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離婚時の財産分与で子供の預貯金はどうする?対象になるケースとならないケース

財産分与で子供名義の預貯金が対象になるのかわからない」とお悩みでしょうか?

離婚時の財産分与では、原則として結婚してから築いた夫婦の財産を半分ずつに分けます。子供名義の財産も、夫婦の財産がもとになっていれば分与の対象です。

もっとも、様々なケースがあり、判断は簡単ではありません。

そこで今回は

  • 子供名義の財産が財産分与の対象になるケース、ならないケース
  • 子供名義の財産を分ける方法
  • 子供がいると財産分与の割合は変わる?

などについて解説します。

この記事が、離婚の財産分与にお悩みの方のための手助けとなれば幸いです。

財産分与の基本について知りたい方はこちらも参考にしてください。

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1、離婚時の財産分与で子供名義の財産はどう扱う?

離婚時の財産分与で子供名義の財産はどう扱う?

財産分与における子供名義の財産の扱いについて、基本的な考えを整理します。

(1)「実質的には夫婦の財産」といえれば対象に

子供名義の預貯金であっても、実質的に夫婦の財産といえる場合には、財産分与の対象になります。
たとえば、収入の一部を子供名義の口座に貯めていた場合です。名義が子供になっていても、夫婦で協力して築いたといえるため、共有財産として財産分与の対象に含まれます。

これに対して、子供の特有財産である場合には財産分与の対象となりません
特有財産とは、夫婦の協力によって築いたわけではない、固有の財産をいいます。たとえば、親族からのお年玉や相続でえた財産等は子供固有の財産といえ、財産分与の対象に含まれません。夫婦の協力によって築かれた財産ではないためです。

このように、夫婦の協力によって形成された共有財産といえるかによって、子供名義の財産の扱いが変わります。

(2)色々なお金が入っている預貯金の扱いは難しい

「夫婦の財産といえるか」という基準があっても、子供名義の預貯金が対象に含まれるかを実際に判断するのは簡単ではありません。様々なお金をまとめてひとつの口座に入れていると、夫婦の共有財産と子供固有の財産を分けるのが難しくなるためです。

このような場合には取引履歴を調べて、

  • 時期
  • 金額

をもとに、いずれの財産にあたるかを切り分けていく必要があります。

次の章を参考にして、実際に財産分与の対象になるかを判断してみてください。

2、子供名義の預貯金が財産分与の対象になるケース、ならないケースを事例ごとに解説

子供名義の預貯金が財産分与の対象になるケース

具体的に子供名義の預貯金が財産分与の対象になるかについて、ケース別に解説します。

(1)夫婦で子供のために貯めたお金

夫婦で子供のために貯めていたお金は、財産分与の対象になると考えられます。預金の原資が夫婦の収入であり、共有財産にあたるためです。将来の学費のために積み立てをしていた場合などがこれにあたります。

(2)出産一時金、児童手当

例えば

  • 出産一時金
  • 児童手当

といった自治体からの給付金は、基本的に対象になります。いずれも子供に直接給付しているのではなく、親への支援として支出されており、夫婦の財産といえるためです。

なお、別居後の児童手当については、子を監護している親に対して支給されるべきものであり、共同財産とはいえないでしょう。そもそも財産分与は別居時を基準とするため、別居後の児童手当は対象には含まれません。

(3)お年玉、入学祝い

子供がもらったお年玉や入学祝いは、対象にならないのが一般的です。親ではなく子供に対する贈与であり、子供固有の財産にあたるためです。

同じ祝い金でも出産祝いについては、夫婦の生活のために渡されるケースが多いといえ、通常は財産分与の対象に含まれると考えられます。

いずれにしても、どのような趣旨で渡されたのかがポイントになります。

(4)お小遣い

お小遣いは子供の財産であり対象となりません。原資が親の収入であっても、子供に管理をまかせるお金として渡されているためです。

(5)子供自身のアルバイト代

子供自身のアルバイト代も対象外です。子供が自分の力で稼いだお金であり、夫婦の財産ではありません。

(6)学資保険は財産分与の対象になる

学資保険については基本的に財産分与の対象になります。学資保険では、子供の教育費とするために親の収入から保険料が支払われており、夫婦の共同財産といえるためです。

ただし、保険料を祖父母が支払っている場合等は、夫婦の財産とはいえず対象になりません。

3、財産分与で子供名義の財産を分ける方法

財産分与で子供名義の財産を分ける方法

子供名義の財産が財産分与の対象になる場合は、実際にどのように分ければよいのでしょうか?

