「パートナーの浮気(不倫)が発覚し、慰謝料請求したい!でも慰謝料の相場はどれくらいなんだろう?そして、慰謝料の計算方法は一体どうなっているの?」
このような状況にいる方も多いのではないでしょうか?
配偶者の浮気や不倫によって慰謝料を請求することは可能ですが、具体的にいくら請求できるのかや、その基準について知識がない方も多いことでしょう。
不倫の証拠収集や、離婚時の財産分与や子供の養育費の取り決めなどに関する悩みもあるでしょう。しかし、最初に気になるのは、不貞行為に対する慰謝料の相場ではないでしょうか?
そこで、この記事では
- 浮気・不倫の慰謝料の相場
- 浮気・不倫の慰謝料の計算方法
- 浮気・不倫によって高額の慰謝料を獲得する方法
- 慰謝料を実際に受け取るための手続き
などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が監修し、実例も交えて解説していきます。浮気・不倫の慰謝料請求に関する疑問や悩みを解決する手助けとなれば幸いです。
不倫された際に知っておくべき内容全般については以下の関連記事をご覧ください。
さらに、どういう場合に不倫慰謝料請求できるかは以下のYouTubeの動画でも解説しているので併せてご参照ください。
1、いくらもらえる?浮気・不倫による慰謝料の相場
浮気・不倫による慰謝料の金額は、過去の裁判例や和解例からおおよその相場が形成されています。その相場は、数十万円~300万円程度です。
そもそも慰謝料額は当事者間の話し合いで合意ができれば自由に決めてかまわないのですが、多くの場合はこの相場の範囲内で決められています。300万円をもらっても気が済まないという方もいらっしゃるかと思いますが、あまりにも相場からかけ離れた金額を請求しても、相手が応じる可能性は低いでしょう。やみくもに裁判をしても相場を超える慰謝料を獲得するのは難しいので、結果として時間と費用が無駄になってしまう可能性が高いといえます。
2、浮気・不倫による慰謝料の計算方法
慰謝料の相場は数十万円~300万円程度ですが、非常に大きな幅があります。
では、浮気・不倫による慰謝料額はどのようにして決められるのでしょうか。その計算方法についてご説明します。
(1)決まった計算式はない
まず、浮気や不倫において慰謝料額を機械的に計算できるような決まった計算式は存在しません。慰謝料とは、他人の不法行為によって被害者が受けた精神的苦痛を慰めるために加害者が支払うお金のことです。このため、本来は被害者の精神的苦痛の程度に応じて金額が決められるべきものであり、機械的に計算することはできません。
実際に浮気や不倫によって慰謝料額を決める際には、相場を参照しつつ、個別の事案ごとに具体的な事情を考慮することになります。たとえば、浮気が長期間にわたって続いた場合や、加害者の態度が非常に悪かった場合、慰謝料額は高くなる傾向にあります。
また、被害者が受けた精神的苦痛の程度についても、個別の事情に応じて評価されます。例えば、浮気によって配偶者が自殺を図った場合や、精神的疾患を発症した場合、慰謝料額は高くなる可能性があります。
ただし、慰謝料額を高く請求することが目的であれば、裁判所から不当と判断される可能性があります。そのため、慰謝料額を決める際には、客観的かつ妥当な評価を行うことが必要です。
(2)浮気・不倫慰謝料の金額に影響を与える8つの要素
ひと口に浮気・不倫といってもケースは様々ですから、慰謝料の高低に影響を与える要素にも様々なものがあります。
その中で、過去の裁判例を見ると、慰謝料額に影響を与える要素として主に以下の8つをあげることができます。以下の表では、一般的な浮気・不倫のケースにおいて、8つの要素ごとに慰謝料額に及ぼす影響について簡単にまとめました。
| 浮気(不貞行為)をした配偶者に対する 慰謝料の金額に影響を与える要素 | △加算要素 ▼減算要素 | |
1 | 不貞行為前の夫婦関係 | 円満 | △ |
円満でない | ▼ | ||
2 | 不貞行為後の夫婦関係 | 離婚・別居 | △ |
継続 | ▼ | ||
