『試用期間中だけど退職したい…。』
『まだ試用期間が終了していないが退職の希望を申し出て良いものか…。』
正式に入社する前、いわば業務のお試し期間として勤務している状態である試用期間。この時期に退職したいと申し出た場合、はたして辞められるのでしょうか?
良い会社だと思って入社しても、いざ働いてみるとその仕事内容や環境に不満や違和感を覚えてしまう可能性もあります。
しかし、試用期間中に退職をした場合、次に就業した際に経歴や個人のイメージを損ねてしまうのではないか?どんな手順や流れで退職をすれば良いのか?など疑問に思われている方も多いことでしょう。
そこで今回は、
- そもそも試用期間とは何なのか
- その試用期間中に退職することは可能なのか
- 試用期間中に退職するメリットと注意すべき点
について、解説していきます。ご参考になれば幸いです。
また、こちらの関連記事では仕事を辞めたい方に向けた内容をご紹介しています。様々な理由がある中で仕事を辞めたい…とお悩みの方はあわせてご参考いただければと思います。
目次
1、試用期間中の退職ってできるの?
試用期間とは、正式に入社する前に、その従業員が正社員として適正かどうかを判断する、いわば正社員としてのお試し期間のようなものです。
『正社員ではないのなら、使用期間中でも退職できるのでは?』
と考えてしまいそうですが、そう簡単に退職することはできません。
なぜなら、試用期間であっても、退職に関しては正社員と同じ扱いをされるからです。
雇用契約が結ばれますし、給与も支払われます。社会保険への加入や、残業代の支払いも行われます。
2、試用期間中に退職する際の原則
試用期間中であれ、退職に関しては正社員と同じ扱いがされます。
『社風が合わないので明日退職させていただきます。試用期間中なのだから認められますよね?』と切り出しても、認められないことが多いでしょう。
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試用期間中であれ、これらは退職の際の原則としておさえておきましょう。
3、試用期間中に退職するメリットとデメリット
試用期間のうちに退職するメリットとデメリットについて、ご紹介します。
(1)メリット
①辞めづらくなる前に退職できる
長年勤めた会社を退職する際は、引き継ぎであったり、上司や同僚、または部下から過剰な引き留めにあったりなど、退職しづらくなることが考えられます。
また、さまざまなプロジェクトの引き継ぎなど、やらなければいけないことも多くなるかもしれません。
そういったことが発生する前の試用期間中であれば、周りの目を気にすることや、辞めにくいという思いに縛られることなく退職することができるでしょう。
②転職活動に時間を割くことができる
試用期間中は残業も少ないことが通常であるため、退職後の転職先を見つける時間をより多く確保できるでしょう。
正社員になってからでは、仮に退職したいという気持ちが出てきたとしても、仕事量が増えたり、残業時間が多くなったりして、転職活動のための時間をとることがなかなか難しくなることが予想されます。
本当に退職したいのであれば、比較的自由な時間の多い試用期間中に、転職活動を行うのも一つの手です。
(2)デメリット
①経済的な面でのリスクがある
試用期間中は、正社員よりも給料が低いことがあります。
つまり、正社員になる前に退職してしまえば、もらえる給料が少なくなるのはもちろん、次の職場で働くまでの期間が、経済的に苦しくなってしまうかもしれません。
経済的に不安がある場合には、そのリスクもしっかりと考えた上で、試用期間という段階で本当に退職する必要があるのか、今一度しっかりと考えるようにしましょう。
②職歴に響く可能性がある
自信をもって説明できる退職理由がないのであれば、試用期間中での退職はデメリットになってしまうでしょう。
4、試用期間中の正当な退職理由とは?
一般には「一身上の都合」とだけ伝えればいいケースも多く、具体的な理由を求められた場合には「仕事が/雰囲気が自分には合わない」などの理由を丁寧に伝えましょう。
もしも理由について問われた場合には、単に「思っていたのとは違っていた」と言うのではなく、試用期間中に感じたことなどを基に丁寧な説明をこころがけ、退職時期にも配慮して早めに相談するようにしましょう。
試用期間のうちに辞めたいのであれば、試用期間が終わる直前ではなく、より早い段階で切り出した方がよいでしょう。
5、試用期間中に退職をしたら給料や保険はどうなる?
試用期間中であっても、もちろん働いた分の給料はきちんと支払われます。
その際、支払われた給料が、最低賃金を下回っていないかをしっかりと確認するようにしてください。
試用期間での給料は、正社員より少ないこともあり得ます。
とはいえ、その都道府県ごとの最低賃金を下回ることは違法ですから、もしもそれ以下だった場合には、しっかりと会社側にその分の請求をしましょう。
また、試用期間であっても、正社員と同様に社会保険への加入が義務付けられています。
退職後に健康保険証の返却と、喪失証明書の受理を行いましょう。
6、試用期間中の退職は転職活動に影響する?
試用期間中に退職をすると、それにより、転職活動に何か影響が及ぶのではないかと心配になることもあるでしょう。
これは、転職全てにおける心配とも言えるでしょう。
確かに、会社によっては試用期間という短い期間で退職したことを一律に不採用事由とするところもあるかもしれません。
しかし、そうでない会社もたくさんあると思われますので、全ての会社の採用基準を気にする必要などありません。
大切なのは、自分の意思をきちんと持つことです。自信をもって退職、転職の理由を応えられるよう準備しておきましょう。
まとめ
今回は、試用期間中の退職について解説してきました。
試用期間中であれ、その退職に関する扱いは正社員と同じであり、試用期間中であることを理由に簡単に退職をすることができるわけではありません。
しかし、退職すること自体は可能ですし、きちんと退職の理由を説明することができれば、その後の転職活動に大きな影響を及ぼさないようにすることもできるでしょう。
自分の意思に従い、退職後のリスクもしっかりと考えた上で、試用期間中に本当に退職するべきか、判断を下すようにしましょう。