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サイバー犯罪とは?身を守る方法と被害に遭ったときの対処法

サイバー犯罪とは?身を守る方法と被害に遭ったときの対処法

サイバー犯罪とは、コンピュータ技術及び電気通信技術を悪用した犯罪のことです。
簡単に言えば、パソコンやスマホなどを使ってインターネットを介して行われる犯罪です。

以前はコンピュータやインターネットに関する高度な知識や技術を駆使して行われる犯罪が多かったため、

  • コンピュータ犯罪
  • ネットワーク犯罪
  • ハイテク犯罪

などと呼ばれていました。

しかし、最近では、パソコンやスマホが普及してインターネットを活用する人が増えるにつれて、従来はコンピュータなどとは無関係だった様々な犯罪もネットを介して行われるケースが増えてきています。

そのため、誰もがサイバー犯罪の被害に遭う危険にさらされているといっても過言ではありません。

そこで今回は、

  • サイバー犯罪にはどのようなものがあるのか
  • サイバー犯罪の被害を予防する方法とは
  • サイバー犯罪の被害に遭ったときの対処法とは

といった点を中心にサイバー犯罪について詳しく解説します。

サイバー犯罪に対し不安を感じている方も、実際に被害に遭ってしまった方も、この記事を役立てていただければ幸いです。

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1、サイバー犯罪の種類

冒頭で説明したように、現在はインターネットを介して行われる様々な犯罪のことを総称してサイバー犯罪と呼びます。

また、犯罪の内容や犯罪行為の対象、行為態様などに着目して、サイバー犯罪は以下の3つの類型に分類することができます。

類型ごとに被害を予防する方法や被害に遭ったときの対処法が異なるので、まずはどのような犯罪がどの類型に該当するのかを把握しておきましょう。

(1)コンピュータ犯罪

一つ目は、コンピュータ又は電磁的記録を対象とした犯罪の類型です。比較的古くからある犯罪類型です。

この類型に該当する犯罪の例として、以下のようなものがあります。

  • 金融機関のオンライン端末を不正操作して、他人の口座から自分の口座へ金銭を移し替えること(電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2))。
  • 業務用コンピュータやその中に保存されているデータを破壊したり改ざんしたりして業務を妨害すること(電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法234条の2))。
  • コンピュータウイルスを作成・保管し、他人のコンピュータに感染させること(不正指令電磁的記録作成等罪(刑法168条の2)、不正指令電磁的記録取得等罪(刑法168条の3))。なお、ウイルス作成罪・提供罪とも呼ばれることがあります。

(2)ネットワーク利用犯罪

二つ目は、上記(1)の「コンピュータ犯罪」以外の犯罪で、コンピュータ・ネットワークをその手段として利用した犯罪の類型です。

この類型に該当する犯罪は、インターネットが普及するにつれて増加してきました。

  • ネット上の掲示板にわいせつ画像や児童ポルノ画像を掲載すること
  • SNSや掲示板を通じて違法薬物を販売すること
  • ホームページやSNSに特定の個人を誹謗中傷するメッセージを投稿すること
  • ネットオークションなどで商品販売を装って落札者から代金をだまし取ること
  • 脅迫的なメールを送信したり、掲示板に殺害予告を投稿したりすること

(3)不正アクセス禁止法に違反する犯罪

三つ目は、他人のIDやパスワードを利用して無断でその他人が管理するシステム内に侵入するなど「不正アクセス禁止法」に違反する類型のサイバー犯罪です。
SNSやネット通販、ネットバンクなどIDやパスワードを活用したオンラインサービスが普及するにつれて、この類型のサイバー犯罪も増加してきました。

不正アクセス禁止法に違反する主な犯罪は、以下のようなものです。

  • 他人のIDやパスワードを無断で入力してその人のSNSにログインすること(なりすまし)
  • 特殊なデータを入力することでコンピュータ上のアクセス制御機能を回避し、他人が管理するシステム内に侵入すること(ハッキング)。
  • 偽のメールやホームページなどでIDやパスワードの入力を不正に要求すること(フィッシング)。
  • 他人のIDやパスワードを無断で第三者に提供すること(不正アクセス助長行為)。

