育児において、旦那にもっと積極的に関わってほしいという方は多いのではないでしょか。
今回は、
- 夫が育児をしない理由
- 妻が1人で育児をするリスク
- 夫に育児をさせる方法
について解説していきす。
目次
1、どうして夫は育児をしないのか
世の中に育児をしない夫があふれている背景には、一体どのような原因があるのでしょうか。
育児に関わらない夫の心理を覗いてみましょう。
(1)男は働く、女は家事育児
育児をしない男性の多くは、そもそも育児を自分の仕事だとは思っていません。
自分の仕事はあくまでも外で働きお金を稼ぐことであって、家の中のことは妻の担当だと当たり前のように思い込んでいるのです。
(2)夫の親がそうだった
本人が何を「当たり前」と感じるかは、育った家庭環境に大きく左右される傾向があります。
夫の子ども時代にはまだまだ男性の育児参加は進んでおらず、夫自身の記憶の中で父親に身の回りの世話をしてもらったことがないというケースも多いため、その場合は特に自分が父親になっても自ら子どもの世話をするというイメージが上手く持てない可能性は高いでしょう。
(3)主従を決める男脳
男性の脳は、複数人で物事に取り組む際に、そのメンバーを「リーダー」と「それに従う者」に無意識のうちに分けて考えがちです。
夫が育児を主体的に行おうとせず、参加する際にも「手伝う」という言葉を使うことが多いのは、育児のリーダーはあくまでも妻であり、自分はそれに従う者であると認識しているからでしょう。
それによって妻より育児の知識・経験・技術のない自分がむやみに手を出し、子育てに悪影響を与えることを防いでいるという意識すらあるかもしれません。
そう言われたところで、「知識や経験がないのは私だって同じなのに!」と思われる女性のみなさんも多いかと思いますが、女性は自分のお腹の中で赤ちゃんを育て、出産という一大イベントを経ている段階で、男性から見ると十分に育児をリードしているのです。
2、みんなのエピソードをみてみよう
「イクメン」という言葉が世間にだいぶ浸透し、休日には子連れのパパの姿を見かけることも珍しくなくなった現在ですが、その一方で「いまだに父親の自覚がない!」と嘆かざるを得ないような夫の言動に悩まされている女性もまだまだ少なくありません。
世間の妻たちは夫のどんなところに怒りを覚えているのか、よくあるケースをチェックしていきましょう。
(1)「休みの日くらいゆっくりさせてよ」と言うけれど…
平日は仕事が忙しい夫のことを気遣い、育児にほとんど不参加でも特に何も言ってこなかったTさん。
しかし、だからこそ平日は完全なワンオペ育児になってしまうことにだんだんストレスも溜まっており、「せめて休みの日くらいは少しで良いから子どもを見ていてほしい」とお願いしてみることに。
すると、夫から返ってきたのは「休みの日くらいゆっくりさせてよ」という驚きの発言…。
Tさんも在宅で仕事はしており、その上24時間休みのない家事育児に奮闘しているというのに、夫との認識の差があまりに大きいことに愕然としてしまいました。
(2)公園に連れて行って「見てるだけ」でイクメン気取り
Rさんの夫も基本的に育児にはノータッチで、家にいるときにも時間さえあればスマホゲームで遊んでばかり。
子どもと外に出かけるときには一応ついてくるものの、公園ではベンチに座って相変わらずスマホを離さず、子どもが転びそうになっても見ているだけで動こうとしません。
そんな状態でありながら、実家で親戚の集まりがあったときなどには「俺も最近子どもと公園行ったりして、ちゃんとイクメンやってるからさ~」と得意になる始末。
Rさんは内心「見てるだけで何もしなかったくせに!そんなんでイクメン気取られたらたまったもんじゃないわ!」と怒り心頭です。
(3)「育児は任せた」と開き直る夫に唖然
子どもが生まれた最初の段階で、「俺は忍耐力がないから、たぶん育児とか向いてないと思うんだ。だから子育てはお前に任せる」と夫に宣言され、目の前が真っ暗になってしまったという女性もいます。
確かに専業主婦ではありましたが、「家事はまだしも育児って夫婦2人でやっていくものなんじゃないの…?」「それならどうして子どもを作ったの!?」と、夫の無責任さとあまりの価値観の違いに唖然とするばかりです。
3、夫が育児をしないなら妻が育児を背負うのがあたりまえ?
