不倫・浮気をしたパートナーへの制裁を考え、悔しさを晴らしたいと思うことはよくあるでしょう。
自分が不倫・浮気の被害者になった場合、「こんなに傷ついたのに、絶対に報いてやりたい」という思いが湧くことも少なくありません。
長い間共に歩んできた相手に裏切られる経験は、許し難いものです。
ここでは、皆さんが知っておきたいことをまとめています。
・不倫・浮気の主な制裁方法
・制裁を考える際の要点
・高額な慰謝料を得るためのコツ
・フラッシュバックの時に有効な対処法
この情報が、不倫・浮気の問題に一つの答えを見つけ、新たなステップを踏み出す助けとなれば幸いです。
目次
1、不倫・浮気の制裁方法を知る前に|社会的制裁に関する注意点
具体的な制裁方法をご紹介する前に、まず押さえておきたいのが「社会的制裁」を考えている場合の注意点です。
社会的制裁とは、配偶者や浮気相手の職場に不倫の事実を暴露し退職に追い込む、ネットに実名で不倫を公表する、配偶者や浮気相手の裸の写真をばらまくなどの行為のことで、本人が社会的な信用を失うよう仕向ける制裁を指します。
中には映画やドラマなどでそういうシーンを見たことがあるという方も多いかもしれませんが、上に挙げたような制裁は「名誉棄損」や「プライバシーの侵害」にあたるとして逆に相手から訴えられる可能性もあり、そうなると本来であれば何も悪くなかったはずのみなさんまで罪に問われることになってしまいます。
このほか、相手に殴る蹴るの暴行を加えると「暴行罪」や「傷害罪」に、何らかの条件と引き換えに金銭を要求した場合は「脅迫罪」や「恐喝罪」に問われるケースもあり、一時の感情で行動を起こすとみなさんのほうが不利な立場に追いやられてしまうリスクも少なくありません。
怒りや苦しみのあまり今すぐ復讐を実行しなければ気が済まない!という人も、まずは弁護士に相談して、法に触れない範囲で最大限に効果的な制裁内容を考えましょう。
2、不倫・浮気の主な制裁方法
ここからは、不倫・浮気の効果的な制裁方法としてよくある具体例をご紹介していきます。
(1)不倫・浮気ができないような環境にする|行動の制限
不倫・浮気をした配偶者と関係の再構築を目指すなら、不倫・浮気の再発を未然に防ぐことが1番のポイントです。
その防止策にはたとえば次のような方法があり、いずれも不倫・浮気のきっかけになりそうな状況自体を発生させないよう、相手の行動を制限する効果があります。
①家の鍵を渡さない
本人が1人で家を出られないようにします。
もちろん不便ですが、出かけるときには夫婦で一緒に・買い物はオンラインで・友達は自宅に招けば良い話なので、様子を見ながら実践してみるのもひとつの手です。
②スマホをキッズケータイに機種変更させる
キッズケータイはあらかじめ登録された連絡先にしか電話をかけることができず、有害サイトの閲覧もブロックすることができます。
出会い系サイトにアクセスすることがクセになっている配偶者には、特に効果的な制裁です。
③不倫相手と同じ職場を辞めさせる
職場の同僚と不倫していた配偶者を、その職場から退職させたというケースもあります。
毎日顔を合わせていればまたいつの間にか関係が元に戻ってしまう可能性もゼロではないので、接点は断っておいたほうが賢明でしょう。
(2)あえて離婚しない|不倫の誓約書を書いてもらう
「何が何でも離婚しません」と宣言することも立派な制裁のひとつです。
みなさんの配偶者が浮気相手と再婚の約束をしていても、みなさんとの離婚が成立しない限りその望みが叶うことはありません。
一般的に、夫婦で離婚の話し合いがまとまらない場合は調停や裁判に進んで決着をつけることになりますが、たとえ裁判に進んでも有責者側(=不倫・浮気をした側)からの離婚請求は原則認められません。
そうやって「別れたくても別れられない」状況であることを理解させた上で、万が一次に浮気をした場合は高額な慰謝料を請求することなどを盛り込んだ「誓約書」を作成するのもおすすめです。
誓約書は配偶者と浮気相手のそれぞれに書いてもらうことができますので、「放っておけばまた浮気するかもしれない…」という疑いがある場合はきちんと文書にして残しておきましょう。
(3)離婚する
