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就活セクハラの実例と対処法|身を守り、よりよい職場を見出すために

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企業の採用面接で女性にだけ「つきあっている男性はいるか」、「結婚や出産後も働き続けるか」と質問される。

制服の貸与などを理由に「スリーサイズは?」と質問される。

志望の会社に勤めている男性の先輩を訪ねたところ、「詳しい話をしたいから、一度飲みに行こう。」などとしつこく誘われる。

そして、性的行為の強制などの犯罪事件の発生まで-。

このように、現代社会では就活セクハラが横行しています。

被害にあったときの責任追及などはどうすれば良いのでしょうか。

そもそも就活セクハラから身を守り、予防するためには、どのような点に注意すればよいでしょうか。

今回は、そのような就活セクハラの問題について、弁護士がわかりやすく解説します。

この記事が、社会生活に一歩踏み出そうとしているあなた、また親御さんや学校関係者その他ご関係の方々のお役に立てば幸いです。

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1、就活セクハラとは

就活セクハラとは

まず、「就活セクハラ」とはそもそも何かを確認しておきましょう。

その前に、もともとの「セクシャルハラスメント(セクハラ)」の意味をおさらいです。

(1)セクシャルハラスメントの意味・類型

職場におけるセクシュアルハラスメントは、「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応により、その労働者が労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されることです(パンフレット『職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です‼』厚生労働省 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)より)。

ここでいう「職場」とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所をいいます。

労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、労働者が業務を遂行する場所であれば「職場」に含まれます。

勤務時間外の「宴会」「懇親の場」などであっても、実質上職務の延長と考えられるものは「職場」に該当します。

また、上記パンフレットでは、職場におけるセクシャルハラスメントは次のように分類されています。

①対価型セクハラ

対価型セクハラとは、労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗)により、その労働者が解雇、降格、減給、労働契約の更新拒否、昇進・昇格の対象から除外、客観的に見て不利益な配置転換などの不利益を受けることをいいます。

典型的な例を挙げると、

  • 上司が労働者に性的な関係を要求したが、拒否されたので、その労働者を解雇した場合
  • 上司が労働者の腰、胸などに触ったが、抵抗されたため、不利益な配置転換をした場合

をいいます。

②環境型セクハラ

環境型セクハラとは、労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどその労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることをいいます。

典型的な例を挙げると、

  • 上司が労働者の腰、胸などに度々触ったことから、労働者が苦痛に感じ就業意欲が低下した場合
  • 労働者が抗議をしているのに、同僚が業務パソコンでアダルトサイトを閲覧したことから、それを見た労働者が苦痛に感じて業務に専念できない場合

が挙げられます。

(2)就活セクハラとは

就活セクハラは、職場内の上司・同僚などの問題ではなく、職場の外から就職活動として会社に接する就活生へのセクハラです。

就活生に対して会社の採用担当者や学校OBの先輩などが行うハラスメントです。

2、就活セクハラの実例

就活セクハラの実例

就活セクハラの実例を挙げてみます。

特に問題になるのは就活生がOBOG訪問することが多く、会社の目に触れないところで悪質な行為が行われることでしょう。

面接などの公的な場でも、およそ品位を欠いた言動も行われています。

(1)OB・OG訪問や説明会等で知り合った社員からのセクハラ

  • 大学のOBを訪問しようとしたが、「忙しい」といって夜の時間を指定され、料亭やバーで強いお酒を飲まされ、泥酔状態になった。
  • 無理やりキスされたり、家に来るよう迫られたりした。帰りたかったが、「採用の権限がある」といわれて断りきれなくなった。

しつこく誘われる事案は後を絶たないようです。

  • 女子学生が説明会で知り合った志望企業の社員から無料通話アプリで「飲みに行こう」と執拗に誘われた。

「誘いを断ったら選考に影響するかもしれない」と不安になっています。

また、犯罪事件も起きています。

  • 「大手商社の男がOB訪問で知り合った女子学生を酒に酔わせて乱暴し準強制性交容疑で逮捕」
  • 「大手ゼネコンの男性社員がマッチングアプリで連絡を取った女子学生にわいせつ行為」

などです。

(2)面接時のセクハラ

面接の際、「つきあっている男性はいるか」、「結婚や出産後も働き続けるか」ということを女子学生にだけ質問された、といった事例です。

企業としては、「女性を差別する意図はなく、長く働いてほしいとの考えから、女性については妊娠・出産後も働き続ける意思があるか否かを判断するために確認していた」などと言うようです。

これは、厚生労働省の雇用均等室が実際に扱った事例です。

同室では「女性に対してのみ一定の質問を行うことは男女雇用機会均等法に違反する」として是正するように企業を指導したとされています(厚生労働省「働く女性のための法律、相談機関について知る」より)。

