過失相殺とは?納得できる過失相殺を進めるための6ポイント

過失相殺

過失相殺(かしつそうさい)とは、被害者が加害者に対して損害賠償を請求する際、被害者にも少なからず過失があったとみなされる場合に、その割合に応じて損害賠償金が減額されることです。

実務上、過失相殺が登場するのは交通事故の場面が多いでしょう。
事故が起こると、警察による実況見分のもとに実況見分調書が作成され、これが有力な証拠となり、最終的に被害者・加害者の過失割合を決定します。

この過失割合に応じて、損害賠償が過失相殺により減額されるのです。

今回は、

  • 過失相殺とは
  • 交通事故での過失相殺
  • 交通事故での過失相殺の事例

などについて、解説していきます。ご参考になれば幸いです。

交通事故での過失割合でもめてしまうパターンと対処法については以下の関連記事で詳細に解説しています。ぜひご参考ください。

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1、過失相殺 とは

 過失相殺とは

(1)過失相殺とは

過失相殺とは、相手方の過失分を損害賠償額から相殺することです。
損害賠償トラブルにおける減額反論で使います。

例えば、こんなやり取りです。

A→B:「100万円損害賠償しろ!」

B→A:「Aにも悪いところがあったのだから70万円が妥当だ!」

このB→Aの反論は、「Aにも30万円相当の過失があったのだから、30万円は減額すべき」という内容です。
これを、過失相殺といいます。

損害賠償は、契約関係にあった者同士における契約違反で生じるもの(債務不履行)、そして、契約関係にない者同士において損害を与え・与えられたときに生じるもの(不法行為)の2つが主な原因となりますが、この記事では、後者(不法行為)における損害賠償での過失相殺(民法第722条)についてご説明していきます。

(2)不法行為における損害賠償の場面とは

不法行為での当事者である契約関係にない者同士とは、全く無関係な人間同士ということです。
このような関係で損害を与えたり与えられたりすることはどんなケースでしょうか?
その典型例は、事故です。

事故は、交通事故をはじめとして、全く無関係な人間同士に起こります。
この記事でも交通事故を念頭におきながら解説していきます。

(3)債務不履行の過失相殺(民法第417条)と不法行為の過失相殺(民法第722条)の違い

債務不履行の過失相殺(民法第417条)と不法行為の過失相殺(民法第722条)の違いは、必要的かどうか、です。
つまり、債務不履行の過失相殺は必ずなされなければなりませんが、不法行為のそれは必ずではありません。

大きな違いではあるのですが、交通事故による過失相殺は、実務上、過失相殺は必ず行われると言っても過言ではないでしょう。

2、交通事故での過失相殺

交通事故での過失相殺

交通事故では、ぶつけた方が加害者、ぶつけられた方が被害者とされることが一般です。
被害者に損害が発生したときは、加害者は不法行為に基づいて損害賠償をしなければなりません(民法第709条)。

ただ、被害者が赤信号待ちで立っていたところに突然車が突っ込んだ、などのようなケースでない限り、多くのケースでは被害者にも過失(ミス)があります。
例えば、赤信号を渡っていたとか、横断歩道でないところを渡っていたとか、突然飛び出した、などです。

交通事故が起こると、警察による実況見分が行われます。
そこでは、事故現場の状況や、事故の当事者や目撃者の証言などをもとに、実況見分調書が作成されます。
この実況見分調書をもとに、双方の過失の割合(いわゆる「過失割合」)を決めるのですが、被害者にも何らかの過失があると認められれば、過失相殺として、被害者が受け取ることができる損害賠償から一定の額が差し引かれます。

なお、このように事故後に行われる実況見分、また、その後に作成される実況見分調書の内容は、その後の捜査での非常に重要な書類となります。
そこに書かれたことが全て自分に返ってきますので、適当に答えることのないよう気をつけましょう。

3、被害者の過失が増えるのはどんなケース?

被害者の過失が増えるのはどんなケース?

過失相殺は、加害者側が負担すべき損害額から、被害者側の過失割合分を減額することとご説明しました。
であれば、被害者側の過失とは、どのような場合に認められてしまうのでしょうか。

これは、交通事故の場合では、まず事故のケースごとに一律に過失割合の基準が決められています。
例えば、車同士の事故で、信号機のある交差点において一方の信号が青、一方の信号が赤であったとき、というようにある程度詳しいケース設定がされていて、それぞれ過失割合が決められています。

詳しくは以下の関連記事をご覧ください。

とはいえ、実際の事故では諸々の事情が発生しています。
そのため実務では、この基準を元に修正が加えられ、各ケースにベストマッチした割合を決定していきます。
ここでは、その修正において、被害者の過失割合を上げてしまう修正ポイントをいくつかご紹介いたします。

①場所はどこか(歩行者、自転車の場合)

幹線道路の歩行や横断歩道のないところの横切りなど、通常歩行者や自転車がいない場所を歩いていたような場合では、過失ありと判断されるケースが多いでしょう。

②法律違反はないか

赤信号を渡った、スピード違反をしていた、スマホを片手に運転していた、一時停止をしていなかったなど、法律に違反していた場合は過失ありと判断されます。

③夜間や土砂降りの雨などの悪天候かどうか(歩行者、自転車の場合)

夜や悪天候時は自動車から見えづらいこともあり、そのような状況での歩行は過失割合が上がる可能性があります。

④その他著しい過失、重い過失はないか

飛び出しなどの著しいミスがある場合は当然過失が認められます。

4、加害者の過失が増えるのはどんなとき?

