国民年金を未納にしていると時効で消滅する?滞納のリスクや対処法

国民年金 未納 時効

国民年金の保険料を未納にしている人の中には「未納にしておけば時効により年金の支払い義務が消滅しないかな」と考えている人がいるかもしれません。

保険料を支払うことは国民の義務ですので(国民年金法7条1項1号、88条)本来支払わなければなりませんが、未納にしておくと保険料は時効により消滅するのでしょうか?

そこで今回は、

  • 国民年金の未納と時効との関係
  • 滞納リスク
  • 未納分の年金の支払い方法

について解説します。

本記事がお役に立てば幸いです。 

国民年金保険料の免除と猶予の制度については以下の関連記事をご覧ください。

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1、国民年金を未納にした場合、時効によって納付義務が消滅することはある?

国民年金を未納にした場合、時効によって納付義務が消滅することはある?

国民年金の保険料を未納にした場合、保険料の納付義務が時効により消滅するのかどうか気になっている人もいますよね。

保険料は、納付期限(この日までに納付するという期限)から2年経過すると時効消滅することが法律で定められています(国民年金法102条4項)。
そのため本来であれば納付期限から2年経過すれば保険料の支払い義務がなくなります。

この規定だけを見ると、支払い納付書が自宅に届いても無視して2年経過するのを待てば、保険料の支払い義務を免れられるようにも思えます。

しかし、時効期間がリセットされるために実際には時効による支払い義務の消滅に期待することはできません。

以下でなぜ時効期間がリセットされるのか確認しましょう。

2、未納が2年続けば時効により年金を払わなくて済む?時効の中断について

未納が2年続けば時効により年金を払わなくて済む?時効の中断について

保険料の未納が2年続けば、時効により納付義務を回避できると考えている人もいますが、通常、時効期間はリセットされます。

保険料を未納にしている人には、保険料の支払い義務を促す督促状が送られますが、この督促状が届くと時効はリセットされてしまうのです(国民年金法102条5項)。

これを時効の更新といいます。

時効がリセットされれば、納付期限から2年が経過しても保険料の納付義務は時効消滅しません。
督促状がきたことを無視したとしても、「督促状が届いたこと」自体が時効のリセットを基礎づけますので、2年の経過により保険料の納付義務が消滅することはありません。 

3、時効期間2年が経過するのを待っているとどうなる?滞納のリスク

時効期間2年が経過するのを待っているとどうなる?滞納のリスク

保険料の納付義務が時効消滅することを期待して2年が経過するのを待っているとどうなるのでしょうか? 

ここからは保険料の支払いを滞納した場合のリスクについて解説します。 

(1)国民年金保険料を支払わなかったときの流れ

保険料を支払わなかったときはどのような措置が取られるのかを確認していきましょう。

①国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催告状)が届く

納付期限が到来したにもかかわらず保険料を未納にしていると、国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催告状)が送られてきます。

催告状が送られても支払いがなされないと、その後さらなる督促の流れが進みますので、この時点で支払いをするようにしましょう。

②電話・訪問による督促

催告状が送られたにもかかわらず支払いがなされないと、

  • 電話
  • 訪問

による督促が始まります。
日本年金機構から委託された業者が電話・訪問による督促を行います。

電話・訪問による督促にも応じない場合、督促状が届きますが、督促状の指定期限までに保険料の納付をしないと延滞金が発生しますので注意してください。

また直に支払いを請求されることは精神的な負担にもなり得ます。

③差押予告通知書が届く

電話・訪問による督促がなされても保険料の納付に応じないと、差押予告通知書が届きます。

この差押予告通知書には差押えがなされる具体的日付は明記されていません。
差押予告通知書が届いたにもかかわらず放置していると、ある日突然財産の差押えがなされる事態が発生します。

