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傷害罪に詳しい弁護士の見つけ方〜弁護士がしてくれる8つのこと

傷害罪で逮捕された!弁護士に依頼すべきなのだろうか。

相手に暴行を加えるなどして怪我を負わせた場合、刑法上「傷害罪」という犯罪にあたります。
場合によっては逮捕もありえます。
後になって後悔し、被害者にどうお詫びすべきか、また逮捕された場合自分はどうなるのか、怖くなることもあるでしょう。

どうすればいいのか途方に暮れてしまうそんなとき、弁護士の存在を思い出してください。
そんなときこそ弁護士を頼り、まずは心を軽くしましょう。

今回は、

  • 傷害罪で逮捕されたらどうなるのか
  • 傷害罪で弁護士に刑事弁護を依頼するメリット
  • 傷害罪に強い弁護士の見つけ方

についてご紹介いたします。
傷害事件を起こし今後どうなっていくのか、弁護士に依頼したらどんなメリットがあるのか知りたいという方にとって、この記事が一助となれば幸いです。

刑事事件に強い弁護士について知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。

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1、傷害罪で弁護士を探す前に〜傷害罪について

傷害罪で弁護士を探す前に〜傷害罪について

まず、傷害罪がどんな場合に成立し、成立したときはどんな罰則になるのかみてみましょう。

(1)傷害罪の成立要件  

①「人の身体を傷害した」(刑法204条)とは?

「人の身体を傷害した」とは、他人の身体の生理的機能に障害を与えたこと、または他人の健康状態を不良に変更させたことをいいます。

打撲・骨折をさせたことや、創傷を与えたことが「傷害した」ことに当たることはもちろん、中毒症状を生じさせたことや、めまいや嘔吐をさせたこと、病菌を感染させたことなども「傷害した」ことに当たります。

②怪我させてやろうという気持ちは必要?

怪我を負わせるつもりはなかったのに、相手に怪我をさせてしまったという場合、「こんなつもりじゃなかった!」と叫びたくなるかもしれません。

確かに、怪我を負わせてやろうと思っていた場合とそうでない場合とでは、悪質性がかなり違うようにも思われます。

しかし、暴行をした際に、怪我をさせるつもりはなくとも、結果的に傷害を負わせてしまえば傷害罪になります(傷害罪より軽い暴行罪にはなりません)。

暴行を手段とする傷害罪の成立には、暴行の故意があれば足り、傷害の意思のあることは必要ではありません。

もっとも、例えば、毎日朝から晩まで無言電話をかけたり、隣家から騒音を出すといった、暴行とは言えない行為を手段として相手にストレスによる不眠症や頭痛といった傷害を与えた場合には、当該行為によって相手が精神的ストレスを負って身体に障害を生じる可能性があるかもしれないとの認識が傷害の故意として必要になります。

③加害者の行為と傷害結果との間に因果関係が必要

暴行行為、又は傷害行為と傷害との間に因果関係があることが必要です。

この因果関係の考え方についても諸説ありますが、基本的には「その行為がなかったならばその結果は発生しなかった」という原因・結果の関係が認められれば因果関係を認められるとされています。

そのため、例えば、暴行行為により被害者に骨折を負わせたとされても、暴行行為の前に、被害者が別の原因で骨折していたということが判明した場合は、「その行為がなくても結果は発生していた」といえますから因果関係は否定され、傷害罪は成立しません。

刑法204条

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

(2)傷害罪の罰則-量刑は?(初犯の場合)

傷害罪の罰則は、「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

それでは、裁判で決められる刑の重さ、つまり量刑の相場はどうでしょうか?

傷害罪の場合、量刑を決める上では、計画性の有無、犯行態様(暴行の回数や凶器使用の有無など)、傷害の程度(犯情)のほか、被告人の反省の態度、前科・前歴の有無、被害弁償・示談締結の有無(一般情状)などが考慮されます。

①罰金刑でおさまりやすいケース

素手による1回限りの殴打であって、傷害の程度が加療約1週間などという場合は罰金刑におさまりやすいです。

罰金額についても、上記でご紹介した情状により異なりますが、このケースだと罰金20万円か罰金30万円が科される可能性が高いでしょう。

②懲役刑にされやすいケース

ナイフを使用して相手の顔面を切り付けるなどし、傷害の程度が加療約1か月などの場合は懲役刑にされやすいです。

懲役刑の重さも罰金刑の場合と同様、情状により異なりますが、このケースの場合だと懲役1年から懲役2年が科される可能性が高いでしょう(顔面を切り付けていますから、相手が女性の場合はもっと重くなることも考えられます)。

また、実刑か執行猶予かの基準も、上記でご紹介した情状によって異なってきます。

2、傷害罪で逮捕されたらどうなるか?

傷害罪で逮捕されたらどうなるか?

傷害罪で容疑がかけられた場合、どれくらいの割合で逮捕されるのでしょうか?