逆に相手が「もう絶対に浮気しない、だから離婚だけは勘弁してほしい」と泣きついてきている場合、それを振り切ってサクッと離婚してしまうのも良いでしょう。
「平気で家族を裏切るような夫や父親は必要ありません」「浮気相手のことが好きなんでしょ?離婚してあげるからサッサと再婚するなり何なり好きにすれば?」と、あえて相手を突き放すことが1番の制裁になるパターンもあります。
(4)慰謝料請求する|夫・妻と不倫相手
最も合理的かつみなさんにとっても直接的なメリットがあるのは、やはり慰謝料の請求です。
ただし慰謝料の請求を行うには、配偶者と不倫相手との間に実際の「不貞行為(=肉体関係)」があったことを示す証拠が必要不可欠。
また、まだ付き合っているだけのカップルの場合は、慰謝料を請求しても残念ながら認められないケースがほとんどです。
それでもすでに婚約を済ませている・籍は入れていなくても内縁関係であることを証明できる場合には請求が可能なので、諦めずに手続きを行いましょう。
3、獲得できる慰謝料の相場
慰謝料の請求を検討する際、気になるのがその金額の相場です。
一般的に不倫・浮気の慰謝料は数十万円~300万円程度が相場と考えられており、実際には以下のような事情をふまえて金額が決定されます。
- 相手の収入
- 不倫・浮気の内容の悪質性
- 結婚期間
詳しい内容は次の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
4、高額な慰謝料の獲得を実現する方法
すでにご紹介したように、不倫・浮気の慰謝料の相場には数十万円~300万円と結構な幅があります。
可能な限り高額な慰謝料を獲得するためには、どのようなポイントに気を付ければ良いのでしょうか。
(1)夫・妻の不倫の証拠を集める
何はともあれ、まずは少しでも多くの証拠を集めることが必要不可欠です。
その証拠が配偶者の不貞行為を強く裏付けるものであればあるほど、みなさんの希望も通りやすくなります。
- 配偶者と浮気相手が2人でラブホテルに出入りしている写真
- 実際に不貞行為が行われている最中の動画
- 不貞行為が行われたことを示すメールやSNSの文面
- 泊りがけでないと行けない遠方(海外など)で写っているツーショット写真
- 本人が不貞行為を認めている録音データや文書
上記を参考に、動かぬ証拠を押さえましょう。
(2)弁護士に依頼し、適切な対応で進めていくこと
集めた証拠が役に立つかどうかや、「このタイミングではまだ○○しないほうが良い」など、法的な観点から見たアドバイスを得られるところが弁護士に依頼する最大のメリットです。
せっかく高額な慰謝料を請求できる条件が揃っていても、対応を誤ったことでその状況を生かしきれなければ、悔しい思いをすることにもなりかねません。
具体的な不倫・浮気慰謝料の計算方法や、高額な慰謝料の獲得を実現させるコツはこちらの記事でご紹介していますので、あわせて目を通してみてください。
5、夫・妻の不倫で辛い気持ちが蘇ってきたときの対処法
制裁を与えることで一旦は気持ちを晴らすことができても、不倫・浮気をされていたショックや心の傷は、そう簡単に癒えるものではありません。
浮気相手の話を偶然耳にしたり、2人が不倫デートに使用していたというお店の前を通りかかるだけで、辛い気持ちが蘇ってくることもあるでしょう。
ここからは、そんなフラッシュバックに襲われたときの対処法をいくつかご紹介していきます。
(1)同じ悩みを抱えた人と話す
繰り返し湧きあがってくる負の感情や、苦しい胸の内は親しい友人にもなかなか打ち明けられないものです。
しかし、自分と同じ悩みを抱えた人になら、素直にすべてを吐き出すことができます。
ネットで配偶者の不倫・浮気に悩む人々の投稿を検索したり、そこに寄せられた返信を閲覧したりするだけでも、不思議と気持ちが落ち着いてくることを実感できるでしょう。
自分の悩みを誰かに共有することはもちろん、他人の苦しみに共感し、「自分は1人ではない」と実感できることも傷を癒すための近道になるのです。
(2)配偶者に現状を説明する
ときには配偶者に今の苦しみを打ち明けることも必要なステップのひとつです。
みなさんを精神的に追い詰めているのは他でもない配偶者自身なのですから、相手にはみなさんをサポートする責任があります。
