クレジットカード代金滞納の影響と対処法|6つのリスクを解説

クレジットカード,滞納

クレジットカードの代金を支払うお金が足りず、滞納してしまうかもしれない…」
「クレジットカード代金の引き落とし口座にお金を入れるのを忘れて、滞納してしまった!」

こうした状況に直面した際、「何が起こるのか」「どのように対処すべきか」が気になることでしょう。

クレジットカードは便利ですが、つい使いすぎて支払いが滞ってしまうことがあります。その結果、クレジットカードが利用停止になるなどのデメリットが発生するかもしれません。最悪の場合、財産の差し押さえなども考えられます。

そこで、この記事では、

・クレジットカード代金滞納時の影響とは
・クレジットカード代金が支払えない際の適切な対処法
・債務整理を選択した場合のデメリット

など、クレジットカードの代金滞納に関する注意点と対処法について、法律の専門家がわかりやすく解説します。

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1、クレジットカードの支払いを滞納したときに生じる6つのリスク

クレジットカードの支払いを滞納したときに生じる6つのリスク

まずは、クレジットカードの支払いを滞納すると何が起こるのかを確認しておきましょう。

クレジットカードの滞納によるリスクは以下の6つですが、滞納を放置すればするほど大きなリスクを背負ってしまうことに注意してください。

(1)引き落としができなくなる

クレジットカードの利用代金を滞納すると、カードは一時利用停止となります。
早ければ支払期日の翌日、遅くとも数日以内には利用停止となるのが通常です。

利用停止となると、買い物の際にクレジットカードを提示しても決済されないだけでなく、そのカードによる引き落としもできなくなります。

そのため、公共料金をはじめとして、さまざまな支払いを滞納してしまう可能性があります。

(2)遅延損害金がかかる

クレジットカードの支払いが遅れると、1日ごとに遅延損害金がかかります。

遅延損害金の利率は、ショッピング利用分については年14.6%、キャッシング利用分については年20%程度に設定されているのが一般的です。

例えば、利用残高50万円で遅延損害金利率が20%の場合、1か月(30日)滞納すると8,219円もの遅延損害金がかかります

そのため、滞納は早めに解消しなければ、返済が厳しくなる一方となってしまいます。

(3)カードが強制解約される

クレジットカードの滞納を続けていると、やがてそのカードは強制解約されます。

どのくらいの期間滞納を続けると強制解約されるのかはカード会社によって異なりますが、おおよそ2か月滞納を続けると強制解約されるのが一般的です。

強制解約になると、同じ会社のカードや系列会社のカードは二度と作ることができません。

(4)新たなカードの作成やキャッシングもできなくなる

カードを強制解約される段階になると、いわゆるブラックリストに登録されてしまいます。

ブラックリストとは、個人信用情報機関に滞納などの事実が事故情報として登録された状態のことをいいます。

ブラックリストに登録されると、金融機関から「返済能力なし」と判断されるため、他社も含めてクレジットカードの作成やキャッシングが5年~10年はできなくなってしまいます。

(5)一括返済を請求される

滞納を続けていると、利用残高の一括返済を請求されるようになります。

通常の債務者には、決められた期限までは残高を払わなくてよいという「期限の利益」があるので、クレジットカードを滞納しても当初は滞納した分と遅延損害金の支払いを請求されるだけです。

しかし、滞納が長期化すると期限の利益を失ってしまうため、残高を一括で返済しなければならなくなるのです。

こうなると、全額を一括で返済しない限り、滞納を解消することはできなくなってしまいます。

一括返済を請求されるまでの期間もクレジットカード会社ごとの利用規約によって異なりますが、2~3か月程度とされているのが一般的です。

(6)財産を差し押さえられる

一括返済の請求を受けても滞納を放置していると、最終的には財産を差し押さえられることになります。

ただし、いきなり差し押さえられるわけではなく、まずは裁判所から「訴状」または「支払督促」といった書類が届きます。

これらの書類を放置していると、「判決」または「支払督促」が法的に確定してしまい、債権者であるクレジットカード会社は強制執行(財産差押え)の手続きができるようになります。

強制執行の手続きがとられると、通常、給与や銀行口座が差押えられます。

給与が差し押さえられると、毎月の給与のうち原則として4分の1が差し引かれます。
銀行口座が差し押さえられると、カードの利用残高に達するまで口座残高からお金が差し引かれます。

いずれにしても、予定していたお金が手に入らなくなり、生活に困ってしまうことになる可能性が高いでしょう。

また、家や自動車などを所有している場合は、それらの財産が差し押さえられることもあります。

2、クレジットカードの滞納はいつまでに解消すればセーフ?

