大麻の栽培がバレて逮捕!?
ご自身やご家族が大麻の栽培をしていたことにより逮捕され、今後何をすればいいのか途方に暮れている方がいるかもしれません。
「自宅でこっそり大麻を栽培していただけなのになぜ警察にバレてしまったのか?」「大麻の栽培がバレるとどのような刑罰が科せられるのか?」等、心配な気持ちが日に日に増していくことでしょう。
そこで今回は、
- 大麻栽培はなぜ警察にわかる?
- 大麻の栽培で逮捕された後の流れ
- 大麻の栽培で逮捕されたときの対処法
等について解説します。本記事が、大麻の栽培による逮捕に不安を抱えている方のお役に立てば幸いです。
目次
1、大麻の栽培が重罪とされている理由
「大麻」という言葉を聞いたとき、テレビで報道されるような、密輸入や秘密裏での売買による逮捕のシーンを思い浮かべる人は少なくありません。
無免許ないし無許可での大麻の輸出入は売買大麻取締法で禁止されていますが(大麻取締法4条1項1号、第3条1項)、無免許で大麻を栽培すること自体も大麻取締法で禁止されています(同法3条1項)。
大麻の栽培とは、種まきから収穫までの行為を指します。
大麻の栽培による刑罰は7年以下の懲役(同法24条1項)、営利目的による大麻の栽培の刑罰は10年以下の懲役(場合によってはこれに300万円以下の罰金が併科されます)となっています(同条2項)。
大麻の栽培は秘密裏に行われやすいこと、単に所持等をする場合に比べると栽培までしていることはより悪質性が高いことから、大麻の栽培については所持・譲渡・譲受よりも刑罰が重くなっています。
また、個人で大麻を栽培するにとどまらず営利目的で栽培していた場合は、大麻が社会に蔓延することを防止する観点からさらに刑罰が重くなります。
2、大麻の栽培が発覚すると初犯でも逮捕される?
大麻の栽培が発覚すると初犯でも逮捕される可能性が高いです。
なぜなら、大麻はその形状から隠したり捨てたりすることが容易であるため、証拠隠滅を防止する観点から、初犯であったとしても、逮捕やそれに引き続いて身柄拘束されるケースが多いのです。
検察統計調査によれば、2021年に大麻取締法違反で逮捕された人数は8201人、その内警察から検察へと身柄送致された人数は4908人と、その割合は約60%に及んでいます。
半分以上の確率で大麻取締法違反が発覚すると逮捕され、そのまま身柄拘束が続くのです。
検察統計は「初犯」や大麻の「栽培」に限定したデータではありませんが、大麻取締法による犯罪は、他の犯罪に比べ逮捕率が高い点は頭に置いておくべきでしょう。
また、令和3年版犯罪白書によれば、令和2年における大麻取締法違反についての起訴率は49.4%となっており、約半分が起訴されているということになります。
こちらも「初犯」や大麻の「栽培」に限定したデータではありませんが、低い値ではないといえるでしょう。
参照:令和3年版犯罪白書
3、大麻栽培はなぜ警察にわかる?
なぜ自宅内でこっそり大麻を栽培していたにもかかわらず警察に発覚してしまうのか不思議に感じている人もいるでしょう。
自宅内で栽培していても、以下の理由により警察に発覚するケースがあるので注意してください。
(1)大麻の使用をきっかけにして発覚した
大麻の使用が警察などに発覚したことをきっかけとして、大麻の栽培が発覚するケースが珍しくありません。
大麻の使用自体は、刑事処罰の対象にはなりませんが、大麻を使用しているということは、大麻を誰かから譲り受けて所持していたか、自身で栽培して所持しているという可能性が高いわけですから、大麻の使用が発覚した場合には、ほぼ確実に自宅の中が捜査対象となり、そのときに大麻を栽培していたことが発覚するということが考えられます。
(2)大麻を売却した相手が逮捕された
大麻を自分では使用せずに営利目的で栽培している人もいるでしょう。
その場合、栽培した大麻を収穫し、これを第三者に売却することになりますが、この大麻を売却した相手が大麻の所持などを理由に逮捕されるケースがあります。
そして、警察としては、大麻を所持しているということは誰かから譲り受けた可能性が考えられるとして、大麻の入手経路について必ず聞くことでしょう。
その際、大麻を売却した相手が入手経路を明かすことで捜査が開始され、結果として自身の大麻の栽培が発覚するケースが少なくありません。
(3)家族や友人が通報した
驚く人もいるかもしれませんが、家族や友人からの通報で大麻の栽培が発覚するケースもあります。
「家族や友人がなぜ通報するのか?」と疑問に感じる人もいるでしょう。
大麻の栽培は違法ですから、違法行為の通報は自然なことですし、家族としては大麻の栽培に自分も加担していたのでは?と疑いをかけられることは避けたいところでしょう。
また、栽培した大麻を使用することで依存症状や生活に支障をきたす症状があらわれた場合、大麻と手を切ることを願って家族や友人が通報する場合もあります。
4、大麻の栽培で逮捕された後の流れ
大麻の栽培で逮捕された場合、その後の流れはどのように進んでいくのでしょうか?
