利息制限法とは? 上限金利の仕組みから借入利息の計算方法まで解説

利息制限法

金銭を貸し付ける時の利息の額は、利息制限法で決められた限度内でなければなりません。

その限度は、元本(=融資額)に応じて年15%・年18%・年20%のいずれです。なお、法律上の利息(金利)には、事務手数料等といった名目で貸付分から控除する「みなし利息」も含まれます。

そこで、今回は、「利息制限法の目的と規制内容」と題して、利息制限法に関する詳細な解説をお伝えします。利息制限法の目的は、借り手の経済的負担を軽減することにありますが、違反行為には罰則も存在します。さらに、本文では具体的な規制内容をかみ砕いて解説し、返済シミュレーションも行います。これにより、利息発生の仕組みを始めて学ぶ人々にとっても理解しやすい情報となるでしょう。

利息制限法に関心をお持ちの方や借り入れを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

本記事がお役に立てば幸いです。 

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1、利息制限法とは

利息制限法とは

利息制限法とは、消費者金融や銀行の融資商品に代表される「金銭貸借契約」につき、上記のような貸す者(=債権者)を規制する法律です。名称の通り、借りる者(=債務者)に支払ってもらう利息につき、限度を決めて債権者に守らせるためのものです。

詳しい規制内容の前に、法律と利息の基本を整理してみましょう。 

(1)制定の目的

利息制限法の制定目的は、結論を言えば「債務者の保護」にあります。

お金を貸し付ける契約において、借りる側が経済的弱者である点は疑いようがありません。弱みにつけ込み、当初貸付けた額(=元本)をはるかに超える返済を求める金融業者は、古くから存在します。いわゆる「高利貸し」です。

法律の歴史を遡ると明治期に辿り着き、現行法の制限は早い時期に完成しています。
現代では、1980年代から2000年代にかけて「サラ金問題」があり、本記事の最後に解説する法改正の背景事情となりました。

(2)利息制限法の適用対象になるサービス

定められた限度で利息を設定しなければならないのは、銀行等が個人消費者のために現金を貸し付ける「金銭消費貸借契約」だけではありません。

個人間のお金の貸し借りから、事業者向けのサービスである当座貸越・手形割引まで、お金を貸して後日返してもらう取引に広く適用されます。

なお、古物商が行う「質入れ」は別です。ブランドバッグ等を質草(担保)にして金銭を貸し付ける取引方法は、利息制限法ではなく、質屋営業法が適用されます。

(3)金銭貸借契約における利息の種類【基礎知識】

実際に金銭を貸し付ける取引では、返済時に「契約金利に応じた利息」と「遅延損害金」を上乗せして支払います。

上記どちらも利息制限法による規制対象ですが、契約上の扱いが異なれば、定められた限度にも違いがあります。 

ここで基礎知識として利息の種類を整理し、お金を貸し付ける契約のどの部分に利息制限法が関わるのか、整理しておきましょう。

①契約金利(利率・年利とも)

ATMで出金操作する等の借入取引を行うと、翌日から利息の計算が始まります。
計算のベースになるのは、当初の契約内容にある「元本につき年●%」とのような取り決めです。

上記の定めは「利率」や「契約金利」と呼び、年単位としている点で「年利」と表現することもあります。
利息制限法では、第1条で年利の上限を定めています。

金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
.元本の額が十万円未満の場合 年二割
.元本の額が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分
.元本の額が百万円以上の場合 年一割五分

引用:利息制限法

②遅延損害金(延滞利息とも)

期日を過ぎても返済がないと、利息の代わりに「遅延損害金」が毎日加算されます。
取引上の見かけは利息の呼び方を変えただけですが、法律上の扱いは、債務不履行によって債権者が負った損害額です(民法第419条)。

上記の扱いと結び付けて理解しておきたいのは、遅延損害金には「契約で利率を定めなくても発生する性質」がある点です。

もちろん、利率についてあらかじめ合意するのは自由ですが、その際は利息制限法第4条または第7条の限度を守らなくてはなりません。 

▼第4条の規定

金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が第一条に規定する率の一・四六倍を超えるときは、その超過部分について、無効とする。

