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詐欺罪で逮捕?身内が逮捕された場合に知りたい7つのこと

詐欺罪 逮捕

詐欺罪で身内が逮捕されてしまった・・・

これをお読みの方にはそのような方もいらっしゃるのではないでしょうか。

詐欺罪といえば、時代の流れによってさまざまな類型が現れるのがこの犯罪の特徴です。近年ですと「オレオレ詐欺」に代表されるような、組織的に行われる、振り込め型の詐欺罪がメディア等で報道されているため、イメージされるのではないでしょうか。

また、不透明な政務活動費を支出したとして、兵庫県の県会議員が詐欺罪に問われているというのも、同じく報道等でイメージされるかもしれません。

以上のような類型以外にも、私人間でお金をだまし取ったりするもの、例えば無銭飲食や他人のクレジットカード利用など、具体例を挙げればきりのないほど、色々な悪質性のある手口があります。

そうすると、たとえば身内が何らかにきっかけで突然詐欺罪に関与してしまうことは決して稀ではないのかもしれません。

今回はそのような詐欺罪について、もしも身内が逮捕されてしまった場合の手続き及び対処方法などを説明したいと思います。

警察に逮捕について知りたい方は、以下の関連記事もご確認ください。

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1、そもそも詐欺罪とは?詐欺罪の罰条と逮捕の要件について

(1)詐欺罪の規定

詐欺罪は、刑法246条に規定が置かれています。

刑法246条

1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、前項と同様とする。、、、、

詐欺罪の法定刑は、窃盗罪(刑法235条)と異なり、罰金刑が置かれていません。起訴された場合には、執行猶予を含めた有期刑しかない分、罪としてはより重くなっているといえます。

(2)詐欺罪の罰条

詐欺罪で逮捕・起訴され有罪となった場合、10年以下の懲役に処されます。

そして、詐欺行為によって得たものは没収または追徴(詐欺行為によって得たものと同価値のお金を支払う)されることになります。

(3)詐欺罪が成立するために必要とされる要件

以下の、①~④の要件が必要と考えられています。

① 欺もう行為

欺もう行為とは、被害者をあざむいて、だますような行為のことをいいます。被害者が、真実を知っていれば財産を処分する行為を行わないような、重要な事実について偽ることを意味します。

例えば、返すつもりがないのに、絶対にお金を返すから、と伝えてお金を借りる行為や、振り込め型の詐欺において、息子や孫を装った上で、虚偽の理由からお金が必要であると偽る行為等が欺もう行為に該当します。

② 欺もう行為に基づく錯誤

錯誤とは、欺もう行為によって告げられた内容を、相手方が真実であると誤信することをいいます。

例えば、被害者が、絶対にお金を返してもらえると思うことや、息子や孫が、本当にお金が必要な理由があると思うことが、錯誤に該当します。

③ 錯誤に基づく財産の処分

②の錯誤に基づいて、相手方が財産を処分することが必要になります。

④ 財産の処分による損害の発生

詐欺罪は、被害者が財産を処分することによって、被害者に損害が発生し、既遂になります。

なお、例えば振り込め型の詐欺について、「受け子」と呼ばれる現金の受け取り役で逮捕されてしまったような場合には、実際に現金を受け取る前に捕まってしまっていることから、詐欺罪は既遂ではなく未遂になります。

2、詐欺罪で逮捕されるとどうなる?

(1)状況

詐欺罪の場合、主に想定される逮捕は以下の2種類が考えられます。

一つ目は、通常逮捕です。これは、主に警察官が、被害者の被害届等を捜査のきっかけとして捜査をし、嫌疑があることから裁判所に対して逮捕をするための令状発付を請求してなされるものです。

二つ目は、現行犯逮捕です。これは、例えば無銭飲食の際に、店の人に捕まえられた場合や、振り込め型の詐欺における、現金の受け取り役の「受け子」役として動いていた際に、事前に詐欺であると気づいた被害者の通報により待機していた警察官に逮捕されるような場合が挙げられます。

(2)本人の対処方法

いずれの逮捕の場合においても、被疑者として警察署に連行されることになります。

警察署においては、警察官から取調べを受けて、警察官が聴取した内容をもとにして、「調書」が作成されます。この「調書」というものは、逮捕された被疑者の視点で、経歴等を説明したり、事件の概要について説明したりする形式になっているものです。

この「調書」が作成されたあと、警察官は被疑者に対して、署名をし、指印を押すことを求めてきます。あくまでこの署名や指印については、任意で行うものですので、「調書」の内容を確認したうえで、事実と異なる部分がある場合には、訂正を申し立てたり、署名や指印を拒否したりする必要があります。仮に事実と異なったり、自分に不利益な内容の記載があったりした場合について、訂正をせずに署名・指印をしてしまうと、裁判になった際に、争うことが難しくなることが予想されます。

(3)身内の方の対処方法

ご本人が詐欺罪の被疑者として逮捕された場合には、身内の方に連絡が行きます。連絡を受けた身内の方からすれば、逮捕されたご本人に対して、今どういう状況なのか、どうして逮捕されたのか、色々確認したいことがあるかと思います。

