おまとめローンのデメリットをご存知でしょうか?複数の会社から借金があり、「おまとめローン」を利用すべきか悩んでいる……という方は、少なくないのではないでしょうか。
おまとめローンは、借金を一本化できるため、返済が楽になる便利なサービスだというイメージを持つ方も多いでしょう。しかし、おまとめローンは便利なだけではなく、デメリットもあります。金利が高くなる場合や、返済期間が長くなることで総返済額が増えるリスクもあります。また、おまとめローンを利用するには審査が必要で、審査に通らない場合もあるかもしれません。さらに、借り換えに伴う手数料が発生することも忘れてはなりません。借金を一つにまとめることで、新たなキャッシングの誘惑にも気をつけなければなりません。過去の事故情報や債務整理の経験がある場合、ブラックリスト入りしてしまいおまとめローンの対象外になることも考えられます。
デメリットを知らずに利用をすれば後悔してしまう恐れもあるため、申し込み前におまとめローンのデメリットについて知っておきたいものです。そこで、ベリーベスト法律事務所の弁護士が、おまとめローンの概要やデメリット、注意点などについて解説しています。また、記事ではおまとめローンのメリットや、おまとめローンを利用すべきか迷った場合に弁護士に相談するメリットについても説明されています。
「おまとめローンを利用したいけれどデメリットについて事前に詳しく知っておきたい!」という方の参考になる内容となっていますので、ぜひご一読ください。おまとめローンについて詳しく知りたい方は、以下の関連記事もご覧ください。
おまとめローン については以下の関連記事をご覧ください。
目次
1、おまとめローンのデメリットについて知る前に~おまとめローンとは
「おまとめローン」というサービスは、銀行や消費者金融が提供しています。 おまとめローンとは、具体的にどのようなサービスなのでしょうか。
本章では、
- おまとめローンのサービス内容
- おまとめローンはどのような人に向いているのか
について、説明します。
(1)おまとめローンとは
おまとめローンとは、複数の会社の借り入れを1つにまとめて返済するサービスです。1社から融資を受け、これまで借入れをしていた複数の会社の借り入れは清算することで、ローンを“一本化”することができます。ローンを一本化すれば、返済日をまとめることができ、効率的に借金を返済しやすくなります。
銀行や消費者金融が行うおまとめローンのサービスは、大きく分けると次の2種類です。
- 銀行系のおまとめローン
- 消費者金融系のおまとめローン
①銀行系のおまとめローン
銀行系のおまとめローンの場合、消費者金融など他業種のローンやクレジットカードのキャッシングを借り換えて、1つのローンにすることができます。
融資限度額は、高めです。比較的金利も低く、おまとめ専用ローンやフリーローンなどさまざまな商品があります。
ただし、消費者金融系のおまとめローンに比べると、審査が厳しくなる点に注意が必要です。
②消費者金融系のおまとめローン
消費者金融系のおまとめローンは、返済専用のおまとめローンです。追加借り入れをすることはできず、計画的に返済のみを行っていくことになります。
銀行系のおまとめローンよりも、比較的金利は高くなりますが、審査が早くてサービスをすぐに利用しやすいというメリットがあります。
(2)おまとめローンが向いている人
借金に悩んでいる人は多いですが、全ての人におまとめローンが向いているというわけではありません。
具体的には、次のような人がおまとめローンに向いています。
- 複数の会社から借り入れがある人
- 毎月の返済に困っている人
①複数の会社から借り入れがある人
1社や2社の借入れであれば、借金の管理をすることは簡単かもしれません。
しかし、複数の会社から借入れをしていれば、借金の管理は非常に大変です。
複数の会社から借入していると、会社によって返済期日や返済金額が異なることもあり、別々に手続きを行わなければなりません。返済漏れが起こる恐れがあり、返済計画も立てにくいものです。
おまとめローンを利用すれば、1社に返済をまとめることができるため、借金が管理しやすくなるでしょう。
②毎月の返済に困っている人
複数の会社から借入れをしているため、毎月の返済に困っているという人も、おまとめローンに向いていると言えます。おまとめローンで借入れを一本化することで、金利を下げられる可能性があるからです。
一般的に、借入金額が大きいほど、おまとめローンの金利は低くなります。少額の借入れを複数社で行うよりも、高額な金額の借り入れを1社にまとめて行った方が、金利は低くなるでしょう。
2、利用する前に知っておきたい!おまとめローンのデメリット
複数の会社からの借り入れで返済や管理に困っているため、すぐにおまとめローンを利用しようとする人もいるかもしれません。
しかし、おまとめローンはメリットだけではなく、デメリットも存在します。
慌てておまとめローンの利用を決断するのではなく、おまとめローンのデメリットについても、利用前にしっかり把握しておきましょう。
(1)おまとめローンの利用で金利が上がる可能性がある
おまとめローンを利用すれば、金利が下がるケースもあります。
しかし、金利が上がってしまうケースもあります。