▼第7条の規定

第四条第一項の規定にかかわらず、営業的金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が年二割を超えるときは、その超過部分について、無効とする。

引用:利息制限法

(4)出資法と利息制限法との関係

債権者が受領できる利息に限度を設ける法律として、別に「出資法」もあります。
金銭貸借をするなら利息制限法も出資法もどちらも遵守しなければなりません。

2つの法律は、互いに債権者に対する規制を補完し合う関係にあります。
利息制限法は貸借取引そのものにルールを課すのに対し、出資法は金銭貸借取引を含む営業活動全体にやっていいこと・やってはならないことを定めるイメージです。

▼利息制限法の内容

  • 利息の制限
  • 遅延損害金の制限
  • 債務者負担額のうち利息として扱う部分(=みなし利息)の定義

→融資取引の契約時は、出資法の利息制限規定と合わせて必ず確認する

▼出資法の規制内容(一例)

  • 利息制限法の最高利率を超える場合の罰則
  • 特定金融機関(=銀行等)以外の預り金の禁止
  • 不特定多数の者に対する元本保証の上での出資受け入れの禁止等

2、利息制限法の上限を超える金利の扱い〜違反した債権者はどうなる?

利息制限法の上限を超える金利の扱い〜違反した債権者はどうなる?

債務者から受け取った利息のうち、利息制限法の上限金利を超える部分は「超過利息」と呼ばれます。
ひとたび超過利息が認められると、当事者の問題では済まされません。少なくとも行政処分は避けられず、刑事訴追されて二度と営業できなくなる場合すらあります。

超過利息の例は以下の通りです。

2022年1月に5万円貸し付け、翌年1月になって迷惑料込みで10万円支払ってもらった場合

→上限利息は1万円(5万円×20%)

→受領して良いのは元本5万円+利息1万円=6万円まで

→実際の受領額は10万円で、うち4万円が超過利息となる

(1)超過利息は返還する義務を負う【民事上の責任】

真っ先に理解しておくべき点として、超過利息の返還義務が挙げられます。
法律上は「不当利得」として扱い、返すよう請求する権利が債務者に生じると考えます。

重要なのは、取引中に何らかの形で債務者の合意があったとしても、不当利得である以上、必ず返さなくてはならないとされる点です。
返還請求時の状況に合わせ、債権者として心得るべき対応を整理してみましょう。

①あらかじめ「元本に充当しない」との合意があった場合

契約時の合意に関わらず、元本=借入残高の有無に応じ、残債への充当もしくは返金に対応しなくてはなりません。

②謝礼・迷惑料等の名目で支払われた場合

債務者の想いとして受け取った金銭も、金銭を貸し付ける取引が存在する以上、全て「利息として支払ったもの」と見なされます(法第3条)。
つまり、契約上の合意に基づいて支払われる超過利息と同じく、返還しなければなりません。 

一見して正当で合理的な支払いのように思えても、本来受領してはならない、つまり債務者に返さなくてはならない費用は多数あります。
この後解説する「みなし利息」には十分注意し、現に行おうとする取引を改めて確認してみましょう。

(2)貸金業者に課される行政処分の種類

貸金業者が融資額ごとの上限金利を上回る取引をしていたと分かった場合、営業を制限する行政処分が下されます。内容は以下のようなもので、会社として再出発することが出来なくなる可能性大と言えます。

①業務改善命令

より厳しい措置(業務停止等)を予告して、超過金利の速やかな是正が促されます。

②業務停止命令

超過利息が是正されるまで、営業を取りやめさせられます。
※原則として業務改善命令と共に発出 

③登録取消し

貸金業者としての登録を抹消し、営業再開を事実上不可能にするものです。

過去にあった高金利による行政処分の例は、金融庁のホームページで経緯も含めて確認できます。融資担当者として一定の責任を負う人は、是非とも目を通しておきましょう。 

(3)法律上の処罰規定【刑事上の責任】

年20%以上の契約金利を課していた債権者は、刑事訴追される可能性があります。
罰則の内容は出資法第5条で明示されており、整理すると表のようになります。 

取引上の利率

貸金業者である場合

貸金業者ではない場合

(1回限りの取引等)

