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交通事故時に後遺障害等級10級の認定を受ける方法

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交通事故に遭われた方、ことに不運にも、障害が残ってしまった方は、体の傷だけでなく、将来に対する不安も大きいことでしょう。

加害者側が任意保険に加入していたから、保険金で補償を受けることができることはわかっていても、実際に、自分の怪我が補償の対象と認めてもらえるのか、どの程度の金額を補償してもらえるのか、とても心配だと思います。

補償額は、後遺症の程度に応じて上下します。

ここでは、10級後遺障害に詳しく説明します。ベリーベスト法律事務所の交通事故専門チームの弁護士が説明していきますのできっとご参考頂けるはずです。

どのようなケースが後遺障害10級に該当し、それが損害賠償にどう反映するのかを知って下さい。この記事が交通事故に遭いお悩みの方のご参考になれば幸いです。

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1、後遺障害が残るとはどのような状態か?

(1)後遺障害とは?

①後遺障害とは

後遺障害とは、「傷害が治ったとき身体に存する障害」(自動車損害賠償保障法施行令第2条)です。

治療をしても、体が完全に元に戻るとは限りません。

これ以上、どんなに治療しても、もとには戻らない状態、それを症状固定と言います。

その状態が、後遺障害です。

交通事故は、日々、多発しています。

そして、事故による後遺障害には様々な程度、ケースがあります。

たくさんの被害者に、公平に補償を与えるためには、場当たり的な判断がなされないよう、処理基準が必要となります。

そこで、後遺症を症状の度合いに応じて分類したものが「後遺障害等級」です。

(2)後遺障害等級認定とは?

①自賠責保険と後遺障害等級

現代社会に必須の自動車交通は、他方で、交通事故の悲劇を生み出します。

事故が避けられないならば、一定割合で生じる事故に対し、補償制度を整備しておくことが要請されます。

これが、自動車損害賠償責任保険(又は同責任共済)、いわゆる自賠責保険という、人身事故に対する保険金支払い制度です。

同制度は、自動車損害賠償保障法という法律により、自動車を運行する者全員に加入を強制しています。

後遺障害等級は、この自賠責保険の保険金を定めるために、各後遺症を分類したものです。(正式名称:自動車損害賠償保障法施行令「別表第一」及び「別表第二」)

②等級認定

損害保険料率算定機構という団体が、後遺障害の等級を認定する手続を「等級認定」と呼んでいます。

損害保険料率算定機構(以下「機構」と言います)は、損害保険料率算出団体に関する法律に基いて設立された公的団体で、私企業である保険会社とは別個の存在です。

同機構に等級認定を請求する手続には、「事前認定」と「被害者請求」の2種類があります。

事前認定は、加害者側の保険会社が、被害者から同意を得て、病院等から被害者の診療記録等を集めて、同機構に送付して判断を求めるものです。被害者請求は、被害者が、自分で、診療記録等の証拠を集めて、同機構に提出して判断を求めるものです。

請求を受けた同機構は、内容を審査し、後遺障害に該当するか否か、何級に該当するかを判断し、これを「後遺障害等級認定票」という書面にして送付します。

2、後遺障害10級の認定を受けることができるのはどのような場合?

後遺障害等級10級とは、次の各場合です。

(1)後遺障害等級表・別表第2

10

 

 

内   容

 

 

一眼の視力が0.1以下になったもの

2  

正面を見た場合に複視の症状を残すもの

3  

咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの

4  

14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

5  

両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの

6  

一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの

7  

一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの

8  

一下肢を3センチメートル以上短縮したもの

9  

一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの

10

一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの

11

一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの

自賠責保険(又は同共済) 金額461万円(注1)

労働能力喪失率   27%(注2)