さまざまな銀行や消費者金融が、おまとめローンを取り扱っていますが、金利は会社によって異なるため、注意が必要です。もともと契約していたローンの金利の方が、おまとめローンの金利よりも低ければ、おまとめローンを利用することで、金利が上がってしまいます。金利が上がることはない場合でも、結果的に金利が変わらないようなケースもあるでしょう。
(2)支払い総額が増えてしまう可能性がある
おまとめローンで借入れを一本化することで、支払い総額が増えてしまうケースもあるので、注意が必要です。
おまとめローンを利用することで、もともと契約していたローンよりも金利が上がってしまえば、支払い総額は増えてしまいます。
金利が低くなったとしても、月々の借入れ金額を減らすために借入期間を長く設定すれば、利息が増えます。
金利を減らすことができたにもかかわらず、利息によって支払総額が増えることになってしまうのです。
(3)追加の借り入れができない場合がある
“おまとめローン”と一言でいっても、会社ごとにおまとめローンの種類がいくつか用意されています。
返済専用のおまとめローンの場合、返済することが目的になるため、追加の借入れをすることはできません。
もし、利用限度額の範囲内であったとしても、借り入れをすることはできないので、注意が必要です。万が一、緊急で資金が必要になった場合に借入れできない状況になることが不安だという場合には、追加借り入れができるおまとめローンの商品を選ぶべきでしょう。
(4)審査が厳しい
おまとめローンの審査は、基本的に審査が厳しい傾向にあります。
おまとめローンを利用するには、金融機関や消費者金融の審査が必要になります。しかし、おまとめローンを利用しようと考える人は、既に他社からの借入れが多いため、審査基準が厳しくなるのです。
借入金額が大きくなるほど、審査が厳しくなると考えておきましょう。
(5)多重債務状態に逆戻りしてしまうケースが多い
おまとめローンで複数の借入を一括返済すると、今までの借入先では「完済」扱いになります。
借金を「完済」すると、利用客には良い評価が与えられ、今までの借入先からは優良顧客として扱われますので、融資枠の拡大などが伝えられることがあります。
例えば、完済した借入先から「完済していただいたので、融資枠が増えましたよ」とか「金利を少し下げてお貸しできますよ」というような営業電話がかかってきます。
そうすると何だか自分の信用が上がったような気になって、ついついお金を借りてしまう。
その結果、再度多重債務状態に逆戻りし、結局おまとめローンの分だけ借金が増えてしまった…。そんな例が後を絶たないのです。
そのため、もし借りたい誘惑に駆られても、「完済するまでは絶対に借りない」という強い気持ちで返済に専念する必要があります。
しかし、おまとめローンを利用する人は一般的には借入れ癖が染み付いてしまっている方が多いので、借りたい誘惑に打ち勝つというのは想像以上に難しいのです。
「自分は大丈夫」などと安易に思わず、そのような現実があるんだということをしっかり肝に銘じておきましょう。
3、おまとめローンを利用する場合の注意点
前章までに、おまとめローンのデメリットを紹介しましたが、デメリットだけではなく利用にあたって注意すべき点もあります。
具体的には、以下の注意点があります。
利用前に注意点をよく知ってから、契約を検討するようにしましょう。
- おまとめローンを完済できなければリスクがある
- 返済期間が長期化しやすい
- おまとめローンをうたった詐欺もある
(1)おまとめローンを完済できなければリスクがある
おまとめローンの完済が難しくなってきた場合に、さらに他社から借入れをしようと考えても、他社からの借り入れするのは難しい状況となります。
おまとめローンを利用していることは、銀行や消費者金融も把握しているため、借り入れをしようとしても、返済能力がないと判断され審査に通りません。
おまとめローンを完済できない場合には、債務整理を検討するしか手段はないといえるでしょう。
おまとめローンは、一度契約をすれば変更することが難しいため、完済できない場合のリスクも理解したうえで契約することをおすすめします。
(2)返済期間が長期化しやすい
おまとめローンを利用すれば、借金を一本化することができ、これまでよりも月々の返済額を少なく設定することができます。
月々の返済額の負担が減るため、生活が楽になるというメリットがあります。
しかし、毎月の返済額を少なく設定すれば、利息が増えてしまいなかなか元金を減らすことができません。
最終的には、返済期間が長期化してしまうというケースもあります。
返済が始まってしまえば、返済額の変更ができない場合もあるので、借入期間に問題がないか確認しながら利用を検討すべきでしょう。
(3)おまとめローンをうたった詐欺もある
おまとめローンを利用しようと考える人は、多重債務に悩み、追い詰められている状態になっている人も少なくありません。このような精神状態を利用して、おまとめローンに関する詐欺を行う悪徳業者も存在するのです。
「審査がゆるい」「即日で借金を一本化できる」など、多重債務で悩む人にとって魅力的なキャッチフレーズを掲げていることが多いでしょう。
しかし、実際に契約すると、高額な手数料や入会金を請求されるような場合があります。
契約をして請求された金額を振り込みしたら、業者と連絡が取れなくなってしまったというケースも存在します。