ですが、少なくとも逮捕されてから48時間の間は、身内の方がご本人に面会をすることはできません。逮捕の間に面会をできるのは、弁護士だけです。ご本人に対して色々確認したい事項があれば、弁護士に面会をしてもらって事情を聞く必要があります。

逮捕されている被疑者だけではなく、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は弁護人を選任することができますので、身内の方が弁護士を選任することで、本人から事情を、間接的にであれ聞くことができ、状況を把握することができます。

弁護士の選任とまでしない場合でも、弁護士に対して、まず「接見」(本人と面会する手続き)をしてもらうよう、依頼することも手段として考えられます。

3、勾留

(1)状況

警察は、逮捕してから48時間以内に、被疑者を検察庁に送致します。検察庁では、検察官が被疑者と会って、話を聞きます(「弁解録取」という手続きです)。その後、検察庁に送致を受けてから24時間以内に、勾留請求するかしないかを判断します。

勾留請求がされた場合、大抵は翌日に被疑者が裁判所に連れて行かれた上で、裁判官と面談し、裁判官が被疑者を勾留するか否かを判断します。

勾留とは、犯罪を行ったと疑われている被疑者について、住所不定である場合、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがある場合に、引き続き身柄を拘束する手続きのことをいいます。勾留決定が出た場合には、検察官が勾留を請求した日から数えて10日間、さらに身柄が拘束されます。

(2)本人の対処方法

「弁解録取書」に対する対応方法は、警察における「調書」と同様です。

また、弁護士がついている場合には、以下のような対応を求めることが考えられます。

一つ目は、被害者との示談です。

詐欺罪の場合は、詐欺の内容によって左右されますが、例えば組織的な犯罪ではなく、被害者が少数で被害額が多額ではない場合においては、被害者と示談をすることを通じて、勾留請求、勾留決定をしないように求めていくことが考えられます。

二つ目は、検察官や裁判官に働きかけることです。

検察官に対しては、勾留請求しないように求める意見書を提出し、裁判官に対しては、勾留決定をしないように求める意見書を提出することができます。

また、勾留決定が出た場合に、それに対しての不服申立としての「準抗告」というものをして争うこともできます。

詐欺罪の場合には、行為の内容によって、これらの意見書や準抗告が奏功するかに差異がありますが、個々人の置かれている具体的状況に則した主張をしていくことになります。

(3)身内の方の対処方法

勾留しないように求める際には、身元引受人が必要になりますから、身内の方が身元引受書を提出し、被疑者が逃亡したり、証拠を隠滅したりしないように監督することを誓約する必要があります。

また、勾留がされた際に、「接見等禁止」という決定がなされることがあります。これは、被疑者が罪を行ったことを争う、いわゆる否認事件である場合や、組織性のある犯罪である場合等にされるものであり、弁護士以外の者との接見を禁止するものです。

この接見等禁止が付されている状態では、身内の方が被疑者と会うことができなくなってしまいますので、身内の方としては、弁護士を通じて、決定に対して不服申立てをしたり、接見等禁止の一部解除の申立てをしたりすることによって、接見をできるようにすることが考えられます。

4、勾留延長

勾留は、やむを得ない事情がある場合には、延長されることがあります。

延長された場合には、最大でさらに10日間、身柄が拘束されることになります。

詐欺罪の内容によっても差異がありますが、組織性が強く、被害者が多数で、被害額が多額である場合には、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれが認められる結果、勾留延長が認められる可能性が高くなると考えられます。

5、起訴

(1)状況

勾留期間中に集めた証拠等の資料に基づいて、検察官が事件を裁判所において裁く必要があると判断した場合には、検察官は裁判所に対して起訴をします。

起訴がされることによって、裁判所において刑事裁判が始まります。

(2)本人の対処方法

勾留されたまま起訴がされた場合には、身体拘束はそのまま継続してしまいます。そのため、この場合には保釈という手続きをとる必要があります。

起訴された後においては、裁判所に対して保釈保証金を積むことによって、身体拘束を解くように求める、保釈の手続きをとることができます。

ただ、この保釈の手続きは、請求して保釈保証金を積むことのみで保釈が認められるものではなく、罪の内容に応じて、逃亡のおそれや証拠を隠滅するおそれ等がないことを主張して、裁判所に認められるかどうかにかかっています。

(3)身内の方の対処方法

保釈が認められた場合には、保釈保証金の納付が必要になりますので、保釈保証金の手配が必要となります。

また、保釈の際には、身内の方が身元引受人になることが必要となります。

納付した保釈保証金については、逃亡したり証拠を隠滅したり等しなければ戻ってくるものですので、身内の方としては、保釈がされた際には、逃亡したり証拠を隠滅しないように、監督を継続していく必要があります。

