自己破産しても税金の滞納は免除されない! 対処法はある?

自己破産しても税金の滞納は免除されない!そんなときの対処法

“借金の返済に追われて滞納している税金も、自己破産で免除されるのだろうか――そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。

「自己破産しても税金の支払い義務は免除されません」という事実を知っておくことが重要です。自己破産手続きで借金の返済義務は全て免除されますが、税金の滞納は放置していると延滞税がかかってしまいます。最終的には財産を差し押さえられる可能性も考えられます。そのため、税金の滞納は自己破産手続きとは別に、早めに解消することが極めて重要です。

本記事では、以下の内容について、弁護士が分かりやすく解説していきます。

自己破産しても税金は免除されない理由とは?
税金を支払えないときの対処法とは?
自己破産以外で税金の滞納を免除してもらう方法はあるか?

せっかく自己破産したのに税金の滞納が残ってしまった方や、借金だけでなく税金の支払いに追われて自己破産をお考えの方にとって、この情報が有益な手助けとなれば幸いです。自己破産と税金に関する正確な知識を持ち、適切な選択をすることで、より良い未来に向けて歩みを進められることでしょう。

自己破産全般については以下の関連記事をご覧ください。

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1、自己破産しても税金の支払い義務は免責されないって本当?

自己破産しても税金の支払い義務は免責されません

破産法で、「租税等の請求権」には免責許可決定の効力が及ばないと定められているからです(同法第253条1項1号)。

ここにいう「租税等の請求権」とは、国税徴収法または国税徴収の例によって徴収される請求のことを指します。

  • 所得税
  • 住民税
  • 固定資産税
  • 自動車税

などの税金はもちろん、国民年金保険料や国民健康保険といった社会保険料、下水道料金など一部の公共料金も「租税等の請求権」に含まれます。

このように、自己破産手続きによる免責許可決定によっても免除されない支払い義務のことを「非免責債権」といいます。非免責債権がある場合は、自己破産手続きが終了した後も支払っていかなければなりません。

例外として、病気で働けない場合など一定の要件を満たす場合には「滞納処分の停止」が行われ(国税徴収法第153条1項)、その停止が3年間続いた場合は税金の支払い義務が消滅します(同条4項)。状況によっては、3年が経過する前でも税金の支払い義務が消滅することもあります(同条5項)。

このように、自己破産手続きとは別で、税金の支払い義務を免除してもらえる制度もあります。滞納処分の停止について詳しくは、後ほど「3」(4)でご説明します。

2、税金の滞納を続けると財産を失う?滞納後の流れとは

基本的には、税金の滞納を続けると最終的に財産を失ってしまうと考えておく必要があります。

ここでは、税金を滞納してから財産を失うまでの流れをみていきましょう。

(1)延滞税・延滞金が加算される

税金を1日でも延滞すると、延滞税・延滞金が発生します。

「延滞税」とは国税を延滞した場合に、「延滞金」とは地方税を延滞した場合にかかる税金のことです。

もっとも、延滞税・延滞金の金額は1,000円未満のうちは加算されません。
例えば、所得税10万円を延滞した場合、2か月後に支払えば延滞金はかかりませんが、3か月延滞すると1,100円ほどの延滞税がかかってきます。6か月延滞すると、延滞税は3,300円ほどになります。この金額だけを見ると大した金額ではないと感じるかもしれませんが、延滞税・延滞金の税率は高いので注意が必要です。延滞額が大きい場合や、延滞期間が長引いた場合には延滞税・延滞金だけで数万円から十万円以上になるケースも多々あります。

延滞税の計算方法を正確に確認したい方は、こちらの国税庁のページをご覧ください。

参考:国税庁|延滞税について

(2)督促状が届く

延滞が発生すると、納期限から20日以内に徴収義務者(税務署や市区町村の役所)から「督促状」が送付されます。この督促状は、消費者金融などの貸金業者が送付してくる督促状とは異なり、法律に基づく手続きなので、必ず送付されてきます。
督促状が発送されてから10日以内に、滞納した税金と延滞税・延滞金を完納しなければ、徴収する側は滞納した人の財産を「差し押さえなければならない」こととされています(国税徴収法第47条1項1号)。つまり、税金を30日以上延滞すると、いつ差押えを受けてもおかしくない状態となるのです。

