スリップ事故で被害に遭ったときの対処法~過失割合や違反点数はどうなる?

スリップ事故

雨や雪が降った日、路面が凍結した日などは道路が滑りやすく、スリップ事故が起きやすくなります。

もしスリップ事故に巻き込まれた場合、不可抗力とも思えることから、過失割合や違反点数がどうなるのかが気になる方も多いことでしょう。
そこで今回は、スリップ事故について

  • 過失割合の判断基準
  • 過失がある場合の違反点数
  • 適切な損害賠償を受けるための対処法

などを解説していきます。

スリップ事故に遭ってしまい、今後の対応が不安な方はぜひ参考にしてください。

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1、スリップ事故に巻き込まれたときの損害賠償項目

スリップ事故に巻き込まれたときの損害賠償項目

あなたがスリップ事故に巻き込まれたときに、加害者に請求できる損害賠償の項目は、一般的な交通事故との違いはありません。

そして、スリップ事故であっても、冬用タイヤやタイヤチェーンの装着、急ブレーキを避けるなど対策がとれることが通常ですから、「ぶつけてきた車がスリップしてしまったのは不可抗力である」などとして損害賠償が認められないことは、まずありません。

(1)人の損害

事故によってケガを負った場合などの人の損害に関する主な項目は、治療費・通院のための交通費などの入通院の為に必要になる諸費用・仕事を休んだ分の補償費用・精神的苦痛に対する慰謝料・後遺症の影響により失う本来得るはずだった将来の収入(逸失利益)などです。

(2)物の損害

物の損害に関する主な項目は、車両損害(修理費または時価相当額の低い方)・修理や買い替えの為の期間に代車を使用した費用・事故車両のレッカー代・営業車両が稼働できない場合の休車損などです。

2、スリップ事故被害での損害賠償でもっとも重要なこと-過失割合

スリップ事故被害での損害賠償でもっとも重要なこと-過失割合

スリップ事故の被害に遭った場合も、一般的な交通事故の場合と同じように損害賠償請求ができることはお伝えしました。

では、過失相殺という考え方をご存知でしょうか。
過失相殺をされてしまうと、実際に受けた損害と同額の賠償を受けられなくなってしまいます。
以下に詳しく解説していきます。

交通事故被害者に事故を発生させてしまう原因となる過失がある場合に、被害者の過失の程度によって損害賠償額が減額されます。これを過失相殺といいます。

過失相殺は、「事故によって発生した損害は、事故の原因となる過失の程度に応じて事故の当事者間で公平に分担されるべき」との考えに基づいて採用されています。(民法第722条)

損害賠償額が減額されてしまうのですから、過失割合の問題は重要です。

では、スリップ事故における過失割合はどのような基準で判断されるのでしょうか。

(1)基本的にはスリップした側の過失

スリップ事故の典型例は、車がスリップしたために制御不能となり、前方の車に追突する事故です。
この場合は、よほどの事情が無い限り追突車側の100%の過失となり、追突された側は無過失となります。

また、スリップした車がセンターラインを超えて対向車と衝突した場合も同様です。

スリップした側の運転者としては「制御不能だったのだから不可抗力」だと思うかもしれませんが、通常は制御不能に至ったことに過失があるため、不可抗力だから無過失との主張が認められることはまずありません。

(2)例外的に被害者側にも過失が認められることがある

道路が滑りやすくなっているときには、スリップを原因とした玉突き事故も起こりやすくなります。

例として、先頭にA車、次にB車、最後にC車という3台の車が走行していたとしましょう。

最初にC車がスリップしてB車に衝突し、押し出されたB車がA車に追突した場合は、C車の過失のみとなります。

それに対して、最初にB車がスリップしてA車に衝突し、C車が避けきれずにB車に衝突した場合は、B車とC車に過失が認められます。過失割合は状況にもよりますが、A車0:B車70:C車30程度となるのが一般的です。

