090金融は、「電話だけで即融資」、「ブラックでも可能」といった宣伝コピーが特徴的な違法な貸金業者です。最近では、自己破産・個人再生の際に掲載される官報の情報に基づいてダイレクトメールなどを送付して顧客を勧誘することが多いようです。
自己破産などをした人は、普通の金融機関からは借金できなくなるため、闇金のターゲットになりやすくなります。この記事を読んでいる人のなかにも「どうしてもお金が必要で090金融から借金してしまった」という人もいるかもしれません。
そこで今回は、
- 090金融から借金してしまった場合の解決方法
などについて解説していきます。ご参考になれば幸いです。
闇金全般に関しては以下の関連記事をご参照ください。
1、090金融とは一体?
090金融とは、債権者へ電話で申し込みするだけで、小口のお金を貸してもらえる(ほとんどすべてが違法営業の)金融屋です。
連絡先の電話が、固定電話ではなく、スマホ・携帯電話(090や080ではじまる番号)であることから「090金融」という呼び名がついています。
(1)090金融は闇金
090金融は、ほぼ例外なく闇金業者(営業許可を得ずに営業している貸金業者)です。
貸金業の営業許可を得るためには、有人店舗・固定電話が必要となりますが、090金融は有人店舗も固定電話も持っていない場合がほとんどで、貸金業の営業許可を得ることはできないからです。
(2)ダイレクトメールでの勧誘に注意
090金融の勧誘は、かつては電柱や電話ボックスなどに大量の違法ビラをはりつけることが主流でした。
しかし、最近では、電柱や電話ボックスそれ自体も減っていますし、目につきやすい営業行為は摘発リスクを高めるデメリットもあります。
そこで、近年では、ダイレクトメール・ファックスなどによる勧誘がメインとなりつつあります。
ダイレクトメールの送付先は、自己破産、個人再生の際の官報公告の情報から抽出することが一般的です。
自己破産・個人再生をしたばかりの人は、一般の貸金業者からは借金することができませんので、闇金業者としては格好の標的といえるわけです。
(3)電話番号の表記方法
最近では、「090金融は危険」という認識も拡がっていますので、業者側もさまざまな手で、自分たちを「安全そうな業者」であると偽ってきます。
たとえば、電話番号の表記についても「090-1234-5678」と記載すべきところを、「0901-234-5678」というように、あたかも「固定電話の番号」のように装っているケースも増えています。
しかし、3桁目に「0」がくる市外局番はありませんので、惑わされないようにしましょう。
また、実存する正規の業者の名前や登録番号をかたる違法業者も増えています。
大手カード会社の名前でダイトレクトメールなどを送ってくる悪質業者も珍しくありませんので、「電話1本で即日融資」、「ブラックでも融資可能」といったすこしでも怪しいと感じるキャッチコピーがある場合には、闇金業者であると疑って対応すべきといえるでしょう。
2、090金融の借金は返済する必要があるのか?
090金融から借金してしまう人には「すぐに完済すれば問題ない」と考えてしまっている人も多いと思います。
しかし、闇金への支払いは、法外な利息の負担だけでもかなり重く、小口のお金のやりくりに苦労している人がすぐに完済するというのは、あまり現実的とはいえません。
そもそも、闇金からの借金は返済する必要すらないケースの方が多いといえるでしょう。
(1)法外な利息の支払義務
090金融の本質は闇金ですから、その目的は「法外な利息」を顧客から受け取ることにあります。
一般的な闇金から借金した場合の利息は、年率ベースに換算すれば数百%以上(悪質な業者では年1000%以上)のとんでもなく法外なものです。
当然、法律が定めている上限金利(10万円未満の借金であれば年20%)を超えているわけで、そもそも利息については支払う義務がありません。
(2)元金の返済義務
また、顧客に法外な利息を負担させることを目的に金銭の貸付けを行うことは、「不当な目的のための行為(不法原因給付)」として、法律上の効果がないとされています。
さらに、最高裁判所は、このような不法原因給付に該当する悪質な闇金行為の場合には、元金(実際に貸付を受けた金額)についても返済する必要がないという趣旨の判断を下しています。
つまり、闇金からの借金は1円たりとも返済する必要がないということです。
- 闇金融業者に係る最高裁判決の概要について(金融庁ウェブサイト)
(3)そもそも完済できない
意外に思う人も多いと思いますが、闇金からの借金はそもそも完済することの難しいものです。なぜなら、闇金行為の本質は、「(多少の利息を付けて)借金を返してもらうこと」ではなく「法外な利息を永遠に搾取し続ける」ことにあるからです。
闇金行為は犯罪であるだけでなく、多くは信用状態の危うい債務者を相手にする行為なので、逮捕・摘発のリスクだけでなく、「貸し倒れ」のリスクもかなり高い行為であるといえます。
このことを前提にすれば、「小口の貸付をわずか数日で完済された」というのでは、「商売としてのうまみ」も全くありません。