もっとも、いきなり差押えが行われることはまずなく、電話や郵便、訪問などによる催告が行われ、自主的な納付を促されるのが通常です。

(3)財産調査や捜索を受ける

滞納者が督促や催告に応じない場合、税務署や市区町村の役所は、いよいよ差押えに向けて動き出します。

まずは、差し押さえるべき財産を把握するために「財産調査」が行われます。調べられる財産は、

  • 給料
  • 預貯金
  • 不動産
  • 自動車
  • その他の動産の他にも売掛金

など、換金しうるものはすべて対象となります。

給料や売掛金の有無・金額を調べるために、勤務先や取引先にまで照会・聴き取り調査などが行われます。

滞納者やその関係者等が照会・聴き取り調査に応じない場合や、財産隠しが疑われるような場合には、自宅や職場などに強制的に立ち入られ、捜索されることもあります。

以上の財産調査と捜索は国税徴収法に基づく手続きなので、事前に滞納者等の了承を得ることなく行われることがあります。

会社員の方は職場での立場が悪くなるでしょうし、自営業の方は取引先の信頼を失ってしまうおそれがあります。

(4)財産を差し押さえられる

財産調査・捜索によって差押え可能な財産が判明した場合は、その財産が差し押さえられます。

給料などの債権者が継続的に支払いを受ける債権が差し押さえられた場合は、滞納した税金の完納に至るまで一定額が差し引かれ、納付に充てられます。

不動産や自動車、その他の動産などの物が差し押さえられた場合は、最終的に売却(公売)され、その代金が納付に充てられます。

なお、消費者金融などの貸金業者が行う差押えは、自己破産の開始決定によって効力を失います(破産法第42条2項)。開始決定後に差押えをすることもできません(同条1項、第43条1項)。しかし、税金の滞納処分としての差押えは、自己破産手続きの影響を受けません。その意味でも、税金の支払い義務から免れることはできないのです。

3、自己破産しても税金を支払えないときの対処法

差押えを受けると生活に支障をきたすおそれがありますし、その前に財産調査と捜索によって家庭生活や社会生活に重大な影響が及ぶ可能性があります。

(1)まずは税務署や自治体の窓口に相談する

税務署や自治体(市区町村の役所)には納税に関する相談窓口がありますので、どうしても支払えないときは早めに相談しましょう。

支払う意思はあるけれど今は支払いが難しい、という事情を話せば善処してもらえます。多額の借金を抱えて自己破産したこと、あるいは自己破産する予定であることも話すとよいでしょう。

相談するのは気が重いかもしれませんが、放置していると前記のように滞納処分を進められてしまいますので、正直に相談することが重要です。

(2)分割納付の相談をする

一定の条件を満たす場合には、「納税の猶予」や「換価の猶予」を受けた上で分割納付が認められる制度がありますので、相談しましょう。

納税の猶予とは、納期限から1年以内に限り税金の支払いを待ってもらえる制度です(国税徴収法第151条の2、1項)。換価の猶予とは、差押えを受けても1年以内に限り取り立てや売却を待ってもらえる制度です(同法第151条1項)。

これらの措置を受けるために必要不可欠な条件は、「納税について誠実な意思を有する」と認められることです。

そのため、税金を滞納したら放置せず、積極的に相談することが大切なのです。

(3)時効の完成はほぼ期待できない

税金にも一般的な借金と同じように、時効の制度があります。

時効期間は、期限内に申告した場合は3年ですが、申告しなかった場合は5年(贈与税については6年)です。脱税の意図が認められる場合には7年となります。

ただし、それまでに督促状が届くと時効が更新され、それまでの時効期間はリセットされてしまいます。

税務署や市区町村の役所が税金の滞納を放置することはないので、時効によって税金の支払い義務から免れることはほぼ期待できません

時効を期待して税金を支払わないでいると、延滞税・延滞金も加算され続けるので、納税の負担がさらに重くなってしまいます。

(4)滞納処分の停止を受けられることもある

時効以外で税金の支払い義務から免れることが可能な制度として、前記「1」でもご紹介した「滞納処分の停止」があります。

滞納処分の停止とは、税金を滞納しても一定の条件を満たす場合には差押えが行われず、すでに差押えが行われている場合には解除される制度のことです。

その条件は、次のいずれかに当てはまる場合です。

  • 差押え可能な財産がないこと
  • 差押え等によって生活が著しく窮迫するおそれがあること
  • 滞納者の所在と差押え可能な財産がともに不明であること

そして、滞納処分の停止が3年間続くと、税金の支払い義務は免除されます。

自己破産をした方や自己破産をお考えの方なら、条件を満たす方も少なくないと思われますので、諦めずに相談してみましょう。

(5)生活保護を受給すると滞納税も免除される可能性が高くなる

生活保護を受給すると、滞納した税金については「滞納処分の停止」扱いとなります(自治体によって対応が多少は異なる可能性があります)。

そのため、生活保護の受給を3年間続けると、滞納した税金の支払い義務が消滅することになります。

また、生活保護の受給中はほとんどの税金について支払い義務が免除されます。

最後の手段ではありますが、生活がままならない場合には生活保護の受給を検討するのもよいでしょう。

4、コロナの影響で納税が難しい場合には「特例制度」がある

新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少して納税が困難となった場合には、「特例」として納税の猶予等が受けられる場合があります。