加害者と被害者各1台の事故でも被害者側に過失が認められるケースはあります。
項を改めて詳しくご説明します。

3、スリップ事故被害者に過失が認められるケースとは

スリップ事故被害者に過失が認められるケースとは

スリップ事故では車をスリップさせたことに過失があると考えるため、基本的にはスリップさせた側の過失となります。

しかし、スリップさせた原因が被害者側にもあると判断される場合は、被害者側にも過失が認められます。
具体的には、以下のようなケースがあげられます。

(1)急ブレーキをかけた場合

前方車両が理由なく急ブレーキをかけた結果、後方車両も急ブレーキをかけざるを得ず、そのために後方車両がスリップして追突した場合は前方車両にも過失が認められることがあります。

この場合の過失割合は、前方車両30:後方車両70の過失割合が基本になります。

(2)駐停車の場所や方法が適切でなかった場合

追突した後方車両のみに過失が認められることが通常の追突事故でも、駐停車の場所や方法が適切でなかった場合は、追突された前方車両に過失が認められる場合があります。

道路交通法では、交差点内や交差点付近、横断歩道、自転車横断帯、踏切、坂の頂上付近、急な坂、トンネル内などでの駐停車が禁止されています。

また、駐停車可能な場所でも、駐停車するときは道路の左端に寄り、他の交通の妨害とならないようにすべき注意義務が定められています。

これらの規定に違反したことによって追突事故を招いた場合は、追突された側にも10~20%程度の過失が認められることがあるのです。

(3)テールランプを点灯させていなかった場合

追突された側がテールランプを点灯させていなかった場合も、追突された側に過失が認められることがあります。

道路交通法では、車両が夜間、道路にあるときはヘッドライトやテールランプなどを点灯させなければならないとされています。

この義務に違反して夜間にテールランプを点灯させずに走行や道路上駐停車をした場合には、後続車両からの発見が遅れ事故を誘発する危険があります。

このように追突された側の無灯火によって後続車両が急ブレーキをかけ、スリップして追突したような場合には、追突された側にも10~20%の過失が認められる場合があるのです。

ちなみに、故障により点灯しなかった場合でも、整備や点検を怠ったことに過失があると考えられてしまいますので、注意が必要です。

(4)速度違反があった場合

センターラインを越えて対向車と衝突する事故の場合でも、衝突された側に過失が認められることがあります。

例えば、対向車がスリップしてセンターラインを越えてきても十分に衝突が回避できたタイミングであったにも関わらず、対向車が自車線内に戻るであろうと軽信したり、そもそもセンターラインオーバーの対向車に気付かなかったりしたことで衝突してしまったような場合です。

衝突された側にこのような著しい過失があった場合は、10%程度の過失が認められます。

(5)スリップ対策を行っていなかった場合

2018年12月14日から国内に新しい標識が導入され、大雪の際に特定区間において「タイヤチェーンを装着していない車については通行止め」という規制がなされることになりました。
この特定区間においては、スタッドレスタイヤやスノータイヤといった冬用タイヤなどで滑り止め対策をしているだけではダメで、タイヤチェーンを装着していなければ通行することはできません。

このように、「タイヤチェーンを装着していなければそもそも通行できない」という区間は別として、普段雪の降らない道路やめったにない大寒波で路面が凍結している道路を走行する場合は、チェーンやスタッドレスタイヤ等の滑り止め対策を行っていなかったからといってそれだけで過失が認められるわけではありませんが、過失割合に影響することは多々あります。

例えば、対向車がスリップしてセンターラインを越えてきたときに、衝突された対向車が滑り止め対策をしていれば適切に停止して衝突を避けることができたような場合です。

このような場合は、衝突された対向車に10~20%の過失が認められることがあります。

4、スリップ事故被害で無過失を証明する方法

スリップ事故被害で無過失を証明する方法

スリップ事故の被害に遭うと、加害者側が被害者側にも過失があると主張してくるケースも頻繁に見られます。

スリップ事故の被害に遭った場合に自分の無過失を証明するためには、以下の点に注意が必要です。

(1)基本的な証明方法

無過失と認められるには、「自分は適切に運転しており、加害者の過失のみによって事故が発生した」ということを証明しなければなりません。

自身の無過失を証明するためには、警察官が作成した実況見分調書や第三者の目撃供述などの捜査記録を取り寄せる必要があります。
これらは自分で取り寄せることもできますが、慣れない申請作業は手間暇がかかるため、弁護士に依頼して任せることも検討すると良いでしょう。

