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当番弁護士とは?国選弁護人、私選弁護人との違いも解説

当番弁護士

当番弁護士とは、逮捕期間中(逮捕から最大72時間)に、逮捕されて身体拘束されている方と1回だけ接見して、様々なアドバイスをする弁護士です。

1990年代後半に日本テレビ系の「火曜サスペンス劇場」でシリーズ化されていたこともある「当番弁護士」。刑事ドラマなどがお好きな方には知られていても、一般にはほとんど知られていないのではないでしょうか。

そこで今回は、

  • 当番弁護士とは
  • 当番弁護士がしてくれること(当番弁護士に頼めること)
  • 国選弁護人と私選弁護人との違い

などについて、しっかり解説していきます。

逮捕されたらどのように自分の権利及び利益を守るのか,そのためには弁護士をどのように活用していくべきか、分かりやすく説明していきますので、ぜひ参考にしてください。

弁護人について知りたい方は、以下の関連記事もご覧ください。

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1、当番弁護士とは?

当番弁護士

当番弁護士とは、逮捕期間中(逮捕から最大72時間)に、逮捕されて身体拘束されている方と1回だけ接見して、様々なアドバイスをする弁護士です。

そして、当番弁護士は、各弁護士会から派遣されるため、自分で弁護士を探して依頼する必要はありませんし、費用も弁護士会が負担しているから無料です。

2、似て非なる「当番弁護士」と「国選弁護人」との違い

当番弁護士

「当番弁護士」は「国選弁護人」と勘違いされがちです。

当番弁護士は、最大72時間の逮捕期間中に,費用の負担なしで利用できる代わりに、1度の接見だけを行う制度であるのに対して、国選弁護人は、最大72時間の逮捕期間が終わった後に身体拘束を続ける手続きである(被疑者)勾留された時か、刑事裁判にかけられることが決まった後に、国が弁護士費用を負担し、一定期間継続的に弁護活動をおこなってくれる制度です。

なお、無料になることが多いのですが、後で費用の負担を命じられる場合もあります。

本項では、この2つの弁護士の利用制度について、以下項目に分けてご説明していきます。(最後には、違いをまとめた表を載せています。)

(1)依頼できる時期

逮捕から始まる刑事手続の流れについては、以下のフロー図をご覧ください。

①当番弁護士

逮捕期間中(逮捕直後から最大72時間)

②国選弁護人

起訴前の勾留(被疑者勾留)された後か、公判請求(起訴:刑事裁判を求める手続き)された後

当番弁護士

参照 https://best-legal.jp/arrest-flow-1523

(2)依頼できる者

①当番弁護士

被疑者(本人)、被疑者の家族、被疑者の関係者(例:友人、福祉関係者など)

②国選弁護人

原則として被疑者

(3)条件

①当番弁護士

なし

②国選弁護人

原則として資力50万円以下

ただし、資力が50万円を超える場合であっても、弁護士会に対し私選弁護人の選任の申出したにも関わらず、弁護人からの拒絶等により弁護人が選任されないときは、国選弁護人を選任することもできます。

(4)依頼の方法

①当番弁護士

逮捕された人であれば、警察官に「当番弁護士を呼んでください」と伝えれば、警察官が弁護士会と連絡を取り,当番弁護士を呼んでくれます。

警察官によっては、「(当番)弁護士を呼ぶか?」と聞いてくれるので、その時に頼むこともできます。
お金の心配をして当番弁護士を呼ばない人も多いのですが、無料なので是非利用しましょう。

家族の方であれば,各都道府県にある弁護士会が設けた専用の電話番号に電話することで弁護士会が対応し、当番弁護士を派遣してくれます。

②国選弁護人

国選弁護人を頼みたいと、警察官でも、検察官でも、裁判官にでも、遠慮しないで言ってください。
選任に必要な書類をすぐに用意してくれます。

(5)弁護士費用の負担者

①当番弁護士

弁護士会が負担するので、依頼しても無料です。

②国選弁護人

多くのケースでは、弁護士費用を被疑者側で負担することはありません。

(6)活動内容

①当番弁護士

1回の接見のみであり、今後の刑事手続の流れや被疑者の権利等を説明してくれますし、これからの為の様々なアドバイスを受けられます。

②国選弁護人

多数回の接見を含む弁護活動を受けられます。

(7)民事事件でも利用できる?