6、裁判

(1)状況

起訴がされた場合、およそ1か月後に、最初の裁判が行われます。

裁判という手続きの中で、検察官が主張する罪について、被告人が行ったものであるか否か、裁判所により判断がなされます。

(2)本人の対処方法

被害金額が大きくなく、また被害者が一人だったり少数だったりする場合について、罪を認めているような場合には、裁判の日数は多くはかからないと思われます。

その場合には、弁護士との打ち合わせを通じて、被害者の方との示談交渉をする、反省していることをしっかり伝える等、裁判においてすべきことがあります。

他方で、犯罪を行ったことを争う場合には、関係する証拠・証人等の取調べがあることから、裁判の日数がかかることが想定されます。

その場合においても、裁判においてどのような主張をしていくのか、弁護士との綿密な打ち合わせが必要になります。

(3)身内の対処方法

状況によっては、情状証人として、証言をしてもらい、今後の監督や更生について意見を述べてもらうことも考えられます。その場合には、弁護士との話し合いが必要不可欠だと思われます。

7、詐欺罪で逮捕されたら弁護士に依頼するべき?依頼するメリットとデメリット

(1)弁護士に依頼するメリット

① 早期に弁護の方針を得ることができる点

弁護士に依頼するのが早ければ早いほど、手続きの初期段階において弁護士から今後の手続きの進行等についての説明を受けることができます。

また、今後の方針を決定することができます。方針が定まっていない状態で、警察官や検察官の取調べ等を受け、「調書」に署名、指印をしてしまうと、前述したように裁判になった場合に争うことが難しい状況になってしまいます。

特に詐欺罪の場合では、詐欺行為を否認すべき場合、たとえば「だますつもりがなかった」と主張すべき、ケースも想定できます。

そのようなときに、自身の認識と反して、あたかも故意があったかのように「調書」に記載されてしまったりしないよう、弁護士に依頼して早期に的確なアドバイスを受けることで、不利益を回避することができます。

また、弁護士が付くことで、家族等身内の方も情報を得ることができ、今後どのように手続きが進んでいくのかを把握することができます。

② 勾留をしないように各機関に働きかけることができる点

弁護士に依頼した場合には、検察官や裁判官に対して、意見書を提出することができます。

検察官に対しては、勾留請求をしないように求める意見書、裁判官に対しては、勾留請求を却下するように求める意見書を、それぞれ提出することになります。

勾留後は、最大で20日間、身柄が拘束されることになるので、できるかぎり早期の身柄解放を目指していくことになります。

詐欺罪の中でも、前述したように示談がしうるケースはあります。そのようなケースの場合には、示談が成立していることをもって、両機関に働きかけることも弁護士としてすることが考えられます。

③ 勾留に対しての不服申立ができる点

弁護士に依頼した場合には、勾留決定に対して準抗告という不服申立をすることができます。

裁判官に対して、具体的な事情に則して、勾留する理由・必要がないことを主張していき、早期の身柄解放を目指していくことになります。他の刑事事件を含めて、準抗告が通るケースというものは少ないですが、詐欺罪においても、被害者の数が少ないものや、被害額が少額である場合等は、勾留決定が出た際に準抗告を行うメリットはあるところです。

また、勾留決定が出た際、弁護士以外との接見を禁止する「接見等禁止」の決定がされる場合があります。この決定が付されたままですと、身内の方が被疑者と接見をすることができなくなってしまいますので、弁護士を通じて、接見等禁止の決定に対しての不服申立てをする、接見等禁止の一部解除を申し立てることで、被疑者との接見を実現するように動くことができます。

④ 不起訴を目指した弁護活動をすることができる点

詐欺罪の場合には、詐欺の行為・内容によって左右されますが、示談の交渉をする余地はあります。示談交渉の結果によっては、不起訴になる可能性もありえるところですので、不起訴に向けた活動も弁護士が担うことが可能です。

⑤ 起訴後にも方針にそった弁護を受けることができる点

①から④が奏功せず、起訴となった場合においても、ご本人の意向に従い、保釈請求を行ったり、具体的事情に則して、無罪の主張や、検察官の求める刑よりもより軽い刑が相当であることを主張していくことができます。

(2)弁護士に依頼するデメリット

弁護士に依頼するデメリットとしては、弁護士費用がかかることです。

依頼先によって多少変わるものの、依頼前に接見(面会)に行く費用として大体5万円から10万円ほど、依頼された場合には着手金と報酬だけでもそれぞれ30万円以上は必要になります。

また、一般的に、逮捕された方が詐欺罪を認めていない、いわゆる否認事件の場合の着手金と報酬は、上記の価格よりも高額になることが予想されます。

詐欺罪で逮捕された場合のまとめ

以上が、詐欺罪で逮捕された場合の手続きの流れとなります。

手続き自体は本人の意思によらずに、短期間の内に次へ進んでいってしまいますので、事後的に取り返しがつかなくなることもままあります。

早期の段階で弁護士に依頼をして、十分な弁護を受けることが、望むべき結果に一歩でも近づくものだと思います。

もし、ご自身ないし身内の方が詐欺罪で逮捕された場合には、できる限り早期の段階で弁護士に依頼されることをお勧め致します。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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