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男性の育休の法律はどうなっている?男性が育休を取得する前に知りたい7つの知識!

育休 男性

育休は男性でも取得できることをご存知ですか?

平成29年10月、育休について定めた育児介護休業法が改正され、『子どもが保育所に入れない場合は最長2歳まで育児休業を再延長することができる』、『事業主に、従業員やその配偶者が妊娠・出産したことを知った場合に、当該労働者に対して個別に育休の制度を知らせる努力義務を創設する』などが導入され、育休制度は今までよりもさらに充実した内容となりました。

これまでは女性が産休・育休を取る(または退職する)ことが当たり前と考えられていましたが、昨今ではこのような考えは変わってきています。国も男性の育休を推奨しており、実際に男性が育休を取得する事例も増えています。

それでもまだまだ『普及している』とは言いづらい男性の育休。企業側からは必要な人材が育休で離れてしまうことに懸念点があるため、働く男性はなかなか育休を取りづらいのが現状です。

そこで今回は、

  • 男性でも問題なく取得できるのか?
  • その条件や、取得する前に知っておくべきことは何か?

についてご紹介していきたいと思います。ご参考になれば幸いです。

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1、男性も取得できる育児休業制度(通称:育休)とは

男性も取得できる育児休業制度(通称:育休)とは

引用元:https://www.mhlw.go.jp

『パパ休暇』という制度があります。
これは、子どもが生まれてから8週間以内に男性が育児休業を取得した場合には、その後子どもが1歳に達するまでの間、再度育児休業を取得できるというものです。

男性が育休を取得すれば、育児・家事を分担して女性の負担を減らすとともに、女性の職場復帰をサポートすることが期待できます。

『育児休業』をすることができるのは、原則として1歳に満たない子を養育する男女労働者です。
日々雇い入れられる者は除かれます。

期間を定めて雇用される者は、次のいずれにも該当すれば育児休業をすることができます。

  • 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
  • 子が1歳6か月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと

また、労使協定で定められた一定の労働者は育児休業をすることはできません。

引用元:育児・介護業休業法のあらまし

つまり育休は、男女どちらでも、(日雇い労働者を除く)契約形態にかかわらず取得できる、法律上認められた権利なのです。

対象期間は、原則として、子どもが生まれてから1歳に達するまでの1年間となります。その中の期間で申請してください。
しかし、保育園に入ることが出来ないなどといった理由がある場合、子どもが1>歳6か月に達する日まで延長が可能です。
さらに、法改正がなされ、再度申請すれば最長で子供が2歳に達する日まで再延長が可能になりました。

2、意外と知られていない?!男性も利用できる育休の両立支援制度

意外と知られていない?!育休の両立支援制度

育児と仕事の両立のためのいろいろな制度があるので、ここでご紹介します。
これらは意外と知られていないことが多いので、知識として頭に入れておくといいでしょう。

ただし、以下の制度には、勤続年数等の条件がそれぞれありますので、申し出の際には必ず条件を満たすか確認をしてください。

(1)短時間勤務等の措置

平成24年7月1日に全面施行され、すべての会社で義務付けされたのが、短時間勤務制度です。
この制度は“『3歳に達するまでの子ども』を持つ従業員は、男女に関係なく短時間勤務をすることができる”というものです。

ただし、日雇い労働者や労使協定による適用除外者等、一定の方は条件をクリアしないため短時間勤務制度を使用できません。

なお、「業務の性質又は業務の実施体制に照らして、所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者」として労使協定により適用除外とされた労働者に対しては、会社は代替措置としてフレックスタイム制や始業・就業時刻の繰上げ・繰下げ等の措置を講じなければならないことになっています。

ご自身の状況に応じた利用できる制度を知り、時間を有効に使っていきたいですね。

(2)子の看護休暇制度

小学校にあがるまでの子どもを養育する従業員は、病気、けがをした子の看護をするために年次有給休暇とは別に休暇を取得することができます。
子どもに予防接種や健康診断を受けさせたりする場合も同様です。

該当する子が1人の場合は1年間につき5日、2人の場合は1年間につき10日が限度となります。

(3)法定時間外労働の制限

会社は、小学校にあがるまでの子どもを養育する従業員が会社に申し出をした場合、事業の正常な運営を妨げる場合を除いて、原則として、1か月について24時間、1年について150時間を超える時間外労働をさせてはいけません。

(4)転勤についての配慮

会社は、従業員を転勤させようとする場合にはその育児の状況に配慮しないといけません。
「配慮」というのは、転勤に関する従業員本人の意向の確認や、育児の代替手段の有無の確認を行うこと(例えば転勤先の近隣の保育所調査)等を指します。

(5)所定外労働の制限

会社は、3歳に達しない子どもを養育する従業員が申し出をした場合、事業の正常な運営を妨げる場合を除いて、原則として、所定労働時間を超えて労働させてはいけません。

(6)不利益取扱いの禁止

会社は、従業員が育児休業や子の看護休暇、所定外労働の制限、深夜業の制限などの申し出や利用をしたことを理由に、その従業員に対し、解雇その他の不利益な取扱いをしてはいけないとされています。

