一人暮らしは孤独死につながるのでしょうか。
最近では、少子高齢化社会になっていることもあって、孤独死する高齢者が増えています。
孤独死してしまうと、発見が遅れるなどして「子どもに迷惑がかかることが心配」という方が多いでしょう。
一人暮らしをするとしても、周囲には悪影響を及ぼしたくないものです。
今回は、
- 孤独死の現状と課題
- 孤独死を防ぐためにできること
などをご紹介します。
自由に生きても孤独死にならない、そんな生き方を目指しませんか?
目次
1、 孤独死とは
まず、「孤独死」とはなんでしょうか。
(1)孤独死とは
孤独死とは、以下のことを言います。
- 一人暮らしの人が
- 誰にも看取られること無く
- 当人の自宅などで
- 生活中の突発的な疾病などによって死亡すること
(2)孤独死が辛い理由
ここで、孤独死の一番辛いことは、 「病気等が重篤化しても助けを呼べない状況」 ではないでしょうか。
即死であるとは限らないのです。
助けを呼べれば、助かったかもしれない。
最後に残したい言葉を聞いてもらえる相手がいない。
ここが一人暮らしの一番の辛いところでしょう。
(3)孤独死を避けなければならない理由
孤独死は、前述のように、息をひきとる前段階における場面が一番辛いと思います。
しかし、それ以外にも、孤独死の後には、残された周囲の者には以下のような問題が残ります。
- 賃貸の場合、不動産価値の下落
- 遺族もしくは行政が行う死亡人の処理が大変
- 遺族に金銭的な負担が発生
本人も辛く、また周囲にも負担が及ぶ孤独死。
孤独死は、可能な限り事前に対策されるべきなのです。
2、 一人暮らしをしている高齢者の45%は孤独死を心配している!
(1)孤独死を心配している高齢者の割合は45%
最近「少子高齢化社会」が進んでいると言われています。
孤独死を心配している1人暮らしの高齢者はとても多いです。
内閣府の調査によると、約45%もの1人暮らしの高齢者(60歳以上の方)が、孤独死を身近に感じると回答しています。
引用元:内閣府
(2)地域で付き合いがない高齢者が約2割
周囲と付き合いがないと、孤独死につながりやすくなりますが、実際に「地域で付き合いがない」と回答している高齢者が約2割に及んでいます。
男性が21.8%、女性が16.3%となっており、男性の方が、より孤独死のリスクが高くなっています。
引用元:内閣府
(3)いざというとき頼りたいと思う相手は子供
高齢の1人暮らしでは何かと不安になりますが、いざというときに頼りたいのは「子ども」と回答した方が多数です。
子どものいる高齢者の中で、男性では41%、女性では58.2%の方が看病や世話について、子どもを頼りたいと回答しています。
ただ、「誰も頼りたくない」という方も多く、子どものいない男性では20%以上になっています。
注目すべきは「あてはまる人がいない(そもそも頼る人がいない)」という方で、子どものいない男性では30%以上になっていますし、女性でも20%を超えています。
子どもがいる方でも、男性は20%以上、女性では10%以上が「あてはまる人がいない」と回答しています。
このようなことからも、やはり孤独死リスクが高くなっていることが読み取れます。
引用元:内閣府
3、孤独死は10年で約2倍に増えている
引用元:内閣府
(1)孤独死の方によくある死因
実際に、孤独死はどのくらい起こっているのでしょうか?
