕について、肘関節から手首にかけての部分が切断されて、失われてしまった場合等です。
⑤5号 1下肢を足関節以上で失ったもの
片脚について、膝関節から足首にかけての部分が切断されて、失われてしまった場合等です。
⑥6号 1上肢の用を全廃したもの
片腕について、切断はされていませんが、関節が完全に動かなくなってしまったり、関節の可動域が10%以下になってしまったりした場合で、かつ、手の指も全部用を廃した場合です。
⑦7号 1下肢の用を全廃したもの
片脚について、切断はされていませんが、関節が完全に動かなくなってしまったり、関節の可動域が10%以下になってしまったりした場合です。
⑧8号 両足の足指の全部を失ったもの
両足の足の指をすべて、付け根から失ってしまった場合に認定されます。
3、後遺障害等級5級認定の場合に獲得できる損害賠償額について
後遺障害5級が認定された場合に請求できる損害賠償金は、以下のように計算します。
(1)損害賠償総額の計算方法について
交通事故の損害賠償金は、発生した損害の合計によって計算します。
損害の内容としては、治療費や付添看護費用等の積極損害、休業損害や逸失利益等の消極損害、精神的損害(慰謝料)があります。賠償金を計算するときには、これらの1つ1つを計算し、合計する必要があります。
後遺障害5級が認定されると、5級相当の後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益の支払いを受けることができるので、賠償金が全体として大きく上がります。
(2)後遺障害等級5級が認定された場合の慰謝料の金額について
後遺障害5級が認定された場合の後遺障害慰謝料の金額は、下記の表の通り1400万円です。
ただ、これは弁護士基準で計算した場合であり、他の基準で計算されると、金額が大きく下がります(任意保険基準700万円、自賠責基準599万円)。
慰謝料の基準 | 慰謝料の金額 |
弁護士基準(裁判基準) | 1400万円 |
任意保険基準 | 700万円程度 |
自賠責基準 | 599万円 |
(3)後遺障害等級5級が認定された場合の逸失利益について
後遺障害5級が認定されると、逸失利益も認められます。逸失利益とは、後遺障害が残り、労働能力が低下してしまうために失われた将来の収入のことです。
後遺障害5級の労働能力喪失率は79%です。8割くらいの労働能力が失われたことを前提に逸失利益が計算されるので、金額は非常に大きくなります。
逸失利益の金額は、事故前の基礎収入と年齢によって、大きく異なります。事故前の収入が高ければ高いほど逸失利益は高額になりますし、年齢が若いほど逸失利益が高額になります。後遺障害5級の場合、1億円やそれ以上の金額になることもあります。
(4)損害計算シミュレーション
後遺障害5級になった場合の損害賠償金額の計算例の具体例をご紹介します。
たとえば、30歳のOLが交通事故に遭い、30日間入院して、150日間通院したとします。事故前の年収は400万円です。この場合の損害賠償金は、以下の通りとなります。
治療費300万円
通院交通費2万円
付き添い看護料198000円
入院雑費45000円
休業損害22万円
逸失利益52807708円
後遺障害慰謝料1400万円
入通院慰謝料141万円
合計71680708円
4、適切な後遺障害等級認定の獲得方法
後遺障害5級の症状が残ったら、確実に後遺障害の等級認定を受ける必要があります。以下で、その方法をご説明します。
(1)申請手続きは被害者請求で
後遺障害の等級認定を受ける方法には、事前認定と被害者請求の方法があります。
事前認定とは、加害者の保険会社に対し、後遺障害等級認定の手続を依頼する方法です。しかし、事前認定の場合、相手が適切な方法で手続を進めているかどうか、大きな不安があります。
これに対し、被害者請求は、被害者が自分で自賠責保険に対し、後遺障害等級認定の申請をする方法です。被害者請求であれば、被害者が自分に有利な資料を提出することなどもできるので、認定を受けられる可能性が高くなります。そこで、確実に後遺障害の認定を受けるためには、被害者請求を利用すべきです。
(2)適切な後遺障害等級認定を受けるためのポイント
後遺障害の等級認定を受けるために重要なのは、後遺障害の症状に詳しい、良い専門医にかかることです。
後遺障害を認定してもらうには、その症状があることを証明しなければなりませんが、証明資料となるのが病院で行った検査結果や医師による診断書だからです。
医師が診断書に記載した内容1つで、後遺障害が否定されてしまうこともあります。
もし、必要な検査が行われていないなら、追加で検査を行うべきですし、病院に必要な検査機器がない場合には、別の病院に転院することなども必要です。
また、患者としても、医師に対し、自覚症状を始めとした症状の内容をきちんと説明すべきです。患者の主張が変遷していたり、程度が軽いと思われたりすると、後遺障害の認定を受けられなくなります。
5級の場合には、特に、神経障害の5級2号の場合、ちょっとした患者の言い分や医師の判断によって、認定される等級が下がってしまう可能性があるので、注意が必要です。
5、弁護士に依頼した方がいい?後遺障害等級5級のケースで弁護士に依頼する場合のメリットとデメリットについて
(1)弁護士に依頼するメリット
後遺障害の等級認定は、基本的に弁護士に依頼する方が有利です。
先ほども説明しましたが、後遺障害を確実に認定されるには、被害者請求を利用すべきです。
ただ、被害者請求の手続きは専門的な要素があるので、被害者が自分一人で進めても、うまくいかないことが多いです。必要書類も多く煩雑なので、単に面倒だと感じるだけで、終わってしまいます。
弁護士であれば、ケースごとにどのような検査をすれば良いのか、どういった資料を揃えたら良いのかなどを適切に判断し、資料を集めることができます。医師に依頼して、被害者に有利な意見書の作成を依頼することなども可能です。
そこで、確実に後遺障害等級認定を受けたいなら、弁護士に依頼して被害者請求を利用することが重要です。
(2)弁護士費用特約に加入していれば弁護士費用の負担が軽くなる
一般的に、弁護士に依頼すると、弁護士費用がかかることがデメリットだと思われています。
しかし、弁護士費用特約を使えば、300万円までの弁護士費用はかかりません。弁護士費用特約とは、自動車保険のオプションで、保険会社が弁護士費用を負担してくれるものです。
多くの人が、自動車保険に弁護士費用特約をつけているので、交通事故に遭ったら、まずは保険会社に問合せを行い、弁護士費用特約を利用できないか、チェックしましょう。
(3)弁護士の探し方
後遺障害認定を受けるために弁護士に依頼するなら、交通事故に強い弁護士を探す必要があります。交通事故に強い弁護士は、ホームページ上に後遺障害認定についての話題や交通事故の被害者へ向けたアドバイス、対処方法などを掲載していることが多いです。また、交通事故事件解決の実績を載せていることもあるので、参考にしながら弁護士を選ぶと良いでしょう。
まとめ
後遺障害5級相当の症状が残ったケースは、非常に深刻な状態です。必ず、良い専門医にかかり、良い弁護士に依頼して、確実に等級認定を受ける必要があります。
今は、多くの弁護士事務所で無料相談を実施しているので、まずは交通事故に積極的に取り組んでいる弁護士を探して相談を申込み、アドバイスを受けましょう。