年20%以上109.5%未満

5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、または併科

なし

年109.5%超

10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金、または併科

5年以下の懲役

もしくは1000万円

3、みなし利息とは?超過利息の計算に含まれる費用・含まれない費用

みなし利息とは?超過利息の計算に含まれる費用・含まれない費用

法律上の利息は、契約上のそれよりも範囲が広く取られています。
本記事では便宜上「契約金利の上限」と説明していますが、契約上の利息の名目で受け取った分だけでなく、債務者負担となる他の名目の費用も超過利息の判定に含まれるのです。

上記「みなし利息」の考え方も意識して、該当するものと利息計算から除外されるものを押さえましょう。

(1)みなし利息に該当するもの【礼金・調査料等】

契約上の名目が「融資利率」「契約金利」等になっていない債務者の負担額は、原則として全てみなし利息扱いです。
すなわち、契約金利と合わせて法定の上限を超えるようなら、債務者に返還しなくてはなりません。例として、下記のようなものが挙げられます。

①取引開始時の手数料として支払われるもの

よく見られるのは、与信審査にかかる費用として「審査手数料」「調査料」等の項目で請求する費用です。
これらは法的に利息と解釈され、契約上の利率に含める形で超過利息の計算を行います。

②融資実行時の手数料として支払われるもの

「実際に貸し付けする時の事務コスト」等と称して融資額から差し引く分も、この後説明する最低限必要な負担を除き、全て超過利息の判定に含めます。

③その他の取引実行に直接関係しない費用

一度融資すると合意したなら、その金額はなるべく全て債務者の手元に届くようにしなければなりません。

「礼金」や「預り金」(デポジット)等の目的で融資額から差し引けば、同じく利息を受領したとみなされます。他には謝礼や迷惑料といった名目もある点は、既に説明したとおりです。

(2)みなし利息に該当しないもの【営業的金銭消費貸借の場合】

どんな取引でも、印紙代や振込手数料等のコストは避けられません。
場合によっては、ある程度費用を負担してでも債権回収に踏み切らなくてはならないでしょう。
左記のようにどうしても債務者に負担してもらう必要がある分は、みなし利息の例外です(第6条)。

具体例として以下①~④が挙げられますが、前置きとして注意喚起があります。
適用対象となる債権者につき、営利目的で複数の利用者と取引する「営業的消費貸借」に原則限られる点です。

①カード再発行手数料等

みなし利息の例外となる費目のひとつは、債務者の要請に基づいて行う事務の費用です。
具体的には、カード再発行手数料・登録住所の変更に伴う事務手数料等が挙げられます。

②印紙代等の公租公課

2つめの例外は、公租公課、つまり税金の支払いに充てられる費用です。

典型的なのは、不動産担保ローンの契約書に必要な印紙代です。
考えにくいことですが、融資によって契約当事者に賦課される所得税が増えるような場合も、その差額は利息とはみなしません。 

③債権回収時に公的機関に納めるもの

3つめの例外は、債権回収にあたって公的機関に納める費用です。
具体的には、債務者の住民票を取り寄せる時にかかる交付手数料や、強制執行・差押え・競売等のため裁判所に納める費用等が挙げられます。 

④現金自動支払機その他の機械の利用料

4つめの例外は、金銭の受領・弁済の手段として利用せざるを得ない、現金自動支払機その他の機械の利用料です。実際の取引では、出金と振込の各タイミングで数百円ほどかかると想定されます。

(3)営業的でない取引は「みなし利息の例外」の範囲が狭まる【要注意】

営業的金銭消費貸借でない取引では、カード再発行手数料等の要請に基づく事務費用等(上記①)を除き、債務者に負担させる費用は全て「みなし利息」です。

好意に基づいて取引先や知り合いに貸し付けるケースでは、金利が年109.5%を超えるまで公的な責任が軽減される分、民事上の返還義務が発生する部分は大きくなるのです。

4、利息制限法で定める金利の上限を表で確認

利息制限法で定める金利の上限を表で確認

金銭貸借契約につき1つひとつ適法性を確認していくとなると、利息制限法の内容が一目で分かるものが欲しいところです。ここで一旦、上限金利を表にまとめてみましょう。

(1)契約金利の上限

利息制限法第1条で定められた契約金利の上限を整理すると、下の表の通りとなります。
元本に応じて段階的に上限が引き下げられており、表の「元本の額」には利息とみなされる各種手数料等も含まれる点、ここで改めて注意しましょう。 