ご自身やご家族が逮捕されてしまった場合、どのような動きをとるべきかを把握するためにも、逮捕された後の流れを確認しておきましょう。
逮捕されると、まずは警察での取調べを受けることになります。
警察での取調べを何日も受け続けなければならないと勘違いしている人がいますが、警察での取調べは時間が決まっており、最大でも48時間となっています。
そして、逮捕から48時間以内に、今度は検察庁に送致され検察官による取調べを受けます。
検察官は24時間以内に勾留請求をするかどうか、すなわち身柄拘束を継続するかどうかを決定します。
勾留請求がなされこれが認められると、10日間の身柄拘束が続きます。
この後、さらなる捜査の必要性がある場合は勾留の延長(最長で10日間)が認められ、最長で20日間勾留される可能性があるということとなります。
最長で20日間の勾留期間中に詳しい取り調べなどの捜査が行われ、検察官が起訴・不起訴の決定をします。
以上が逮捕後の流れですが、大麻の栽培に関しては、上記のとおり証拠隠滅の可能性が高いと考えられているため、これらを防ぐために勾留されることが多く、身柄拘束が続くことを覚悟しておいた方が良いでしょう。
刑事事件の流れについては下記もご参照ください。
5、大麻の栽培で逮捕されたときの対処法
それでは、大麻の栽培で逮捕された場合、今後どのような対応をとる必要があるのでしょうか?逮捕された瞬間は「反省している」「二度と大麻には手を出さない」と思っていたとしても、その後再び大麻に手を出してしまう人は決して珍しくありません。
また、逮捕されたことや自分の今後のことで頭がいっぱいになってしまい、気づけば裁判が終わってしまったという事態も考えられます。
そこで、これ以上罪を繰り返さないためや適切な判決を得るためにも、大麻の栽培で逮捕されたときは以下の対処法を検討してみてください。
(1)大麻と手を切ることを誓う
「大麻と手を切れたらいいな」「大麻とは関わらないようにしよう」などという安易な気持ちでいるだけでは、再び大麻に手を出してしまう可能性があります。
大麻を栽培して使用することによる快感が忘れられなかったり、栽培した大麻が高値で売れたときの高揚感が癖になっていたりすると、簡単には大麻と手を切ることはできないでしょう。
まずは、大麻と手を切ることを固く心に誓わなければなりません。
警察や検察での取調べでも、大麻に二度と手を出さないことを決意できているかについてはしっかり確認されますし、大麻に二度と手を出さないという決意の有無が罪の重さにも影響することがあります。
(2)種の入手先や大麻の譲渡先を正直に話す
大麻の種はお店で気軽に購入できるものではない以上、大麻を栽培しているということは、種の入手ルートが必ずあるということになります。
大麻の栽培をして逮捕されてしまったときには、これを自身の行動を正すいい機会だととらえ、大麻の種の入手先について警察などに正直に話しましょう。
また、自分で使用せず譲渡することで利益を得ることを目的として、大麻を栽培する人もいるでしょう。
その場合にも、逮捕されたしまったときには大麻の譲渡先や売買のルートについて警察などに正直に話しましょう。
正直に話すことで、反省しているという姿勢を示すことができ、刑罰を少しでも軽くできる可能性があります。
(3)具体的な再犯防止対策を立てる
大麻と手を切るためには、「もう大麻とは関わらない」と心で思うだけではなく、具体的な再犯防止対策を立てることが大切です。
再犯防止対策の一つとして、まずは身元引受人を立てることを検討していきましょう。
身元引受人とは、身柄を引き取り監督してくれる立場にある人のことを言います。
逮捕されて身柄を拘束された人は、身柄拘束から解放された際に再び罪を犯すことのないよう、自身の行動を監督してくれる身元引受人の存在が重要になります。
身元引受人は逮捕された人の身柄を引き受け監督する重要な立場にあるため、誰もが身元引受人になれるわけではありません。
身元引受人の条件は法律で決まっているわけではありませんが、一般には責任を引き受ける立場としてふさわしい人が身元引受人となり、具体的には同居の親族や会社の上司等が引受人となることが多いです。
