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現行犯逮捕に関して知っておきたい弁護士や警察など6つのこと

現行犯逮捕

現行犯逮捕ってご存じですか?

この記事をお読みの方の中には現行犯逮捕について詳しく知りたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

あまりご存じない方が多いですが、一般の方でも条件さえ満たせば現行犯逮捕をすることができるんです。

では、もし、あなたが通勤中の電車で突然目の前にいた女性に指を差され、「この人チカンです!」と言われてしまったとして、周囲にいた一般人に突然腕を掴まれ逮捕されてしまったら、このような逮捕は適法なのでしょうか?

痴漢に全く身に覚えがないのであれば、あなたを逮捕した一般人に対して違法な逮捕だとして損害賠償請求をしたくなってもおかしくありません。

ただし、この場合にも、法律が認めた条件さえ満たしていれば逮捕自体は適法なものになるのです。

今回は、そんな現行犯逮捕について知っておきたい6つのことを説明させて頂きます。

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1、現行犯逮捕とは

(1)2つの現行犯逮捕

一口に現行犯逮捕といっても、正確にいえば現行犯逮捕には2種類あります。

狭義の現行犯逮捕と準現行犯逮捕です。

この2種類のいずれかに当たる場合には、原則として誰でも、つまり一般人でも犯人を逮捕することが許されています。

(2)狭義の現行犯逮捕

1つ目は、狭義の現行犯逮捕です。

「現に罪を行い、又は罪を行い終わった者」、例えば、今まさに目の前で盗みをしていた者を逮捕する場合などには、狭義の現行犯逮捕に当たります。

目の前で犯罪が起きていたという状況であれば、真犯人でない人が間違って逮捕されるおそれがほぼありません。そこで、このような逮捕が認められているのです。

(3)準現行犯逮捕

2つ目は準現行犯逮捕です。

目の前で犯罪が行われたという場合ではなくても、ある一定の条件を満たす者、例えば、「ドロボー!」と呼ばれながら追いかけられている者が、罪を行い終わってから間がないと明らかに認められる場合に逮捕が認められます。

このような場合にも、やはり誤認逮捕の可能性は低いといえます。そこで、現行犯に準じて逮捕が認められているのです。どのような場合に逮捕が認められるかについての詳細は後述します。

(4)現行犯逮捕された後は?

一般人が現行犯逮捕した場合、逮捕した一般人は直ちに犯人を検察官・警察官(正確には、「司法警察職員」)に引き渡さなければなりませんから、いずれにしても犯人の身柄は捜査機関に送られることになります。

そして、逮捕による身体拘束は、最大でも72時間に限られ、さらに長期の身体拘束には、「勾留」という逮捕とは別の手続きが法律上要求されています。

したがって、この勾留の手続きが取られなかった場合には、比較的短期に身体拘束から解放されることになります。

しかし、勾留されてしまった場合には、長期の身体拘束がされてしまう可能性がありますので、早期に弁護士に依頼し、勾留がされないように、また、仮に勾留されてしまったとしてもできるだけ早く身体拘束が解かれるように活動してもらうことが有用です。

2、現行犯逮捕の特徴は?

(1)誰でもできる

警察官でなくとも、誰でも現行犯逮捕をすることができます。年齢、国籍等は問われません。

(2)逮捕状がいらない

現行犯逮捕には、逮捕のための令状(逮捕状)が必要ありません。

せっかく現行犯を見つけても、すぐに犯人を捕まえなければ見失ってしまうかもしれませんから、逮捕状を準備する時間的余裕がないためです。

(3)逮捕後は速やかに捜査機関へ引き渡すこととなっている

一般の人が現行犯逮捕した場合、速やかに捜査機関に引き渡さなければなりません。

引き渡さないでいると、逆に逮捕行為をした人が、逮捕罪や監禁罪になってしまう可能性があります。

3、他の逮捕との違いは?

逮捕には現行犯逮捕の他に、通常逮捕、緊急逮捕があります。

(1)通常逮捕とは

通常逮捕とは、裁判官が出した逮捕状に基づく逮捕です。

事前に逮捕状が必要になる上に、逮捕の主体は、特定の捜査機関に限られます。

(2)緊急逮捕とは

緊急逮捕とは、一定の重い犯罪について、一定の要件の下、事前の逮捕状なしに緊急に逮捕できるというものです。

ただ、逮捕後、速やかに逮捕状を取らなければならず、最終的には、やはり逮捕状が必要です(逮捕状が発せられなかった場合には、被疑者を釈放しなければならないことになっています。)。また、逮捕の主体もやはり特定の捜査機関に限られます。

(3)通常逮捕・緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

これまで見てきたとおり、通常逮捕・緊急逮捕は、現行犯逮捕と比べると、①逮捕の主体が限定されている点、②逮捕状が必要とされている点で大きく異なります。

4、現行犯逮捕ができる条件と方法は?