したがって、「4日後に給料を受け取ったら全額完済」といったような借り方は、実際にはできない場合がほとんどです。
また、一般的な闇金の場合には、元金の完済には「業者への事前連絡」が必須となります。
そのため、債務者が完済しようとしていることを察した闇金業者は、多くの場合、さまざまな手口を用いて、事前連絡を妨害してきます。
悪質な業者は、完済されてしまった後に、「再度の押し貸し(依頼のない貸付行為)」を行い、引き続き利息を支払うように求めてくることもあります。
3、090金融からの借金を解決する3つの方法
上で解説したように、闇金である090金融から借金してしまった場合には、法外な利息に悩まされるだけでなく、完済もさせてもらえない状況に陥ってしまうことがほとんどといえるでしょう。
そもそも闇金業者は、「顧客が完済できない状況に陥らせて、その後に銀行口座の譲渡などの違法な取引を強要する」ことを目的としているケースも多いといえるからです。
090金融からの借金を解決する方法としては次の3つの方法を挙げることができるでしょう。
(1)無視を決め込む
自力で闇金の借金を解決するためには、「闇金からの請求を完全に無視する」ことが最も基本的な方法です。
毎回の支払いに応じなければ、電話・メール・LINEなどのSNSなどを通じて取り立てがなされますが、それでも「無視を貫く」ことが重要です。
ケースによっては、無視を貫ければ「この客は金にならない」と闇金業者が諦めてしまうケースもあるといえるでしょう。
とはいえ、一般の人が闇金業者による嫌がらせ(取り立て)をひとりで耐え抜くことは簡単ではありません。
また、無視し続けたことによって、嫌がらせがエスカレートする可能性があることも否定できません。
最近では、申込みのときにLINEやフェイスブックなどのプロフィールサイト(SNS)のIDなどを申告させる業者が増えていますので、これらを通じて「友人・知人」を巻き込んでしまうこともあるかもしれません。
その意味では、「無視」によって解決を図る方法は、コストもかからず効果もそれなりに高いといえますが、その代償として嫌がらせを受けるリスクも小さくない方法といえますから、何の予備知識のない人が選択することはあまりおすすめできません。
(2)警察に相談する
警察に対応してもらうことは、闇金被害にあったときにしばしば検討される方法です。
しかし、警察に闇金被害を相談しただけでは解決できない場合が多いことにも注意しておく必要があります。
たとえば、「警察への相談」だけでは、(その担当者によっては)何もしてもらえないことも珍しくありません。警察は相談だけでは捜査に着手することができないからです。
また、被害届を提出した場合でも、すぐに闇金が検挙・摘発・逮捕されるということは、あまり多いとはいえません。
そもそも、無店舗で営業し、スマホ・携帯、銀行口座も他人名義である闇金業者を摘発することは簡単なことではありません。
したがって、警察に被害届を提出したとしても「すぐに解決する」というケースは決して多くなく、むしろ「警察に相談したことへの報復」として嫌がらせが激しくなるリスクもないわけではありません。
(3)弁護士に相談する
090金融のような闇金からの借金を最も安全に解決する方法は、弁護士に対応を依頼することです。
弁護士も確実に闇金問題を解決できる訳ではありませんが、たいていの闇金業者は、「弁護士が介入した」ということを知ると、あきらめて手を引いてくれます。
なぜなら、闇金から顧客への請求が法的に認められないことは明らかですし、弁護士が介入すれば、その後警察に被害届が出されたときにも(弁護士を介さずに被害届を出した場合よりも)警察がきちんと捜査する可能性も高くなるといえるからです。闇金業者にとっては弁護士を敵に回して良いことはないわけです。
また、「弁護士が介入した」ことが原因であれば、闇金業者の対面も最低限は保つことができるといえます。
特に、反社会的組織を背景とする闇金業者は「メンツ」を重視する場合も多いといえますので、素人が安易な対応をすることはやはり危険です。
その意味では、弁護士に依頼する方法が、依頼人の安全確保、解決までの期間、解決できる可能性のすべての面で一番優れているといえるでしょう。
まとめ
090金融は、リスクの高い闇金業者なので絶対に関わるべきではありません。
「すぐに返せるから問題ない」といった安易な考えは非常に危険です。
また、闇金業者は顧客をコントロールすることに長けていますので、一度関わってしまうと自力で解決する(相手の要求を拒む)ことも簡単ではないでしょう。
「闇金から借金があることを周囲にばらす」、「自宅に取り立てに行く」などと脅されてしまえば、いけないこととわかっていても、闇金からの要求に屈さざるを得ないことも多いといえます。
したがって、090金融からの借金を解決するには弁護士に依頼するのが最も安全といえます。
弁護士であれば、依頼人の安全の確保と問題の解決を両立させるためのノウハウを有しているからです。