また、専門の治療プログラムを受けることも再犯防止対策として有効です。
大麻を使用している場合、大麻への依存症状の他に知覚障害や精神障害を発症することがあり、正常な判断が難しくなっているケースもあることから、自身の力のみでは大麻への依存から抜け出すことが困難ということが珍しくありません。
専門の治療プログラムを受けることで、少しでも再犯を防止することが期待できます。
身元引受人の存在や治療プログラムへの参加によって再犯防止が期待出来る場合には、社会生活の中での更生が見込めるとして、執行猶予付きの判決がなされる可能性があります。
(4)弁護士に依頼する
刑事事件で逮捕されたら、早急に弁護士に相談し依頼をするのが賢明な判断です。
逮捕されると警察での取調べが行われ、その後検察庁に送致され、10日間の勾留がなされる等、時間が迫る中でどんどん手続きが進んでいきます。
上記のとおり、大麻取締法違反の場合には身柄拘束をされる可能性が高く、何もしなければ最長の期間身柄拘束が続くこともありえるでしょう。
そこで、弁護士に依頼をして、身柄拘束から解放してもらうということが考えられます。
弁護士への依頼が遅れるほど弁護活動を行うことができる時間が減っていくため、早期の段階で弁護士に依頼をすることが重要です。
また、何もしなければただ判決を待つということになってしまいますが、弁護士に裁判などへの対応を行ってもらうことで、刑罰を少しでも軽くする、あるいは不起訴を獲得するということが考えられます。
この点についても、弁護士への依頼が遅れるほど準備を十分に行うことが出来なくなってしまうため、やはり早期の段階で弁護士に依頼をすることが重要です。
6、大麻の栽培で逮捕されたら薬物事件に強い弁護士に依頼することが大切!
大麻の栽培で逮捕された場合、初犯であったとしても逮捕・勾留をされる可能性が高いです。
薬物事件は再犯率が高いため、どのような弁護活動をするかによって、身柄拘束からの解放や執行猶予の有無に大きく影響が生じます。
弁護士に依頼せずしっかりとした弁護活動を行ってもらえなければ、証拠隠滅の恐れあり・反省の態度なし・再犯の可能性あり等、不利な心証を抱かれ、それが身柄拘束の期間や刑罰の重さに大きく関わってきます。
逮捕された場合はなるべく早い段階で薬物事件に強い弁護士に依頼をしましょう。
また、不起訴処分を獲得したり少しでも軽い刑罰を目指したりすることは大切ですが、長期的な目線で考えると、具体的な再犯防止対策をとっていくことも重要です。
大麻と手を切ることは簡単ではないので、弁護士に依頼をすることで専門的な医療機関の利用方法などについてもアドバイスをもらうことができます。
そのためには、薬物事件に強い弁護士を選ぶことが重要です。
そうすることで、しっかりとした弁護活動や再犯防止対策についてアドバイスをもらうことができ、少しでも刑罰が軽くなるよう尽力してもらえるでしょう。
薬物事件に強い弁護士をお探しの方は、以下の記事もご参照ください。
大麻の栽培で逮捕に関するQ&A
Q1.大麻の栽培が重罪とされている理由
「大麻」という言葉を聞いたとき、テレビで報道されるような、密輸入や秘密裏での売買による逮捕のシーンを思い浮かべる人は少なくありません。
無免許ないし無許可での大麻の輸出入や、売買大麻取締法で禁止されていますが(大麻取締法4条1項1号、第3条1項)、無免許で大麻を栽培すること自体も大麻取締法で禁止されています(同法3条1項)。
大麻の栽培とは、種まきから収穫までの行為を指します。
大麻の栽培による刑罰は7年以下の懲役(同法24条1項)、営利目的による大麻の栽培の刑罰は10年以下の懲役(場合によってはこれに300万円以下の罰金が併科されます)となっています(同条2項)。
大麻の栽培は秘密裏に行われやすいこと、単に所持等をする場合に比べると栽培までしていることはより悪質性が高いことから、大麻の栽培については所持・譲渡・譲受よりも刑罰が重くなっています。
また、個人で大麻を栽培するにとどまらず営利目的で栽培していた場合は、大麻が社会に蔓延することを防止する観点からさらに刑罰が重くなります。
Q2.大麻の栽培が発覚すると初犯でも逮捕される?