さらには、「性的な冗談やからかい」、「性的な事実関係(性体験など)の質問」も多く見られるようです。

採用とおよそ関係のない質問であり、上記よりもさらに悪質といえるでしょう。

3、就活セクハラが横行した背景

就活セクハラが横行した背景

就活セクハラが横行している背景には、次のような事情があると考えられます。

①就活生は立場も弱く知識経験も乏しい

いくら売り手市場とはいえ、就活生にとって自分の志望の企業に就職するのはたやすい事ではありません。

就職に有利になる、或いは不利になる、といった思いから、我慢を重ねがちです。

またハラスメントの基本的な知識があるわけでもなく、無理な要求やぶしつけな質問などにどう対応するかといった経験やノウハウも持っていません。

②法の未整備

ハラスメントの規制はもともと「職場の中で」「労働者に対して」という前提で検討が進められてきました。

しかし、就活生はその職場の労働者ではないため、就活生へのセクハラ対応は、これまで十分検討されてきませんでした。

なお、同様の問題は、取引先からのハラスメントについても発生しています。

力関係の強い取引先の担当者などからハラスメントを受け、弱い立場の企業の労働者が泣き寝入りするという事態です。

2019年にまとめられたパワーハラスメントの法規制や指針の検討の中でも、就活生のハラスメントや取引先からのハラスメントへの対応も検討はされましたが、具体的な規制には至っていません。

③企業の対応の遅れ

企業としても職場内のハラスメント対策で手一杯でもあり、就活生へのハラスメント対応は十分検討されてこなかったようです。

とりわけ一流企業は、まだまだ買い手市場であり、就活生に対して強い立場にあります。

採用担当者などが就活生に対して強い立場で臨むことに慣れっこになっている、という事情もあるようです。

採用応援の若手社員も、そのような人事部担当者や先輩社員の振る舞いを真似て、役得とでも思って就活生に非礼な振る舞いに至っているのでしょう。

会社も現場でどのような問題が起こっているか把握もしていないのでしょう。

社員が犯罪事件で逮捕され、あわてて「就活生との飲酒禁止」「対応時間の制限」「場所の限定」などの手を打っています。

こんな当たり前のことさえこれまでは何もしていなかったということでしょう。

4、就活セクハラを受けたときの責任追及

就活セクハラを受けたときの責任追及

就活セクハラについては、企業側に大きな責任が生じます。

現実に責任追及を行うかどうかは別として、「法律の上では、就活生はセクハラ被害から守られている」ということを確認しておきましょう。

(1)民事責任の追及

就活生は企業とは直接の契約関係にはありません。

しかし、民法上の不法行為責任を追求することは可能です。

例えば、採用担当者の「就活セクハラ」で就活生が精神的苦痛を受けたことが立証できれば、民法上の「不法行為」として、採用担当者に対して慰謝料の請求が可能です。

さらに、採用担当者のみならず会社に対しても使用者責任を追求することが可能です。

実際に訴訟で争う場合には、採用担当者個人だけでなく、むしろ、会社に対して使用者責任を追及することが通常行われます(民法709 条、710条、715条など参照)。

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)

第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

(使用者等の責任)

第七百十五条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

2 (略)

3 (略)

(2)刑事責任の追及

性的な関係を強要したり、卑わいな行為を行った場合には、行為者には刑事責任が追及される可能性があります。

なお、このような場合は「身体、精神を侵害した行為」ですから、(1)の民事上の損害賠償請求も可能です。

前述の通り、行為者本人だけでなく、会社に対しても請求可能です。

①迷惑防止条例違反

人の体に触ったり、卑猥な言葉を投げかけることも、場合によっては都道府県の迷惑防止条例違反にもなりえます(違反の場合の刑罰:6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)。