(注1)別表に記載された金額は、自賠責保険(又は同共済)の保険限度金額です。

自賠責から支払われる賠償金の上限で、任意保険による賠償金の上限ではありません。

(注2)労働能力喪失率とは、後遺障害によって失われた働く能力で、後述する逸失利益額を計算する前提となります。

労働能力喪失率の数値は、労働災害補償のための行政通達に添付された労働能力喪失表(労働基準監督局長通牒 昭32.7.2基発第551号別表)に記載されています。

実務上、労災に用いる数値を交通事故にも流用しているのです。

(2)各号の症状の説明

それでは、10級に該当する各症状について、個別に説明します。

①視力障害が10級にあたる場合

1号

一眼の視力が0.1以下になったもの

10級にあたるのは、一眼、つまり片方の目の視力が0.1以下に落ちてしまった場合です。

両眼の視力が0.1以下となった場合は、第6級です。

近視、遠視、乱視がある場合は、眼鏡・コンタクトレンズで矯正した視力について測定します。

つまり、眼鏡やコンタクトレンズを用いても、視力が0.1以下になった場合がここに該当することになります。

②目の運動機能障害が10級にあたる場合             

2号

正面を見た場合に複視の症状を残すもの

復視とは、ものが二重に見えてしまう症状です。

各眼球には3つの外眼筋という筋肉があり、左右合計6つの筋肉が眼球運動を担います。

この外眼筋に麻痺などの運動障害が残った場合、眼球は正常な位置を保つことができなくなります。

このため、外界の光が、各眼の網膜上の正しい場所に像を結ぶことができず、二重に見えてしまうのです。

復視は、遠近感や段差を正確に認識することが困難となり、日常生活において不便であるばかりか、非常に危険な症状です。

10級にあたるのは、正面を見た場合に二重に見える場合です。

正面以外を見た場合に二重に見える場合は、より支障が少ないものとして、第13級に該当します。

なお、10級が予定しているのは、運動障害としての復視です。

そのため、眼筋の麻痺などの復視を残す明らかな原因が認められることが条件であり、それ以外の原因による復視(例えば、水晶体のズレなど)は、視力障害として別途の評価を受けます。

また、復視は、ヘススクリーンテスト(Hess赤緑試験)という、左右の眼に、それぞれ赤色と緑色の眼鏡を装着して、碁盤目上のスクリーンを見せて、両眼の位置のずれを測定する検査が用いられ、重視されています。

ものが二重に見えるという症状があった場合は、まず眼科で、このテストを受けることをおすすめします。

③咀嚼(そしゃく)及び言語機能障害が10級にあたる場合

3号

咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの

口の障害のうち、「そしゃく機能」、つまり、食物をかみ砕く機能の障害と「言語の機能」、つまり、話す機能は、その程度に応じて、次のように等級が分かれています。

 (そしゃく機能の障害は、他の等級に該当する場合と比較しないと理解が難しいので、ここではあえて、1級該当の場合から順次説明します。)

第1級2号

そしゃく及び言語の機能を廃したもの

そしゃく機能を廃したもの

流動食以外は摂取できないもの

言語の機能を廃したもの

4種の語音(※)のうち、3種以上の発音不能のもの

4種の語音とは、口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音を言います。

 「語音」とは、言葉を組み立てている音を言います。

 この音は、私たちが、発声する際に、唇や口の形、舌の位置や形、喉の広げ方、息の出し方等々、発声するための器官を変化させて作っているものです。

 このように音に応じて口や喉などの形を変化させることを「構音」と言います。

 4種の語音とは、語音(そのうちの子音)を、それを発する構音の違いに着目して分類したものです。

我が日本語の子音を構音部位別に分類すると、次の4種類となるのです。

  1. 口唇音(ま行音、ぱ行音、ば行音、わ行音、ふ)
  2. 歯舌音(な行音、た行音、だ行音、ら行音、さ行音、しゅ、し、ざ行音、じゅ)
  3. 口蓋音(か行音、が行音、や行音、ひ、にゅ、ぎゅ、ん)
  4. 喉頭音(は行音)

第3級2号

そしゃく又は言語の機能を廃したもの

流動食以外は摂取できず、「そしゃく機能を廃した」と評価され、かつ、4種の語音のうち3種以上の発音が不能となり「言語の機能を廃した」とも評価される場合が、第12号でした。