元本の額

金利の上限

10万円未満

年20%

10万円以上

100万円未満

年18%

100万円以上

年15%

(2)遅延損害金の年利

遅延損害金の利率は、当事者間の合意の有無で変わります。
契約上の合意がなければ民法第404条2項・第404条3項の「法定金利」が適用され、合意があれば利息制限法第4条もしくは第7条1項の規定が適用されます(表参照)。

ここまでの解説を整理しつつ、表で遅延損害金の限度を確認してみましょう。

元本の額

契約上の合意なし

契約上の合意あり

非営業的取引

営業的取引

10万円以内

一律3%※

年29.2%以内

20%以内

10万円以上

100万円未満

年26.28%以内

100万円以上

年21.9%以内

※先の民法大改正により、2020年4月1日以降の取引に適用される利率です。変動制であり、今後3年おきに見直される予定です。 

5、利息制限法に基づく返済シミュレーション

利息制限法に基づく返済シミュレーション

法律に基づく利息の最大額は、個別の融資額から計算しなくてはなりません。
個人消費者向けの商品(クレジットカード・住宅ローン等)は残債方式で契約するのが一般的で、返済する度に下記の式を使って利息を割り出します。

残債方式では以下の通りです。 

前回返済後の元金(借入残高とも)×年利÷その年の日数×前回返済からの経過日数 

なお、契約上は決済手数料として利息を受領する場合は、下記のアドオン方式を使います。融資額・年利共に同一の契約で、かつ1回払いを選択するのであれば、法律上の利息は残債方式と同額です。 

アドオン方式では以下の通りです。

借入当初の元金(借入残高とも)×年利×貸出期間 

以上を踏まえ、融資額別に法定上限の金利を設定した場合を想定し、最終的に債務者に負担してもらう金額をシミュレーションします。
計算の仕組みが分かりにくい時は、(1)契約年利20%で5万円融資する場合のシミュレーションで理解を深められます。 

(1)契約年利20%/融資額5万円の場合

最初に、法定の上限金利が最も高くなる水準の融資を想定してみましょう。
5万円のローンであれば、年利20%と高い金利水準での取引が認められています。

試算するのは、実際の利用イメージに近い①翌月1回払いと②分割3回払いです。 

①30日後に全額返済する場合

仮に翌月の同日頃に5万円全額を返済できるとすると、年利20%に相当する利息のうち30日分前後を支払うことになります。借入からちょうど30日後に返済すると考えると、債務者に提示する利息額と総返済額は以下のようになります。

利息の計算式:元金5万円×年利20%÷365日×経過日数30日

上記式に基づく支払利息:821円(小数点以下切り捨て)

→総返済額:50,821円

②毎月払いで3回に分けて返済する場合

残債方式で分割払いとする場合、返済が進むにつれ負担してもらう利息も減ります。
5万円を分割3回払いとし、借入当初の元金をほぼ3等分にして3か月で完済する計画を立てると(元金均等返済)、債務者の支払明細は以下の表のとおりです(単位=円)。

返済回数

総返済額

うち支払利息

元金充当後残高

1回目

17,499

833

33,334

2回目

17,221

555

16,668

3回目

16,945

277

完済までの支払総額

51,665

1,665

※初回返済を2022年2月と仮定(以降のシミュレーションも同様) 

1回目の返済では、①30日後に全額返済する場合の元金5万円をベースとする式に、実際に借入日から経過した日数を代入します。
実行すると、総返済額のうち16,666円が元金に充当され、返済2回目の支払利息は借入残高33,334円と経過日数が基準となります。

最終回の3回目でも同様の計算を行った結果、支払利息はほとんど発生しません。

▼支払利息の計算式

1回目

元金5万円×年利20%÷365日×借入からの経過日数

2回目

(当初の元金5万円-前回充当分16,666円)×年利20%÷365日×返済1回目からの経過日数

3回目

2回目返済後の元金16,668円×年利20%÷365日×返済1回目からの経過日数

(2)契約年利18%/融資額50万円の場合

 次に想定するのは、融資額が増え、法定の上限金利が1段階引き下がるケースです。
仮に個人消費者が家具家電を揃えるものとして、設定できる年利の限界である18%で50万円貸し付けるとするとしましょう。