(2)客観的証拠が残っていない場合

事故の発生状況を証明するときに、客観的証拠を集めることは重要です。

ドライブレコーダーの映像はその代表例ですが、他にも、追突事故の場合に追突車側が残したブレーキ痕なども客観的証拠の一つです。

しかし、ブレーキ痕は時間の経過と共に消滅し、証拠が残らなくなってしまう可能性があります。

事故直後に警察官が現場を実況見分し実況見分調書を作成すれば、ブレーキ痕などの現場状況は証拠として写真等に残されますが、事故直後に実施してもらえない場合には、自分でブレーキ痕を撮影するなどして、後日に確認出来るようにしておきましょう。

他にも、衝突した位置関係や事故車の破損状況も客観的証拠として重要です。
衝突時に車を動かしてしまったり、破損状況を撮影せずに修理してしまうと証拠が失われてしまうので、できれば事故直後に事故現場を撮影しておくと良いでしょう。

どうしても客観的を証拠として残せなかった場合は、次の解説をご参照ください。

(3)どうしても客観的証拠が乏しい場合

客観的証拠が乏しく裁判に発展し、決め手となる客観的証拠がない場合は、加害者と被害者のどちらの言い分が信用されるかが決め手となります。
そして、信用されるためには、一貫して詳細な説明をする必要がありますが、時間が経つと人間の記憶は薄れてしまいます。
忘れることを避けるためにも、事故当時の状況や、事故直後の相手の発言などをメモするなどして記録しておくことが大切です。

(4)弁護士に相談する

無過失であることを証明することは難しいものです。
自分で証拠を集めるのも大変ですし、事情を説明しようと思ってもどのように説明すれば良いのか分からない方も多いでしょう。

そんなときは、交通事故事件の経験が豊富な弁護士に相談して、証拠の集め方や、事情を説明する際のポイントなどについてアドバイスを受けるのがおすすめです。

また、事故から時間が経てば経つほど証拠や記憶は失われてしまいますから、交通事故被害にあった場合には、なるべく早い段階で弁護士に相談してみると良いでしょう。

5、スリップ事故被害に遭い過失が認められる場合、罰則の適用あり?

スリップ事故被害に遭い過失が認められる場合、罰則の適用あり?

スリップ事故でも、一定の場合は被害者に過失が認められる場合があります。
その場合、違反点数や罰則の適用があるのかが気になるでしょう。

違反点数や罰則についての概要をご説明した後、スリップ事故の被害に遭った場合の注意点をご説明します。

(1)物損事故の場合

事故による人の負傷がない、物損のみの事故の場合は、基本的に違反点数も罰則も適用はありません。

ただし、当て逃げをした場合は、7点の違反点数(安全運転義務違反+危険防止等措置義務違反)と、1年以下の懲役または10万円以下の罰金という刑罰が科される可能性があります(建物を損壊してしまったような場合には更に刑罰と点数が科される可能性があります)。

(2)人身事故の場合

人身事故の場合は、原則として違反点数がついてしまいますし、罰則が適用されることも多々あります。
特に、被害者に重傷を負わせた場合や死亡させた場合には刑罰が科されるのが通常です。

