コロナウイルス禍で利用できる補助金制度には何があるかご存知ですか?
2020年4月7日、新型コロナウイルス感染拡大防止のために政府が7都府県に対して発出した緊急事態宣言は、同月16日に全国を対象に拡大されました。
緊急事態宣言の発出に伴い、外出自粛や営業自粛の要請の影響で多くの企業や個人事業主の経済活動が停滞しています。
会社などに勤務する個人にとっても、休業や解雇などによって多くの人の収入が減少しています。
このようなコロナウイルス禍においては、個人も企業も政府が実施する補助金や助成金、支援金の各制度をフルに活用して生活や経営を守る必要があります。
そこで今回は、コロナウイルス禍で個人と企業が利用できる補助金や助成金、支援金などの情報をまとめました。ご参考になれば幸いです。
なお、本記事掲載時の情報をまとめておりますが、その後の状況の変化等により補助金や助成金の範囲等が変更されている場合もございますので予めご了承ください。
1、コロナウイルス禍で個人が利用できる給付金・支援金
まずは、コロナウイルス禍で収入が減少した個人が利用できる給付金や支援金をご紹介します。
なお、紙幅の都合から基本的には利用可能な制度等を紹介するにとどめております。
制度等の詳細は適宜専用サイト等にてご確認いただけますと幸いです。
(1)特別定額給付金
基準日(令和2年4月27日)において、住民基本台帳に記載されている全ての方に対して、所得制限なしに一律10万円の現金が支給されます。
受給権者は基本的には世帯の世帯主です。
例外的な事情がない限り、世帯主が申請し、家族の人数分の給付金が世帯主の口座にまとめて振り込まれます。
申請方法は、郵送申請とオンライン申請の二つです。
もっとも、やむを得ない場合に限り、窓口における申請及び給付が認められています。
郵送申請の場合、各市区町村から送られてくる申請書に必要事項を記入し、本人確認書類や指定口座の確認書類などを添付して返送します。
オンライン申請はマイナンバーカードを取得している方に限定されます。
マイナポータルから必要事項を入力するなどし、申請をします。
申請期限は各市区町村における郵送申請の受付が始まってから3ヶ月以内なので、忘れないうちに申請しましょう。
詳細は、お住まいの市区町村の役所や、特別定額給付金ポータルサイトでご確認ください。
なお最新の情報についても、随時、特別定額給付金ポータルサイトに掲載されるとのことです。
(2)生活福祉資金の特例貸付
給付金ではなく貸付金になりますが、低所得者世帯や障害者世帯、高齢者世帯に対して、それらの世帯の生活を経済的に支えるとともに、在宅福祉及び社会参加の促進を図ることを目的として、都道府県社会福祉協議会が実施主体となって特例貸付が行われます。
総合支援資金、福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金の各貸付資金が用意されております。
各資金の概要や貸付条件については都道府県社会福祉協議会のHPなどをご参照ください。
(3)住宅確保給付金
平成27年から始まった生活困窮者自立支援制度による支援の一つとなる給付制度です。
休業や失業などで収入が減少し、住居を失った又は失うおそれがある方に対し、住宅確保給付金の支給がなされ得ます。
基本的には、離職等後2年以内の方で、離職等前に世帯の生計を主として維持していたこと、ハローワークに求職の申し込みをしていること、国の雇用施策による給付等を受けていないことが支給対象者の条件となっていますが、令和2年4月20日から対象が拡大され、コロナの影響などで個人の責に帰すべき理由によらない就業機会等の減少により経済的に困窮した方も対象となりました。
その他、収入要件や資産要件などについての詳細はお住まいの市区町村役所などでご確認ください。
この制度を使えば、原則として3ヶ月分、求職中の場合は最長9ヶ月分まで家賃補助を受けることが可能です。
(4)持続化給付金
個人のうち、個人事業主やフリーランスの方について、コロナの影響で売り上げが前年同月比で50%減少した場合は、持続化給付金を受給できます。
昨年1年間の売り上げからの減少分を上限とし、中小法人等は200万円、個人事業者等は100万円の支給を受けることができます。
その他、申請必要書類や条件などは持続化給付金の申請HPにまとまっていますのでご参照ください。
(5)小学校休業等対応支援金
個人のうち、委託を受けて個人で仕事をしている方について、小学校等の臨時休校により子どもの世話をするために契約した仕事ができなくなった場合は、小学校休業等対応支援金を受給できます。
対象となる期間が2020年2月27日から6月30日まで、支給金額は就業できなかった日について1日あたり4,100円です。
申請期限は2020年9月30日までで、厚生労働省のホームページからダウンロードした申請書に必要事項を記入し、学校等休業助成金・支援金受付センターへ郵送(配達記録が残るもの)することによって申請します。
詳細は厚生労働省のホームページでご確認ください。
(6)企業主導型ベビーシッター利用者支援事業(特例措置)
承認事業主に雇用されている乳幼児等の保護者が、承認事業主から割引券の交付を受け、その他の要件を満たす場合に、子どもの世話のためのベビーシッター利用料の補助を受けることができます。
小学校や保育所等が臨時休業し、保護者も仕事を休めないときに利用できる制度で、1枚あたり2,200円分の割引券が支給されます。
(7)子育て世帯への臨時特別給付金
0歳から中学生までの子どもがいる世帯には、児童手当が支給されています。
この児童手当について、2020年6月支給分の1回限りですが、子ども1人につき1万円が加算されます。
ただし、年収の条件によって児童手当の特例給付(児童手当が月5,000円の場合)を受けている世帯は対象外となります。
この給付金は自動的に児童手当に加算して支給されるため、手続きは不要です。
(8)傷病手当金
健康保険に加入している人が業務外の事由で病気や怪我をして仕事につくことができない場合は、一定の要件のもとに傷病手当金を受給できます。
