「年金生活者支援給付金」とは、令和元年10月からの消費税の増税に伴い実施される、所得が低い方の生活を支援するために年金に上乗せして支給される給付金です。
今回は、
- 「年金生活者支援給付金」とはどのような制度なのか
- 「年金生活者支援給付金」の申請方法や注意すべきポイント
なども解説していきたいと思います。ご参考になれば幸いです。
国からお金を借りる方法に関する詳細は以下の関連記事をご参照ください。
目次
1、年金生活者支援給付金とは?
令和元年10月から消費税のアップに伴い、「年金生活者支援給付金」がスタートします。
「年金生活者支援給付金」は具体的にはどのような制度なのでしょうか。
(1)年金生活者支援給付金とは?
年金生活者支援給付金は、年金を含めても所得が低い方の生活を支援するために、年金に上乗せして支給する給付金のことです。
現在、年金生活者支援給付金の対象者はおよそ160万人と公表されています*。
また、年金生活者支援給付金の財源は消費税率の引き上げ分が活用されます。
*参考:年金生活者支援給付金の施行に向けた対応(厚生労働省)
(2)年金生活者支援給付金が導入された経緯
令和元年10月から消費税のアップに伴い、様々な景気対策・優遇策が実施されます。
年金生活者支援給付金はその一環として、所得の少ない年金生活者に対して行う給付金です。
2、年金生活者支援給付金がもらえる人とは
気になる年金生活者支援給付金を受け取ることができる人とはどのような人なのでしょうか。
年金生活者支援給付金は、
- 老齢年金(補足的老齢)生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
の3種類が存在します。
ここではそれぞれの支給要件を確認していきたいと思います。
(1)老齢年金(補足的老齢)生活者支援給付金の受給要件~年齢制限
①65歳以上
65歳以上との年齢による受給要件があります。
②老齢基礎年金を受給している人
老齢基礎年金を受給していなくてはいけません。
老齢基礎年金を受給していても、65歳未満で繰り上げ受給されている方は年金生活者支援給付金が支払われないので注意が必要です。
(2)老齢年金(補足的老齢)生活者支援給付金の受給要件~所得制限
①世帯全員の市町村民税が非課税となっていること
②前年の公的年金等の収入金額とその他の所得(給与所得や利子所得等)との合計額が、879,300円以下であること
上記のように、老齢年金(補足的老齢)生活者支援給付金を受給するためには「世帯全員」の市町村民税が非課税であることが要件になっているため、家族と同居している場合には注意が必要です。
(3)障害基礎年金または遺族基礎年金の受給者で以下の要件を満たす方
①障害基礎年金または遺族基礎年金の受給者であること
②前年の所得が、462.1万円*以下であること
*扶養親族等の数に応じて増額されます
3、年金生活者支援給付金の金額
年金生活者支援給付金の支給金額は納めた保険料の期間や、受給要件により異なります。
(1)65歳以上で老齢基礎年金を受給している場合(原則)
①保険料納付済期間に基づく額(月額)
5,000円×保険料納付済期間 / 480月
②保険料免除期間に基づく額(月額)
10,834円×保険料免除期間 / 480月
①と②の合計金額が年金生活者支援給付金の支給金額になります。
また支給金額の上限は月額5,000円です。
なお、年齢や所得額によって、上記計算と異なる場合があります。
所得合計が879,300円以下であるとの条件から考えると、年金生活者支援給付金が支給されると、むしろ増税前よりも税負担が軽くなりますので、該当する場合はしっかりと年金生活者支援給付金を受け取りましょう。
≪所得879,300円の場合の税額と支給金額の比較*≫
・所得879,300円の消費税負担金額(年額)
879,300(万円)×2%(増税分)=17,586円
・年金生活者支援給付金支給金額(年額)
5,000円×12(ヵ月)=60,000円
*MAX値で計算した場合
(2)障害年金生活者支援給付金の場合
障害等級が2級の方は月額5,000円、1級の方は月額6,250円です。
(3)遺族年金生活者支援給付金
月額5,000円です。
ただし、2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5,000円を子の数で割った金額がそれぞれに支払われることになります。
4、老齢年金生活者支援給付金の受取方法
老齢年金生活者支援給付金を受け取るためには、日本年金機構へ認定請求の手続きが必要です。
支給漏れがないように、しっかりと認定請求の手続きを行いましょう。
(1)2019年4月1日時点で老齢・障害・遺族基礎年金を受給している方
①8月から9月にかけて日本年金機構から手紙が届く
老齢年金生活者支援給付金の支給要件を満たしている方には、2019年8月から9月にかけて日本年金機構から認定請求の手続きに関する案内が届いたはずです。
②書類を返送する
案内に同封されている請求書に氏名など必要事項を記載し返送すれば手続きが完了です。
(2)2019年4月2日以降に老齢・障害・遺族基礎年金の受給を始める方
年金の「裁定請求書」と一緒に、給付金の請求書も提出します。
老齢基礎年金の新規裁定手続きの案内に給付金の請求書も同封されています。
5、老齢年金生活者支援給付金で不明な点がある場合
老齢年金生活者支援給付金で不明な点がある場合は日本年金機構のHPでQ&Aを確認してみましょう。
それでも問題が解決しない場合は直接日本年金機構に問い合わせをしましょう。
(1)日本年金機構のHP
日本年金機構のHPでは老齢年金生活者支援給付金に関する「よくある質問」に対するQ&Aが記載されています。
最初にこちらのQ&Aをチェックしましょう。
*参考:日本年金機構のHP「よくあるご質問にお答えします(Q&A)」
(2)老齢年金生活者支援給付金で不明な点がある場合の問い合わせ先
「年金生活者支援給付金専用ナビダイヤル」
0570-05-4092
また、IP電話で問い合わせする場合はこちらに
03-5539-2216
≪老齢年金生活者支援給付金に関する電話相談受付時間≫
月曜日 8:30~19:00
火~金曜日 8:30~17:15
第2土曜日 9:30~16:00
6、老齢年金生活者支援給付金の注意点
(1)認定請求の手続きを行わない場合、老齢年金生活者支援給付金は支給されない
基本的に老齢年金生活者支援給付金は自分で認定請求の手続きを行わないと支給されないので注意が必要です。
(2)手続きをし忘れた場合
①原則、老齢年金生活者支援給付金は遡って支給されない
老齢年金生活者支援給付金は「認定請求」のため、原則、請求した日の属する月の翌月分から支給される仕組みになっています。
よって、手続きをしっかり行えば、数か月前から老齢年金生活者支援給付金が支給されたというケースであっても、請求しなかった分の老齢年金生活者支援給付金は遡って支給されないので注意が必要です。
②制度導入当初の経過措置(例外措置)
老齢年金生活者支援給付金導入当初の経過措置によって、2019年12月末までに請求を行った場合は、2019年10月分に遡って老齢年金生活者支援給付金が支給されます。
まとめ
今回は「年金生活者支援給付金」とはどのような制度なのか、また、「年金生活者支援給付金」の申請方法や注意すべきポイントなども解説してきました。
「年金生活者支援給付金」は消費税の増税分で実施される社会政策の一環で対象者は160万人存在します。
しかし、「年金生活者支援給付金」は認定請求して初めて効果を享受することができる制度のため、認定請求をし忘れるともらえるはずの「年金生活者支援給付金」が支給されないといった事態になりやすいため、しっかりと認定請求を行いましょう。