ここでは、よくある①翌月1回払い・②分割12回払い・③分割24回払いの3パターンでシミュレーションします。

①30日後に全額返済する場合

1か月後、厳密には30日後に全額返済すると、残債方式・アドオン方式共に以下の支払い明細となります。
仕組み上短期間で返済すれば利息も安くなるとはいえ、一般的な会社員の給与から考えると、少額とは決して言えません。

利息の計算式:元金50万円×年利18%÷365日×経過日数30日

上記式に基づく支払利息:7,397円(小数点以下切り捨て)

→総返済額:507,397円

②毎月払いで12回に分けて返済する場合

残債方式・月払い・元金均等返済で分割12回とするのなら、支払明細は以下のとおりです(単位=円)。
法律と契約時の設定によって抑制されているとは言え、総額で融資額の10分の1ほどの利息負担となる点は見逃せません。

返済回数

総返済額

うち支払利息

うち元金充当部分

1回目

49,166

7,500

41,666

2回目

48,541

6,875

41,666

3回目

47,916

6,250

41,666

4回目

47,291

5,625

41,666

5回目

46,666

5,000

41,666

中略

12回目

42,299

625

41,674

完済までの支払総額

548,750

48,750

500,000

③毎月払いで24回に分けて返済する場合

50万円を年利MAXで分割24回払いするとなると、利息負担は10万円弱となります(下記表/単位=円)。
実際の取引では、一定回数まで金利を無料とするキャンペーンが頻繁に行われていますが、これがいかに債務者にとってお得になるのか見て取れます。 

返済回数

総返済額

支払利息

元金充当部分

1回目

28,333

7,500

20,833

2回目

28,020

7,187

20,833

3回目

27,708

6,875

20,833

4回目

27,395

6,562

20,833

5回目

27,083

6,250

20,833

中略

24回目

21,153

312

20,841

完済までの支払総額

593,744

93,744

500,000

(3)契約年利15%/融資額100万円の場合

シミュレーションの締めくくりに、契約金利の上限が最も低くなる融資額を想定してみましょう。
利息制限法によれば、100万円貸し付けると最大でも年利15%の設定です。

以降で試算するのは、①翌月1回払いに加え、個人消費者にとって無理のない範囲と思われる②分割24回払いと③分割48回払いです。

①30日後に完済する場合

ボーナス等を使って借入から30日後に完済する場合、利息と総返済額は以下の通りです。
すぐに完済するつもりなら、融資額を半分の50万円とする場合と比べ、負担額が大きく変わるわけではありません。

利息の計算式:元金100万円×年利15%÷365日×経過日数30日

上記式に基づく支払利息:12,328円(小数点以下切り捨て)

総返済額:1,012,328円 

②毎月払いで24回に分けて返済する場合

2年かけて100万円を24回払いとすると、支払明細は表のようになります(単位=円)。
返済初期に支払いの5分の1程度が利息になる点を考えると、やはり債務者の負担の重さは無視できません。

返済回数

総返済額

支払利息

元金充当部分

1回目

54,166

12,500

41,666

2回目

53,645

11,979

41,666

3回目

53,124

11,458

41,666

4回目

52,603

10,937

41,666

5回目

52,082

10,416

41,666

中略

24回目

42,203

521

41,682

完済までの支払総額

1,156,241

156,241

1,000,000

③毎月払いで48回に分けて返済する場合

4年かけて48回払いとするなら、完済まで次の計画で進みます(単位=円)。
債務者の気持ちを想像すると、正直なところ「返済が追い付かない」「減収のせいで計画通りに支払いが進まなかったらどうしよう」といったところでしょう。 

