B型肝炎訴訟の影響もあり「B型肝炎」という言葉を、多くの方が聞いたことがあると思います。
しかし、B型肝炎ウイルスは性交渉でも感染するのか、どうすれば感染を予防できるのか、配偶者・交際相手やご自身がB型肝炎ウイルスに感染してしまった場合にはどのように対処すればよいか、という詳細なことまでは、あまりご存知ない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、
- B型肝炎ウイルスには性交渉でも感染するのか
- どのように感染を予防するべきなのか
- 配偶者や交際相手、ご自身の感染にどのように対処すればよいのか
などを、こちらの記事では中心に解説していきたいと思います。
B型肝炎ウイルスの感染を予防されたい方、現在、感染しているかどうかを気にされている方は今後の対応の参考にこの記事を読んでいただければ幸いです。
また、B型肝炎の主要な感染経路から予防に役立つ知識について詳しく知りたい方はこちらの関連記事もぜひご参照ください。
目次
1、B型肝炎ウイルスには性交渉で感染する?
B型肝炎ウイルスとは、血液や体液を介して人に感染し、肝細胞に侵入して増殖するウイルスのことをいいます。そして、B型肝炎ウイルスの感染経路は、大きく垂直感染(母子感染)と水平感染の2種類に分けられます。
水平感染としては、以前は、集団予防接種の際の注射器の使いまわし、医療従事者による事故、輸血に伴う感染なども考えられました。
その後、集団予防接種については昭和63年、輸血は昭和47年以降に感染予防対策が取られ、その他医療技術の進歩などにより、現在では
ただ、通常成人が性行為などによって感染した場合には、そのほとんどが一過性感染として治癒することになります。
しかし、近年、特に若年層において性行為によるB型肝炎ウイルス感染者が増加していることに加え、平成8年以降に日本でも検出されるようになった欧米型の遺伝子型であるジェノタイプAeのB型肝炎ウイルスに感染した人のうち、10%程度は持続感染(B型肝炎ウイルスを体内から排除することができないためにウイルスが生涯体内に住みついてしまう状態)することが確認されており、問題視されています。したがって、適切な感染防止策をとらない性行為は、B型肝炎ウイルスや他の性感染症などに感染する危険性がありますので、注意していただく必要があります。
なお、一過性感染や持続感染などのB型肝炎ウイルスの感染の種類については「B型肝炎ウイルスに感染してしまった場合の初期症状と治療法」で詳しく書いていますのでご参考下さい。
2、性交渉で避妊具をつけていればB型肝炎ウイルスには感染しない?
B型肝炎ウイルスは、血液や体液を介して人に感染するウイルスであるため、精液などの体液やその他の分泌物などの中に微量に含まれる血液を介して感染が起こる可能性があります。もちろん、避妊具を着用すれば、性行為によってB型肝炎ウイルスに感染する可能性が低くなるということはできますが、その可能性がないとは言い切れません。
夫婦や恋人間においても、B型肝炎ウイルス感染者の方の配偶者又は交際相手に免疫力がない場合には、性行為によりB型肝炎ウイルスが感染してしまう可能性があります。
なお、夫婦や恋人間において、抱擁をすることや、軽くキスをすることによってB型肝炎ウイルスに感染することはないといわれています。
3、性交渉以外でもB型肝炎ウイルスに感染しないために日常生活で気をつけておくべきことは?
B型肝炎ウイルスは血液を介して感染するウイルスですから、カミソリや歯ブラシなどの血液の付着する可能性のあるものを共用することは避けるべきでしょう。そして、他人の血液に触れる際には、ゴム手袋などをつけていただく必要があります。
性行為の際には、先ほど「2、避妊具をつけていればB型肝炎ウイルスには感染しない?」で述べましたように、避妊具を着用していただく必要があります。
4、もし性交渉などでB型肝炎ウイルスに感染してしまった場合の初期症状と治療方法は?
B型肝炎ウイルスに感染した際に引き起こされる初期症状としては、倦怠感、食欲不振、悪心・嘔吐などがあります。引き続いて、皮膚や眼球の白い部分が黄色くなる黄疸が見られることもあります。
ただし、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれることもあり、自覚症状が現れにくいため、避妊具を使用せずに性行為をしたことやあまり知らない人と性行為をしたことがあれば、まずは、血液検査を受けることをおすすめします。
そして、B型肝炎ウイルスに感染しているものの症状がないと診断された方は、定期検査などをして、経過を観察する必要があります。
既にB型肝炎を発症していると診断された方は、専門医にご相談していただいたうえで、適切な治療を選択していただく必要があるでしょう。
B型肝炎を発症した場合の症状や治療法については「B型慢性肝炎について知っておきたい10のこと」で詳しく説明していますのでご参考下さい。
まとめ
B型肝炎ウイルスの感染経路や感染の予防法について、ご理解いただけましたでしょうか。
今回は、
性交渉でB型肝炎ウイルスに感染するのか。性交渉以外でも日常生活で喜夫付けておくべきこととは。実際に感染した場合の初期症状と治療方法、について解説してきました。
今後の感染を予防するためにこの記事が皆さんのお役に立てていれば幸いです。