クレジットカードの滞納はいつまでに解消すればセーフ?

カードの強制解約やブラックリストへの登録、財産差押えなど、クレジットカードの滞納には大きなリスクが伴っています。

では、いつまでに滞納を解消すれば、これらのデメリットを回避できるのでしょうか。

(1)1か月以上の滞納が続くと危険!

滞納しても、すぐに支払えば問題はありません。デメリットは遅れた日数分の遅延損害金がかかるだけです。

しかし、1か月以上滞納を続けるのは危険です。早いところでは滞納1か月で強制解約となるカード会社もあります。

したがって、滞納したまま次の返済日を迎えることは、できる限り避けましょう。

なお、1か月未満の滞納であっても、何度も繰り返すとブラックリストに登録される可能性があります。
そのため、たとえ「うっかり」であっても滞納を繰り返さないことも大切です。

(2)2か月以上の滞納は完全にアウト!

先ほどもご説明したように滞納が2か月以上続くと、カードの強制解約だけでなく、一括返済の請求やブラックリストに登録される可能性が高くなってきます。

ブラックリストに登録されるまでの期間もカード会社によって異なりますが、「61日以上の滞納」がブラック情報として扱われますので、2か月以上の滞納は避けるべきです。

(3)3か月以上の滞納が続くと一括返済を請求されます。

滞納してから3か月が経過すると、ほとんどのクレジットカード会社は一括返済を請求してきます。

この段階までくると、分割払いなどの相談に応じてもらうことは難しくなります。
利用残高を一括で返済しなければ、裁判を起こされて給与や銀行口座を差し押さえられる可能性が高くなります。

早いところでは、滞納から2か月でこの段階にまで至ってしまいます。

したがって、滞納を解消するまでのタイムリミットは「2~3か月」と考えるべきです

3、クレジットカードの滞納は放っておけば時効でなくなる?

クレジットカードの滞納は放っておけば時効でなくなる?

クレジットカード代金の支払い義務は、5年間請求されなければ時効でなくなります。

たった5年で支払い義務がなくなるのなら、時効狙いで放置しようと考える人がいますが、これはおすすめできません。なぜなら、クレジットカード会社も時効の完成を阻止する手段をきちんと取ってくるからです。

まず、クレジットカード会社からの電話や郵便で支払い催促を受けると、そのときから6か月間は時効期間の進行が停止します。

そして、裁判を起こされると時効が更新されます。時効の更新とは、それまで進行してきた時効期間がゼロとなり、改めて一から時効期間がスタートすることをいいます。

更新後の時効期間は、判決や支払督促が確定してから10年間に伸長されます。

「5年間、身を隠しておけば大丈夫では?」と思われるかもしれませんが、それも非常に難しいことです。
クレジットカード会社は住民票を調査して債務者の居場所を突き止めて請求してきます。これを回避するために住民票を異動させなければ、居住地域での行政サービスを受けることができないため、生活は極めて不便なものとなります。

また、仮に身を隠し通せたとしても、クレジットカード会社は「公示送達」という法的手段を使って債務者不在のまま裁判を進めることが可能です。公示送達とは、裁判所の掲示板で所定の事項を公示することによって、裁判書類が債務者に送達されたとみなされる制度のことです。この手続きによって、債務者が知らない間に時効期間が10年に伸長されることになります。

実際のところ、時効によってクレジットカードの支払いから免れるのが可能になるのは、5年以上海外に住んでいた場合や、刑務所に入っていた場合などに限られます。一般の方は、債務の時効消滅は期待しない方がよいでしょう。

4、クレジットカードの滞納をしてしまったらまずやるべきことは?