 他方、そしゃく機能と言語の機能のうち、どちらか片方だけが「廃した」と評価される場合が、32号です。

第4級2号

そしゃく及び言語の機能に著しい障害を残すもの

そしゃく機能に著しい障害

粥食又はこれに準ずる程度の飲食物以外は摂取できないもの

言語の機能に著しい障害

4種の語音のうち、2種の発音不能のもの

綴音機能(※)に障害があるため、言語のみを用いては意思を疎通することができないもの

※綴音(つづりおん、てつおん、ていおん)とは、ひとつひとつの語音(単音)を組み合わせた語音です。

例えば、「空(ソラ)」という言葉は、「s」「o」「r」「a」という母音と子音からなる4つの単音が組み合わされた綴音です。

このように、音を組み合わせる機能に障害が残り、言語だけでは相手に意志を伝えられない場合を指しているのです。

第6級2号

そしゃく又は言語の機能に著しい障害を残すもの

粥食など以外は摂取できず、「そしゃく機能に著しい障害」と評価され、かつ、4種の語音のうち2種の発音が不能となるか、綴音機能の障害のため「言語の機能に著しい障害」があるとも評価される場合が、第42号でした。

これに対し、そしゃく機能と言語の機能のうち、どちらか片方だけに「著しい障害を残す」と評価される場合が、第62号です。

第9級6号

そしゃく及び言語の機能に障害を残すもの

そしゃく機能に障害

固形食物の中にそしゃくができないもの又はそしゃくが十分にできないものがあり(※1)

そのことが医学的に確認できる場合(※2)

言語の機能に障害

4種の語音のうち、1種の発音不能のもの

※1:固形物の中にそしゃくができないもの又はそしゃくが十分にできないものがある例、ごはん、煮魚、ハム等はそしゃくできるが、たくあん、らっきょう、ピーナッツ等の一定の固さの食物中にそしゃくができないもの又はそしゃくが十分にできないものがある場合

※2:医学的に確認できるとは、原因が、不正咬合(ふせいこうごう。歯の噛み合わせの異常)、そしゃく運動に関与する筋肉群の異常、下顎関節の障害、開口障害、歯牙損傷(歯を人工物で補う治療である「補てつ」ができない場合)等にあると医学的に確認できることをいいます。