3 | 結婚期間 | 長期間 | △ |
短期間 | ▼ | ||
4
| 不貞行為の期間
| 長期間 | △ |
短期間 | ▼ | ||
5 | 不貞行為の主導権(誰が積極的だったか) | 配偶者 | △ |
不貞の相手方 | ▼ | ||
6 | 未成年の子どもの有無 | 有り | △ |
無し | ▼ | ||
7 | 不貞行為発覚後の対応 | 謝罪なし | △ |
謝罪あり | ▼ | ||
8 | 不貞行為をした配偶者の財力 | 財力が高い | △ |
財力が乏しい | ▼ |
(3)浮気・不倫慰謝料の金額の算定例
慰謝料の計算方法をより具体的にイメージしていただくために、もう少し詳しい算定表をご紹介します。
上記の8つの要素の中でも、特に慰謝料額に大きな影響を与えるのは、
- 婚姻期間
- 離婚の有無
- 不貞行為の期間
の3つです。
(4)慰謝料が増額・減額される要素の具体例
慰謝料の金額に影響を与える8つの要素と算定例をご紹介しましたが、具体的にどのような事情があれば慰謝料が増額または減額されるのかについては、まだイメージしにくいかもしれません。
ここでは、慰謝料が増額・減額される要素の具体例をご紹介します。
①慰謝料が増額される要素
慰謝料が増額されるのは、ひとことで言えば浮気された配偶者の精神的苦痛が深い場合です。
具体的には、浮気の「悪質性の程度」と浮気によって生じた「損害の大きさ」によって決まります。
慰謝料が高額となりやすい要素の例を挙げると、以下のとおりです。
【浮気が悪質と認められるケースの例】
- 長期間にわたって浮気をしていた
- 浮気期間中に頻繁に性交渉を持っていた
- 既婚者であることを浮気相手が知りつつ、家庭を壊す意図で浮気に至った
- 浮気を疑われても事実を否定してごまかした
- 以前にも浮気が発覚し、二度としないと約束したにもかかわらず再び浮気をした
【浮気による損害が大きいと認められるケースの例】
- 婚姻期間が長い夫婦の一方が浮気をした
- 子どもがいる夫婦の一方が浮気をした
- それまでは円満だった家庭生活が浮気によって崩壊した
- 浮気によって夫婦が離婚に至った
- 浮気によって女性が妊娠した
- 浮気された配偶者がうつ病を発症した
②慰謝料が減額される要素
逆に、浮気の悪質性の程度が低い場合や、浮気によって生じた損害が小さい場合には、慰謝料が認められても低額となりがちです。
慰謝料が減額されやすい要素の例を挙げると、以下のとおりです。
【浮気が悪質性の程度が低いと認められるケースの例】
- 浮気していた期間が短い
- 性交渉を持った回数が短い
- 配偶者が浮気相手に対して、夫婦関係が破たんしていることを告げて浮気に至った
- 配偶者の方から積極的に働きかけて浮気に至った
- 浮気の事実を正直に認めて真摯に謝罪した
【浮気による損害が小さいと認められるケースの例】
- 婚姻期間が短い夫婦の一方が浮気をした
- 夫婦間に子どもがいない
- 浮気をする前から夫婦関係が良好でなかった
- 浮気された配偶者にも落ち度がある(セックスレス、自分も浮気していたなど)
- 浮気が発覚しても夫婦が離婚に至らなかった
- 浮気相手が既に社会的制裁を受けた(退職、減給など)
個々のケースでどれくらいの慰謝料をとれそうか、またより高額な慰謝料を請求する方法については、弁護士に相談することをお勧めします。
3、実例で見る!浮気・不倫による実際の慰謝料額
ここまでにご紹介した慰謝料額の考慮要素と算定表は、あくまでも目安です。実際の裁判などにおける慰謝料額は様々な事情によって増減します。
そこで次に、ベリーベスト法律事務所にご依頼いただいた事件で実際に浮気・不倫の慰謝料を獲得できた事例を紹介します。
(1)ケース1:婚姻・不倫期間が長期に及んだ事例
- 50代の妻
- 結婚して27年
- 子供2人
なんと、夫が職場の同僚女性と16年間もの長きにわたり不倫関係を続け、しかもその女性から多額の借金までしていたことが発覚した事例です。