違反点数は、交通違反に対する「基礎点数」と交通事故を起こしたことに対する「付加点数」が合計されて算出されます。

基礎点数としては、スリップ事故の場合は安全運転義務違反により2点のみとなることが多いですが、速度違反や急ブレーキ違反により1~2点が追加されるケースもあります。

付加点数は、被害者の負傷の程度により以下のとおり定められています。

被害者の負傷の程度

専ら加害者の過失による場合

その他の場合

死亡

20点

13点

治療期間3か月以上または

後遺障害が残る場合

13点

9点

 治療期間

30日以上3か月未満

9点

6点

治療期間

15日以上30日未満

6点

4点

治療期間15日未満または

建造物を損壊した場合

3点

2点

刑罰としては、以下のように定められています。

  • 過失運転致死傷罪 7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金(無免許の場合、10年以下の懲役)
  • 危険運転致死罪  1年以上の有期懲役
  • 危険運転致傷罪  15年以下の懲役

被害者が軽傷を負っている交通事故では、前科があるような場合を除き50万円以下の罰金となることがほとんどです。

(3)スリップ事故の被害者にも違反点数や罰則の適用があるのか

結論からいうと、スリップ事故の被害者に違反点数や罰則が適用されることは滅多にありません。

過失割合は交通事故の損害賠償の場面で過失相殺の判断をするために用いられるものであって、被害者に少しでも過失があれば違反点数を付加されるわけではないのでご安心ください。

行政罰としての違反点数や刑罰については、明らかに加害者と考えられる側の人に科されるのが通常です。

6、スリップ事故被害に遭ったときに弁護士に依頼するメリット

スリップ事故被害に遭ったときに弁護士に依頼するメリット

スリップ事故の被害に遭うと、スリップした加害者側としても、自分が悪いことをしたと思っていないこともあり、保険会社との示談交渉がスムーズに進まず、過失割合や損害賠償額に納得がいかないことがあると思います。
また、示談交渉の相手である保険会社の担当者とのやり取りを苦痛に感じる方も数多くいます。
そのようなときは、弁護士に依頼するのがおすすめです。

弁護士に依頼すれば、以下のようなメリットがあります。

(1)過失なしを前提に賠償額を計算する可能性が高まる

過失が「ない」ことを証明するのはプロであっても難しいものです。
初めて事故に遭った人であればなおのこと、どのように証明すれば良いのか分からないこともあるでしょう。

交通事故事件の経験が豊富な弁護士に依頼すれば、交渉や訴訟を安心して任せることができます。

適切な対応の結果、過失なしを前提とした示談金を受け取れる可能性が高くなるのです。

(2)事件を解決する負担が大幅に軽減される

加害者側の保険会社の担当者や弁護士は、加害者側の代理人であって被害者の味方ではないため、被害者の言い分をすべて受け入れてくれるわけではなく、争ってくるものです。

そのような相手と示談交渉することには手間や時間もかかりますし、精神的な負担も大きくなります。

弁護士に依頼すれば、依頼者に代わって弁護士が専門的な知識や経験を活用して適切に交渉するため、ご自身で交渉する以上に有利な条件を引き出すことができるでしょう。

(3)損害賠償額の増額が期待できる

ご自身で示談交渉をする場合、相手の保険会社は、独自の基準で計算した金額を提示してきます。
そして、その基準は、被害者に最低限度の補償を実現するための制度である自賠責保険が定めている基準と大差ないことから、納得のいく示談金とならないことが多々あります。
ご自身で勉強されて裁判基準を持ち出しても、保険会社が受け入れることは稀です。

弁護士に依頼した場合は、保険会社独自の基準より高額になることが多い裁判における慰謝料算定基準で計算した金額を前提に交渉しますし、保険会社も弁護士が相手であればその交渉に応じるため、ご自身で示談する場合より示談金は増えるのが通常です。

まとめ

スリップ事故に巻き込まれると、ほとんどの方は気が動転してしまいます。
加害者もスリップしなければ事故を起こすことはなかったと考えると、気の毒に思ってしまうこともあるでしょう。

しかし、加害者の過失によって事故が発生したのであれば、事故被害を回復するために、しっかりと適切な賠償金を受け取る必要があります。

スリップ事故の被害に遭ってお困りの方は、お気軽に弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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