この項では、傷害事件で逮捕された件数・割合や逮捕に至りやすいケース、逮捕された後の流れなどについてご紹介いたします。

(1)傷害事件で逮捕された件数

平成30年版の犯罪白書によれば、平成29年度中に検察庁で処理された傷害事件の総数22、911件のうち、被疑者が逮捕された件数は13、012件(全体の約57%)でした。

平成28年度は処理総数24、698件のうち、逮捕された件数は13、993件(全体の約57%)でした。

(2)逮捕に至りやすいケース

凶器を使用したり、傷害の程度が重いなどの悪質な場合、逮捕されやすい傾向にあります。

また、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがあると認められる場合は逮捕されやすくなります。

(3)どんな場合に罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがあると認められるか

まず、被害者と同居している、近所に住んでいる、住所または職場を知っているなどの場合は、被害者と接触する可能性が高くなりますから、罪証隠滅のおそれがあると判断されやすくなります。

また、執行猶予中である、前科・前歴を多数持っている、一人暮らしである、無職など生活が不安定であるなどの場合は、逃亡する動機があって身軽であることから逃亡のおそれありと判断されやすくなります。

(4)逮捕後の流れ

①逮捕から送検

逮捕された犯人を受け取った警察官は、犯人の身柄拘束が必要か否か判断し、必要ないと判断したときは犯人を釈放し、必要と判断したときは、逮捕のときから48時間以内に事件と犯人を検察官の元へ送致する手続きを取ります。

また、この手続中、警察官による取調べも行われます。

ア、釈放された場合

釈放された場合は、在宅事件へと切り替わります。
すなわち、通常の生活を送りながら、警察や検察からの呼び出しに応じ、取調べなどを受けることになります。

イ、釈放されなかった場合

検察官の元で「弁解録取」という手続を受けます。
建前としては犯人から弁解を聴く手続ですが、実質は取調べと同じです。

②送検(上記①イの続き)から勾留請求まで

検察官は弁解録取手続を終えた後、 犯人の身柄拘束が必要か否か判断し、必要ないと判断したときは犯人を釈放し、必要がある判断したときは犯人の身柄を受け取ってから24時間以内に勾留請求の手続きを取ります。

釈放された場合の流れは上記①アと同様です。

③勾留請求から勾留決定まで

検察官が勾留の請求をした場合、今度は,裁判官による「勾留質問」の手続を受けます。
裁判官は、勾留質問の結果を経て犯人を勾留するか否かを判断します。

勾留の必要がないと判断したときは、原則、釈放されます。
ここで原則と申し上げたのは、検察官の不服申し立てにより、その判断が覆される(身柄拘束が続く)おそれがあるからです。

釈放された場合の流れは上記①アと同様です。
勾留の必要があると判断したとき(勾留決定があったとき)は、裁判官から指定された場所に勾留されることになります。
この場合の期間は、検察官の勾留の請求があった日から10日間です。

その後勾留延長請求が認められると最長でさらに10日間、すなわち最初の勾留決定から最長で20日間まで身柄拘束が可能となります。

3、傷害罪で弁護士に依頼するメリット

傷害罪で弁護士に依頼するメリット

傷害罪で弁護士に依頼するメリットとはどんな点にあるのでしょうか?

この項では、逮捕されなかった場合と逮捕された場合に分け、最後に両者の共通点をご紹介いたします。

(1)逮捕されていない場合

①逮捕回避に向けた弁護活動をしてくれる

上記(2)の「逮捕されやすいケース」でもご紹介したように、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがある方は逮捕されやすいです。

したがって、弁護士に依頼すれば、これらの事項を解消するための弁護活動をしてもらえます。

例えば、被害者の近所に住んでいる場合は引っ越しを促されることもあるでしょう。

しかし、それだけにとどまらず、引っ越しをしたならばその事実を証拠化し、そうした証拠などをもとに逮捕に反対する旨の意見書を捜査機関に提出するなどしてくれます。

②警察対応をしてくれる

逮捕されていない場合でも、すでに警察から呼び出しを受けている、取調べの予定が入っており不安だ等という方もおられると思います。
そうした場合、弁護士に依頼すれば、警察との間に入ってもらえます。
弁護士が警察から連絡を受け、出頭の調整をしたり、警察署まで同行して取調べ室のそばで待機してくれる場合もあります。

(2)逮捕された場合

①曜日、時間帯、時間制限なく立会人なしで接見してもらえる

突然、警察から「息子さんを傷害罪で逮捕した」という連絡が来ても安心です。
弁護士であれば、曜日、時間帯に関係なく接見できます。

さらに、1時間であろうが2時間であろうが接見時間の制限はありませんし、立会人なく心行くまで接見できます。

他方で、弁護人以外の方は、通常、逮捕期間中(上記2⑶①の段階)は接見できません。

また、通常、平日しか面会できず、面会できたとしても立会人がおり、1日1回、15分から20分という制限があります。

②釈放に向けた弁護活動をしてくれる

逮捕期間中であれば釈放するよう、勾留請求や勾留をしないよう、捜査機関や裁判所に意見書などを提出してくれます。

また、仮に勾留された場合は、勾留決定に対する不服の申し立てをしてくれます。
不服の申し立てが認められれば、10日の勾留期間を待たずとも早期に釈放されます。

なお、弁護士には「私選」と「国選」がありますが、勾留決定が出るまでに釈放に向けた活動をしてくれるのは「私選」の弁護人です。「国選」の弁護人は勾留決定が出た後でしか活動できません。