内閣府の調査によると、年々孤独死の件数が増えています。
平成15年には1,451件であったところ、平成27年には倍以上の3,127件となっています。
孤独死の原因として多いのは、心筋梗塞などの循環器障害や脳溢血などの脳疾患による発作です。
肺炎などの持病がある方は、悪化して死亡したり、日常生活が難しくなって餓死したりするケースもあります。
持病の肝硬変が原因で意識不明となり、そのまま死亡する事例もあります。
階段などで転倒して骨折し、助けを呼べずにそのまま衰弱死するケースもみられます。
災害が起こって救助を呼べずに死亡する場合や、アルコール依存状態となって孤独死する事例もあります。
さまざまな原因で孤独死につながります。
(2)孤独死が起きやすい環境
孤独死しやすいのは、以下のような環境の人です。
- (特に男性の)高齢者
- 配偶者と別れた人、死別した人
- 未婚の人
- 親族がいない人
- 親族付き合いのない人
- 仕事をしていない人
- 持病のある人
- 賃貸住宅に居住しており、隣人付き合いがない人
4、孤独死の問題は年配者だけではない|若者も増えている
孤独死というと高齢者のイメージですが、最近では若者の孤独死も増えているので注意が必要です。
30代などの若い方でも、1人暮らしで近所付き合い、親戚付き合いがなければ孤独死して、誰にも気づかれないことがあります。
たとえば、36歳の派遣アルバイトの方で、趣味はDVD鑑賞などで外との付き合いがなく、家と仕事の往復で親戚付き合いもしておられなかった方が、孤独死した事例があります。
そのケースでは、死後1週間ほどして実姉が遺体を発見しましたが、葬儀や賃貸住宅の引き払いの手続きも慌ただしく、悲しむ暇すらありませんでした。
若い人は、まさか孤独死することはないだろうと思われている分、発見も遅くなりがちです。
また、独身の1人暮らしの方は生活が不規則になりがちで、いつのまにか健康を損なっていることも多いので、実は孤独死するリスクが高いです。
現代のように、家族の1人1人で独居することが多い時代では、どのような方にとっても孤独死は身近な問題と言えます。
5、孤独死によって起こる問題
「1」でもお伝えしましたが、孤独死は多くの問題を引き起こします。
孤独死が起こると「行旅病人及行旅死亡人取扱法(こうりょびょうにんおよびこうりょしぼうにんとりあつかいほう)」という法律が適用されるケースがあります。
この法律は、「行旅人」が病気になったり死亡したりしたときの取扱いを定めています。
具体的には、身寄りのない人や行き倒れの人、浮浪者などが病気になったり死亡したりしたときに市町村が保護・処理すべきとされています。
身寄りのない人が死亡すると、最終的には市町村に処理をしてもらうことになります。
以下では、孤独死によってどのような問題が起こるのか、みてみましょう。
(1) 遺族が高額の補償金などを請求される
孤独死した人が賃貸住宅に居住していた場合には、賃貸人や管理会社が遺族に対して「補償金」として高額の金銭支払いを請求してくることがあります。
(2) 孤独死があったことを次の入居者に告知しない
入居者が死亡したら賃貸人は次の入居者を募集しますが、その際に、以前に孤独死が発生したことを伝えないケースがあります。
本来であれば、孤独死は「事故」扱いとなり、入居希望者にはそのことを伝えた上で契約すべきかを判断してもらうべきなのですが、孤独死を告げると賃料を下げざるを得なくなるので、隠してしまうのです。
このことで遺族に直接影響が及ぶわけではありませんが、孤独死によって知らない人に迷惑をかける可能性があることも知っておきましょう。
(3) 悪徳な清掃業者による高額請求
孤独死すると、発見した遺族は早急に掃除や片付けをしなければなりません。
葬儀などの準備もあり、清掃を依頼する業者を慎重に選定している暇などないケースが多いです。
そうした遺族の状況につけ込んで、極めて簡単な清掃や消臭消毒のみを行い、「特殊清掃」として高額な費用を請求する悪徳企業が増加しています。
こうした業者は、実際には素人と変わらない程度の技術しか持っておらず、適当な仕事しかしません。
中には金品を持ち去る悪質な事例もあるので注意が必要です。
6、孤独死を防ぐためにできる対策
このように、孤独死は多くの問題が発生します。
孤独死を防ぐためには、もちろん家族と共に暮らすことが一番の予防策でしょう。
しかし、いろんな思いや事情でかなわない場合も多いのです。
自由な一人暮らしを謳歌しながら、孤独死も防ぐ。
そのためにはどのような対策方法をとればよいのでしょうか?
