ショッピングローンを組みすぎて支払いが苦しい…。このような場合には、カードローンなどの場合と同様に債務整理で解決することができます。
今回は、「ショッピングローンを債務整理する3つの方法」などについて解説します。
目次
1、ショッピングローンは債務整理で解決できる?
「ショッピングローンは、カードローンやクレジットカードとは違うので債務整理ができないのではないか?」と心配な方もいるでしょう。
たしかに、ショッピングローンはカードローンなどとは違い、個別の買い物などを対象とするローン契約なので、カードローンやクレジットカードでの分割払いとは違う点もあります。
しかし、金銭支払いの義務を負う契約であることには変わりがないので、債務整理で解決することができます。
また、ショッピングローンのほとんどは、個別の小売店と提携している信販会社(金融機関)が提供しているものですから、債務整理を拒否されるということもほとんどありません。
2、ショッピングローンを債務整理する3つの方法
債務整理には、
の3つの方法があります。
3つの手続はメリット・デメリットも異なるので、ショッピングローンを債務整理で解決する際には、それぞれのケースに適した方法を選択することが大切です。
(1)手数料負担で毎月の返済が苦しい場合|任意整理
ショッピングローンを利用した場合には、毎月の分割での支払いに手数料が発生します。
この手数料は、借金でいえば利息に該当するもので、その負担の程度もカードローンの金利に匹敵するくらい重いものです。
例えば、ある信販会社のショッピングローンを利用して30万円の商品を36回払いで購入した場合の手数料は実質年率15%で月々の支払いは約1万373円となります。
完済までの支払い総額では37万3440円になりますから、手数料だけで7万3440円も負担することになってしまいます。
手数料の負担が原因で返済が苦しくなった場合には、「任意整理」を利用して解決することが特に有効です。
任意整理を利用すれば、信販会社との交渉により、将来の手数料のカットや、月々の支払額の見直しを行い、今後の支払いを立て直すことができるので、上の例でいえば返済額を7万円圧縮できることになります。
(2)手数料なしのショッピングローンが返済できなくなった|個人再生
手数料無料のショッピングローンを多く利用しすぎてしまって、返済ができなくなってしまったり、新居のためにそろえた家具・家電のショッピングローンが払えなくなってしまったというように「100万円を遙かに超える多額のショッピングローン」が返せなくなったという場合には、「個人再生」が有効です。
個人再生は、将来の利息だけでなくローンの元金の一部も免除してもらえるので、借金をより多く減額してもらえるからです。
個人再生をすると、民事再生法が定めている「最低弁済基準額」までローンの元金を減額してもらえるのが原則です。
最低弁済額は、負債額に応じて設定されていて、たとえば100万円以上500万円までのローンは100万円までの減額をされることになっています。
しかし、100万円以下のローンには減額されないので、個人再生を利用するメリットはありません。
なお、すべてのケースで最低弁済基準額まで減額されるというわけではなく、「清算価値(債務者のマイホーム、預金、自動車、退職見込額、生命保険の解約返戻金などの自己破産した場合に差押えの対象となる財産の総額)」が最低弁済基準額よりも高額な場合は、清算価値の金額まで返済しなければなりません。
たとえば、ショッピングローンが300万円ある場合に、資産価値が500万円のマイホームと50万円の預金があるときには、清算価値が550万円以上となり、総債務額の300万円を超えてしまいますので、個人再生をすることはできません。
したがって、住宅ローン残額の少なくなった(支払いの終わった)マイホームをもっている人や多額の退職金(見込額)のある人は慎重に対応する必要があります。
(3)何かしらの事情で返済が不可能になってしまった|自己破産
任意整理・個人再生は、ローンの返済負担を軽くしてもらった上で残額を分割で返済していく方法です。
したがって、必要とされる金額を返済できるだけの資力(毎月の収入)がないときにはすることができません。
自己破産は、任意整理・個人再生とは異なり、自己破産の時点(破産手続開始決定の時点)における負債と財産を清算する手続です。
したがって、手続き後に分割返済をする必要もなく、突然会社が倒産してしまったり、債務者が病気になり働けなくなってしまったり、何かしらの事情で返済が不可能になってしまったときでもショッピングローンを解決することができます。
しかし、自己破産でショッピングローンの返済義務を免除してもらうためには、自己破産後に「免責」を認めてもらう必要があります。
万が一、免責が認められなかった場合には、清算後に残ったローンは、一括で返済しなければならなくなってしまいます。
この点に関しては、「全く返済していないショッピングローンがある」という場合に特に注意する必要があります。
1度も返済していないショッピングローンがあるときに自己破産の申立てをすることは、「詐欺破産」とみなされるおそれがあり、免責どころか、破産手続の開始すら認めてもらえない可能性があるからです。
また、ショッピングローンを組む際に、
- 収入などを偽って申し込んだという場合
- 自己破産の手続で財産隠しがあった場合