大麻の栽培が発覚すると初犯でも逮捕される可能性が高いです。
なぜなら、大麻はその形状から隠したり捨てたりすることが容易であるため、証拠隠滅を防止する観点から、初犯であったとしても、逮捕やそれに引き続いて身柄拘束されるケースが多いのです。
検察統計調査によれば、2021年に大麻取締法違反で逮捕された人数は8201人、その内警察から検察へと身柄送致された人数は4908人と、その割合は約60%に及んでいます。
半分以上の確率で大麻取締法違反が発覚すると逮捕され、そのまま身柄拘束が続くのです。
検察統計は「初犯」や大麻の「栽培」に限定したデータではありませんが、大麻取締法による犯罪は、他の犯罪に比べ逮捕率が高い点は頭に置いておくべきでしょう。
Q3.大麻の栽培で逮捕されたときの対処法
①大麻と手を切ることを誓う
まずは、大麻と手を切ることを固く心に誓わなければなりません。
警察や検察での取調べでも、大麻に二度と手を出さないことを決意できているかについてはしっかり確認されますし、大麻に二度と手を出さないという決意の有無が罪の重さにも影響することがあります。
②種の入手先や大麻の譲渡先を正直に話す
大麻の種はお店で気軽に購入できるものではない以上、大麻を栽培しているということは、種の入手ルートが必ずあるということになります。
大麻の栽培をして逮捕されてしまったときには、これを自身の行動を正すいい機会だととらえ、大麻の種の入手先について警察などに正直に話しましょう。
また、自分で使用せず譲渡することで利益を得ることを目的として、大麻を栽培する人もいるでしょう。
その場合にも、逮捕されたしまったときには大麻の譲渡先や売買のルートについて警察などに正直に話しましょう。
正直に話すことで、反省しているという姿勢を示すことができ、刑罰を少しでも軽くできる可能性があります。
③具体的な再犯防止対策を立てる
大麻と手を切るためには、「もう大麻とは関わらない」と心で思うだけではなく、具体的な再犯防止対策を立てることが大切です。
再犯防止対策の一つとして、まずは身元引受人を立てることを検討していきましょう。
身元引受人とは、身柄を引き取り監督してくれる立場にある人のことを言います。
逮捕されて身柄を拘束された人は、身柄拘束から解放された際に再び罪を犯すことのないよう、自身の行動を監督してくれる身元引受人の存在が重要になります。
身元引受人は逮捕された人の身柄を引き受け監督する重要な立場にあるため、誰もが身元引受人になれるわけではありません。
身元引受人の条件は法律で決まっているわけではありませんが、一般には責任を引き受ける立場としてふさわしい人が身元引受人となり、具体的には同居の親族や会社の上司等が引受人となることが多いです。
また、専門の治療プログラムを受けることも再犯防止対策として有効です。
大麻を使用している場合、大麻への依存症状の他に知覚障害や精神障害を発症することがあり、正常な判断が難しくなっているケースもあることから、自身の力のみでは大麻への依存から抜け出すことが困難ということが珍しくありません。
専門の治療プログラムを受けることで、少しでも再犯を防止することが期待できます。
身元引受人の存在や治療プログラムへの参加によって再犯防止が期待出来る場合には、社会生活の中での更生が見込めるとして、執行猶予付きの判決がなされる可能性があります。
④弁護士に依頼する
刑事事件で逮捕されたら、早急に弁護士に相談し依頼をするのが賢明な判断です。
逮捕されると警察での取調べが行われ、その後検察庁に送致され、10日間の勾留がなされる等、時間が迫る中でどんどん手続きが進んでいきます。
上記のとおり、大麻取締法違反の場合には身柄拘束をされる可能性が高く、何もしなければ最長の期間身柄拘束が続くこともありえるでしょう。
そこで、弁護士に依頼をして、身柄拘束から解放してもらうということが考えられます。
弁護士への依頼が遅れるほど弁護活動を行うことができる時間が減っていくため、早期の段階で弁護士に依頼をすることが重要です。
また、何もしなければただ判決を待つということになってしまいますが、弁護士に裁判などへの対応を行ってもらうことで、刑罰を少しでも軽くする、あるいは不起訴を獲得するということが考えられます。
この点についても、弁護士への依頼が遅れるほど準備を十分に行うことが出来なくなってしまうため、やはり早期の段階で弁護士に依頼をすることが重要です。
まとめ
大麻の栽培で逮捕された場合、なぜこっそり栽培していたことが警察に発覚したのかと動揺する人が多いです。
しかしながら、動揺している間にも取調べを始めとした刑事手続はどんどん進んでいきます。
不起訴や少しでも軽い刑罰を目指すために、できる限り早い段階で弁護士に依頼をし、弁護活動を開始してもらいましょう。