詐欺の方法はそれぞれ異なるため、利用する際には、知名度の高い信頼のできる会社で申し込みをするようにしましょう。
4、おまとめローンのデメリットへの対処法とは
おまとめローンには、デメリットや注意点も多いため、利用を決める前にデメリットへの対処をすべきです。
おまとめローンを利用して後悔しないためにも、デメリットへの対処法を知っておきましょう。
(1)事前に返済シミュレーションをする
おまとめローンを利用するのであれば、事前にしっかりと返済のシミュレーションをしておきましょう。
返済シミュレーションを行えば、金利が高くなることや、利息が増えて支払い総額が増えてしまうといったおまとめローンのデメリットを避けることができます。
契約しているローンの金利と、契約を検討しているおまとめローンの金利を比較し、返済期間や返済額をシミュレーションして無理のない返済を目指しましょう。
(2)借入件数をできるだけ少なくしてから利用する
おまとめローンを利用する際には、借入れ件数をできるだけ少なくしてから利用することをおすすめします。
4社以上の借入があれば、審査を通過することが難しくなります。
借入件数が多い場合には、できる限り少なくしてから利用するようにしましょう。
(3)おまとめローンの利用条件を確認しておく
おまとめローンにはさまざまな商品がありますが、大きく分けると、次の2種類に分けられます。
- 追加借入れができる商品
- 追加借入れができない商品
おまとめローンは、返済専用になっていることが多く、返済専用のおまとめローンを契約すれば、追加の借入れができません。
一度契約すれば、契約内容を変更することは難しく、突然のトラブルで追加借入れが必要になっても、他社からも借入れすることができない状況に陥ってしまいます。
これ以上の借入を増やさずに、返済だけを行いたい場合には、返済専用のおまとめローンで問題ありません。
追加借入れが必要かどうかについては、契約前にしっかりと検討しておく必要があるでしょう。
(4)債務整理を検討する
複数社の借入れがあるからといっても、おまとめローンを利用することがベストな選択であるとは限りません。おまとめローンを利用しても返済が難しい場合や、おまとめローンの審査に通ることが難しいようなケースもあるでしょう。
以上のような場合には、債務整理も検討してみてください。
債務整理をすれば、将来利息や借金を減額することや、借金の免除を受けることができます。
債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産の3種類があるので、どのような債務整理方法が自分に向いているのか、弁護士に相談してみましょう。
5、おまとめローンはデメリットばかりではない!おまとめローンのメリットとは
おまとめローンにはデメリットもありますが、メリットもあります。
- 返済が月に一度になるので管理しやすくなる
- 金利負担を軽減できる可能性がある
おまとめローンのメリットとデメリットを比較して、ご自身にとってメリットとデメリットのどちらが大きいのか、検討してみてください。
(1)返済が月に一度になるので管理しやすくなる
複数社に借入れがあれば、それぞれの会社毎に返済日や金額が異なります。
しかし、おまとめローンで借入れを一本化すれば、返済日を月に1回にすることができます。
返済の手間を省くことができ、借金の管理も行いやすくなるでしょう。
月に一度の返済になれば、今後の返済についても計画が立てやすくなるので、完済への見通しがつきやすくなるというメリットもあります。
(2)金利負担を軽減できる可能性がある
おまとめローンを利用することで、金利が上がってしまうケースもありますが、金利の低いローンにまとめることができれば、金利負担は軽減されます。
ただし、金利が低くなっても、返済期間が長期化すれば利息によって支払総額が高くなってしまうケースも考えられます。
金利と利息の両方を確認したうえで、シミュレーションして利用を検討すべきでしょう。
6、借金の返済に困っている場合は弁護士に相談しよう!
借金の返済に困っている場合には、おまとめローンを利用することで、借金の負担や管理が軽減される可能性があります。
しかし、現時点で借金の返済に困っている場合、おまとめローンを利用しても結果的には借金返済が困難になってしまうことも考えられます。借金の返済に困っているのであれば、債務整理について検討し、まずは弁護士に相談してみましょう。
(1)債務整理についてわかりやすく詳しく説明してくれる
弁護士は、「そもそも債務整理って何?」という方に向けて、わかりやすく説明してくれるでしょう。そのうえで、本当に債務整理を進めるべきかどうかアドバイスしくれることも、期待できます。
(2)適切な債務整理の手続きを進めてくれる
弁護士に相談すれば、借入れや経済状況などを考慮し、適切な債務整理方法や今後の対処法についてアドバイスを受けることができるでしょう。
まとめ
おまとめローンは、借金を一本化できるというメリットがありますが、結果的に支払総額が増えてしまったり、追加借入れが難しくなったりなどのデメリットがあります。
おまとめローンのデメリットや注意点を十分理解したうえで利用を検討し、返済が難しい場合には、弁護士に相談して債務整理についても検討してみることをおすすめします。