運転中に当て逃げ事故にあった・・・。
「当て逃げ」とは,明確な定義があるわけではありませんが,一般に,自動車で人以外の物との衝突事故を起こした場合,加害者が道路上の危険を防止するなどの必要な措置や警察への報告をすることなくその場から逃走することをいいます。歩行者や,人が乗っている自転車・バイクとの衝突事故を起こして逃走する場合は,「ひき逃げ」と呼んで区別しています。
バレてしまった場合,有名人であれば活動の自粛を余儀なくされるほどの重大な「違法行為」です。メディアでは,当て逃げをした側に注目が集まることがとても多いのですが,当て逃げをされた側はどのように対応すればいいのかあまりご存じない方が多いのではないでしょうか。
よくある当て逃げの具体例としては,
1 駐車場でミラーを確認せずバックしたため,隣接の車を擦ってしまいそのまま逃走する。
2 路上駐車をしている車のミラーに自分の車が接触してしまいそのまま逃走する。
3 すでに免許の点数が減点されていて免停になりたくないので,警察への報告をすることなく逃走する
といった3つのケースがあります。
今回は当て逃げの被害者に焦点を当てて,
- 当て逃げされたときの対処法
- 自動車保険や保証の範囲
などについてベリーベスト法律事務所の弁護士が解説いたします。ご参考になれば幸いです。
また,以下の関連記事では交通事故での被害者が損しないための知識について解説しています。突然の交通事故でお困りの方は以下の関連記事もあわせてご参考にしていただければと思います。
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目次
1、当て逃げされてしまった場合にはどうしたらいい?
では,あなたが当て逃げされてしまったらどのように行動するのがよいでしょうか。
(1)警察に報告
車の損傷の程度にかかわらず,まずは警察に報告し事故証明書を作成してもらいましょう。事故証明書がなければ,当て逃げされたことの証明ができず,保険会社が保険金を支払わないことがありますので,修理代金が全て自分持ちになってしまう可能性があります。
(2)相手の情報を控える
あなたが自分の車を当て逃げされるのを目撃した場合は,相手の車の車体ナンバーを書き留めておきましょう。ナンバーを控える余裕がないときは,車種や色など車の特徴を覚えて,控えるようにしましょう。逃亡した加害者を見つける大きな手掛かりとなります。
(3)当て逃げの情報を集める
あなたが駐車しているときに当て逃げされた場合等,加害者が誰か全く分からない場合,目撃者がいないか周辺の状況を調査してみましょう。また,コンビニエンスストアやショッピングセンターの駐車場であれば,防犯カメラに録画されている可能性がありますので,施設の管理者に問い合わせてみるべきです。
(4)自分の保険会社に連絡する
相手方が見つからない場合,ご自身の車両保険を使用することになります。ただ,契約内容によっては車両保険を使用することが出来ない場合もありますので,まずは自分の保険会社に確認してください。
2、当て逃げの被害に遭った場合に自動車保険は使える?
(1)自動車保険は使えます!
交通事故により車が損傷した場合,相手方の「対物賠償保険」又は自分の「車両保険」を使用して車を修理することになります。もっとも,当て逃げの場合,相手方の「対物賠償保険」を使用することができないので,自分が加入している「車両保険」を使用せざるを得ません。車両保険は任意保険になりますので,まずはあなたが加入しているのか,免責金額を設定していないか,もし設定している場合はいくらに設定しているのかを調べ,「車両保険」を使用できるのか確認しましょう。
なお,車両保険には,「車対車限定(エコノミー+A)特約」という特約が付帯できます。この特約を付帯していると,保険料をぐっと抑えることができるのです。しかし,この特約が付帯されていると,当て逃げの場合には車両保険を使うことができません。「車対車限定」といっても,車対車であれば必ず保険が適用されるわけではなく,相手方が誰かが特定されている必要がありますので,相手方が特定できない当て逃げの場合には,保険の対象外となってしまうのです。
(2)自動車保険を使うと翌年以降の保険料が値上がりします!