2、サイバー犯罪の特徴

サイバー犯罪には、以下のように一般的な犯罪とは異なる特徴があります。

(1)匿名性が高い

サイバー犯罪は、インターネット上の情報空間で行われるため、どこの誰が行っているのかが容易には判明しません。
被害者にとっては犯人の特定が困難であり、犯人にとっては犯行に対するハードルが低いといえます。

(2)証拠が残りにくい

一般的な犯罪であれば指紋や筆跡などの物的痕跡や目撃情報など、何らかの証拠が残るものですが、サイバー犯罪ではこのような証拠は残りません。
ログなどの電子データは残りますが、通常は一定期間が経過すると消失する上、犯人によって消去されることもあります。

(3)不特定多数の者にまで被害が及びやすい

インターネットでは一瞬にして全世界への情報発信が可能であるため、サイバー犯罪の種類によっては不特定多数の人に被害が及んでしまう場合があります。

例えば、振り込め詐欺では電話や訪問による手口だと被害はまだ限定的ですが、SNS等を活用することによって広域かつ不特定多数の人が被害に巻き込まれるおそれがあります。

また、リベンジポルノの画像がネットに投稿されると、撮影された人のプライバシーが不特定多数の人に対し流出し、事実上流出前の状態に戻すことは困難なので、被害が深刻化します。

(4)時間的にも場所的にも制約がない

サイバー犯罪は、インターネットさえ利用できる環境にあれば365日24時間、世界のどこからでも実行が可能です。物理的にターゲットを探すことなく、犯罪を実行できてしまうのです。

(5)罪の意識が乏しい場合がある

サイバー犯罪にはこれらの特徴があるので、犯人にとっては犯行に対するハードルが低くなっています。そのことから、罪の意識もなく犯罪を実行してしまうケースが少なくありません。

また、SNSに特定の個人を誹謗中傷するメッセージを書き込む行為や、ネット上で他人の写真や文章を盗用する行為などは、犯罪に該当することを知らずに実行している人も多くいます。

3、最近のサイバー犯罪の傾向

一般的な犯罪に比べて、サイバー犯罪は時代によって傾向が著しく変化することがあります。

ここでは、最近のサイバー犯罪の傾向をみていきましょう。

(1)検挙件数は年々増加

警察庁の統計によると、2019年に検挙されたサイバー犯罪の件数は9,519件と過去最多となり、年々増加傾向が続いています。

この件数は事件が捜査機関に発覚して犯人が取り調べられたもののみであり、実際にはさらに多数のサイバー犯罪が発生していると考えられます。

(2)多種多様な犯罪がネット介して行われるようになった

ネットバンキングにかかる不正送金やハッキング・フィッシングのようにコンピュータに関する専門的な知識や技術を要する犯罪も多発していますが、そうではない犯罪もネットを介して行われるケースが増えています。

ネットワークを利用して行われる犯罪のうち、検挙件数が多いものとして以下のようなものが挙げられます。

  • 児童買春
  • 児童ポルノ規制法違反
  • 青少年保護育成条例違反
  • 詐欺
  • わいせつ物頒布等罪
  • 著作権法違反
  • 脅迫
  • 商標法違反
  • ストーカー規制法違反
  • 名誉毀損

(3)今後も増加が見込まれる

インターネットの利用者は今後も増え続け、ネット上のサービスも多種多様化し続けることでしょう。

それに応じて、サイバー犯罪の発生件数も増加していくとともに、さらに多種多様化していくことが予想されます。

4、サイバー犯罪の逮捕事例

ここでは、実際に発生したサイバー犯罪の逮捕事例をいくつかご紹介します。

(1)ネットバンクでの不正送金により逮捕されたケース

2019年8月、ネットバンキングに不正アクセスし、他人の口座から金銭を自分の口座に送金させたとして、電子計算機使用詐欺の容疑で名古屋市の男子大学生が逮捕されました。

