B型肝炎という言葉を聞いたことはあっても、どのような症状や疾患が現れるのか、悪化した場合の危険性はどうかなど、詳しくご存じない方も多いのではないでしょうか。
今回は、
- B型肝炎ウイルスに感染するとどのような初期症状が起こるのか
などについて解説していきたいと思います。
目次
1、B型肝炎とは?~初期症状に関する前知識~
B型肝炎ウイルス・B型肝炎及びその感染の種類は、以下の通りです。
(1)B型肝炎ウイルス・B型肝炎とは?
B型肝炎ウイルスは、血液や体液を介して人に感染し、肝細胞に侵入して増殖するウイルスです。
B型肝炎ウイルスが肝細胞に侵入すると、体内では免疫力がB型肝炎ウイルスを排除しようとするのですが、その際に正常な肝細胞をも攻撃してしまうため、肝炎を発症させることになります。
このように発症する肝炎を、B型肝炎といいます。
(2)B型肝炎ウイルスの感染の種類
B型肝炎ウイルスへの感染態様としては、以下に述べる2つの種類があります。
①持続感染
免疫力が未熟な状態(およそ満7歳まで)でB型肝炎ウイルスに感染した場合には、免疫機能の未熟さゆえに、B型肝炎ウイルスが体内から排除されないために、ウイルスが生涯体内に住みついてしまう状態となります。
B型肝炎ウイルス感染者である母親が出産する際に子供に感染する場合等が典型です。
このような感染を「持続感染」といいます。
②一過性感染
他方で、免疫力が一定程度発達した状態でB型肝炎ウイルスに感染した場合には、そのほとんどが、本人が気付かないうちに治癒することになります。
成人が感染する場合等にはこのような経過となります。その場合、その後はB型肝炎ウイルスを原因として健康上の問題が生じる可能性はなく、再びB型肝炎ウイルスに感染することもないものとされています。
このような感染を「一過性感染」といいます。
ただし、体の免疫力が著しく低下している場合(AIDSウイルスに感染している場合等)や特定の外来種のB型肝炎ウイルスに感染した場合には、成人になってから感染した場合であっても「持続感染」する可能性があります。
B型肝炎給付訴訟では、「持続感染」であることが給付金の支給される要件となっています。したがって、給付金の請求をするためには、血液検査をしてどちらの種類の感染であるかを確認する必要があります。
2、B型肝炎の初期症状とは一体どんなもの?
B型肝炎ウイルスに感染した際に引き起こされる初期症状としては、
- 倦怠感
- 食欲不振
- 悪心・嘔吐等
があります。
引き続いて、皮膚や眼球の白い部分が黄色くなる黄疸が見られることもあります。
ただし、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれることもあり、自覚症状が現れにくいため、B型肝炎ウイルスに感染している可能性があれば、血液検査を受けることをおすすめします。
3、B型肝炎の初期症状から悪化する危険性と、どのような経過を辿るのか?
(1)持続感染している場合
持続感染した場合には、約10~15%の人が慢性肝炎を発症し、治療が必要になるものとされています。
ただし、慢性肝炎を発症している場合でも、「3ー(2)一過性感染の場合」で述べるように、一過性感染の場合の急性肝炎のように自覚症状がはっきりと出ることは少ないとされています。
残りの約85~90%の人は、一時的に何らかの症状が現れることもありますが、すぐに沈静化し、落ち着いた状態(無症候性キャリア)となります。
慢性肝炎のうちに適確な治療をしない場合、慢性肝炎が肝硬変や肝がんに進展する可能性もありますので、場合によっては治療をし、経過を観察していただく必要があります。
これらの病状は、自覚症状もないままに進展する可能性もあります。
ですから、B型肝炎ウイルスに感染していることが判明した場合には、まずどのような感染であるかを血液検査で調べ、定期検査をすることにより肝機能に異常がないかを調べ、異常が見つかった場合には直ちに専門的な治療をする必要があります。
(2)一過性感染の場合
一過性感染の合には、多くの方は自覚症状もないまま治癒(不顕性感染)しますが、約20~30%の方は急性肝炎(顕性感染)を発症します。
一過性感染の場合における急性肝炎とは、上記2.のような症状が現れるものの、数か月以内に治癒する症状のことをいいます。
急性肝炎を発症した場合には、約1~2%の方において劇症肝炎化することがあります。
劇症肝炎とは、急性肝炎がさらに悪化したもので、発熱や強い吐き気に加え意識障害まで現れ、死に至る可能性もあります。
4、B型肝炎の初期症状・その後の症状は治癒できる?
上記「3ー(2)一過性感染の場合」で述べたように、一過性感染の場合には感染してから約6か月程度で治癒することになります。
その場合には、B型肝炎ウイルスを原因として健康上の問題が生じる可能性はなく、再びB型肝炎ウイルスに感染することもないものとされています。
一方で、持続感染の場合には、B型肝炎ウイルスが体内に住みつくことになりますので、肝機能の状態が落ち着いている場合であっても、定期検査等をしていただいて経過を観察する必要があります。
5、B型肝炎の初期症状・その後の症状への治療方法は?
B型肝炎の治療法としては、主に以下の3つがあります。
- 肝庇療法
- 抗ウイルス療法
- 免疫療法
抗ウイルス療法としては、インターフェロン治療やエンテカビルやラミブジン等の核酸アナログ製剤治療があり、慢性肝炎に対する治療法としてはこれらが一般的といえるでしょう。
免疫療法としては、副腎皮質ステロイドホルモン離脱療法等があります。
これらは、年齢、ウイルス量及び炎症の程度等により使い分けられることになります。
したがって、自分自身の状態にどのような治療が最適であるかについては、専門医に診てもらい判断してもらう必要があります。
まとめ
今回は、B型肝炎ウイルスの症状について中心に書いていきましたが、参考になりましたでしょうか?
自分自身のB型肝炎の症状と向き合い、今後の症状の悪化を予防するためにもB型肝炎ウイルスの症状に関する正確な知識を身につけることが重要です。