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離婚調停と面会交流調停の併合とは?子どもに会いたい人は必見!

離婚調停と面会交流調停の併合とは?子どもに会いたい人は必見!

離婚調停と面会交流調停を同時に申し立てると、通常は併合されて、同時並行で進められる流れになります。

併合とは、複数の事件を1つにまとめて、同一の期日において同時に処理していく手続きのことを指します。

ただ、離婚調停や面会交流を行う夫婦間では、一方が「早く離婚したい」と考えているのに、もう一方は「早く子どもに会いたい」と考えているなど、お互いの求めるものが異なるということがよくあるものです。

そんなとき、2つの調停が併合されるとどのように進められていくのかは気になるところでしょう。

そこで今回は、

  • 離婚調停と面会交流調停の併合とは
  • 離婚調停と面会交流調停の併合によるメリット・デメリット
  • 離婚調停中に面会交流を実現させるためのポイント

などについて、離婚手続きに精通したベリーベスト法律事務所の弁護士がやさしく解説していきます。

この記事が、離婚調停と面会交流調停が併合されて戸惑っている方の手助けとなれば幸いです。

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1、離婚調停と面会交流調停の併合に関する前提知識|それぞれ何が協議される?

離婚調停と面会交流調停の併合について詳しく解説する前に、まずはそれぞれの調停でどのようなことが話し合われるのか確認しておきましょう。

(1)離婚調停で協議されること

離婚調停では、当然ですが夫婦の離婚に関することが話し合われます。具体的には、離婚するかどうかという点と、離婚する場合には離婚条件全般が話し合いの対象となります。

離婚条件には、以下のようなものがあります。

  • 慰謝料
  • 財産分与
  • 年金分割
  • 親権
  • 養育費
  • 面会交流

離婚調停において話し合われる「面会交流」とは、離婚後の面会交流のことを指します。なぜなら、離婚調停で取り決めることができるのは離婚することと、それを前提とした離婚条件に限られるからです。

もっとも、「離婚前の面会交流」についても事実上、離婚調停の中で話し合われ、面会交流が実現されることはよくあります。しかし、これはあくまでも事実上の計らいに過ぎず、離婚調停で正式に取り決めることが可能なのは「離婚後の面会交流」に限られるのです。

(2)面会交流調停で協議されること

面会交流調停では、非監護親(子どもと離れて暮らす側の親)と子どもとの面会交流に関することに絞って話し合いが行われます。

面会交流調停も、本来的には離婚後の面会交流について話し合うことを想定した手続きといえます。

なぜなら、離婚前は夫婦が協同親権者であるため、通常なら敢えて面会交流について取り決める必要はないからです。

民法でも、離婚後の面会交流については定められていますが(同法第766条1項)、離婚前の面会交流については明文規定がありません。

しかし、離婚前でも夫婦が別居している場合には面会交流について取り決める必要性があるので、家庭裁判所の調停・審判によって取り決めることが可能とされています。

したがって、離婚前でも面会交流調停を申立てることは可能です。

離婚前の面会交流については、上記のとおり、離婚調停の中で話し合うことも可能です。しかし、それは事実上の取り計らいに過ぎないため、必ずしも面会交流を実現できるとは限りません。

相手が離婚についての話し合いを優先させたいと希望する場合には、面会交流について本格的には話し合えない可能性もあります。離婚成立前に今すぐ子どもに会いたい場合は、面会交流調停を申し立て、本格的な話し合いを求めた方がよいといえます。

2、離婚調停と面会交流調停の「併合」とは?

では、離婚調停と面会交流調停の併合とはどのような手続きなのか、併合されるとどうなるのかについて詳しく解説します。

(1)複数の調停を同時に申し立てることも可能

調停の併合が行われるのは、同一の当事者間で、関連する内容の複数の調停が申し立てられた場合です。例えば、離婚調停と面会交流調停の他に、婚姻費用分担請求調停も考えられます。

また、夫婦の一方が離婚調停を申し立てたのに対して、もう一方が「円満調停」を申し立てることもあります。このように、同一の当事者間における関連した問題でも、内容が異なる調停は同時に複数申し立てることも可能です。

しかし、同じ内容の調停を同時に申し立てることは認められていません。例えば、夫婦の一方が離婚調停を申し立てれば、もう一方が対抗して離婚調停を申し立てることはできませんし、同じ人が離婚調停を重ねて申し立てることもできません。