第10級3号

そしゃく又は言語の機能に障害を残すもの

そしゃく及び言語の障害が第10級にあたるのは、そしゃく又は言語のどちらか片方に、障害が残った場合(その意味は、上記第9級の解説のとおり)です。

④歯牙障害が10級にあたる場合

4号

14歯以上に対し歯科補綴(ほてつ)を加えたもの

ここに、「歯科補てつを加えたもの」とは、現実に喪失した歯、または著しく欠損した歯に対する補てつをいいます。

したがって、次のような治療を施した場合は、補てつした数に算入しません。

(ア)「支台冠」や「鈎の装置歯」を装着したにとどまる歯

これらは、「有床義歯」や「架橋義歯」による補てつで利用されます。

有床義歯とは、口の中の粘膜を覆う形に作られた取り外し可能な部分入れ歯です。

架橋義歯とは、失った歯の両隣の歯を削って橋をかけるように人工歯で覆う装置、いわゆるブリッジです。

支台冠とは、これら補てつの支柱となる歯に被せる金属などの人工物です。

鈎の装置歯とは、これら補てつの支台となる歯に引っかける金属等の装置です。

いずれの場合も、支柱、支台となっている歯は、人工物を装着されているだけで、喪失したり、著しい欠損を生じていませんので、カウントされません。

(イ)ポスト・インレーされた歯

ポスト・インレーとは、虫歯を削った跡の穴に詰め込む心棒です。この治療を施された歯も、喪失や著しい欠損ではないのでカウントされません。

(ウ)喪失した歯と義歯の本数が異なる場合

喪失した歯が大きかったり、歯間に大きな隙間が存在したため、喪失した歯の本数よりも多い本数の義歯を入れた場合は、喪失した歯の本数によって等級を決定します。

例えば、3本の歯が失われたものの、歯の隙間が大きかったため、4本の義歯を入れたとしても、等級認定にあたっては、3本の補てつとして取り扱われます。

尚、歯牙の障害については、それ専用の後遺障害診断書が必要となります。

⑤聴力障害が10級にあたる場合

両耳の聴力障害                       

5号  

両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの

片耳の聴力障害                               

6号

一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの

聴力障害は、両耳のケースと片耳のケースに分けられ、2種類の検査によって判定されます。

2種類の検査とは、「純音聴力レベル」と「語音による聴力検査(明瞭度の検査)」です。

「純音」とは、ひらたく言うと、「ピー」という高さが一定の単調な音です。

この音を用いて聴力を測定し、デシベル(db)という単位で表します。

語音による聴力検査は、「アイウエオ」といった音声を聞かせて、どの程度、聞き取れるかを測定し、聞き取れた結果(明瞭度)を%で表します。

両耳の聴力障害

平均純音聴力レベル(dB)及び最高明瞭度(%)

5号  

両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの

両耳が50dB以上のもの

又は

両耳が40dB以上・70%以下のもの

片耳の聴力障害

 

6号

一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの

1耳が80dB以上のもの (90db以上は、第9級)

⑥手指の機能障害が10級にあたる場合

7号

1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの

「手指の用を廃したもの」とは、次の(a)(b)(c)のいずれかに該当するものをいいます。

(a)手指の末節骨(指の先端の骨)の長さの2分の1以上を失ったもの

(b)著しい運動障害を残すもの

中手指節関節(ちゅうしゅしせつかんせつ。指の付根部分の関節。指の先端から数えて3番目の関節)

運動可能領域が健側(※1)の運動可能領域の2分の1以下に制限されたもの

近位指節間関節(きんいしせつかんかんせつ。指の先端から数えて2番目の関節)

母指(親指)の場合は、指の先端から数えて2番目の関節である「指節間関節」

同上。(母指については、橈側外転又は掌側外転(※2)のいずれかが健側の2分の1以下に制限されたものを含む。)

※1:「健側」とは、障害のない方の手指のことです。

※2:橈側外転又は掌側外転とは、いずれも解剖学上、厳密に定義された人体の運動表現です。

ここに詳細を記載する余裕はありませんが、おおまかに言いますと、橈側の「橈」とは、「橈骨(とうこつ)」側を言います。

橈骨は、前腕部を形作る2本の骨のうち、親指側にある骨です。

橈側外転は、手のひらに水平な面上で母指を外側(橈骨側)に開く動きです。

掌側外転は、手のひらに垂直な面上で母指を外側に立てる動きです。

(c)手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚(※3)が完全に脱失したもの。

当該部位を支配する感覚神経が損傷し(※4)、筋電計を用いた感覚神経伝導速度検査で感覚神経活動電位(SNAP)が検出されない場合に限るとされます。

※3:深部感覚と表在感覚・・体の表面で感じる触覚、痛覚、温度覚などに対し、皮膚より深い部位(筋肉や腱など)に感じる感覚が深部感覚です。

これにより、我々は、体の位置、運動、振動、圧力など多彩な情報を感得することができます。

※4:感覚の完全脱失とは、表在感覚だけでなく、深部感覚も消失したものをいいます。

これは、外傷によって覚神経が断裂した場合に限られます。

おおまかに言えば、神経という電線が切れてしまい、電気が伝わらないというイメージです。

⑦下肢の短縮障害が10級にあたる場合

8号

一下肢を3センチメートル以上短縮したもの

骨折が治癒しても、骨折しなかった健康な脚と比較すると短くなってしまう事例があります。

これが下肢短縮です。

上前腸骨棘(骨盤の前に張り出した箇所)と下腿内果下端(くるぶしの骨のもっとも下の箇所)の間の長さ測ります。短縮が1センチ以上は13級、3センチ以上は10級、5センチ以上は8級となります。