- 裁判所・破産管財人に協力をしなかった場合(期日を無断欠席した場合など)
には、免責不許可となってしまう可能性もあるので注意しましょう。
なお、高額なブランド品をショッピングローンで購入したような場合には、自己破産することで商品が差し押さえられることもあります。
3、ショッピングローンを債務整理したときのデメリット2つ
債務整理をすれば、必ず一定のデメリットが生じてしまいます。
以下では、ショッピングローンを債務整理したときに生じる2つの基本的なデメリットについて確認していきます。
(1)ブラックリスト入りすることの悪影響
ショッピングローンを債務整理すると、信用情報機関に「事故情報(債務整理をしたこと)」が登録されます。
つまり、「ブラックリストに載る」ということです。
事故情報が登録されると、新規にローンを組めない、クレジットカードを作れないというデメリットだけでなく、債務整理の対象としなかったクレジットカードでも利用停止や、更新拒否となってしまう場合があります。
しかし、このデメリットは一生続くわけではありません。事故情報は、所定の保存期間を過ぎると消去されるからです。
事故情報が消去された後であれば、収入などに問題がなければ新たにクレジットカードを作ることも可能です。
(2)購入商品の引き上げリスク
ショッピングローンを債務整理すると、購入した商品を、債権者である信販会社に引き上げられてしまうリスクがあります。
ほとんどのショッピングローンの契約には、代金を完済するまでは、購入した商品の所有権をローン会社が留保する条項が設けられているからです。
特に、中古市場の確立している商品(ブランド品、家電など)は、中古品であっても一定以上の売値がつく可能性も高いので、引き上げの対象になる可能性が高いでしょう。
実際に、家電量販店などによって商品が引き上げられるケースもないわけではありません。
なお、代金完済前の商品を転売してしまうことは、ローン契約違反となるだけでなく、債権者と買主との間のトラブルを誘発する可能性もありますので、絶対にしてはいけません。
4、ショッピングローンの債務整理を弁護士に依頼する3つのメリット
債務整理は、債務者が自分で手続を行うことも可能ですが、弁護士に依頼した方が(費用を負担したとしても)メリットが大きいといえます。
(1)相談は「無料」で受けられる
多くの法律事務所では、債務整理の相談を無料で行っています。
相談費用の心配もありませんので、ショッピングローンの返済に苦しんでいて、債務整理について不安なことがあれば、弁護士に相談してみましょう。
難しい問題を抱えたときには、自分の置かれた状況を専門家に客観的に判断してもらうことは、とても大切なことといえます。
1人で問題を抱え込んでしまうと、冷静な対応ができなくなり、間違えた対応をしてしまいやすくなるといえます。
今まで以上に他人に相談もしづらくなり状況が悪化し続けるという悪循環になってしまいます。
弁護士に相談をしても家族などにローンの悩みが漏れることはありませんので、1日も早く債務整理の専門家である弁護士に相談してみましょう。
(2)債権者からの取立てをストップできる
債務整理を弁護士に依頼すると、弁護士から債権者(信販会社)へ「受任通知」が送付されます。
受任通知が送付されると、債権者からの取り立てがストップされ、返済からも一時的に解放されます。
弁護士からの受任通知を受け取った債権者は、法律などの規制により、債務者の代理人である弁護士以外への取り立て行為を禁止されます。
さらに、債務整理の着手後には債権者間の公平性を保つために個別の返済も債務整理が終わるまでは一時的にストップさせるのが一般的です。
したがって、債務整理を依頼すれば、「債権者からの督促(取り立て)」や「返済日」を心配する必要がなくなるので、ショッピングローンを返済するために借入れを繰り返す「自転車操業」などの危険な対応も不要となります。
安定した収入があり、ローンの残額が大きすぎないケースであれば、弁護士に債務整理を依頼して、債権者からの取り立てをストップさせることで、安定した生活を取り戻すことにより、家計状況が一気に改善されることも珍しくありません。
(3)ローンを支払えなくなった原因と向き合うきっかけになる
返済することができないほどのショッピングローンを抱えてしまう人には、浪費癖・買い物依存といった内面的な問題を抱えている場合も少なくありません。
このような場合には、債務整理を行ったとしても、その大元の原因を解決しなければ、同じことの繰り返しになる(ほとぼりが冷めた頃にまた返せないほどの借金を抱えてしまう)可能性があります。
債務整理に詳しい弁護士には、これらの問題解決の支援をしてくれる機関などにも詳しいことが少なくありません。
また、問題解決のためには家族などの周囲の人の支援も重要となってきますので、うまく間に入ってもらえることも弁護士に債務整理を依頼するメリットといえます。
まとめ
ショッピングローンは、まとまったお金がなくても、高額な商品を購入することができる便利な仕組みです。
しかし、審査が甘い・便利だからと利用しすぎてしまえば、当然に返済も苦しくなります。もし、返済が苦しいと感じているのであれば、1日も早く返済の負担を減らすための対応をすることが大切です。
1人で悩み、誤った対応をしないためにも、無料相談を利用して弁護士に相談してみましょう。
弁護士には守秘義務があるので、安心して相談することができます。