加害者の過失が増えるのはどんなとき?

加害者にもさらに過失割合を増やすポイントがあります。それは次の通りです。

加害者の過失ポイントが上がると被害者の過失ポイントは下がる、という関係にありますので、チェックしてみてください。

①被害者が子どもや高齢者などである

被害者が子どもや高齢者などの場合、特に保護される必要性が高いことから、被害者側の過失を減らすように修正する結果、運転者の過失が大きくなります。

②住宅地や商店街での事故

住宅地や商店街は、歩行者が多いことが想定される場所です。
そこでの事故は、スピードや注意を適切にしていなかったと判断され、過失ポイントが上がります。

③その他著しい過失、重い過失があるとき

加害者に、飲酒運転など法令違反があれば過失ポイントは上がります。
その他、著しい過失や重い過失があれば、当然過失ポイントは上がります。

5、過失相殺の計算方法と実際の事例

過失相殺の計算方法と実際の事例

それではここで、過失相殺はどのようにして決められるのか、その計算方法や実際の事例についてご紹介します。

実況見分調書は警察によって作成されますが、過失割合は保険会社によって作成されます。
その割合に応じた過失相殺額が、以下の計算によって導き出されます。

(1)過失相殺の計算方法

被害者が請求できる金額を決める計算式は、以下の通りです。

全損害額×(100%−被害者の過失割合)

例えば、交通事故により全部で被害者に2、000万円の損害額が発生し、被害者の過失割合が20%、加害者の過失割合が80%だとします。
これをこの計算式に当てはめると、

2,000万円×(1−0.2)=1,600万円

このようになり、被害者は全損害額から20%を減額された1、600万円を、損害賠償として受け取ることができます。

ただし、加害者にも500万円の損害が発生していたとします。この場合、

500万円 × 0.2 = 100万円

100万円は被害者が加害者に支払わなければならないことになります。
よって、差し引きした1、500万円が損害賠償できる金額となります。

加害者の損害も過失割合でその負担が決まることから、理不尽なケースも発生します。
たとえば、加害者の車が高級車のケースです。
高級車の加害者(過失割合80%)が100万円の損害、自転車の被害者(過失割合20%)が20万円の損害のケースを考えてみましょう。
自転車の被害者は20万円×0.8=16万円の請求ができますが、高級車の加害者は100万円×0.2=20万円の請求ができることになり、結果、自転車の被害者が4万円支払う、ということになってしまうのです。

(2)実際の事例

過去の事例として、いくつかご紹介します。

①事例1

対面信号機が赤であったにもかかわらず、赤信号の横断歩道の近くを横断していた被害者に70%の過失相殺を認めた事例(平成22年7月/大阪地裁)

引用元:損保ジャパン日本興亜

②事例2

夜間に道路を横断した歩行者について、基本的には道路を横断する者がいないと軽信した自動車側の過失であるが、横断にあたり左右の確認が不十分であったことから、20%の過失相殺を認めた事例(平成16年6月/東京地裁)

引用元:損保ジャパン日本興亜

③事例3

飲酒の上、赤信号の自転車横断帯を横断した自転車が乗用車と衝突した事例について、自転車側の過失相殺を75%と認めた事例(平成22年4月/大阪地裁)

引用元:損保ジャパン日本興亜

④事例4

十字路交差点の一時停止規制のある道路にて、一時停止を無視して交差点に進行した自転車と一時停止のない道路から走行して来た乗用車の出合い頭事故について、一時停止を無視した自転車の運転者に40%の過失相殺を認めた事例(平成22年3月/横浜地裁)

引用元:損保ジャパン日本興亜

一般的に、歩行者と車、または自転車と車の事故の場合には、車の運転手にその全ての過失があるというイメージかもしれません。

しかし、これらの事例のように、事故当時の状況や行動によっては、被害者である歩行者や自転車の運転手にも過失があるとみなされる可能性があります。

6、過失相殺を弁護士に依頼するメリット 

過失相殺を弁護士に依頼するメリット

交通事故の被害に遭い、自分は何も悪くないと思ったとしても、過失相殺が適用され、賠償額が大幅に減らされてしまっては辛いです。

そんなときは一人で悩むことなく、必ず弁護士への相談のもと、問題解決に努めるようにしましょう。
最終的な解決にはもちろん費用がかかりますが、

  • 過失相殺に納得がいかない場合、正しい過失割合に導いてくれる
  • 精神的に楽になる
  • 余計な手間をかける必要がなくなる
  • 間違った対応をしなくて済む
  • 法律をもって相手と交渉ができる
  • 裁判になっても一緒に闘ってくれる

など、たくさんのメリットがあります。
かける必要のない無駄な時間と労力を費やすよりも、専門家である弁護士に相談をし、一刻も早い解決のために動き出すことの方が賢明でしょう。
契約している保険会社に弁護士費用特約がついているのであれば、まずはその制度を利用することをおすすめいたします。

まとめ

今回は、交通事故などで発生することの多い過失相殺について解説してきました。

お伝えしてきたように、過失割合を有利に修正するのは非常に困難であり、一人でそれを目指すには、あまりにも無駄な時間や労力を費やしてしまいます。
少しでも悩んだら弁護士に相談をし、問題解決のために動き出すようにしましょう。
初回無料相談を行っている弁護士もいますので、まずは気軽に相談してみてください。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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