(1)逮捕の条件

①狭義の現行犯逮捕

現行犯は、法律上、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者」ですから、逮捕をする主体が、実際に犯罪がされた状況、犯罪が終わった状況を見ており、しかも、その者が犯人を犯罪中または犯罪後すぐに逮捕をする場合に限られます。

したがって、指名手配されている人を発見しても現行犯逮捕することはできないのはもちろんのこと、仮に逮捕をする主体が犯人の犯行を目撃していたとしても、犯人を一度取り逃がしてしまい、後になってから再度発見したというような場合には、狭義の現行犯逮捕はできないのです。

②準現行犯逮捕

以下の4つの特徴のいずれかに該当し、かつ、その者が罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるときに、準現行犯逮捕が許されます。

  1. 犯人として追い掛けられているとき
  2. 犯人が盗んだものを所持していたり、犯罪に使ったと思われる凶器(血のついたナイフなど)を所持しているとき
  3. 返り血を浴びたような血痕が犯人の衣服等に付着しているといった場合のように、犯人の体や衣服に明らかな犯罪の跡が残っているとき
  4. 警察官から声をかけられて逃げ出そうとしている場合のように、呼びとめられて逃げようとするとき

(2)現行犯逮捕が認められる場合の例外

ただし、上記条件を満たしている場合でも、軽微な犯罪(30万円以下の罰金、拘留または科料に当たる罪)の現行犯については、下記の場合を除き、逮捕はできません。

この場合に、現行犯逮捕が許されるのは、①犯人の住居または氏名が明らかでないとき、②犯人が逃亡するおそれがあるときのいずれかの条件を満たすときになります。

(3)方法

社会通念上相当な方法に限られます。

どこまでの範囲が社会通念上相当といえるかは状況によりますが、場合 によっては、逮捕対象者を転ばせたり、道具を使ったりする逮捕が認められることもあります。

ただ、度が過ぎると、犯罪になってしまいますので気を付けて下さい。

5、現行犯逮捕が行われる場合とは?よくある現行犯逮捕のケースについて

(1)覚せい剤

芸能人やスポーツ選手などが覚せい剤所持の容疑で現行犯逮捕されたというニュースを目にしたことがある方も多いと思います。

覚せい剤は、持っているだけで犯罪となるわけですから、まさに現行犯の典型例です。

職務質問中に、覚せい剤がみつかるケースや、捜索差押令状に基づいて自宅を捜索中に覚せい剤が発見されるケースもあるでしょう。

(2)痴漢

電車で痴漢をした人が被害者や周りの人に取りおさえられて現行犯逮捕されるケースがあります。

痴漢は、その程度に応じて強制わいせつになるケースと条例違反になるケースがありますが、条例違反の場合にも、6月以下の懲役または50万円以下の罰金(東京都の場合です。)ですから、現行犯逮捕が原則として認められない軽微犯罪には当たりません。したがって、条件さえ満たしていれば現行犯逮捕は適法にできてしまうのです。

(3)万引き

テレビで、万引きGメンが万引き犯を捕まえるシーンを観たことがある方もいらっしゃるかもしれません。

逮捕ではなく、任意で話を聞くために声をかけている場合が多いとは思いますが、万引き犯の対応の仕方によっては現行犯逮捕してしまうことも可能ということです。

(4)けんか

けんかで、相手方に暴力を振るう、怪我をさせてしまうなどしてしまった場合にも、現行犯逮捕される場合があります。

6、現行犯逮捕されてしまった場合の対処法

(1)身体拘束からの早期解放を目指す

先に述べたとおり、逮捕による身体拘束は、最大でも72時間に限られ、さらに長期の身体拘束には、「勾留」という逮捕とは別の手続きが法律上要求されています。

そこで、勾留され身体拘束が長期にわたらないように、早期に弁護士に依頼し、勾留されないように、また、仮に勾留されてしまったとしてもできるだけ早く身体拘束が解かれるように活動してもらうことが有用です。

(2)不利な証拠を作られることを防ぐ

逮捕後には、捜査機関から取調べを受けるのが通常です。場合によっては、捜査官から相当厳しい取調べを受けてしまうことも考えられます。

取調べに耐えられず、うっかり自分の認識と違うことを調書にされてしまうと、後に裁判になった場合に、自身にとって不利益な証拠になってしまう可能性があります。

捜査機関の取調べに対してどのように対応していくのか、これもやはり早々に弁護士からのアドバイスを受けるのが有用でしょう。

(3)まずは、弁護士に相談を

そうはいっても、逮捕されてしまってからどのように弁護士を頼めばいいのでしょうか?

逮捕されてしまった場合には、弁護士会で行っている当番弁護士制度を利用するといいでしょう。各弁護士会によって細かな運用は異なりますが、警察に対し当番弁護士の派遣を希望すれば、弁護士会に連絡を取ってくれて弁護士を派遣してくれる制度です。最初の面会は基本的に無料です。

また、被疑者段階における国選弁護の対象が拡大されているため、弁護士費用を自分で支払うことができない場合には、勾留されている被疑者段階から国選弁護人をつけることができます。

ただし、当番弁護士や国選弁護人は、基本的に被疑者の側で弁護士を選ぶことはできません。より信頼できる弁護士を見つけたいという方は、ご家族の方などに協力してもらい、できるだけ早期に対応してくれる私選の弁護人を探しましょう。

現行犯逮捕に関するまとめ

今回は、現行犯逮捕について書いてきました。

上記に見てきたとおり、現行犯逮捕は誰でもできるものなのです。あなた自身も、何か犯罪を行えば誰かに現行犯逮捕されてしまうかもしれません。

逆に、あなたが現行犯を目撃した場合、誰でも現行犯逮捕ができるといっても、上記に見たとおり現行犯逮捕の要件は複雑です。瞬時に上記の要件を判断するのは困難です。あなた自身の身の安全も確保しなければなりませんから、無理に逮捕しようとする必要はありません。身の危険を感じた場合には、すぐに警察に通報しましょう。

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