ただし、業務上の必要性から不利益取扱いをせざるを得ないような場合で、業務上の必要性が不利益取扱いによって受ける不利益を上回る場合等、一定の場合には、そのような取扱いが適法となる場合もあります。

当たり前のことではありますが、一定の場合を除いて、育休取得等を理由とした不利益な取扱いは法律によって禁止されているので、もしそのような扱いを受けた場合は、専門家に相談する等しましょう。

(7)深夜業の制限

会社は、小学校にあがるまでの子どもを養育する従業員が申し出をした場合には、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、原則として22時から5時までの間において労働させてはいけません。
子どもとの夜の時間は大切な時間ですので、深夜労働されている方はこの制度も活用していきたいですね。

(8)育児休業等に関するハラスメントの防止措置

事業主は、育児休業制度等の利用に関する言動によって、労働者の就業環境が害されることのないよう、労働者からの相談に応じて適切に対応するために必要な体制の整備、その他の雇用管理上必要な措置を講じなければなりません。

3、パパ・ママ育休プラスとは?

パパ・ママ育休プラスとは?

さらに、『パパ・ママ育休プラス』という制度をご存知でしょうか?
下記がこの制度の内容です。

両親ともに育児休業する場合で、次のいずれにも該当する場合には、育児休業の対象となる子の年齢が、原則1歳に満たない子から原則1歳2か月に満たない子に延長されます。

  • 育児休業を取得しようとする労働者(以下「本人」)の配偶者が、子の1歳の誕生日以前のいずれかの日において育児休業をしていること
  • 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
  • 本人の育児休業開始予定日が、配偶者がしている育児休業の初日以降であること

育児休業が取得できる期間(出産した女性の場合は、出生日以後の産前・産後休業期間を含む。)は、これまでどおり1年間です。

引用元:育児・介護休業法のあらまし

引用元:https://www.mhlw.go.jp

つまり、上記の図のように、パパ・ママ合わせて1歳2か月まで67%の育児給付金を受けることもできます。
また、ママの育休が終わった後にパパが2か月の育休を取る方法や、ママの育休中からパパも育休を取ることなどもできます。

パパとママで、どのように育児をしたいのか考えて、その取得方法を検討してみてください。

4、男性が育休をとることのメリットとデメリット

男性が育休をとることのメリットとデメリット

男性が育休を取ることを考えたとき、色々と悩まれる人が多いと思います。
メリット、デメリットを整理してみます。

(1)メリット

最大のメリットは、子どもの成長を間近で感じることができることです。
赤ちゃんは、言葉通り日に日に成長していきます。どんどんできることが増えます。
知らない間にこんなに大きくなってしまった、と感じるのは少し寂しいですよね。

また、お母さんの心の負担、体の負担もとても軽くなります。
産後すぐはもちろん、その後も家事に加え、赤ちゃんのお世話に夜泣きなどで、お母さんは休める時間がほとんどありません。
そのような中、お父さんが、例えば数回でもおむつを替えてくれただけで、お母さんは体も心もとても助かります。

夫婦で子どもの成長を見守り、子どもの成長について会話ができることは家庭を明るくしますし、子どもの成長を共有することは、そのときしかできないため、育休期間はかけがえのない時間になるでしょう。

(2)デメリット

①収入減少

まずは、収入の減少です。

育休を取っている間は、会社からお給料は出ません。
育児給付金が出ますが、子どもが生まれてから6か月の間は給料の67%、その後は50%の額のみが支給されます。
これまで生活の基盤だったお金が入らなくなると、今まで通りの生活ができないかもしれません。

ましてや子どもが生まれるとなにかと出費も多くなります。
先を見通して、育休を取得する前にある程度まとまったお金を貯めておくと安心ですね。

②会社に迷惑をかける?

また仕事の面では、会社、上司、同僚に負担をかけてしまうことが挙げられます。
一人で担当している仕事があればなおのことです。

男性の育児休業は、まだあまり普及していないためマイナスなイメージをもつ人も少なからずいます。
しかし、これからの時代、男性の育休取得は社会にとって重要になると考えられているので、一人の男性が育休を取得することで、世間の育休のイメージを変える一歩になるかもしれません。

5、育休は取りづらい?!男性の育休取得率

育休は取りづらい?!男性の育休取得率

平成29年度の育休取得率は、女性は83.2%、男性はわずか5.14%という結果が出ています。

参考:内閣府男女共同参画局

男性の中には、『育休を利用したかったが実際にはできなかった』と考える人が多いという調査結果もある通り、やはりまだ男性の育休が浸透しているとは言いづらいでしょう。

この背景には、男性一人ひとりが抱える仕事量の多さが関係します。
育休どころか、普段から有給休暇すらとることができない人もいるくらいですから、実際にはまだまだ会社の体制を見直すことが必要だと考えられます。