今どういう気持ちでいるのか、なぜそのような気持ちになってしまったのか、今後どうすれば辛い気持ちを解消することができるのか、夫婦でじっくり話し合ってみましょう。
その際はなるべく感情的になることを避け、もし感情がたかぶってしまいそうな場合には、あらかじめメールで話したい内容を伝えておくのもおすすめです。
(3)夢中になれる小説や漫画を読む
負の感情のループを断ち切るためには、どこかで気持ちを切り替える必要があることもまた事実。
とはいえ自分だけの力では、なかなか上手く気分転換することができないことも多いと思います。
そんなときには時間が経つのも忘れるほど面白い小説や、漫画・ドラマ・映画・ゲームなど、趣味の世界に浸ってみるのもひとつの方法です。
本やドラマの中に出てくる主人公の気持ちに共感することで、少し気持ちが楽になるケースもあります。
6、注意|不倫をやり返すことだけはしないようにしよう
配偶者に不倫・浮気をされた人の中には、「相手にも同じ気分を味わわせてやりたい」と自分もまた不倫に走る人が一定数存在します。
しかし、そういった仕返しのやり方では結果的に自分も相手と同じ立場になり、今後裁判に発展したときに有利な条件で話を進めていくことができません。
配偶者との心の距離もどんどん開く一方なので、どんなに悔しかったとしても不倫をやり返すことだけは絶対にやめましょう。
7、一人で抱えていることが辛くなったときの相談先
制裁の内容を考えるのにも疲れてしまった、なんだか何もやる気が起きない…そんなときには、悩みを一人で抱え込まず、周りを頼ることも重要です。
ここではみなさんの状況に応じた相談先をピックアップしていますので、心が悲鳴をあげる前に少しでもその辛さを和らげていきましょう。
(1)自分の悩みを聞いて、共感して欲しい
「とにかく誰かに話を聞いてほしい」「自分の悩みに共感してほしい」その希望を叶えるのに1番手っ取り早いのは、ネットの掲示板を利用することです。
もし実際に不倫・浮気された経験のある友達がいれば、その友達に連絡を取って話を聞いてもらうのも良いでしょう。
(2)悩み過ぎて何もしたくないと思ったとき
頭の中が辛い気持ちでいっぱいで、他のことが手につかない・気付けばボーッとしてしまっているというのは、心がすでに限界を迎えているサインかもしれません。
専門のカウンセラーに話を聞いてもらい、適切なサポートを行ってもらいましょう。
離婚に向けた悩みを抱えているときだけでなく、夫婦の再構築を目指したいときにもカウンセラーへの相談がおすすめです。
(3)不倫・浮気の証拠が欲しい
不貞行為があったことを証明する確かな証拠は、自分で集めようとしてもなかなか難しいのが現実。
そんなときにはプロである探偵事務所・興信所に調査を依頼すれば、裁判でも勝てる強い証拠を揃えることができます。
先に弁護士のほうに相談を行うことで、提携している探偵事務所・興信所を紹介してもらえるケースもありますので、どこに調査を依頼すれば良いのか分からないみなさんはあわせて相談してみましょう。
(4)弁護士
どのような対応なら法に触れずに済むのか知りたいときや、慰謝料請求・離婚に関する話し合いを有利に進めたいときには、弁護士に交渉を依頼するのがベストです。
夫婦関係の修復を目指したいときにも「円満調停(夫婦関係調整調停)」の手続きを依頼することができ、具体的な事務処理だけではなくメンタル面でのサポートを行ってくれる弁護士もいます。
みなさんの不安や苦しみをなるべく早く取り除くためにも、何か困ったことがあるときには遠慮なく弁護士に相談しましょう。
まとめ
不倫・浮気のよくある制裁には、慰謝料の請求や本人の行動を一時的に制限することなどがあり、配偶者が浮気相手と再婚できないようにあえて離婚を拒否するケースも珍しくありません。
ただ、不倫の事実を本人たちの職場に暴露するなどの社会的制裁は、逆にみなさんのほうが罪に問われるリスクも高いため、実際の行動を起こす前に1度弁護士からのアドバイスを仰ぎましょう。
また、苦しい気持ちが蘇ってきて辛いときや、悩みを一人で抱えきれなくなったときには、今回ご紹介した対処法や相談先もぜひ参考にしてください。