この事件では、他人のIDやパスワードを使用してネットバンキングへの不正アクセスが行われています。警察は、別の者がフィッシングにより他人のIDやパスワードを取得し、この男子大学生らに犯行を指示したものとみて調べています。

(2)Twitterに誹謗中傷の投稿をして逮捕されたケース

2020年7月、アイドルグループのメンバーを誹謗中傷する内容をTwitterに投稿したとして、名誉毀損の疑いで東京都新宿区の男性が逮捕されました。

SNSでの誹謗中傷の事案は近年特に多発しており、深刻な被害も発生していることから、法規制を強化する動きもあります。

(3)コンピュータウイルスを自作して逮捕されたケース

2017年6月の事件ですが、コンピューターウイルスを自作したとして大阪府内の男子中学生が不正指令電磁的記録作成・保管の容疑で逮捕されました。

この男子中学生は「力試しに作ってみたらできた」と話しているとのことです。

5、サイバー犯罪の被害から身を守る方法

サイバー犯罪では、知らないうちに多額の預金が奪われたり、プライバシーが流出したりするなど深刻な被害を受けてしまうことがあります。

現実の世界では悪い人が近づいてきたら顔や態度、身なりなどを見て警戒することもできますが、ネット空間では相手の様子を見ることすらできません。

そんなサイバー犯罪の被害から身を守るためには、以下のポイントに注意することが必要です。

(1)自己責任が原則

突き詰めていえば、あらゆる犯罪の予防策は自己責任ですが、サイバー犯罪についても例外ではありません。

無差別にサイバー攻撃をしかけてくるような犯罪に対しては防御が難しいこともありますが、一般の個人に対してサイバー攻撃がしかけられるケースはまれです。

サイバー犯罪はほとんどの場合、被害者の落ち度につけ込んで発生しています。そのため、インターネットを利用する際は以下のように危険を避けるための行動が重要です。

①信頼できないサイトにアクセスしない

ネット空間には様々なサイトがありますが、なかにはサイトを見ただけでウイルスに感染するようなものもあります。

その他にも、虚偽の情報によって詐欺の被害に遭ったり、個人情報を抜き取られたりすることもあります。危ないところには近づかないことが重要です。

②不審な添付ファイルを開かない

コンピュータウイルスへの感染は多くの場合、メールなどに添付されたファイルを開くことによって発生します。

知らない相手から送られてきた不審な添付ファイルは開かないようにしましょう。

③偽のアプリをダウンロードしない

最近は偽のアプリをダウンロードすることによってウイルスに感染する事例も急増しています。
アプリを入手する際は、公式アプリストアのみを利用したり、事前にレビューをチェックしたりするなどして、問題のないアプリかどうかを確認しましょう。

(2)情報を管理する

ネットの世界は情報空間です。情報を管理することも自己責任が原則です。

①個人情報の安易な公開や入力・送信に注意する

個人情報が流出する原因として最も多いのが、自分で個人情報を漏らすことです。SNSを利用している方は、安易に個人情報を公開しないようにしましょう。

また、虚偽の情報によって何らかのサービスに登録するように誘導し、個人情報を入力させるフィッシングの被害も多発しています。

個人情報を入力・送信する際には、信頼できるサービスかどうかを十分に確認することが必要です。

②ID・パスワードを他人に教えない

IDやパスワードを他人に教えると、そこから第三者へ流出する危険が常にあります。自分のIDやパスワードは厳重に管理しても、他人の情報の管理は甘くなってしまうこともあるでしょう。