⑧足指の欠損障害が10級にあたる場合

9号

一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの

片足の親指を失った場合または親指以外の指4本を失った場合です。

「失った」とは、全部を失ったことであり、中足指節関節(足指の根本部分の関節)から先を喪失した場合を意味します。

⑨上肢の機能障害が10級にあたる場合

10

一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの

上肢の三大関節とは、手首、肘、肩です。

「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、次の(a)(b)いずれかに該当するものです。

(a)関節の運動可能領域が健側の運動可能領域の2分の1以下に制限されるもの

(b)人工骨頭又は人工関節を挿入置換した関節。

但し、「その運動可能領域が健側の運動可能領域の2分の1以下に制限されるもの」は、「関節の用を廃したもの」として第8級となるので、これを除きます。

⑩下肢の機能障害が10級にあたる場合

11

一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの

下肢の三大関節とは、足首、膝、股関節です。

 「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、次の(a)(b)いずれかに該当するものです。

(a)関節の運動可能領域が健側の運動可能領域の2分の1以下に制限されるもの

(b)人工骨頭又は人工関節を挿入置換した関節。

但し、「その運動可能領域が健側の運動可能領域の2分の1以下に制限されるもの」は、「関節の用を廃したもの」として第8級となるので、これを除きます。

尚、上肢も下肢も、機能障害で後遺障害が認定されるためには、骨折のような器質的な損傷が存在することが必要です。

骨折による神経の損傷や癒合不良(上手く、くっつかない)などの機能障害の原因が明らかであることが要求されます。

また、そのような外傷があっても、治療の結果、非常に良く治癒できて、レントゲンなどの客観的所見からは、可動域制限が生じるはずはないという場合は、逆に、後遺障害と認定されない場合もあります。

つまり、数値的に該当する可動域制限が生じていたからといって、絶対に認定されるわけではありません。

3、後遺障害等級10級認定の場合に獲得できる損害賠償額について

(1)損害賠償総額の計算方法について

交通事故における損害賠償額の計算方法については、①自賠責基準、②保険会社基準、③弁護士基準(裁判所基準)という異なる基準が存在します。

慰謝料の基準

慰謝料の金額

自賠責基準

187万円

任意保険基準

200万円

弁護士基準(裁判基準)

550万円

以上の通り③②①の順番で高額になり、被害者に有利となります。

何故でしょうか。

まず、自賠責は強制保険であり、最低補償として厳密に金額が定められています(自動車損害賠償責任保険の保険金及び自動車損害賠償責任共済金等の支払基準・平成13年金融庁国土交通省告示第1号)。

したがって、低額であるのは当然です。

次に、任意保険会社は、いずれも営利企業です。

できるだけ多くの保険料を集めて、できるだけ少ない保険金を支払うことを指向するのも当然です。

ですから、保険会社は、示談交渉にあたって、金額を小出しに提案してきます。

交渉事ですので、これも不思議なことではありません。

他方、弁護士が関与して、最終的な決定権者である裁判官が判断を下すのは、最終局面です。

支払う側が、金額を小出しにする以上、時間を経た最後の局面である弁護士(裁判所)基準では、もっとも金額が高くなるのは当たり前なのです。

(2)後遺障害等級10級が認定された場合の慰謝料の金額について

後遺障害の等級は、慰謝料(後遺障害慰謝料)、逸失利益に影響します。

後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ってしまった精神的な損害に対する賠償です。等級に応じた金額が支払われます。

自賠責保険における後遺障害等級10級の後遺障害慰謝料

別表二

     187万円

この金額は、強制保険である自賠責から支払われる分であって、賠償額の上限ではありません。

弁護士(裁判所)基準による後遺障害等級10級の後遺障害慰謝料

赤本(※)

550万円

※赤本とは、日弁連交通事故センター東京支部が発行する「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」という書籍であり、多くの弁護士、裁判官によって、賠償額の目安をはじめとする交通事故事件処理の基準として重視されているものです。

したがって、弁護士基準(裁判所基準)とは、多くの場合、この本に記載された内容を指します。

(3)後遺障害等級10級が認定された場合の逸失利益について

逸失利益とは、将来にわたり働いて得られたはずの経済的利益です。

後遺障害により、働く力(労働能力)が失われたとされ、賠償が与えられます。

逸失利益の賠償額は、次の算式で計算します。

逸失利益=(年収額×労働能力喪失率×喪失期間)−中間利息

まず、「年収額×労働能力喪失率×喪失期間」の部分を説明します。

例えば、年収1000万円の人が、働く力が5割となった(喪失率50%)、事故がなければあと10年は働けたという場合、1000万円×(100分の50)×10年=5000万円となります。

