不倫相手が妊娠してしまった……。
どのように対処すべきなのだろう……。
既婚者という立場でありながら不倫をしている男性にとって、「不倫相手が妊娠する」というリスクが、常につきまといます。
不倫相手が妊娠して子供を出産する場合、認知や養育費に関するトラブルを考えると、頭を抱えてしまう男性がほとんどでしょう。
一方で、不倫相手の女性に中絶をしてもらう場合にも、リスクが伴います。
今回は、不倫相手の女性の妊娠が発覚したときに確認すべきことや中絶のリスクについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
本記事が、不倫相手の女性を妊娠させてしまい、どのように対応すべきか悩んでいる方の参考になれば幸いです。
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目次
1、不倫相手の女性の妊娠が発覚したときに確認すべきこと
不倫相手の女性の妊娠が発覚したら、お腹の中の子供の命や自分の妻・子供のことが頭をよぎり、パニックになる男性が少なくありません。
不倫相手の妊娠が妻に伝われば、妻から離婚を突きつけられる可能性もあります。
すでに妻との間に子供がいる場合は、子供と離れ離れになる可能性もあります。
不倫相手の女性の妊娠が発覚したら、一度冷静になり、以下のことを確認していきましょう。
- そもそも妊娠が本当かどうか病院で確かめる
- 不倫相手と会った日を含め事実関係を整理
- 不倫相手の女性に自分以外の異性関係を確認
(1)そもそも妊娠が本当かどうか病院で確かめる
不倫相手の女性から妊娠の事実を伝えられたら、妊娠が本当かどうか、病院で確かめましょう。
単なる体調不良を、妊娠と勘違いしているケースもあります。
本当は妊娠していないにもかかわらず、自分の存在価値を主張し振り向いてほしいがために、妊娠したと嘘をつく女性もいます。
早とちりしてトラブルに発展しないよう、妊娠について病院の検査結果を見せてもらったり、病院に付き添って医師に確認したりしましょう。
(2)不倫相手と会った日を含め事実関係を整理
不倫相手が妊娠した子供の父親は、本当に自分なのかどうかを確認するには、まず不倫相手の女性と会った日を含め事実関係を整理しましょう。
妊娠の週数から逆算すると、どう考えても自分の子供ではないというケースもあります。冷静になって、落ち着いて事実関係を整理してください。
(3)不倫相手の女性に自分以外の異性関係を確認
不倫相手の子供が妊娠していても、自分の子供であるかどうかはわかりません。
不倫相手の女性に、自分以外の男性と男女関係にあったかどうかを確認しましょう。
相手の女性としても、複数の男性と男女関係にあった場合は、誰が父親かわからないというケースもあります。
不倫相手の女性が、他の男性とも男女関係にある場合は、仮に妊娠したとしても他の男性との子供を妊娠している可能性もあります。
他の男性との子供であるにもかかわらず、あなたが認知をしたり養育費を支払ったりする必要はありません。
不倫相手の女性から妊娠の事実を告げられた場合でも、本当に自分の子供なのかどうか、よく考えましょう。
2、中絶という選択肢を取るときの注意点
不倫相手が妊娠している子供が、自分の子供であることが判明した場合は、出産をするのか中絶をするのか、あなたもしっかり考える必要があります。
本章では、“中絶”という選択肢を取るときの注意点について、解説します。
(1)不倫相手とよく話し合う
中絶をするということは、お腹に宿った命を失うことを意味します。
この世に生まれることができたはずの命を空に返すわけですから、後悔しないためにも、不倫相手の女性としっかり話し合いましょう。
特に、女性の場合は、中絶をすることで赤ちゃんの命を殺してしまったという罪悪感を一生抱えてしまう人もいます。
不倫相手の女性が妊娠したのは、あなたにも責任があるわけですから、あなたの事情だけでなく、不倫相手の女性の気持ちもしっかり考慮しましょう。
(2)中絶によるリスクを確認
中絶には、下記のようなリスクが伴います。