クレジットカードの滞納をしてしまったらまずやるべきことは?

もし、クレジットカードの滞納をしてしまったら、まずは早急に滞納を解消できるかどうかを考えましょう。

手っ取り早く滞納を解消する方法として、以下のことが考えられます。

(1)お金を工面する

クレジットカードの滞納期間が長くなるとリスクが大きくなりますので、誰かから借りることが可能であれば借りてでも速やかに支払うのが得策です。

ただし、他の金融業者から借りて支払うのは避けるべきです。借入先が増えてしまい、多重債務になってしまうおそれがあるからです。

親や友人など、身近で信頼できる人に借りて、後できちんと返すようにしましょう。

また、給料がすぐにもらえる短期アルバイトをしたり、不用品を売ることなどによってお金を工面することもできますので、可能な方は検討してみましょう。

(2)一時的にリボ払いを利用する

リボ払いとは、クレジットカードやカードローンなどを利用する際に、その月の利用額にかかわらず返済額をあらかじめ決められた一定額にするという返済方法のことです。
リボ払いを利用すれば毎月の返済額を減らせることが多いので、早期に滞納状態を解消できる可能性が高くなります。

ただし、リボ払いでは利息の負担が重く、返済期間が長期化しがちなので、継続的に利用するとかえって返済が難しくなる可能性があることに注意が必要です。
突発的な出費などで一時的に返済が苦しくなったような場合には、リボ払いを利用するのもひとつの方法です。
急場をしのいだら、通常の分割払いに戻しておくことをおすすめします。

5、クレジットカードを滞納してもカード会社に相談すれば待ってもらえる?

クレジットカードを滞納してもカード会社に相談すれば待ってもらえる?

どうしてもすぐにお金を用意できない場合でも、そのまま放置しないで、カード会社に連絡を入れて支払い時期について相談しましょう。

こちらからきちんと連絡をすれば、多くの場合は次の給料日くらいまでは待ってもらえるものです。
また、払える分だけでも先に払えば、残りの滞納分については分割払いにしてもらえることもあります。

ただし、あくまでも待ってもらえるだけであり、滞納を解消するまでは遅延損害金がかかることに注意してください。

だからといって、カード会社からの電話に出ず、督促を無視するようなことをすれば、早期に強制解約などの処分をされてしまう可能性が高まります。
したがって、滞納してしまった場合や、滞納しそうな場合には、早めにカード会社に相談するようにしましょう。

6、クレジットカードの滞納。どうしても支払えない場合の救済手段!債務整理とは

どうしても支払えない場合の救済手段!債務整理とは

滞納額が大きく膨らんでいたり、他にも借金がある、そもそも収入が少ないなどの理由でどうしても払える見込みがないという場合でも、債務整理をすれば解決可能です。

債務整理とは、合法的な手段で債務の減額や免除を得ることによって滞納を解決する手段のことです。

債務整理の具体的な方法として、主に以下の3つがあります。

(1)任意整理

任意整理とは、裁判所の手続きは利用せず、債権者と直接交渉することによって今後の返済額や返済方法を新たに取り決める手続きのことです。

滞納した分を減額してもらうことは基本的にできませんが、毎月の返済額を減らすことが可能なので、今後の返済の負担を軽くすることができます。

他社の債務も含めて、負債総額が比較的少ない人に向いている債務整理の方法です。

(2)個人再生

個人再生とは裁判所の決定によって債務を大幅に減額してもらう手続きのことです。

今後の返済額は原則として負債総額の5分の1にまで減額されます。
クレジットカードの滞納も対象となりますので、個人再生を申し立てることで大幅に減額してもらうことが可能になります。

ただし、最低返済額は100万円と決められているため、負債総額が100万円以下の場合は、基本的に任意整理を選択することになります。

個人再生は、多額の負債を抱えている人で、財産を手放さずに債務を減らしたい人に向いている債務整理の方法です。
特に、住宅ローンが残っているマイホームをお持ちの方には非常にメリットが大きい方法といえます。

(3)自己破産

自己破産とは裁判所の決定によってすべての債務の返済義務を免除してもらう債務整理の方法です。

債務整理の中でも最も効果の高い方法といえますが、「免責不許可事由」というものがあり、借金の使い途に問題があれば返済義務が免除されないことに注意が必要です。

例えば、クレジットカードのショッピングでブランド品を多数購入していたり、キャッシングでギャンブルやその他の浪費をしている場合には、自己破産できない可能性もあります。

日用品の購入や生活費・債務の返済のためにクレジットカードの利用やカードローンを使いすぎて多額の負債を抱えた人には、自己破産が向いているといえます。

7、クレジットカードの滞納における債務整理のデメリットは意外に少ない?