そのため重要なIDやパスワードは他人に教えないようにしましょう。

また、パスワードを設定する際は他人に推測されやすいものは避け、定期的に変更することも大切です。

③信頼できない相手にクレジットカード番号を送信しない

最近はクレジットカードの番号や有効期限、氏名・生年月日さえ分かればサインや暗証番号の入力不要で決済できるサービスが増えています。

そのため、クレジットカード番号が流出すると不正使用される危険性が高まっています。

信頼できない相手にクレジットカード番号等を送信するのは危険です。

(3)コンピュータを管理する

ウイルスへの感染やサイバー攻撃を防止するためには、ご自身がお使いのコンピュータを適切に管理することも重要です。

①OSをアップデートして最新の状態に保つ

まず、コンピュータのOS(基本ソフト)を随時アップデートして、最新の状態を保つようにしましょう。

OSを古い状態のままにしておくと、ウイルスへの感染や不正アクセスされる危険性が高まります。

②ウイルス対策ソフトを導入する

インターネットを利用する以上は、ウイルス対策ソフトの導入は必須と考えるべきです。

ただ、ウイルス対策ソフトも一度ダウンロードすれば安心というわけではありません。随時、最新版に更新しておかなければ新しいウイルスに対応できない可能性があるのでご注意ください。

③迷惑メールの受信を拒否する

迷惑メールは無視すれば問題ありませんが、なかには正規の業者や官公庁を装ったメールで、注意深く見なければ偽物と気付かないようなものもあります。

しかし、そのようなメールの内容を鵜呑みにしてしまうと詐欺やフィッシングの被害に遭うおそれがあります。添付フィルを開くことによってウイルスに感染してしまうおそれもあります。

迷惑メールに対しては、受信拒否の設定をしておくことが賢明です。

6、サイバー犯罪の被害に遭ったときの対処法

サイバー犯罪に対しては、被害に遭わないように予防しておくことが大切ですが、犯行の手口は日々、巧妙化しています。そのため、不意に被害に遭ってしまうこともあるでしょう。

万が一、サイバー犯罪の被害に遭ってしまったときは、以下の対処法が考えられます。

(1)証拠を確保する

まずは、証拠を確保することが必要です。証拠がなければ警察に動いてもらうことも難しいですし、加害者に対し民事上の責任を追及することも困難です。

どのような証拠を確保すればよいのかは犯罪の種類によって異なりますが、基本的には以下のようなものが重要な証拠となります。

  • ページのスクリーンショットやキャプチャ画像、プリントアウトしたもの
  • サイトのURL
  • 相手の氏名(社名)、住所、電話番号、メールアドレス
  • 相手とのやりとりの記録(メール、メッセージなど)

(2)警察に相談する

問題のあるサイトや相手の情報に関する証拠を確保した後は、警察に相談しましょう。

ただ、相談や被害届の提出のみでは捜査を開始してもらえないこともよくあります。本格的に警察に動いてもらうためには、告訴の手続をするのがおすすめです。

(3)具体的な被害の回復を図る

犯人が逮捕されたとしても、必ずしも警察が被害金を取り戻してくれたり、SNSへの誹謗中傷の投稿を削除したりするわけではありません。

具体的な被害の回復を図るためには、ご自身から犯人に対して金銭の返還を請求するなどの行動が必要になります。

ご自身で対応するのが難しい場合は、早めに弁護士に相談した方がよいでしょう。

7、サイバー犯罪の被害に遭ったら弁護士に相談を

サイバー犯罪の被害に遭うと、犯罪の種類にもよりますが、早急に対処しなければ取り返しのつかない深刻な被害を受けてしまうこともあります。

しかしながら、適切に対処するためには一般的な犯罪の場合よりも専門的な知識やノウハウが必要なケースも多く、ご自身ではどうすればよいのか分からないこともあると思います。

そんなときは、一人で悩まずに弁護士に相談してみましょう。

サイバー犯罪に詳しい弁護士に相談することで、豊富な知識と経験に基づいた適切なアドバイスを受けることができます。

依頼すれば、弁護士があなたの代理人として複雑な手続きや犯人との交渉などを代行し、被害の回復を図ることもできます。

まとめ

インターネットは私たちの生活に様々なメリットをもたらしてくれる便利なもので、いまや多くの人にとって不可欠なものといっても過言ではありません。

しかし、インターネットの利便性を悪用したサイバー犯罪が多発しているのも実情です。今後もサイバー犯罪はますます増加・多様化していく可能性があります。

それだけに、私たちの一人一人がサイバー犯罪の被害に遭わないように予防策を万全にしておくことが重要になります。

万が一、サイバー犯罪の被害に遭ってしまったときは、お早めに弁護士に相談されることをおすすめします。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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