夫とは離婚も視野にいれた別居となり、弁護士に依頼して約8か月にわたり相手女性と交渉し、慰謝料400万円で和解しました。相手女性に支払い能力があったことも慰謝料を増額できた要因の一つですが、何と言っても婚姻期間の長さと不倫期間の長さが大きな要素といえます。
(2)ケース2:小さな子供がいるのに不倫した事例
- 20代の妻
- 結婚して1年10カ月
- 子供1人
妊娠したころから、夫の帰宅が遅くなるなど不審な行動が続いたので、探偵事務所に依頼したところ、職場の若い女性との浮気が発覚。
弁護士に依頼して、約1か月の交渉により相手女性から慰謝料100万円を支払ってもらうことで和解に至りました。婚姻期間と不倫期間が短期間であり、相手女性が若く支払能力に乏しいことを踏まえると、慰謝料100万円は高額と言え、和解交渉が成功したケースと言えます。
(3)ケース3:高収入の夫が不倫した事例
- 40代の妻
- 結婚して15年
- 子供2人
夫は会社を経営していて高収入で資産も多かったのですが、飲み屋の女性等との浮気を繰り返しており、妻は離婚を決意しました。
弁護士に依頼しましたが夫との話し合いは進まず、最終的に裁判で慰謝料額を500万円とする判決を獲得しました。
妻が結婚以来、夫に尽くしてきたことと、「社長の妻の座」「安定した余裕のある暮らし」が夫の浮気・離婚によって失われたことが、慰謝料を増額する要因となりました。
(4)ケース4:不倫発覚後の夫の態度が不誠実だった事例
- 30代の妻
- 結婚して10年
- 子供1人
夫が元同級生と不倫していることが、共通の友人からの報告によって発覚しました。
妻は夫と不倫相手を問い詰めましたが、2人とも事実を否定しました。
それにもかかわらず、その後に2人で温泉旅行に行ったことが同じ友人からの報告で発覚しました。
妻は離婚を決意して弁護士に依頼し、離婚調停にて慰謝料300万円で話し合いがまとまりました。
発覚前の不倫は一般的なケースに比べて、とりたてて悪質とまでは言えませんでしたが、発覚後の2人の態度が悪質であったことから、相場の幅の中でも最高水準の慰謝料を獲得できたケースと言えます。
(5)ケース5:不倫のショックで妻がうつ病を発症した事例
- 30代の妻
- 結婚して12年
- 子供1人
夫の不倫が発覚するまでは夫婦円満でしたが、夫が職場の同僚と不倫していることを知った妻はショックのあまりうつ病を発症し、仕事にも行けなくなりました。
弁護士に依頼し、慰謝料350万円で離婚が成立しました。
このように、配偶者の不倫によって精神的疾患を発症した場合は、精神的苦痛が大きいことが明らかですので、慰謝料が高額化する傾向にあります。うつ病のために仕事ができなくなった場合には、休業損害や逸失利益の請求も可能なので、裁判をすればさらに高額を獲得できた可能性もあります。しかし、本件では妻が早期の離婚を望んだこともあり、話し合いで離婚することとなりました。
浮気・不倫の慰謝料の相場に関するQ&A
Q1.不倫による慰謝料の相場は?
浮気・不倫による慰謝料の金額は、過去の裁判例や和解例からおおよその相場が形成されています。その相場は、数十万円~300万円程度です。
Q2.浮気・不倫慰謝料の金額に影響を与える項目は?
特に慰謝料額に大きな影響を与えるのは、
婚姻期間
離婚の有無
不貞行為の期間
の3つです。
Q3.慰謝料が高額になりやすい例は?
【浮気が悪質と認められるケースの例】
・長期間にわたって浮気をしていた
・浮気期間中に頻繁に性交渉を持っていた
など
【浮気による損害が大きいと認められるケースの例】
・婚姻期間が長い夫婦の一方が浮気をした
・子どもがいる夫婦の一方が浮気をした
など
まとめ
浮気・不倫の慰謝料の計算方法は、まず相場を確認し、次に具体的な事情を考慮して、ご自身が受けた被害を金銭に換算するなら相場の中でどのくらいが妥当かを判断する、という形をとります。
ただし、相場はあくまでも目安ですので、事実関係や交渉次第では相場を超える慰謝料を獲得することも可能です。
納得する金額を獲得して、パートナーによる浮気・不倫にカタをつけて前を向いて生きていくために、まずは弁護士の無料相談を利用してみてはいかがでしょうか。