(2)同一の当事者間の関連した調停は同時に開かれる

同一の当事者間の関連した内容の調停は、ほとんどの場合、併合されます。なぜなら、関連した内容は同時に話し合う方が効率がよいからです。

また、別々に話し合うと矛盾する結論が出ることもあり得るため、それを回避する必要もあります。

こうなると手続きに混乱をきたしてしまうため、同一の当事者間の関連した調停は同時並行で進めていくというのが、家庭裁判所の通常の運用となっています。

3、離婚調停と面会交流調停が併合されるケース

離婚調停と面会交流調停が併合されるケースにも、いくつかのパターンがあります。それぞれのパターンについてみていきましょう。

(1)夫婦の一方が離婚調停と面会交流調停を同時に申し立てた場合

1つめのパターンは、同じ人が離婚調停と面会交流調停の両方を申し立てるケースです。

例えば、妻が子どもを連れて別居していて、夫は正式に離婚を望んでいるのに妻が話し合いに応じないような場合が考えられます。このとき、夫が少しでも早く子どもに会いたいと考える場合には、離婚調停だけでなく同時に面会交流調停も申し立てることがあります。

このケースでは、申立人が最初から関連事件として2つの調停を申し立てていますので、併合されることに違和感はないでしょう。

相手方としても、手続きを別々に分けることにメリットはないので、併合しても特に問題は生じないことがほとんどです。

(2)夫婦の一方が離婚調停を、もう一方が面会交流調停を申し立てた場合

2つめのケースは、夫婦の一方が離婚調停を、もう一方が面会交流調停を申し立てるケースです。

例えば、子どもを連れて別居している妻が離婚調停を申し立て、早く子どもに会いたいと願う夫が面会交流調停を申し立てるケースが挙げられます。

この場合、裁判所の管轄の関係で問題が生じることがあります。なぜなら、離婚調停や面会交流調停は、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることとされているからです。

そのため、例えば妻が東京、夫が大阪に住んでいる場合には、妻が大阪の家庭裁判所へ離婚調停を申し立て、夫が東京の家庭裁判所へ面会交流調停を申し立てるということが起こり得ます。

このような場合、併合後にどちらの裁判所で手続きを行うかは、裁判所がケースバイケースで判断して決定することになります。

実務上は、妻が子どもと同居しているなら、妻の住所地の裁判所で調停が行われるケースが多くなっています。

もっとも、調停でも電話会議システムの利用が可能なので、夫も必ずしも毎回、東京の裁判所へ出頭しなければならないとは限りません。

電話会議システムを利用する場合、夫が弁護士に依頼している場合にはその弁護士の事務所で、弁護士に依頼していない場合には最寄りの家庭裁判所に出頭して、そこに設置されている機器を使って電話による話し合いを行うことになります。

4、離婚調停と面会交流調停の併合によるメリット・デメリット

2つの調停が併合されると、具体的にどんなメリットがあるのか、逆に損することはないのか、ということも気になるでしょう。ここでは、離婚調停と面会交流調停の併合によるメリットとデメリットをご紹介します。

(1)1回の期日でまとめて話し合えるのがメリット

最大のメリットは、2つの問題を1回の期日でまとめて話し合えるということです。そのため、2つの調停を効率よく進めることが可能となり、全体として早期に解決することが期待できます。

もし、離婚調停と面会交流調停を別の期日で行った場合、全体が解決するまでに合計5回の期日を要するとしても、併合して同時に進めるとすれば3回の期日で全体が解決する可能性もあります。

その分、当事者が裁判所に出頭する手間も省けることになります。

(2)面会交流が早期に実現しやすいのもメリット

少しでも早く子どもに会いたい親にとっては、離婚前の面会交流が早期に実現しやすいのも併合のメリットといえます。

面会交流調停を申し立てなければ、離婚問題に関する話し合いが優先されてしまい、面会交流がなかなか実現されないというおそれがあります。

面会交流調停を申し立てたとしても、併合されなければ、まず最初に離婚調停の期日が設けられ、その1ヶ月後にようやく面会交流調停の期日が設けられるといった運用も考えられます。

この場合、たとえ面会交流調停が1回で成立したとしても、面会交流の実現が1ヶ月遅れてしまうことになります。

(3)離婚の話し合いが長引きやすくなるのはデメリット

一方、併合のデメリットとしては、離婚の話し合いが長引きやすくなるということが挙げられます。

本来なら離婚の話し合いに集中できるはずの離婚調停において、面会交流調停が併合されると、面会交流について話し合う時間の分だけ、離婚について話し合える時間が減ってしまいます。

そのため、離婚調停だけなら3回の期日で成立が見込まれるケースでも、面会交流調停が併合されることによって4~5回の期日を要してしまう可能性もあります。早く離婚したい当事者にとっては、この点がデメリットになるといえるでしょう。