③報道、会社、学校への対応をしてくれる

逮捕された場合、報道されるのではないか、会社・学校はどうなるのか心配される方も多いと思われます。
そうした場合、弁護士に依頼すれば、可能な限り、報道機関に対しては報道を控えるよう働きかけてくれます。

また,一般の方であれば、「逮捕された」という事実をもって何もかも悪い方に決める傾向にありますが、弁護士であれば冷静に事実、経過、見通しを見極め,会社・学校に伝えてくれます。
そうすることで会社・学校から不当な処分を受けずに済むかもしれません。

(3)⑴、⑵共通

①示談交渉が可能となる

示談交渉こそが、刑事弁護を弁護士に依頼する最大のメリットといっても過言ではありません。

傷害事件の場合、感情のもつれなどから、当事者同士で示談交渉を進めることはまず不可能でしょう。
そうした場合は、弁護士に依頼すれば、示談交渉をスムーズに進めてくれます。
示談交渉には多くの困難が伴います。
しかし、弁護士は交渉のプロです。
示談後のトラブルなどを防ぐためにも、適切な内容,適切な形式で示談を成立させてくれます。

②不起訴処分獲得の可能性が高まる

示談が成立すれば、その内容を意見書などとともに検察庁に提出してくれます。
そうすることで起訴猶予での不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。

また、事実に争いがある場合は、可能な限り、本人の弁解を裏付ける証拠、事実を弾劾する証拠などを見つけてきてくれます。
そして、その結果を意見書にまとめ検察庁に提出してくれます。
そうすることで、嫌疑なし、あるいは嫌疑不十分での不起訴処分獲得の可能性が高まります。

③裁判で味方になってくれる

事実を認める場合は、犯人にとって有利な情状(計画性がないこと、凶器を使用してないこと、暴行が単発で終わっていること、反省していること、示談が成立していることなど)を主張・立証して執行猶予付き判決の獲得を目指します。

事実を否認する場合は、被害者・目撃者への尋問、因果関係に争点がある場合は医者などへの尋問などを行うほか、犯人が主張する事実を裏付ける証拠を提出するなどして無罪判決の獲得を目指します。

4、傷害罪に強い弁護士の見つけ方

傷害罪に強い弁護士の見つけ方

傷害罪において弁護士を依頼するメリットはお分かりいただけたでしょうか?
この項では傷害罪に強い弁護士の見つけ方についてご紹介いたします。

(1)刑事事件の経験豊富な弁護士を見つける 

傷害事件で警察沙汰になったという場合は刑事事件となりますから、傷害罪に強い弁護士を見つけるには、まずは刑事事件に強い弁護士を見つけることが肝要です。

最近では、インターネットで簡単に刑事事件の経験豊富な法律事務所あるいは弁護士を検索することが可能です。
ご覧になって、ホームページなどから受ける印象から「相談してみたい」と思う法律事務所や弁護士を探してみましょう。

(2)無料法律相談を利用する

インターネットの情報だけでは表面的な部分しか分からず、本当のことは分かりません。

そこでインターネットである程度相談してみたいと思う法律事務所や弁護士が絞れたら、今度はその法律事務所や弁護士に無料法律相談を申込みましょう。
そして、実際に法律事務所を訪ね、気になることを弁護士に相談し、印象・雰囲気をつかみましょう。

傷害事件に強い弁護士か見極めるコツとしては「弁護士になって何年になるのか」「これまで傷害事件を何件担当してきたことがあるか」など経歴、経験などについて尋ねてみるのもいいかもしれません。

あと、相談に応じた弁護士が担当となるのかどうかも確認することも忘れないようにしましょう。
せっかく相談のときに気に入って契約したものの、別の弁護士が担当したとなってはトラブルの元となるでしょう。

まとめ

以上、傷害罪がどんな罪で、どんな罰則が設けられ、どれくらいの量刑が科されるのかお分かりいただけましたでしょうか?

また、逮捕後の流れについてもご紹介させていただきました。

弁護士に依頼することで、それらの不利益を回避できる可能性があることもご紹介させていただきました。

しかし、弁護士に何を期待するのか、何をしてもらいたいかは人によって様々です。
まずは、弁護士に何を求めるのかはっきり確定させた上で、ご自分にあった対策を立てていただければと思います。

この記事が傷害事件を起こしてお悩みの方のための一助となれば幸いです。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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