(1)自分の地域における孤独死対策を知る
孤独死対策は、今や国をあげて行われる対策です。
各自治体、お住いの集合住宅、NPO、ボランティア、企業など、何かしらの団体において、身近で対策がなされているはずです。
自治体へ問い合わせてみるなどアンテナを張り、自分の地域における孤独死対策を知りましょう。
(2)訪問サービスを利用する
日用品や食事、クリーニングなどの宅配サービス、訪問介護などの「家に来てもらえる」サービスを利用するのも有効です。
訪問介護を受けていれば、何かあったときにすぐに気づいてもらえますし、家の中で転倒して動けなくなったときにも助けを呼んでもらえます。
宅配業者であっても、しょっちゅう来てもらうと顔なじみになり、異変に気づいてもらいやすいです。
(3)「見守り家電」を利用する
遠くに住む家族に定期的に連絡を取ることができれば、それが理想です。
積極的に、電話やメールで連絡を取り合いましょう。
テレビ電話もいいです。
しかし、若い世代が忙しくしていることを思えば、なかなか連絡しづらい気持ちもあるでしょう。
そんなときは「見守り家電」を活用してはいかがでしょうか。
「見守り家電」とは、家族と離れて住む場合でも、その電化製品を使うことによって、遠隔地に住む家族に元気であることが伝えられる家電です。
例えば、見守り家電の電気ポット。
この電気ポットは、利用するたびに遠隔地の家族に連絡がいき、一人暮らしの家族の様子を遠方の家族に伝えることができる、というものです。
いちいち電話をしたりメールをしたりすることなく、日常生活を送っているだけで元気である通知がいくため大変便利です。
家電スーパーでは、様々な種類が取り揃えてあります。
一度、ご自分の生活にあった「見守り家電」を探しに行ってはいかがでしょうか。
(4)地域の人たちとの関わりを持つ
可能であれば、周囲の人と関わりを持つことも非常に重要です。
孤独死する件数は女性より男性の方が多いですが、これは、男性が周囲の人と関わりを持たずに1人でこもりきりになりがちだからと言われています。
地域のイベントに積極的に参加したり、外に出て近所の人と会ったら挨拶をしたり少し会話をしたりして、「1日誰とも会話しない日」を作らないことが大切です。
(5)健康的な生活を心がける
最後は健康的な生活を心がけることです。
たとえば以下のことに気をつけてください。
- 食欲がなくても食べて体力を維持すること
- バランスのとれた食事をすること
- 朝起きて夜には就寝し
- 規則正しい生活を送ること
- 適度に運動をすること
- 身体の不調を感じたら、我慢せずにすぐに病院に行くこと
7、事前に準備しておきたいこと
孤独死を防ぐための準備をしていても、いつかは死亡する日が訪れます。
そのときに備えて準備をしておきましょう。
(1)葬儀
1つは葬儀です。
1人暮らしの方が死亡すると、発見した遺族はすぐに葬儀業者を探して契約し、段取りを整えて葬儀をしなければなりません。
非常に慌ただしく、子ども達に重い負担がかかります。
このような負担をかけないためには、あらかじめ、自分で葬儀の内容や業者を決めておくと、発見後の対応もスムーズですし、自分の思う通りの葬儀を執り行ってもらえます。
今では葬儀の段取りや進行方法、納骨まですべて選択して業者に任せられる葬儀の生前契約もあるので、1人暮らしをするなら利用を検討してみるのと良いでしょう。
身寄りのない方の場合には、先に紹介した行旅人に関する法律によって、自治体に火葬してもらうことになります。
その場合には「葬儀」というようなものではなく、単純に火葬されるだけで終わりますし、行政に負担をかけることになります。
(2)相続対策・荷物の整理
子どもなどの相続人がいる方は、相続対策もしておく必要があります。
誰がどの遺産を相続すべきか決めておかないと、残された子ども達が相続争いを起こす可能性があるからです。
早い段階で、公正証書による遺言書を作成しておくことをお勧めします。
また、賃貸住宅などで荷物の多い方は、持ち物の整理も進めておくと良いでしょう。
入居者が死亡すると、遺族はすぐに部屋の引き払いをしなければならないからです。
明け渡しを完了するまで賃料が発生してしまいます。
なるべく要らないものは捨てて、どこに何があるかわかりやすいように整理しておきましょう。
重要なものについては、ノートなどに記載して発見した人にわかりやすいようにしておくとよいです。
その意味で、「エンディングノート」を作成しておくのも効果的です。
遺言書作成などの法律的な対応は、弁護士に相談するのが有効で、確実です。
一度相続対策や孤独死対策を弁護士に相談してみてはいかがでしょうか?
まとめ
現代社会で生活をする場合、孤独死は誰にとっても他人事ではありません。
周囲との関わりが薄くなっている場合は、孤独死にならないようにこの記事を参考に今から対策を進めていきましょう。