- 中絶できる期間が決まっている
- 中絶によって身体へ負担がかかる
リスクをしっかりと確認したうえで、中絶という選択肢を選んでください。
①中絶できる期間が決まっている
中絶を考えるときにまず大切なのは、中絶できる期間が決まっているということです。
人工妊娠中絶の手術が受けられるのは、妊娠22週未満(21週6日まで)と決まっています。
妊娠初期(12週未満)と妊娠12週以降では、中絶の手術自体を受けることができる点は共通しますが、手術の内容が異なる点に注意が必要です。
②中絶によって身体へ負担がかかる
妊娠初期(12週未満)の手術は、子宮内容除去術として子宮の内容物を器械的に除去する方法がとられます。
手術自体は15分以内で終わることが多く、通常であれば母体への痛みや出血もありません。
妊娠初期であれば、体調に問題がない限り入院の必要もありません。
妊娠12週以降の手術に比べると、母体への負担は相対的には軽くなります。
一方、妊娠12〜22週未満になると、母体への影響が大きくなります。
この期間の人工妊娠中絶手術は、子宮口を開いてから人工的に陣痛を起こし、赤ちゃんを流産させるという内容です。
妊娠初期と比べると、母体へのダメージが大きく、数日間の入院を必要とするケースが多いです。
また、あまり知られていませんが、妊娠12週以降に人工妊娠中絶手術を受けた場合は、役所に死産届を提出する必要があります。
以上のように、妊娠初期と妊娠12週以降では、母体へのダメージも手術の内容も異なります。
中絶という選択をするのであれば、できる限り妊娠初期に決断することをおすすめします。
母体へのダメージだけでなく、赤ちゃんを人工的に流産させるという手術は、女性への精神的負担がかなり大きくなるためです。
3、中絶にかかる費用
本章では、中絶に関連する費用について、説明します。
不倫相手の女性が妊娠した場合、妊娠させた男性にも責任があるため、費用を最低半分は負担するつもりで女性と中絶について話し合いましょう。
男性側が費用を出さないということを理由に、不倫相手の女性が子供を出産してしまった場合、出産後に離婚等のトラブルに発展する可能性があります。
費用については、しっかり支払うようにしましょう。
(1)中絶費用
中絶費用は、妊娠の週数により異なります。
妊娠12週未満の場合、中絶に要する費用は10〜15万円が相場です。
入院の有無により、費用は異なりますが、入院をせずに日帰りで手術をすることも可能です。
一方で、妊娠12週以降になると、中絶費用は上がります。
妊娠の週数や入院の日数によって、費用は異なりますが、基本的に40万〜45万円ほどの費用に、入院日数に応じた費用が上乗せされます。
なお、人工妊娠中絶については、健康保険の適用がなく、全額自費診療です。
金額も決して安くはないですので、経済的な準備を含め、早急に対応する必要があります。
(2)中絶後の体調不良による入通院費用
人工妊娠手術自体も、リスクがゼロとは言えません。
手術が成功しても、後になって体調不良などのトラブルを抱える女性は、一定数います。
手術が成功しても、その後に痛みを伴う場合があります。
手術後は、子宮が元の大きさに戻ろうとする働きが起こりますので、生理痛のような痛みを伴うことがあるのです。
手術後10日ほどは、生理のような出血が続くケースもあります。
出血量が多くなければ心配いりませんが、万が一出血が続く場合は、医師に相談しなければなりません。
他にも、めまいや頭痛、嘔吐などの症状が出ることもあります。
麻酔薬を使用しているため、止むを得ない面もありますが、術後はできる限り安静にしていることが必要です。
精神面では、中絶をしたことによる罪悪感や、感情の起伏により、PTSD(心的外傷ストレス)を発症するケースがあります。
症状の程度によりますが、PTSDを発症した場合、中絶手術後何年にもわたって、通院や投薬が必要となることもあります。
以上のような症状を発症してしまうと、基本となる手術費用に加え、さらなる入通院費用や調剤費などが必要となる可能性についても、頭に入れておきましょう。