債務整理のデメリットは意外に少ない?

債務整理をすればクレジットカードの滞納は解消できますが、その反面、債務整理にはデメリットもあります。
そのデメリットが気になって債務整理を躊躇している方も多いのではないでしょうか。

しかし、債務整理のデメリットは、一般の方が漠然と抱いているイメージよりは少ないものです。

すでにクレジットカードを滞納している方は、滞納を続けることによるデメリットと債務整理のデメリットのどちらが大きいのかをよく考えて、適切に対処することが重要となります。

以下で、債務整理の主なデメリットについて考えていきましょう。

(1)ブラックリストへの登録期間が延びる?

債務整理をすると、ブラックリストに登録されます。登録期間は、以下のとおりです。

  • 任意整理の場合:完済から5年
  • 個人再生の場合:再生計画案の認可決定が確定してから10年
  • 自己破産の場合:免責許可決定が確定してから10年

この年数だけを見ると、債務整理をすることで登録期間が延びると思われるかもしれません。

しかし、債務整理をしなくても滞納を続けるとブラックリストに登録されます。
しかも、その場合は滞納を解消しない限りずっとブラックのままとなります。

早めにお金を工面して滞納を解消できるのならそれに越したことはありませんが、滞納を解消するのが無理な場合は、債務整理をした方が結局は早くブラックリストから解放される可能性が高いといえるでしょう。

(2)財産を没収される?

任意整理と個人再生の場合は、基本的に財産を没収されることはありません

自己破産では一定の価値のある財産は没収されますが、生活に必要な財産は没収されませんので、以外に多くの財産を手元に残すことができます。

一方、債務整理をしなければ最終的に財産を差押えられます。
この場合、滞納した分を含めて利用残高と遅延損害金を完済するまで、際限なく財産を失ってしまうことになります。

(3)弁護士費用が高い

債務整理を適切に行うためには専門的な知識や技術が必要となるため、弁護士に依頼するのが一般的です。そのためには弁護士費用が必要となります。

債務整理にかかる弁護士費用は、債務整理の種類や事案の内容によっても異なりますが、数十万円ほどかかるのが一般的となっています。

たしかに安い費用とはいえませんが、債務整理による経済的効果を考えれば、トータルで見て大きな得となる場合が多いといえます。滞納を放置していると遅延損害金が増え続けるのに対して、債務整理をすれば将来利息や遅延損害金のカット、元金の大幅な減額や全部免除も可能となるからです。

なかなか滞納を解消できない場合や、他にも借金を抱えている場合は、弁護士費用を負担してでも債務整理をするメリットは大きいといえるでしょう。

8、クレジットカードを滞納したら早めに弁護士に相談を

クレジットカードを滞納したら早めに弁護士に相談を

3種類の債務整理はそれぞれに特徴が異なりますので、適切な手段を選択するには専門家のアドバイスを受けることが重要です。早めに弁護士に相談することで傷が浅くて済みますし、早期に解決できる可能性も高まります。

なお、弁護士に相談すれば必ず債務整理の依頼を勧められるというわけではありません。
債務整理以外の方法で解決できる可能性があれば、弁護士からその旨のアドバイスが得られるはずです。

ですので、債務整理を希望する方も、そうでない方も、クレジットカードの滞納をすぐに解消できない場合は早めに弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

クレジットカードを滞納してしまうと、すぐに解消すれば問題ありませんが、滞納を続けるとこの記事でお伝えしてきたように大きなリスクを背負うことになります。

お金の問題で行き詰まると、どうすべきなのかを冷静に考えられなくなることもあるかもしれませんが、そんなときこそ弁護士に相談しましょう。

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