そしてデメリットでも述べたように、会社内での周りの反応を恐れるがゆえに育休を使えない人が多いのも現実です。

男性の育休取得率を上げるためには、育休を取得したときのメリットを浸透させたり、育休についての情報交換ができる場を与えたりするなど、会社の努力が必須となります。

6、男性が育休を取得しづらい原因

育休を取得しづらい原因

上記にも述べた通り、男性が育休を取得しづらい原因として、会社の周りの反応が挙げられるでしょう。

『男性が育休?』『仕事はどうするの?』『なぜ育児のために休暇を?』などと思われるのではないか…。
復職しづらいのではないか…。

この普及率からしても、そう考えるのは当たり前です。

実際に上司や同僚から嫌がらせを受けたりするケースもあるようです。これはあってはいけないことですね。
だからこそ、いま国を挙げて育休推進の動きが活発化しています。

7、男性が気持ちよく育休をとるための対策

気持ちよく育休をとるための対策

育休取得へのネガティブな考えをなくすために、いろいろな制度があります。

(1)育休中の給付金について

前述の通り、育休中は会社からの賃金は出ませんが、育児休業給付金制度があります。

育児休業給付金をもらえる条件は

  • 雇用保険加入者であること
  • 育児休業開始前の2年間で1ヶ月に11日以上働いた月が12ヶ月以上あること
  • 育児休業期間中の1ヶ月ごとに、休業開始前の1ヶ月分の賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと
  • 育児休業期間中の各支給単位期間(1ヶ月ごとの期間)の就業日数が10日以下または就業時間が80時間以内であること

育児休業をする従業員は、これを満たしていれば、育児給付金を受け取ることができます。

支払金額は、育児休業開始日を起点として180日目までが給料の67%の額、その後は50%の額で、雇用保険から支払われることになります。

手続きは会社でしてもらうことになりますが、初回振り込み日までは3か月ほど時間がかかり、さらに、支払いは2か月周期となりますので注意してください。

この育児休業給付金がもらえることは経済的にとても助かりますが、やはり男性の給料を基盤に生活をしている家庭にとっては、男性が育休を取った場合、収入減が気になってしまうこともあると思います。

ここで、育児休業給付金の良いポイントとしては、非課税ということ。
つまり育児休業給付金に所得税はかからないので、翌年度の住民税算定額にも含まれません。

また、育休中の社会保険は免除され、育児休業給付金からの控除もありませんし、雇用保険料の控除もありません。

これらを考慮すると、育休前の給料の手取りの最大8割ほどを、育児休業給付金で受け取ることができるのです。
育休をとると収入減で…と悩まれる男性も多いと思いますが、ぜひこのポイントをおさえたうえで育休取得を考えてみてください。

(2)事業主の方への助成金について

従業員が育休を取得することにより、企業にも助成金が支給されるというメリットがあります。
この制度につきましては、以下に記載した要件以外にも詳細な要件がありますので、申請をお考えの方は、厚生労働省HPの支給要綱等で要件を満たすかご確認ください。

『出生時両立支援コース』

男性が育児休業を取得しやすい環境風土づくりの取組みを行い、男性に一定期間の連続した育児休業を取得させた事業主に支給されます。

引用元:平成30年度両立支援等助成金のご案内

主な要件は以下の通りです。

  • 過去3年以内に男性の育児休業取得者(連続14日以上、中小企業は連続5日以上)がいないこと
  • 男性が育児休業を取得しやすい職場づくりのために以下の★のような取り込みを行うこと。

 ★子が生まれた男性に対して、管理職による育休取得の勧奨を行う

 ★男性の育休取得についての管理職向け研修の実施等

  • 男性が子の出生後8週間以内に開始する連続14日以上(中小企業は連続5日以上)の育児休業を取得すること。

『育児休業等支援コース』

1、育休取得時・職場復帰時

『育休復帰支援プラン』を作成し、プランに沿って労働者に育児休業を取得、職場復帰させた中小企業事業主に支給されます。

引用元:平成30年度両立支援等助成金のご案内

2、代替要員確保時

>育児休業取得者の代替要員を確保し、育児休業取得者を原職等に復帰させた中小企業主に支給します。

引用元:平成30年度両立支援等助成金のご案内

厚生労働省が推進しているイクメンプロジェクトというものがあります。
このプロジェクトでは、『育児をする男性が多くなれば妻の生き方が変わり、子どもの可能性が変わり、家族の在り方が変わるはず』とうたわれています。
このように、国を挙げて男性の育休取得は推進されているのです。

このプロジェクトの目的は、男女で育児・家事などを分担して少子化対策にもつなげていこうというものでもあります。将来の日本のために大切なことですね。

また『ワークライフバランス』といって、仕事と仕事以外の生活の調和を図るライフスタイルが注目されていることも、育休が推進される理由のひとつです。
労働時間の長時間化が健康被害や、晩婚化、少子化等へ影響しています。
こういった問題を少しでも改善できる方法の一つとされているのが、男性の育休取得なのです。

まとめ

一般的には、育児=女性という考え方がまだ浸透しているかもしれませんが、男性の育休取得には、社会全体にもさまざまなメリットを生じさせます。

それでも現実的ではない、と考えている人も多いかもしれませんが、前述の通り、育休は国を挙げてさまざまな面から推奨されています。

家族全体の在り方が変わるチャンスになるかもしれません。
ぜひ前向きに検討されてみてはいかがでしょうか。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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