5、離婚調停中に面会交流を実現させる4つのポイント

離婚調停中に面会交流調停を申し立てる人は、「離婚前の面会交流」を少しでも早く実現させたいとお考えのことでしょう。

ここでは、そのためのポイントを4つご紹介します。

(1)親権の獲得にこだわりすぎない

子どもに会いたいという方は、できることなら面会交流だけでなく親権を獲得したいと考えることでしょう。

その気持ちは当然だと思いますが、調停で面会交流を実現するためには、親権の獲得にこだわりすぎない方が得策です。

親権と面会交流は取引材料ではありませんが、調停は話し合いの手続きですので、譲れるところは譲るという姿勢が大切です。

相手方としても、「親権を譲ってくれるのなら」ということで、面会交流に応じやすくなるものです。

一般的に父親が親権を獲得することは難しいので、親権にこだわるよりも、充実した面会交流を早期に実現させる方が得策となるケースは実際に多いです。

ただ、父親であっても親権の獲得が不可能というわけではありません。あくまでも親権を獲得したいのか、それよりも早期に面会交流を実現させたいのかについて、ご自身の方針を明確に決めておきましょう。

(2)婚姻費用を適切に支払う

次に、面会交流を実現させたいなら、婚姻費用を適切に支払っている方が有利になります。

婚姻費用とは、夫婦と子どもが生活していくために必要となる費用のことです。別居して離婚調停中でも法律上は夫婦なので、婚姻費用を分担して負担する義務があります(民法第752条)。

そこで、収入が高い方から低い方に対して、一定額の生活費を支払うのが一般的です。

婚姻費用の支払いが面会交流の条件となるわけではありませんが、やはり、しっかりと支払った方が相手方としても面会交流に応じやすくなるものです。

婚姻費用には相手方の生活費だけでなく、子どもの生活費や教育費も含まれますので、適切な金額を支払うようにしましょう。

具体的な金額は、裁判所の「婚姻費用算定表」を参照して決めるのが一般的です。

https://www.courts.go.jp/tokyo-f/vc-files/tokyo-f/file/santeihyo.pdf

(3)第三者の立ち会いの下での面会交流を提案する

相手方が面会交流に応じない場合、以下のような不安を抱えていることが多いものです。

  • 子どもを連れ去られるのではないか
  • 子どもを虐待されるのではないか
  • 子どもに自分の悪口を吹き込まれるのではないか
  • 子どもに不適切な行為をされるのではないか

面会交流を実現するためには、これらの相手方の不安を解消することが重要です。

調停の席上で、上記のような行為はしないと誓約しても信用してもらえない場合は、第三者の立ち会いの下での面会交流を提案するのも有効です。立会人としては、相手方本人またはその家族や友人・知人、弁護士などを提案するとよいでしょう。

(4)裁判所内での試行的面会交流を提案する

どうしても相手方が面会交流に応じない場合には、裁判所内での「試行的面会交流」を提案するのもひとつの方法です。

試行的面会交流とは、裁判所調査官の立ち会いの下、試験的に面会交流を実施することをいいます。

通常は家庭裁判所内の部屋で、15分~1時間ほど、非監護親と子どもが会って話をしたり、用意されているおもちゃで遊んだりします。相手方と調停委員は、その様子をマジックミラーで監視するのが一般的です。

試行的面会交流を何度か重ねて、問題がないと判断されると、通常の面会交流が認められる可能性もあります。

6、離婚調停中でも子どもに会いたいときは弁護士に相談を

離婚調停中でも、子どもと離れて暮らしている親は少しでも早く子どもに会いたいと思うことでしょう。

そんなときは、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は、面会交流の実現につながりやすいポイントについてアドバイスをしてくれます。依頼すれば、面会交流調停の申し立て手続きは代行してくれますし、調停にも同席して適切な意見を述べてもらえます。

親権を獲得したい場合も、離婚調停において弁護士のサポートが受けられます。弁護士という力強い味方を得ることで、早期に子どもに会える可能性が飛躍的に高まることでしょう。

まとめ

離婚調停中でも、面会交流調停を申し立てることは可能です。申し立てると2つの調停は併合され、同時並行で進められていきます。

ただ、少しでも早く子どもに会うためには、調停を申し立てるだけではなく、調停における話し合いを適切に進めることが重要です。

ご自身で進め方がよく分からないときや、話し合いが思うように進まない場合は、弁護士のサポートを受けた方がよいでしょう。

弁護士はあなたの味方ですので、気軽に相談してみましょう。

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※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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