差押えの手続きが進んでしまうと、その流れを拒否することができないので、あなたの大切なものを失うことにもなりかねません。 

差押予告通知書が届いたということは手続がかなり進んでしまっていることを意味しますので、早急に対応しましょう。

④差押え

国民年金の保険料を未納にしたくらいで財産の差押えはされないだろうと安易に考えている人がいますが、国民年金の保険料未納に基づく差押えは実際に実行されています。

差押えの対象となるのは、

  • 給料
  • 銀行預金
  • 自動車
  • 自宅などの不動産
  • 生活必需品以外の動産
  • 有価証券などの債権

です。

これに対し、

  • 年金
  • 生活保護費
  • 家電・家具などの生活必需品

は差押えの対象とはなりません。

差押えがされてしまうと、差押えされたものを取り返すことができない可能性が高いので、十分注意してください。

⑤世帯主や配偶者の財産が差押え対象となる場合があるので注意

万が一、国民年金の未納による差押えがなされても、自分は差押えの対象となる財産をほとんど持っていないことを理由に未納状態を継続している人がいるかもしれません。

しかしながら、ここで注意しなければならないのが、国民年金の保険料を未納にした場合の差押えの対象は、未納にした本人の財産だけでなく、

  • 世帯主
  • 配偶者

などの財産まで対象となる場合があるという点です(国民年金法88条2項・3項)。

自分の財産が失われるということも耐えがたいことですが、世帯主や配偶者に迷惑をかけることは更に心苦しいことでしょう。 

差押えの実行により人間関係も複雑になってしまう可能性があります。

したがって、差押えとなる前に保険料を支払うことが重要です。

支払いが難しい場合には「(3)国民年金保険料を支払えないときは、免除や猶予の制度を利用」にてご紹介する

  • 免除
  • 猶予

の制度を利用しましょう。 

(2)時効期間を待っている間に、延滞金加算や督促のリスクあり

保険料の納付義務の時効消滅を期待して、2年が経過するのを待っている人の中には、時効期間を待っている間に発生するリスクに気づいていない人もいます。

①年14.%の延滞金が発生するリスク 

まず、2年の時効期間を待っている間、年14.%の延滞金が発生するリスクがあります。

延滞金が発生すれば、本来支払うべき金額とは別に延滞金を支払う必要が生じ、支払いが遅れれば遅れるほど支払う合計額がどんどん増えていきます。 

年14.6%の延滞金と聞いたときにあまりピンとこない人もいるかもしれませんが、延滞金というのはどんどん膨れ上がっていき、気づいたときには自分の想像以上の金額を支払う事態になりかねません。