みなさんの中には、「自分は今のところ専業主婦だから、家事・育児が自分の担当になるのは順当なことだ」と考え、1人ですべて乗り切らなければと追い詰められている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、そのようにして何かしらのストレスを抱えていたり、日々の中で限界を感じたりすることがあるようなら、その状況はやはり改善していく必要があります。
ここからは、専業主婦家庭での育児の分担について、考え方のヒントを見ていきましょう。
(1)自分の人生の主軸を確認しよう
育児に関して夫婦でどのように取り組んでいくかを考える前に、まずは自分自身の人生において、主軸をどこに置きたいのかをゆっくり考えてみてください。
子どものことは確かに何よりも大切かもしれませんが、子どもがいるからといって自分を犠牲にしなければならないということはありません。仕事や趣味などに力を入れていきたいのか、家庭と仕事をどちらもバランス良く両立したいのか、それとも妻・母としての役割を全うしたいのか、どのような生き方に自分が最も喜びを感じるかは人それぞれです。
とはいえすぐには答えが出る話でもないと思いますので、「今の気分はこんな感じ」という程度でも構いません。ざっくりと自分の中で考えをまとめておきましょう。
(2)夫婦の役割分担を確認しよう
自分の人生の大まかな方針を確認できたら、そこからその方針に沿った夫婦の役割分担を夫に提案してみましょう。
その際、そもそも専業主婦の仕事は原則として「家事」であり、育児は家事とはまた別の仕事であること、育児については夫婦で協力して行うべきという考え方もあることをアピールしてみるのも良いでしょう。
(3)妻が育児を担当する場合であっても、父親と子供の関わりはとても必要
話し合いの結果、やはり育児は妻がメインで担当するということになっても、子どもが父親からの愛情をきちんと感じることができるよう、何かしらの関わりを持たせることが大切なポイントです。
子どもと1日にあったことを話す時間を作る、たまには一緒に遊ぶなど、子どもと父親の関係作りにも気を配りましょう。
4、夫が育児をせず妻が一人で抱えた場合のリスク
妻だけが育児を担当することによって、起こり得るリスクには次のようなものもあります。
育児に無関心な夫の説得材料のひとつとして、ぜひ参考にしてください。
(1)育児ノイローゼ
育児ノイローゼは近年問題視されている育児疲れによる症状で、気分がふさいで元気が出ない精神面の不調から、実際に身体に不調をきたす体調面のダメージまで、女性の心身に様々な影響を及ぼします。
育児ノイローゼからくる子どもへの虐待や夫へのDVも深刻な問題で、育児に関して誰にも相談することができず、悩みを一人で抱え込みがちな女性が特にかかりやすいでしょう。
(2)夫への愛情の減少
育児によって過度のストレスがかかると、「どうして私ばっかりこんな大変な思いをしなければならないのか」「どうして夫婦なのに夫は何もしてくれないのか」と夫の無責任さや能天気な振舞いに対してイライラが募るようになります。
その結果夫への愛情も次第に失われ、夫婦仲が冷めてしまうケースも多いのです。
(3)子供と父親の間に距離ができる
妻だけが育児を担当し、夫は育児にノータッチという状況になると、子どもと父親の接点は限りなくゼロになってしまいます。
同じ空間にいるだけでも家族としての温もりは感じられるかもしれませんが、子どもにとってはやはり普段から自分の身の回りの世話を行ってくれるほうの親により強い親しみを感じるため、接点の少ない親に対してはどこかよそよそしくなってしまうでしょう。
5、育児では夫以外の協力や息抜きも必要
妻だけで育児を背負わないため夫の協力は必要ですが、そこ一筋では心も体も疲れてしまいます。
実母を頼る方も多いと思いますが、子育ては、本当に1人では楽しいだけでは行えないもの。
気持ちをオープンに、分かり合える、分かってもらえる人をぜひ見つけていきましょう。
(1)育児には「情報」と「仲間」が必要
育児をする上でなるべくストレスを溜め込まないようにする秘訣は、些細なことでも相談できる仲間を持つことです。
夫婦で育児を行うメリットは、その仲間が家庭の中にいていつでも気軽に話をすることができる点に尽きます。
夫がその仲間の役割を果たせない場合も、ママ友など気の合う仲間を見つけて適度に息抜きを行っていきましょう。
また、育児に関する知識は書籍などから得るのも良いですが、その時代に合った旬な情報を得ることが何より重要です。
そういった情報もママ友のネットワークから得られるケースが多いため、新たな友達作りのチャンスがありそうな場所には積極的に出かけてみましょう。
(2)仲間作りが苦手な方はプロへ相談
「ママ友同士で仲良くしたり、気を遣ったりするのはどうも苦手…」という方もご安心ください。
育児仲間が特にいなくても、児童相談所や保健所など子育ての不安を相談できる専門機関は地域に必ず用意されています。
育児に参加してくれない夫の愚痴も含め、吐き出したいストレスがあるときには遠慮せずにこうしたプロを頼りましょう。
「仕事に家事に育児に…どう考えても1日の時間が足りない!」という場合、ベビーシッターを頼むことも効果的な対処法です。
「余計なお金がかかってしまう」と躊躇する方も多いですが、誰にも頼らず頑張りすぎてしまった結果、みなさんの心身が疲れ切って余計に状況が悪化してしまう可能性もゼロではありません。
費用対効果を夫婦できちんと検討し、今ある問題をアウトソーシングで解決できるのであれば、どんどん活用していきましょう。
6、夫に育児をさせるにはどうすればよい?