②強制わいせつ罪

抱きついたり、キスを強要するなどは強制わいせつ罪になりえます。

相手を酩酊させるなどして抵抗できない状態にしてそのような行為をした場合も同様です(刑法第176条、178条1項:6ヶ月以上10年以下の懲役)。

③強制性交等(旧強姦)罪

性交を強要すれば、「強制性交等(旧強姦)罪」になりえます(刑法第177条:5年以上の有期懲役)。

相手を酩酊させるなどで性交におよべば「準強制性交等罪」になりえます。(刑法178条:6ヶ月以上10年以下の懲役)。

5、就活セクハラの対処策と予防策

就活セクハラの対処策と予防策

このような就活セクハラへの対処や予防するためにはどのようにすればよいでしょうか。

最近の就活セクハラの頻発を受けて、大学、弁護士、マスコミなどから様々な予防策が提言されています。

(1)面接の場やOB訪問などでセクハラを受けたら

面接中にひどいセクハラを受けたと思うなら、躊躇せず退席すべきです。

また、OB訪問などの際でも同様です。セクハラを受けたと思うなら、構わずにその場を離れることです。

その上で、ご自分の大学や場合によっては警察、弁護士にも相談してみてください。

その会社の人事部など責任のある部署にはっきりと報告をすることも考えるべきです。

当該面接なりOB訪問の担当者が不心得な行為をしているだけで、会社として状況を把握していない、という可能性が十分にあります。

多くの会社では、1次面接、2次面接と段階を踏んでいきますので、1次面接で不心得者に遭遇する、といった可能性は十分にあります。

いわんや1対1のOB 訪問ならなおさらのことです。

はっきりと報告をするのがご自身のためでもあり、その会社のためにもなるでしょう。

(2)OB 訪問の注意点

次のような注意が考えられます。

①時間・場所の限定

日中、社内や喫茶店、ファミレスなど人の多い場所にしてもらうことです。

自分や相手の居宅や宿泊先のホテルの個室などはやめましょう。

夜しか都合がつかない場合も酒席は避け、酒席にこだわる相手なら他に同席する社員を求めるべきです。

②プライベートな質問への対応

「恋人はいるの」といったプライベートなことは、聞かれても答えない、当たり障りのない回答をする、聞きたいことを質問するなど話題を有益なものに変えましょう。

③証拠を残す

スマホなどでの録音も考えておきましょう。

「今後の参考のためにお話を記録させてください。」などと相手に対し録音していることを伝えておくのもよいと思います。

誠実な先輩ならば、むしろ喜んでいろんな話を聞かせてくれるでしょう。

④断る勇気も

幾度か会ってみたけど危ないと感じる、会っても有益な情報を大して得られそうにないと思ったら、OB訪問に対するお礼とともに、就活が繁忙期に入ったことなどを伝えるなどして丁重にお断りをする勇気を持つことも大切です。

(3)視野を広げる

とは言いながら、途中退席や誘いを断ることなど、やれるものならやっている、そういう気持ちが大きいのではないでしょうか。

本気でその会社の入社を目指してきた、家族が待望していたなど、その会社への思い入れは相当のものであったからこそ悩むのです、辛いのです。

こんなときは、辛いですが視野を広げることです。

あなたの視野は、今、かなり狭まっています。

希望の会社に入社することに一直線とでも言いましょうか。

これは相手が良ければ、とてもいい姿勢です。あなたの気持ちは何一つ間違っていません。

しかし、相手はあなたが思うような高いレベルになかったのです。

就活生相手にセクハラを行なってしまう男性が会社として大切な面接に関わっている、そういう会社なのです。

これからの人生においても、まっすぐに見つめてきたものが(相手のせいで)思ったようにいかないということは、何度かやってくるでしょう。

でも、あなたは社会人の入り口である「就活」でこれを体験できたのですから、ここであなたの経験値は上がりました。

一度勤めてしまえばそう簡単に退職することができず、長期間思い悩むこととなるかもしれません。

あなたは就職活動の間に、行きたかった会社がどういう会社なのか見ることができたのです。

会社に対する想いを捨てることは決して簡単ではありませんが、実際、ご自分の志望にふさわしい他の会社はもっとあるはずです。

入社前に気付けたのですから、ぜひ他の会社を探す勇気を出してみてください。

6、就活セクハラを受けた場合の相談先

就活セクハラを受けた場合の相談先

様々な相談先があります。

(1)行政の相談窓口

男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム労働法の法律に関する相談に応じています。所在地は次の通りです。

①雇用環境・均等部(室)

なお、厚生労働省から「働く女性のための法律、相談機関について知る」というパンフレットが出されています。就活セクハラについてもわかりやすく説明されています。

都道府県労働局の総合労働相談コーナー

職場のトラブルに関するご相談や、解決のための情報提供をワンストップで行っています。電話相談も可能です。

どこに相談すればわからないというときは、まず、総合労働相談コーナーに相談してみてください。

(2)就活ハラスメントホットライン

就活ハラスメント問題に詳しい企業勤務経験のある心理カウンセラーが、無料で対応してくれます。

電話相談、メール相談いずれも可能です。

(3)弁護士

民事の損害賠償を検討される場合や、刑事事件の可能性もあるような場合は、ぜひ、労働関係に詳しい弁護士に相談してください。

あなたの代理人として責任をもって対応してくれます。

そこまででなくても「会社に一言言いたいが、どうすればよいのか」とか「会社にクレームをつけたのにちゃんと対応してくれない」といった場合なども、弁護士に相談してみてください。

弁護士が表に立つと、意外に早く解決することが多いのです。

まとめ

就活セクハラは、弱い立場の就活生に対する卑劣な行為です。

泣き寝入りするのではなく、公的な機関、ホットライン、弁護士などの力も借りてしっかりと対応してみてください。

一人一人の勇気ある行動が、就活セクハラをやめさせ、さらにはこの国のなかで誇りを持って働ける職場を築いていく第一歩となるでしょう。

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