年収額は、手取りではなく、給与所得者の場合は、税金や社会保険などの各種控除をする前の総所得額で計算します。

税金や社会保険料などは、本来は、収入を得た者が、その収入の中から支払うものであり、加害者や保険会社が支払うものではないからです。

尚、現在の実務では、交通事故の損害賠償金は非課税扱いです。

労働能力喪失率は、後遺障害によって失われた労働能力で、労働災害補償のための労働能力喪失表を利用します。

後遺障害10級の喪失率は、27%(100分の27)です。

喪失期間とは、労働能力を喪失していなければ、100%の労働能力で働き、完全な収入をあげ得た年数です。

通常は、67歳まで働くものとして考えます(但し、事案によります)。

例えば、40歳で受傷したときは、喪失期間は、27年となります。

中間利息とは何でしょうか。

逸失利益の賠償は、将来に渡って働いて得られる収入を補償してもらうものです。

収入を得られるのは、もともとは、将来の話でした。

しかし、たまたま事故があったため、現時点で、一時金として、将来の収入を貰えるのです。

将来にわたって、毎月、一定額ずつ収入を得る場合とその総額を一時金として、今、受け取る場合の大きな違いは、今受け取った一時金を一度に全部使ってしまわない限り、理論上は、利息がついて金額が増える可能性があるということです。

しかし、損害賠償は、あくまで損失を補てんするものですから、被害者に利益を得させる理由はないのです。

このため、この利息分(中間利息)を、逸失利益の賠償額から差し引きします。

これが中間利息の控除です。

中間利息を控除する計算式は、複数ありますが、現在の実務は、複利計算を用いるライプニッツ方式が用いられます。

ライプニッツ方式で用いられるのが、ライプニッツ係数という数値ですが、その実際の計算方法は複雑ですし、別段、知る必要もありません。

ここでは、次の2点を知っていれば、実用に問題ありません。

①(その1)ライプニッツ係数を用いた逸失利益の計算方法

逸失利益=

年収額×労働能力喪失率×「被害者の年齢に応じたライプニッツ係数」

②(その2)ライプニッツ係数の調べ方

上記の「被害者の年齢に応じたライプニッツ係数」とは、「自動車損害賠償責任保険の保険金及び自動車損害賠償責任共済金等の支払基準」(平成13年金融庁国土交通省告示第1号)の別表Ⅱ−1の表に記載された数値です。

同表は、国土交通省の下記サイトでダウンロードできます。

http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/resourse/data/syuro.pdf