(1)解約して払い戻した現金を分ける

まずは、口座を解約して払い戻した現金を夫婦で分ける方法があります。預貯金であれば問題なく可能です。

学資保険を解約した場合は、支払われた解約返戻金(保険解約の際に返ってくるお金)を分けることになります。

もっとも

  • 支払った保険料に比べて解約返戻金が少なくなる
  • 新たなに学資保険に加入できない

といった不利益を被る可能性があります。よく確認して判断してください。

(2)継続なら相当額を受け渡しする

解約しないのであれば、親権を持つ側が口座管理を継続し、相手に分与するべき現金を用意して渡すことになります。

学資保険を解約せず継続する場合には、必要に応じて親権を持つ側に名義を変更してください。

例えば

  • 相手に保険金を引き出された
  • 勝手に解約された

といったトラブルを防ぐためです。

名義変更について相手の協力が見込めない場合には、学資保険の継続は避けた方がよいでしょう。

4、子供を引き取ると財産分与で多めに受け取れる?

子供を引き取ると財産分与で多めに受け取れる?

子供を引き取る側の親は多めに財産分与を受けることはできるのでしょうか?

子供の存在が財産分与にどのような影響があるのか解説します。

(1)財産分与の割合は基本的には半分ずつ

子供をいずれが引き取るかにかかわらず、財産分与の割合は基本的に1/2ずつになります。財産形成についての夫婦の貢献度は同等とみなされるためです。

子供を引き取ることによる生活費の負担は、養育費によってまかなわれます。子供をいずれが引き取るにしても、財産分与においては基本的に半分ずつに分けるとお考えください。

(2)扶養的財産分与が認められるケースもある

夫婦間の経済格差が大きい場合には、扶養的財産分与が認められるケースもあります。

扶養的財産分与では、経済的に自立できない側に対し、収入のある側が当面の生活費を支払います。妻が専業主婦をしていて特にめぼしい財産もなく、すぐに働くのも難しい一方で、夫には十分な収入があるケースをイメージしてください。

支払い金額は婚姻費用を目安とし、期間は1~3年、最大で5年程度とされることが多いです。これは自立できない妻または夫の生活費であるため、養育費とは別に定めます。

(3)話し合いがまとまれば自由に分けられる

いかなる場合であっても、夫婦間で話し合いがまとまれば、自由に財産分与の割合を決めることができます。「子供を引き取る側が多く受け取るべきだ」とお互いが考えるのであれば、そのようにして構いません。

5、財産分与にお悩みの方は弁護士にご相談を

財産分与にお悩みの方は弁護士にご相談を

財産分与について以下のお悩みを抱えていませんか?

  • 法律がよく理解できない
  • 話し合いがまとまらない
  • 相手を信頼できない
  • 調停があると思うだけでストレスを感じる

お困りであれば、弁護士への相談・依頼を検討してみてください。弁護士に依頼すると以下のメリットがあります。

(1)法的に正しい主張ができる

自分の考えを整理し、法的に正しい主張をすることができます。

  • 弁が立つ相手で、自分だけでは言いくるめられてしまう
  • 感情まかせに主張されて困っている

このような状況であれば、弁護士をつけて法的根拠に基づいて話し合うことで、納得のいく解決へと踏み出しましょう。

(2)財産調査もまかせられる

「相手が財産を隠しているのではないか」と疑っているときには、弁護士に財産の調査を依頼してください。弁護士会を通じた照会により、金融機関に

  • 口座の有無
  • 残高

を問い合わせることが可能です。

調査の結果、もし相手が隠していた財産が明るみになれば、その分だけ財産分与での受取金額の増加が見込めます。

(3)守ってもらえないリスクへの対策も万全

例えば

  • 財産分与に必要な手続をしてくれない
  • 養育費を支払ってくれない

といった離婚後のトラブルはよくあります。

夫婦だけで取り決めをすると、約束を守ってくれなくてもただちに相手の財産を差し押さえて回収することができません。弁護士をつければ、公正証書の作成などのサポートも受けられ、約束が守られないリスクに備えられます。

(4)裁判所での手続になっても安心

裁判所での手続も弁護士がいれば安心です。調停時の発言や、必要な資料の提出などを代わりにしてもらえます。裁判所における手続に自分だけで対応するのはストレスがかかるものです。面倒な部分をまかせてしまえるのも、弁護士に頼むメリットといえます。

まとめ

ここまで、財産分与における子供名義の預貯金の扱いを中心に解説してきました。財産分与の対象になるかはケースバイケースです。他にも財産分与については法律上問題になる点があります。不安や疑問を抱えている方は、ぜひお早めに弁護士にご相談ください。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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