すでに滞納してしまった税金等を直接解消できる制度ではありませんが、今後の納税の負担を軽減することで滞納の解消に役立てることができるでしょう。

(1)国税に関する特例制度

所得税や贈与税、相続税などの国税については、コロナの影響で収入が減少した人を対象とした「納税の猶予の特例(特例猶予)」という制度があります。

申請期限は2021年2月1日をもってすでに終了していますが、同日までに納期限が到来する国税について、やむを得ない理由でその納期限までに申請書を提出できなかった場合には、納期限後でも申請が認められる可能性があります。

納期限後の申請が認められない場合でも、前記の既存の猶予制度が適用される可能性もありますので、税務署に相談してみましょう。

(2)地方税に関する特例制度

住民税や自動車税、固定資産税などの地方税についても、コロナの影響で収入が減少した人を対象とした「徴収猶予の特例(特例猶予)」という制度があります。

こちらも申請期限がすでに過ぎていますが、期限までに申請書を提出できなかった場合は納期限後でも申請が認められる可能性があります。

期限後の申請が認められない場合に既存の猶予制度が適用される可能性もあることも国税の場合と同じなので、早めに市区町村の役所へ相談してみましょう。

(3)社会保険料に関する特例制度

国民年金保険料については、コロナの影響で収入が減少した人を対象とした臨時特例措置による「免除」・「納付猶予」の制度があります。

2021年度分の国民年金保険料の免除・納税猶予については同年7月1日から申請の受け付けが開始されています。申請期限は特にありませんが、免除または納税猶予が認められても、すでに納付した保険料は戻ってきませんのでご注意ください。

国民健康保険税についても、コロナの影響で収入が減少した人を対象とした「徴収猶予の特例(特例猶予)」という制度があります。申請期限はすでに過ぎていますが、期限までに申請書を提出できなかった場合は納期限後でも申請が認められる可能性があります。期限後の申請が認められない場合、徴収の猶予は認められませんが、収入に応じて自動的に税額が減免されているはずです(確定申告をした場合)。

5、自己破産の手続き前に税金を借金より優先して支払うのはあり?

自己破産で免責が許可されると借金は免除されますが、税金は免除されません。そうであれば、自己破産の手続きをする前に税金を優先して支払っておくのが得策だといえます。

ただ、そのような支払い方をすることに抵抗を覚える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

たしかに、望ましい支払い方とはいえませんが、借金よりも税金を優先して支払うことに法律上の問題はありません。

(1)税金を優先して支払うのは構わない

税金を優先して支払うことで借金を滞納することになっても、それは違法ではありません。

借金の場合、1日でも返済が遅れると電話や郵便で連日のように取り立てを受けてしまいます。

一方で、税金や社会保険料を滞納しても、少なくとも30日ほどは督促状のハガキが届くだけです。そのために借金の支払いを優先してしまう方が多いのが実情です。

借金の取り立てが恐ろしいという方は、正直に「税金の支払いがあるので、借金の返済は難しい」と伝えましょう。

(2)税金を優先して支払っても偏頗弁済には当たらない

自己破産前に一部の債権者にのみ優先して返済すると「偏頗弁済」に当たり、免責が得られないなどのリスクを負うことがあります。

しかし、税金や社会保険料の請求権は、自己破産手続きにおいても借金より優先的に扱われるものです。そのため、自己破産前に優先的に支払っても偏頗弁済には当たりません。

6、借金と税金の滞納で困ったら早めに弁護士へ相談することが大事

借金の返済に追われていると、税金を支払うために借り入れを重ねてしまうという方も多いことでしょう。しかし、これではみるみるうちに借金が膨れ上がってしまいます。

借金や税金を払いきれないと感じたら、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

状況によっては、弁護士のアドバイスによって任意整理や個人再生など、自己破産よりもデメリットの少ない方法で解決できる可能性もあります。

自己破産がやむを得ないとしても、弁護士に依頼すれば債権者へ受任通知を送付してもらえるので、取り立てがいったんストップします。

その後は借金を返済する必要もないので、それまで返済に充てていたお金を税金に充てることができるようになります。その結果、自己破産を申し立てる前に税金の滞納を解消できることもあるでしょう。

税金の滞納を放置して延滞税・延滞金がたまってしまうと、その支払いに負われることにもなりかねません。困ったときは早めに弁護士に相談することが大事です。

まとめ

自己破産をしても税金の支払い義務は免除されませんが、猶予や滞納処分の停止などによって解決できる可能性もあります。

そうでない場合は、自己破産で借金の免除を受けた上で、滞納した税金を支払っていくことになるでしょう。そのためには、自己破産手続きをスムーズに成功させることがポイントとなります。

弁護士のサポートを受けて、自己破産を成功させ、税金の滞納も解消していきましょう。

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