同表は、「被害者の年齢」、「就労可能年数」(67歳までの年数)と、それに対応したライプニッツ係数が一覧表となっています。

③ライプニッツ係数を用いた具体的な計算

あとは、受傷時の被害者の年齢に対応するライプニッツ係数を用いて計算するだけです。

例えば、年収500万円、年齢45歳、喪失率50%の場合、同別表Ⅱ−1の対応するライプニッツ係数は、13.163です。

逸失利益=500万円×50%×13.16332907500

④後遺障害等級10級の場合の具体的な計算事例

次は10級のケースでみてみましょう。

年収700万円、年齢52歳、喪失率27%の場合、同別表Ⅱ−1の対応するライプニッツ係数は、10.38です

逸失利益=700万円×27%×10.3819618200

(4)損害計算シミュレーション

後遺障害等級10級の場合 労働能力喪失率は27%ですから、年収の27%に、受傷時年齢に対応するライプニッツ係数を乗ずるだけで、逸失利益が算出されます。

とても簡単な計算です。

これに、後遺障害慰謝料が(仮に赤本基準とすると)550万円です。

いくつか計算例を示します。                        

年収

喪失率

年齢

係数

逸失利益

慰謝料

合計額

600

27%

30

16.711

2707

550

3257

650

27%

50

11.274

1978

550

2528

700

27%

65

8.863

1675

550

2225

なお、以上は、あくまでも後遺障害等級認定を受けることができたことによって得られる賠償です。

実際の賠償は、これにとどまらず、傷害慰謝料(入通院期間に応じて金額が上下します)や治療費、入通院雑費などの金額が加算されます。

4、適切な後遺障害等級認定の獲得方法

(1)申請手続は被害者請求で

事前認定は、判断資料の提出、選別を保険会社に任せてしまうことになり、被害者本人は、いかなる資料に基づいて等級認定されるのかを知ることができません。

しかも、保険会社は、賠償金を支払う相手方です。

被害者のため、高い等級を獲得するよう活動してくれるわけではありません。

等級認定の申請は、被害者請求で行うことが鉄則です。

(2)適切な後遺障害等級認定を受けるためのポイント

被害者請求で提出する資料(診療記録)の内容を事前に精査することが重要です。

例えば、非常に重視される後遺障害診断書の記載には、細心の注意を払うべきです。

内容に間違いがないかはもとより、自覚症状を全部漏らさずに記載しているかどうか注意して下さい。

単純な記載し忘れというミスもあります。

被害者が遠慮や軽慮から伝え損ねた症状はないでしょうか。

気付いた点は、医師に書き直しを御願いするべきです。

5、弁護士に依頼した方がいい?依頼する場合のメリットとデメリットについて

(1)弁護士に依頼するメリット

後遺障害の問題を取り扱うには、法律知識と医学知識の両方が必要であり、被害者本人だけでは難しい場合もあります。

しかも、相手方である保険会社は、交通事故事件処理の百戦錬磨のプロです。

素人が1人で立ち向かうのでは、最初から勝敗はみえています。相手がプロなら、こちらもプロを雇うべきです。

特に、後遺障害が残ってしまった場合、賠償金が高額となるため、認定される級の問題だけでなく、ベースとなる収入額の認定、過失相殺の認定など、わずかな要素の変化によって、数百万円単位で賠償額が増減します。

専門家に委ねることが賢明といえます。

(2)弁護士費用特約に加入していれば弁護士費用の負担が軽くなる

弁護士を依頼する場合のデメリットは、弁護士費用です。

しかし、後遺障害10級が目標となるケースでは、多くの場合、相当な額の賠償金を得られます。

そこから、弁護士費用をまかなうことは困難ではありません。

むしろ、着手金等の当初の費用は、後払いで受任してくれる弁護士も珍しくありません。

さらに、自動車保険の特約として、弁護士費用特約をつけている場合は、弁護士費用は、300万円まで、保険会社が出してくれます。

300万円であれば、後遺障害10級のように高額な賠償金が予想される案件でも、弁護士の着手金は十分にカバーできます。

(3)弁護士の探し方

昔は、交通事故事件は、弁護士一般にとってポピュラーな案件で、誰でもできるものでした。

しかし、今日では、弁護士業界も専門化が進み、交通事故を専門とする法律事務所も登場しました。

交通事故に強い弁護士を言えるかどうかは、①交通事故事件の経験数、②熱心さ、③所属事務所の受任体制によって判断できます。

まず、弁護士経験年数、交通事故事件の受任件数、交通事故事件にどのような情熱を傾けているのかが肝心です。

弁護士会の交通事故関連の委員会に所属している。

日弁連交通事故相談センターに所属して赤本の製作を担当している。

交通事故事件の法律解説の書籍を執筆しているなどの実績は、とても評価できます。

弁護士会において、弁護士向けに、交通事故事件研修会の講師を担当している先生などエキスパート中のエキスパートと言えます。

また、所属事務所が、大所帯で、複数の弁護士が交通事故専門チームを作っているような場合も、十分に期待できるでしょう。

弁護士の個性は様々ですから、是非、実際に相談し、直接、その実績と人となりを確認して依頼するべきです。

まとめ

後遺障害10級の内容、その賠償額の例などを説明しました。

今は、とても不安でしょうが、後遺障害と認定されれば、ほぼ確実に賠償金を得られます。

今後の生活に備えられるよう祈念しています。

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