(3)休業損害
妊娠12週未満であれば、即日での手術が可能です。
しかし、大事をとって手術後に仕事を休む女性もいます。
妊娠12週以降になれば、入院を必須としている病院が多いため、仕事を休むことも止むを得ません。
入通院によって仕事を休んだことによる休業損害についても、不倫相手から請求される可能性があります。
仕事を休まなければ手術ができないわけですから、休業損害も含めて支払いの準備をしておきましょう。
(4)慰謝料
前述したように、人工妊娠中絶手術は、女性側に身体的にも精神的にも大きな負担となります。
手術費用だけでなく、女性側から精神的苦痛による慰謝料を請求されることを覚悟しておきましょう。
4、中絶しない場合
前章では、中絶をした場合の具体的な費用やリスクについて解説しました。
本章では、中絶をせずに「出産をする」という選択を取る場合の対応について、見ていきましょう。
(1)認知をせずに未婚の母として生んでもらう
中絶をせずに出産するとなれば、子供の認知の有無が問題になります。
あなたにとって、認知をした子供が存在するという事実は、妻との関係性にダメージを与えます。
認知については、離婚のリスクも踏まえて判断をしましょう。
女性のなかには、男性からの認知を望まない人もいます。
認知の有無により、相続を含め子供の権利が変わってきますから、認知をするかどうかについても、不倫相手とよく話し合いましょう。
認知をしないということになれば、不倫相手の女性には未婚の母として、子供を育ててもらうことになります。
(2)認知をする
出産を選んだ場合、不倫相手との子供を認知するという選択もあります。
戸籍上夫婦でない男女に子供が生まれた場合、父親にあたる人は「認知」という手続をとることが日本の制度で認められています。
認知をすれば、婚姻関係にはないものの、女性が生んだ子供を自分の子供として認めることになり、生まれた子供の父親が誰なのかが明らかです。
認知をすると、母親と子供の戸籍にも父親の名前が記載され、父親にあたる人の戸籍にも「認知日」「認知した子の氏名」「認知した子の戸籍」が記載されます。
以上のように、不倫相手の女性の子供を認知する場合は、戸籍に記載されるので、離婚を考えていない男性は慎重に対応しましょう。
(3)不倫相手を選び妻と離婚する
不倫相手の女性の妊娠を機に、妻と離婚して不倫相手の女性と一緒に生きていくことを選択する人もいるでしょう。
離婚となれば、経済的にも支払うものが大きくなります。
①慰謝料
不貞行為を働いたわけですから、当然慰謝料が発生します。
これに加えて、不倫相手の女性が妊娠したとなれば、慰謝料が増額する可能性が高くなります。
②財産分与
離婚をする場合、財産分与についても考えなければなりません。
預貯金だけでなく、夫婦共同名義の不動産などがある場合は、取り決める事項が増えるので、弁護士を交えて財産分与の内容を取り決めることをおすすめします。
③養育費
あなたと妻との間に未成年の子供がいる場合、離婚後は養育費も支払うことになります。
不倫相手の女性の子供を養育するのはもちろんですが、離婚してもあなたの子供を養育する義務は消えません。
妻を通して、妻との間の子供の養育費も支払っていくことになるでしょう。
5、不倫相手の中絶においてトラブルに発展しそうなら弁護士に相談を!
不倫相手の女性が妊娠した場合、出産するとしても中絶するとしても、リスクや責任が伴います。
特に、あなたが妻との家庭を壊したくないと考えている場合は、慎重に対応する必要があるでしょう。
少しでもトラブルに発展する可能性があると考えられる場合は、早急に弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
今回は、不倫相手の女性の妊娠が発覚したときに確認すべきことや、中絶のリスクについて解説しました。
中絶をするにも出産をするにも、リスクが伴います。
不倫相手が妊娠したのには、男性側にも責任があるので、相手の女性の気持ちや状況も考えながら最終的な判断をしていきましょう。