交通事故の示談書の書き方ってどうすればよいのだろう……。
交通事故に遭ってしまった場合、交通事故の当事者が最も苦心されることは、交通事故の相手方当事者との話し合いです。
では、交通事故の相手方当事者との間で話し合いがまとまれば、それで終わりなのでしょうか?
答えは、「NO」です。
口頭で合意できただけでは解決として十分とは言えません。きちんと合意の内容を「示談書」という形で書面にしておかなければ、後々トラブルになった場合にその合意内容を証明できません。
もちろん、交通事故は多くの場合、保険会社が介入しますので、示談書をご自身で作らなければならないことはそう多くはありません。
ただし、軽微な事故で保険を使わずに解決した場合や自転車事故で保険を使えなかった場合等にご自身で示談書を作成しなければならない場面が出てきます。
そこで、今回は、ご自身で示談書を作成する場合の書き方について解説します。
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目次
1、交通事故の示談書の書き方について|交通事故における「示談」とは?
そもそも、交通事故における「示談」とは何なのでしょうか?
交通事故によって、車が壊れてしまったり、お怪我をしてしまったりした場合、交通事故の当事者にはそれぞれ車の修理費や怪我の治療費、慰謝料といった様々な損害が生じます。
この損害は、相手方の過失割合(当該交通事故に対する責任を負う割合)分について、交通事故の相手方当事者に対し、損害賠償請求ができます。
そして、この損害賠償について、賠償額や賠償方法等を、交通事故の当事者双方が互いに譲り合って合意をすること(=和解)が交通事故における「示談」なのです。
あくまで当事者による合意なので、必ずしも裁判をして解決する場合と結果が同じになる必要はありません。当事者双方の主張が食い違っている場合にも、紛争の長期化を避けるため、当事者双方が譲歩し合い、示談による早期解決を目指すということも可能です。
2、交通事故で加害者との間で「示談書」を作る意味
それでは、なぜ口頭による合意だけでなく、わざわざ「示談書」という書面を作る必要があるのでしょうか?
示談書を作る最大の目的は、将来の紛争を防ぐことにあります。
例えば、あなたが交通事故の被害者であるとして、口頭で合意できていたにもかかわらず、加害者が突然、「やっぱりお金を払いたくない」と言ってきたらどう思いますか?
逆に、あなたが交通事故の加害者であるとして、口頭で合意し、合意の内容に基づき賠償額を支払った後に、被害者が突然、「やっぱりこの金額では気に食わないから、もっとお金を払え」と言ってきたらどうでしょう?
いずれの場合にも、あなたとしては「何をいまさら」と思うでしょう。
しかしながら、示談書等の書面がなければ、合意していたという証拠がありません。したがって、仮に、裁判等になったとして、相手方当事者が「合意なんかしていない」とシラを切ってきた場合、あなたが、いくら合意があったことを主張してもそれを裏付ける証拠がなく、あなたの主張が認められない可能性があるのです。
そこで、このように紛争が再燃してしまうことを防ぐため、きちんと合意の内容を示談書という書面の形で残しておく必要があるのです。
3、交通事故の示談書の雛型ダウンロード
示談書作成が必要な方のために、示談書の雛型を用意しました。必要な方は以下の文字をクリックしてダウンロードしてください。
4、示談書で書くべき項目
示談書で書くべき項目は法律で決まっているわけではありません。基本的にどのように書こうが自由です。
もっとも、将来の紛争防止のために作成するものですから、示談書の内容は、その目的に資するものである必要があります。
そのためには、最低限、以下の項目を記載しておくべきでしょう。
- 当事者の表示
- 事故の特定
- 示談金
- 清算条項
これに示談書締結の日付を入れ、当事者双方の署名・捺印したものを2通作成し、割印をしたうえで、各当事者1通ずつ保管しておきましょう。
5、各項目の記載例と注意点
(1)当事者の表示
示談を取り交わす当事者を特定する必要があります。
車の所有者と運転者が違う場合などには注意が必要です。
物損の場合には車の所有者、人身の場合には怪我をされた当事者(運転者や同乗者)が当事者となるのが通常です。
一つの示談書の中に複数の当事者間の合意を記載することも可能です。
(2)事故の特定
示談の対象となる交通事故を特定する必要があります。
ここに誤りがあると、せっかくの示談書の意味がなくなってしまいかねませんから、内容は正確に記載しましょう。警察が出してくれた交通事故証明書がある場合には、それを基に内容を記載することになります。
具体的には、交通事故の①発生日時、②発生場所、③被害者名、④被害車両、⑤加害者名、⑥加害車両を記載するのが一般的です。
これに加えて、⑦事故態様も記載することがあります。
(3)示談金
当事者間で合意した示談金を記載しましょう。
具体的には、①示談金額、②支払期限、③支払方法を記載します。
③支払方法について、銀行振込で支払う場合には、振込先口座の銀行名、支店名、普通預金か当座預金か、口座番号、口座名義人を記載しておきましょう。
(4)清算条項
示談書には、「甲と乙は、甲乙間には、本件交通事故に関し、本示談書に定めるもののほか何らの債権債務がないことを相互に確認する。」といった条項を入れるのが通常です。このような条項を「清算条項」といいます。
示談によって本件事故に関する紛争は解決したのですから、今後この事故に関してお互いにお金のやり取りはありません、ということを示すものです。
将来の紛争防止という示談書の目的からすれば、この清算条項こそが最も重要な条項ということになります。
ただし、交通事故による後遺障害が予想される場合に、入通院慰謝料等の傷害部分についてのみ先行的に示談するようなときには、「後遺障害に関する賠償については、別途協議する」といった条項を入れておかないと、後遺障害部分についての損害賠償請求権も放棄したことになりかねませんから注意が必要です。
6、示談書作成時に注意すべきポイント
(1)この内容で示談していいのかよく考える
示談書に署名・捺印してしまえば、その示談書に書かれた内容は原則として覆すことはできなくなります。
本当にその内容で示談してしまってよいのか、署名・捺印前にもう一度よく考えてみてください。
少しでも内容に不安がある場合には、弁護士に相談するといいでしょう。
(2)支払いに不安がある場合には公正証書にする
示談書を締結したとしても、相手方当事者がきちんと示談金を支払うか不安な場合があると思います。
実は、示談書を取り交わしているだけでは、相手方当事者が示談金を任意に支払ってくれない場合に、相手方当事者の財産に対して強制執行していくことはできません。
もちろん裁判で争っていけば、示談書を証拠として、示談金請求をしていくことができますが、わざわざ裁判をすると解決まで時間も手間もかかってしまいます。
そこで、相手方当事者の支払いに不安がある場合には、示談書を公正証書にしておくとよいでしょう。公正証書に、相手方当事者が任意に示談金を支払わない場合に「強制執行に服する」旨の条項(「強制執行認諾文言」といいます。)を入れておけば、万が一、示談金が支払われない場合に、相手方当事者の財産に対して強制執行をすることができるのです。
公正証書作成については、お近くの公証役場か弁護士にお問い合わせください。
まとめ
今回は、交通事故の示談書の書き方について解説しました。
示談書作成の必要がある場合には、上記を参考にしていただければ幸いです。
もっとも、当事者が複数になる場合等には示談書の書き方が複雑になってしまうことがありますし、また、後遺障害が残る可能性がある場合等賠償額が大きい場合には、安易に示談してしまうと大きく損をしてしまう可能性もあります。
示談について悩むことがあるのであれば、一度弁護士に相談してみるのがよいでしょう。