当て逃げで「車両保険」を使用すると翌年度の等級が3つランクダウンし,保険料が上がってしまいます。また,事故有係数が適用になり,無事故の同じ等級の契約より保険料が高くなってしまいます。保険会社に確認すれば,保険の使用の有無による保険料の差額を教えてくれるかと思います。保険料の差額及び修理費用がいくらかかるのかで「車両保険」を使用するかどうかを決めるべきです。
(3)あなたに過失がない場合には保険会社は示談代行できません!
当て逃げの被害に遭った場合,あなたに過失がないことが多いでしょう。あなたに過失がなければ,仮に加害者が見つかった場合でも,あなたの加入する保険会社は示談交渉を行うことができません。なぜなら,保険会社は取り立て屋ではなく,保険金を支払う場合に附随して示談交渉を行っているにすぎないので,保険金を支払う義務がない当て逃げの事案では示談交渉を行う法的権限がないからです。
そうすると,ご自身で示談交渉を行うか弁護士に依頼することになります。ご自身で示談交渉を行うことは煩雑ですし,かなりの労力を使ってしまいます。弁護士に依頼するとなると費用の面が心配という方もいらっしゃるとは思いますが,弁護士特約がついていれば費用面を気にせずに弁護士に依頼することが可能です。
3、当て逃げの場合の補償の範囲
(1)財産的損害
当て逃げされたとき,自身の加入する保険でどのような補償がされるのでしょうか。
上述のとおり,自身の加入する任意保険に,車両保険が付帯されていれば,車両保険での補償を受けることができます。では,車両保険は,どの範囲まで補償してくれるのでしょうか。
車両保険は,契約時に車種・年式などによって,支払いの上限となる保険価額を決めて加入します。この保険価額の範囲内で,修理費が出ることになるのです。ただし,自動車は,月日が経過すると価値も下がります。車両保険の支払いは,時価額が保険価額を下回れば,時価額を限度にしか支払いを受けることができません。例えば,保険加入時に220万円の価値のある車に,保険価額200万円で車両保険を付けたとしましょう。半年後,この車両の時価額が180万円に下落していた場合には,たとえ200万円の保険価額を設定していても,180万円までしか補償されないことになってしまうのです。
このような事態を避けることができるのが,「車両価額協定保険特約」です。この特約を付帯しておけば,車両の時価額が下がっても,当初設定していた保険価額までは補償を受けることができます。
(2)精神的損害(慰謝料)
物損事故とはいえ,自身の車に思い入れもあるでしょうし,修理などの手続には多大な労力と時間がかかりますので,その精神的苦痛に対して慰謝料を請求したくなるものです。しかし,車両保険では,精神的苦痛に対する慰謝料は補償されません。また,仮に加害者が見つかっても,車両の損害については,慰謝料が認められることはありません。
4、当て逃げの加害者が見つかったらどうしたらいい?
もしあなたが車両保険を使用していない場合,加害者に対して損害賠償請求を行っていくことになります。
もっとも,車両保険を使用して自動車の修理をしている場合,別途加害者に損害賠償請求を行うことはできません。保険金が戻ってくることもなくダウンしてしまった等級が戻ることがない点には注意が必要です。
5、当て逃げを防ぐためにはドライブレコーダーが効果的!
当て逃げされてしまったら加害車両のナンバー・車種・ボディカラー・ボディタイプ・ドライバーの特徴を把握しておくことが必要になります。しかしながら,とっさにこれら全てを把握することは困難です。しかし,あなたの車にドライブレコーダーが搭載されていれば当て逃げの際の映像を録画しておくことができ,これらの情報を把握することが可能になります。中にはエンジンがかかっていない場合にも録画できるドライブレコーダーも存在します。
ドライブレコーダーの費用については一概にはいえませんが,工賃込みで,1万円~3万円程度で設置することができます。
自分は大丈夫だろう・・と思ってしまいがちですが,当て逃げされてからでは遅いので,ドライブレコーダーを搭載することもぜひ検討してみてください。