ただし、会社から傷病手当金の支給額以上の休業補償を受け取っている場合は、傷病手当金を受け取ることはできません。
なお、国民健康保険には傷病手当金の制度はありませんでしたが、新型コロナウイルスに感染した場合や感染が疑われる場合には国民健康保険からも傷病手当金を受け取れるようになりました。
傷病手当金の支給額は、標準報酬日額の3分の2が日額となります。
詳細は、社会保険に加入している場合は該当する健康保険の組合や協会で、国民健康保険の場合はお住まいの市区町村の役所でご確認ください。
2、コロナウイルス禍で企業が利用できる補助金・助成金・給付金
次に、コロナの影響で売り上げが減少した企業が利用できる補助金や助成金、給付金をご紹介します。
(1)持続化給付金
前記「1(4)」でご紹介したとおり、持続化給付金について、法人の場合は最大200万円まで受給することが可能です。
(2)雇用調整助成金
コロナの影響による事業の縮小や業績の悪化のために一時的に従業員を休業させる場合、企業が支払った休業手当の一部について助成を受けることができます。
通常は雇用保険に6ヶ月以上加入している従業員が対象ですが、コロナの影響が認められる場合は6ヶ月未満や被保険者も対象となります。正規・非正規も問いません。
助成率は原則として中小企業で5分の4、大企業で3分の2ですが、解雇を行わない場合は中小企業で10分の9、大企業で4分の3となります。
ただし、厚生労働省は2020年4月25日、中小企業について一定の要件のもとに100%とするなど特例措置を拡大することを発表しました。ただし、いずれにしても1人1日あたり8,330円が上限です(令和2年5月4日現在、政府は雇用調整助成金の上限額を引き上げる調整に入っています)。
詳細は、厚生労働省のホームページでご確認ください。
(3)小学校休業等対応助成金
従業員が子どもの小学校等の臨時休業に対応するために年次有給休暇とは別に特別の有給休暇を取得させた企業は、小学校休業等対応助成金を受給することができます。
こちらは雇用調整助成金と異なり、特別の有給休暇を取得した労働者に支払った賃金相当額の100%が助成されます。
ただし、1人1日あたり8,330円の上限があります。
申請は、休暇を取得する労働者ではなく、法人から行うことになります。
事業所単位ではなく法人単位にて、申請書を学校等休業助成金・支援金受付センターへ郵送(配達記録が残るもの)することによって申請します。
詳細は厚生労働省のホームページでご確認ください。
(4)ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(特別枠)
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とは、中小企業や小規模事業者等が革新的なサービス開発・試作品の開発・生産プロセスの改善などに取り組む際の設備投資等を支援するために支給される補助金のことです。
今後は複数年にわたって働き方改革や、被用者保険の適用の拡大、賃金アップ、インボイスの導入などさまざまな制度変更が相次いで予定されているところ、経営基盤が十分でない中小企業や小規模事業者等を支援するために創設された制度です。
コロナの影響を考慮して、2020年5月20日締め切りの「2次締切」の公募から、補助率を引き上げた特別枠が設けられました。
また、コロナの影響を受けている事業者に対しては、サプライチェーンの毀損等に対応するための設備投資や販路開拓、事業の継続力強化のためのテレワークツール等の導入に取り組む事業者を優先的に支援するなどの特例措置も行われます。
詳細は、中小機構・生産性革命推進事業ポータルサイトにてご確認ください。
(5)小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、地域の産業や雇用を支える小規模事業者等の持続的発展を図るために、地道な販路開拓やそれに併せて行う業務効率化などに要する経費の一部を支援するための補助金のことです。
補助率は対象経費の3分の2で、50万円が上限ですが、コロナの影響を受けている事業者については、一定の要件のもとに上限100万円の特別枠があります。
詳細は、日本商工会議所のホームページでご確認いただくか、最寄りの商工会議所へご相談ください。
(6)IT導入補助金(C類型)
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者等が業務の効率化や生産性の向上を図るためにITツールを導入する際に要する経費の一部を支援するための補助金のことです。
コロナの影響によってテレワークのニーズが高まっていることから、テレワークの導入に取り組む事業者を優先的に、ソフトウェア費や導入関連費が補助される「C類型(特別枠)」の公募が2020年5月11日から始まる予定です。
詳細は、サービス等生産性向上IT導入支援事業コールセンターへお問い合わせください。
3、困ったときは弁護士に相談を
ここまで、コロナウイルス禍で個人や企業が利用できるさまざまな補助金・助成金・給付金をご紹介してきました。
様々な制度を活用することで、困難な状況を打開できる可能性があります。
もっとも、コロナの影響で生活が困窮するなどした場合、諸制度を活用したとしても打開できない法律問題を抱えざるを得ない方も少なくないと思われます。
例えば、お勤めの方なら会社の事業がうまくいかず、会社が休業手当を支給してくれなかったり、会社から解雇されてしまったり、退職勧奨を受けることもあるでしょう。
個人事業主やフリーランスの方ならクライアントが報酬を支払ってくれないなどの問題もあるかもしれません。
借金がある場合は、債務整理をすることによって生活を経済的に改善することができます。
弁護士に相談すれば、さまざまな観点から法的問題解決に向けたアドバイスを受けることが可能です。お困りの場合は、お気軽に弁護士に相談してみましょう。
まとめ
コロナ禍では、多くの個人や企業が苦しんでいます。
使える制度は適切に利用して、コロナ禍を乗り越えていきましょう。
何らかの問題で困ったときは、一人で悩まずにお早めに弁護士までご相談ください。