延滞金は本来であれば支払わなくて済んだお金ですので、延滞金が発生する前に何らかの対処をしていきましょう。 

②電話や訪問による督促のリスク

保険料を納付しなければ督促をされるリスクもあります。
電話による督促だけでなく、未納が続くと訪問による督促もなされます。

督促の電話が鳴り続けたり、督促の訪問がなされることで近所から冷たい目で見られたりするなど、督促は精神的にストレスを感じる人が少なくありません。

早めに対応すれば、延滞金の発生も督促による精神的ストレスも背負わずに済みますので、早めに対応していきましょう。

③障害基礎年金や遺族基礎年金を受給できないリスク

さらなる重大なリスクとして、保険料を未納にしていると

  • 障害基礎年金
  • 遺族基礎年金

を受給できない可能性があります。

人生では何が起こるかわからず、突然事故や病気で障害を負ったり大切な人が亡くなったりする可能性がゼロとは言えません。

万が一のことが発生した場合、保険料が未納になっていると障害基礎年金や遺族基礎年金を受給できず、経済的に圧迫される可能性が高いです。

このような事態に対応するためにも、保険料の支払いが難しい場合は以下の免除や猶予の制度を利用するようにしましょう。 

(3)国民年金保険料を支払えないときは、免除や猶予の制度を利用

以上のように、保険料を未納にしたままにすると様々なリスクが発生します。

保険料は一刻でも早く支払った方が良いですが、中には経済的に困窮しており保険料を支払えない人もいるでしょう。 

保険料の支払いが難しい場合は、

  • 国民年金保険料免除制度
  • 国民年金納付猶予制度

の利用を検討してみてください。

①国民年金保険料免除制度

保険料の支払いが難しい場合、国民年金保険料の支払いの免除が認められています。

所得等に応じて、

  • 全額免除
  • 4分の3免除
  • 半額免除
  • 4分の1免除

のいずれかの免除を受けることができます。

保険料が免除されている期間については、将来年金がもらえなくなってしまうのでは?と心配する人がいますが、国民年金保険料免除制度を利用している場合、将来年金を受け取る際は、本来受給できる金額の2分の1に相当する年金を受け取ることができます。

また、保険料免除を受けていても、障害年金や遺族年金を受け取ることができます。

免除の申請をしていなければ障害年金や遺族年金も受け取れないのですから、経済的に困窮している人はしっかり免除の申請をしましょう。

②国民年金納付猶予制度

上記とは異なる制度に、国民年金納付猶予制度というものがあります。
上記の免除制度とは異なり、猶予制度は年齢が20歳以上50歳未満の人のみが利用できます。

猶予制度の適用となっている期間については、将来の老齢年金の受給計算にはカウントされません。

なお、猶予制度の対象となっている期間でも障害年金や遺族年金を受け取ることができるのは免除制度と同様です。

参考:日本年金機構

4、滞納にはリスクばかり…未納分の年金の支払い方法

滞納にはリスクばかり…未納分の年金の支払い方法

上記で説明したように、保険料の未納状態を放置しておくことにはリスクが伴います。
保険料は後から支払うことができますので、しっかり納付していきましょう。

(1)後納

保険料を後から支払う制度として、後納という制度があります。
保険料の納付期限から2年以内であれば、保険料を後から支払うことが可能です。

保険料の納付書が手元にあれば、その納付書で支払いをすることができます。

もし納付書が手元にない場合は、年金事務所に連絡するようにしてください。
年金事務所に連絡すれば、新たな納付書を郵送してもらうことができます。

(2)納付猶予制度により追納

納付猶予制度を利用すると、保険料の納付の猶予を受けることができますが、納付猶予を受けている期間は老齢基礎年金の年金額の計算にカウントされません。そのため、納付猶予制度を利用している間は、保険料を全額納付した場合と比べ将来受け取る年金額が少なくなります。

将来の年金額を増やしたい場合は、後から保険料を納付(追納)することで対応可能です。納付猶予制度を利用すると、本来2年である時効期間が10年となりますので、追納できる期間も同時に長くなります。

以下のページで年金に関することが相談できますので、ご確認ください。

参考:国民年金機構

5、借金等により国民年金保険料を支払えない場合は弁護士に相談を

借金等により国民年金保険料を支払えない場合は弁護士に相談を

以上のように、国民年金の保険料を滞納しているとリスクがありますので、保険料はしっかり納付しましょう。

もし多額の借金を抱えているなどの理由で保険料を支払えない人は弁護士に一度相談をしてみてください。借金について債務整理で解決できれば、無理のない返済とともに保険料を支払えるようになる場合もあります。

弁護士への相談は敷居が高く感じる人もいますが、一度相談することで精神的負担が減る人が少なくありません。ぜひお気軽にご連絡ください。

まとめ

国民年金の保険料を支払うことは国民の義務ですから、未納にしたまま時効消滅を期待することのないようにしましょう。

もしも保険料を支払うことが経済的に難しい場合は、上記の免除や猶予の制度を利用すれば、保険料の支払いをしていなくても障害年金や遺族年金を受け取ることができます。 

保険料の支払いが難しい場合は、収入が少ないか借金の返済等で支出が大きくなっている可能性が高いので、まずは一度弁護士に相談してみることをおすすめします。 

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