当番弁護士、国選弁護人ともに、刑事事件でのみ取り扱われる制度ですから民事事件では利用できません。

もっとも、刑事事件に関連した被害者との示談については、被害者から民事訴訟を提起されたような場合でなければ刑事弁護活動の一部として国選弁護人に対応してもらえます。

 

当番弁護士

国選弁護人

依頼時期

逮捕期間中

勾留期間又は起訴後

依頼できる者

被疑者、家族など

原則として被疑者

依頼の方法

警察官、弁護士会への申出

裁判所へ資力申告書等を提出等

条件

なし

資力要件あり

費用負担

なし

原則なし

接見回数

1回

必要に応じて

活動内容

接見のみ

あらゆる弁護活動

3、当番弁護士、国選弁護人のベストな利用方法とは

当番弁護士

刑事事件の犯人として疑いをかけられた際は、自分の権利及び利益を守るためには、出来るだけ早い段階において弁護士のアドバイスを聞くことが何より大切です。
そのため、まず当番弁護士を呼ぶという選択は、賢明な判断といえるでしょう。

当番弁護士の制度自体は1度の接見のみですが、当番弁護士として派遣された弁護士に、その後も継続して弁護活動をしてもらいたい場合は、その当番弁護士の方を私選弁護人として選任することができますし、そのまま国選弁護人になってもらえることもあります。

なぜ、逮捕された後にはこのような弁護士の支援が受けられるのでしょうか。

迅速に適切な弁護活動により、身体拘束から釈放されることや、前科がつくことを回避することもできますし、何より無実の人が刑罰を科せられる冤罪を回避することにもつながるからこそ、様々な支援制度が作られているのです。

4、当番弁護士や国選弁護人と私選弁護人

当番弁護士

以上のように、当番弁護士と国選弁護人は、刑事事件におけるなくてはならない制度ではありますが、限界もあります。

(1)当番弁護士は1度きり

当番弁護士は、1回の接見のみであり、弁護人として弁護活動を行うわけではありません。
そのため、逮捕直後に利用する制度としての機能しか期待できません。

(2)国選弁護人は常に選任されるわけではない

国選弁護人は、被疑者勾留されている場合や起訴され刑事裁判にかけられることになった場合に弁護人をつけることができる制度ですから、逮捕されずに捜査される在宅事件の場合、起訴前の捜査期間中では利用できません。
捜査期間中に弁護人不在の場合、冤罪を避けるなど不当な刑罰を科せられないための弁護活動が行ってもらえません。

また、被害者が犯人に連絡先を知られたくない等の理由から、示談交渉すら行えない場合があります。

在宅事件となるのは、基本的に、比較的に軽微な事件で、証拠などが揃っており、逃亡などのおそれがないケースが多いといえます。
その為、被害者との示談を成立させるなどの弁護活動の結果、不起訴処分(起訴猶予)となって、前科がつくことを回避することもありえますし、略式手続による罰金刑を受けるのみで、刑事裁判にかけられることを回避することもありえます。
このように、在宅事件における私選弁護人の意義は大きいと言えます。

(3)刑事事件は人生を左右する重大な事件

当番弁護士や国選弁護人は、弁護士であり、一定の研修等を受ければ選任されることとなります。(軽微な事件の場合であり、重大事件等を除く)
弁護士には得意な分野があり、人間ですから全ての分野に熱意を注いでいるとも限りません。
刑事事件の被疑者や被告人として、人生を大きく左右される状況であれば、刑事事件が得意であり、熱心に取り組んでくれる弁護士に依頼したいのが人の心でしょう。

また、当番弁護士や国選弁護人の場合は、どの弁護士のサポート受けられるのかを自分では決められませんが、私選弁護人の場合は、自分で信頼できる弁護士に依頼することができます。
人生を左右するときに、その結果を左右する弁護活動は、信頼できる弁護士に依頼したいと考える人が多いのではないでしょうか。

(4)相性も大事

刑事事件では、犯罪に至った経緯や動機など、「気持ち」など自分の内面が重要になります。
自分の内面を伝えやすく、理解してもらいやすい相性のよい弁護士であれば、自分が伝えたいことが伝わらないストレスを大幅に軽減してくれます。

国選弁護人の場合は、自分で選ぶことができません。
複数名から比較することもできません。
どうしても相性が合わないと感じ、別の弁護士に変更したいと思っても、どうしようもありません。
そのような場合にも、私選弁護人(「5」参照)へ変更を考えてみると良いでしょう。

5、刑事事件でもっともおすすめできるのは「私選弁護人」

当番弁護士

私選弁護人とは、刑事事件において、自らの意思で選任する弁護人のことです。
私選弁護人では、費用はかかりますが,上記に示した「限界」は存在しません。
逮捕直後から依頼が可能、接見回数の制限などは一切ありません。
相性が合わないとなれば解任し、別の私選弁護人へ変更することも自由です。

私選弁護人を依頼したいと希望すれば、初回相談無料で対応してくれる法律事務所も数多くあります。

熱意と能力があって相性も良い信頼できる弁護士と出会えるハードルは下がっているので、自分の人生を左右する事件を託す弁護士について、真剣に考えてみることをおすすめします。

まとめ

今回は、当番弁護士や国選弁護人、私選弁護人について解説してまいりました。

それぞれのメリット、デメリットをよく把握し、ご家族が置かれた状況に応じて弁護士を利用することが大切となってきます。
私選弁護人において費用の支払いが心配な場合、弁護士に直接その見込み額や支払い方法などについて、積極的に相談してみてください。

あなたにベストな強力な味方と出会えることを願っています。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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