余裕のある月に多めに返済する「繰上返済」を検討・提案する等、元金をより効率的に減らすプランを練りたいところです。 

返済回数

総返済額

支払利息

元金充当部分

1回目

33,333

12,500

20,833

2回目

33,072

12,239

20,833

3回目

32,812

11,979

20,833

4回目

32,551

11,718

20,833

5回目

32,291

11,458

20,833

中略

48回目

21,109

260

20,849

完済までの支払総額

1,306,231

306,231

1,000,000

6、利息制限法&出資法の改正を巡る問題│過払金の仕組み

利息制限法&出資法の改正を巡る問題│過払金の仕組み

金銭貸借契約に関わる機会があるのなら、なるべく頭に入れておきたい問題があります。
貸金業界で見られるようになった「過払金返還請求」を巡るトラブルです。

トラブルのきっかけは、平成22年(2008年)にあった利息制限規定の見直しです。
法改正で撤廃された「グレーゾーン金利」を巡り、当時の取引当事者の間で、支払済の利息の返還について話し合わざるを得なくなっているのです。

(1)グレーゾーン金利とは【平成22年6月に完全撤廃】

グレーゾーン金利とは、利息制限法の規制を超え、かつ旧出資法の罰則の対象にならない範囲で定められた高金利を意味します。 

利息制限法の最高利率(年20%)を超えると刑事罰が科される仕組みは、法改正で整えられたものです。
上記法律の内容は改正以前から据え置かれているところ、刑事罰を定める出資法側の基準がより緩やか(年29.2%超)で、高利貸し規制のシステムは実効性に欠けていました。 

実際、一定の要件を満たして旧出資法の適用を受け、年20%超かつ年29.2%未満の契約金利=グレーゾーン金利で営業する業者が多数存在したのです。

元本の額

①利息制限法の上限

②旧出資法で刑事罰の対象となる金利

③改正出資法で刑事罰の対象となる金利

10万円以内

年20%

年29.2%超

年20%超

10万円以上

100万円未満

年18%

100万円以上

年15%

グレーゾーン金利の見直しが本格的に始まったのは、2002年(平成14年)以降です。
本年から業者に対する行政処分が相次ぎ、2008年(平成22年)6月18日には改正出資法を完全施行することで、ついに利息制限法の効力が確かなものとなりました。 

(2)過払金請求とは

債務者が貸金業者に返還を求める「過払金」とは、まさにグレーゾーン金利による超過利息を指しています。

返してもらう権利は複数の最高裁判決が根拠になっており、貸金業者として請求を全面的に断るわけには行きません。 

過払金請求の当事者となった時は、取引履歴等から正確に超過利息を計算し、消滅時効を迎えていない部分や元本充当後の返済方法について話し合います。

まとめ

契約金利を定める時は、利息制限法で定められる上限を守らなくてはなりません。
融資担当者として誤案内でトラブルになったり、債務者として損になる取引をしたりすることのないよう、法律の理解をしっかり深めておきましょう。

最後に改めて上限金利を整理しておくと、次のようになります。

▼みなし利息を含む契約金利の上限

10万円未満…年20%

10万円以上100万円未満…年18%

100万円以上…年15%

※融資額に関わらず、契約金利が年20%を超えると刑事罰に処される恐れあり

▼遅延損害金の上限金利

契約時に合意がない場合…年3%

契約時に合意あり+営業的取引の場合…年21.9%~年29.2%※

契約時に合意あり+営業的取引でない場合…20%

※融資額で異なる

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弁護士費用保険のススメ

今すぐには弁護士に依頼しないけれど、その時が来たら依頼を考えているという方には、 ベンナビ弁護士保険への加入がおすすめです。

ベンナビ弁護士保険への加入
ベンナビ弁護士保険への加入

何か法律トラブルに巻き込まれた際、弁護士に相談するのが一番良いと知りながらも、どうしても費用がネックになり相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。そんな方々をいざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。

ベンナビ弁護士保険に加入すると月額2,950円の保険料で、ご自身やご家族に万が一があった際の弁護士費用補償(着手金)が受けられます。離婚、労働トラブル、ネット誹謗中傷、自転車事故、相続、子供のいじめ問題などの場合でも利用可能です。(補償対象トラブルの範囲はこちらからご確認下さい。)

ご自身、そして大切な家族をトラブルから守るため、まずは資料請求からご検討されてはいかがでしょうか。

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提供:株式会社アシロ少額短期保険 KL2022・OD・211

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