とはいえ、子育て(親と子どもの関わり方)は一生のことです。
妻が外の世界での交流でバランスをとっていけたとしても、夫の協力は不要になる訳ではありません。
ここからは、育児へのモチベーションが低い夫に子どもと関わってもらうため、効果的な対処法をご紹介していきます。
(1)現状の家事育児の分担表を見せる
夫が育児に無関心なのは、「自分がやるまでもなく妻だけで十分まかなえている」という感覚がどこかにあることも理由のひとつかもしれません。
その場合、現状夫婦がそれぞれ担当している家事と育児の分担表を作成し、そこにどれだけ作業量の差があるかということを視覚で訴えてみるのが効果的です。
育児は参加していない側から見ると、なかなか具体的にどんなことを行っているのかというイメージがつきにくいものでもあります。
そんな育児を「見える化」することによって、妻のほうに負担が大きく偏っていることを把握してもらいましょう。
(2)「子どもがパパと遊びたいと言っている」と誘う
育児に手を貸してくれない夫であっても、子どもを可愛く思う気持ちはさすがに持っているはず。
ということで、「子どもがパパが良いと言っている」を切り札に育児に誘い込むのも有効な手段のひとつです。
普段は育児と距離を置いている夫でも、父親として子どもから求められればそれを拒否することはなかなかできないでしょう。
(3)子どもと夫を残して外出してしまう
少し荒療治になりますが、「私は出かけないといけない用事があるから、その間子どもをよろしくね」と言って、強制的に子どもと夫を2人きりにするというのもひとつの手。
自分しか子どもの世話をする大人がいないという状況になれば、夫も腹をくくらざるを得ず、それと同時に普段みなさんが行っている育児の大変さを少しは実感してもらうこともできます。
「俺は疲れてるんだから、勘弁してよ」と抵抗されるかもしれませんが、数時間程度のことであれば、その間慣れない育児を強いたからといって、夫が急に倒れるなどの緊急事態に陥ることもまずないでしょう。
心配であれば外出したフリをして自宅の近くで待機しておくなど、たまに様子を伺いつつ夫の育児を見守ってみてください。
7、育児をしない夫と離婚したい場合は弁護士へ相談を
夫に育児参加を促すにはまず夫婦で話し合いを行う必要がありますが、こちらの思いを伝えても夫に響いている様子がない、「疲れているから後にして」と言われて話し合い自体を拒否されるというようなケースでは、ふと離婚が頭をよぎってしまうこともあるかもしれません。
離婚を視野に入れている場合もそうでない場合も、1度弁護士に相談することで、今みなさんが行うべきことは何なのか具体的なアドバイスを得ることができると同時に、自分の中で考えを整理することもできます。
次のポイントも参考に、迷ったときや困ったときにはぜひ弁護士を頼ってみてください。
(1)円満調停もある
弁護士に相談=離婚というイメージが強い方も多いかと思いますが、弁護士には夫婦の仲を取り持つ円満調停(夫婦関係調整調停)の依頼を行うこともできます。
弁護士に相談したからといって必ずしも離婚しなければならないというわけではないので、どうぞ安心してご相談ください。
(2)離婚には「婚姻を継続しがたい重大な事由」と言えるかがポイント
一方、スムーズに離婚を成立させるためには、みなさんのケースが民法でいうところの「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当てはまっているかどうかが大きなポイントとなります。
「私の場合はどうなんだろう?」と気になる方も、ぜひ弁護士に相談してみましょう。
(3)離婚したい場合は「証拠」を集める
離婚を考えている場合、先ほどの「婚姻を継続しがたい重大な事由」の証拠を集めることがとにかく第一です。
弁護士は、調停や裁判でこちらの主張を通すために役立つ証拠の種類や集め方についても、みなさんにアドバイスを行います。
育児しない旦那に関するQ&A
Q1.どうして夫は育児をしないのか?
- 男は働く、女は家事育児
- 夫の親がそうだった
- 主従を決める男脳
Q2.夫が育児をせず妻が一人で抱えるときのリスクとは?
- 育児ノイローゼ
- 夫への愛情の減少
- 子供と父親の間に距離ができる
Q3.夫に育児をさせるにはどうすればよい?
- 現状の家事育児の分担表を見せる
- 「子どもがパパと遊びたいと言っている」と誘う
- 子どもと夫を残して外出してしまう
まとめ
育児に参加してくれない夫に対して日々イライラを募らせているのは決してみなさんだけではなく、たとえ専業主婦であったとしても、育児を完全に妻だけが負担する状況には育児ノイローゼをはじめとするリスクがつきまとうため、何かしらの対処が必要です。
まずは今回ご紹介したポイントを参考に夫と話し合い、それでも状況が改善されない場合には、子育ての専門機関や弁護士に相談を行いましょう。
弁護士は、夫婦関係を修復する際にも離婚の話を進めていく際にも、みなさんの絶対的な味方になります。
ワンオペ育児の悩みは1人で抱え込まず、なるべく早めに周りを頼って問題解決を目指しましょう。