過払い金の計算方法とは? 弁護士が分かりやすく解説します!

過払い金を請求する方法は、訴訟を起こすか貸金業者と交渉するかの2つがありますが、その前に自分がいくらの過払い金を取り戻すことができるのかを把握することが重要です。

そこで、今回は、

  • 過払い金を取り戻すための条件
  • 過払い金の計算方法

について解説します。

自分が過払い金の返還請求対象かどうか(過払い金が発生しているかどうか)を知りたい方は、どうぞお気軽に弁護士にご相談ください。

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1、過払い金の計算方法

過払い金とは払いすぎた「利息」のこと。
それを計算するには、「引き直し計算」という計算をしていきます。

引き直し計算とは何かというと、

実際に支払った利息 ―  (法律上)支払うべき利息

という引き算です。

もっとも、そもそもなぜ、実際に支払った利息と支払うべき利息の額がズレたのか。
この辺の「過払い金が発生した仕組み」については、図表を使ってわかりやすく解説したこちらの記事をご覧ください。

2、どのような場合に高額の過払い金を獲得できる?

以下の傾向があると高額の過払い金が出やすい傾向にあります。チェックしてみましょう。

(1)取引期間(借金していた期間)が長い

同じカードローンを10年以上使っていた、などの場合には高額の過払い金が見込める可能性があります。

(2)取引金額(借金金額)が大きい

借入金額が数十万円の状態で取引を続けているより、100万円以上で取引を継続している人の方が、高額の過払い金が見込めます。

(3)利息が大きい

多くの消費者金融は29.2%という利息で貸付けをしていました。支払うべき利息の利率は15%〜20%ですから(借入金額によって異なります)、29.2%ならかなりの過払い金が見込めます。
万が一、この利息より高い利息で取引していたのであれば、さらに高額の過払い金の獲得も見込めます。

3、引き直し計算は複雑で大変

引き直し計算をするには、

  • 実際に支払った利息
  • 支払うべき利息

の両方の額を計算することになります。

さらに、それらを計算するためには、

  • 借入額
  • 契約上の利率
  • 返済額(分割なら各回分も)
  • 遅延履歴

などの情報が必要です。

そして、情報が取れたら、いざ計算が必要です。

このように、引き直し計算は、一筋縄でできるものではありません。

  • 借金が複数回にわたる

というようなケースでは、頭は混乱するばかり!

4、しかし簡単にできるツールがある!過払い金の金額を自分で計算できる

(1)過払い金のおおよその金額を計算する方法

まずは、1分でできる「過払い金額簡単チェック」をご紹介します。
どのくらいの過払い金をもらえるのか、おおよその目安をつけることができます。
このツールでは、細かい情報は一切不要。

  • 借入金額
  • 取引期間

この2点だけわかればOK!

下記URLをクリックして、

  • 借入金額
  • 取引期間

をそれぞれ入力してみて下さい。

簡易過払い金計算ソフトはこちら

※あくまで簡易な計算による目安なので実際の過払い金の額と大きく異なることがあることをご了承下さい。

(2)もっと正確に過払い金を計算する方法

正確な数字を計算するには、「過払い金計算ソフト」を使って計算しましょう。
このサイトでも、過払い金計算ソフトを無料でダウンロードすることができます。

過払い金計算ソフトはこちら

では、次項にて、過払い金計算ソフトの具体的な使い方を見ていきます。
こちらを見ながら、ご自宅で計算してみてください。

5、過払い金計算ソフトの使い方

では、実際に過払い金計算ソフトを使って、正確な金額を求めていきましょう。

(1)用意すべきもの

過払い金を本格的に計算するにあたって準備すべきものは以下の通りです。

  • Excelソフトを使えるパソコン
  • 過払い金計算ソフト
  • 取引履歴

(2)「取引履歴」ってなに?

「取引履歴」とは、「2」で記載したような

  • 借入額
  • 契約上の利率
  • 返済額(分割なら各回分も)
  • 遅延履歴

などの情報のことです。いわゆる借金の履歴です。

取引履歴は、消費者金融などの貸金業者に電話や郵便、FAXで要求することにより取り寄せることができます。
「貸金業者に取引履歴を請求したら脅かされるんじゃないの?」ということを気にされる方がいらっしゃいますが、そのようなことは全くないのでご安心下さい。

最高裁判所の判例で「貸金業者は債務者の取引履歴開示請求に応じる義務があり、拒否すれば損害賠償の対象になる」とされているので、貸金業者は取引履歴を請求されたら開示しなければなりません。

なお、貸金業者の連絡先は下記より連絡先一覧をダウンロードして頂くことができます。

貸金業者の連絡先一覧のダウンロードはこちら

また、電話ではなくFAXや郵送で取引履歴を請求される場合には、書面の雛形は下記よりダウンロードできます。

取引履歴開示請求書のダウンロードはこちら

電話で取引履歴を請求したり、FAXや郵送で取引履歴開示請求書を送って、2週間〜数ヶ月で取引履歴があなたの手元に届くでしょう。

(3)いよいよ引き直し計算

取引履歴が手元に揃ったら、いよいよ引き直し計算です。
入力方法は色々ありますが、まずはオーソドックスに、以下の手順で進めていくとよいでしょう。

①まずは取引履歴を見て以下の内容を確認します。

下記画像の事例であれば、平成14年10月29日が最初の取引日で、53万円の借入れをしていることを確認します。

最初の取引日 →下記画像の赤字で囲った部分

最初の取引日の取引金額(いくら借入れたか?) →下記画像の青地で囲った部分

②取引(借入れか返済)があった日付の入力

赤いラインで囲った部分に入力して下さい。
こちらの事例では初回取引日が平成14年10月29日なので、「H14.10.29」と入力します。

③当該取引日の取引金額(借入れ金額、返済金額)の入力

借入れの場合は赤いラインで囲った部分に入力して下さい。
一方、返済の場合には青いラインで囲った部分に入力して下さい。
こちらの事例では初回に53万円の借入をしているので、赤で囲まれた部分に「530,000」と入力します。

④当該取引日の時点での利率(法定利息)の入力

法定利息は借入残高により変わりますが以下の通りです。

借入残高が10万円未満20%
借入残高が10万円以上100万円未満18%
借入残高が100万円以上15%

なお、一旦利息が下がるとその利息がずっと維持されます。
つまり、一度借入金額が100万円以上になった場合には、その後返済を繰り返すことによって借入金額が100万円未満になっても利息は18%にはならず、15%のまま維持されます。

上記を踏まえて、適切な利率を赤いラインで囲った部分に入力して下さい。

⑤以後、次の取引日について、①〜④の流れで進めてこれを繰り返していく

その後は、古い取引日から一つずつ①〜④の流れで入力していくことになります。

(4)全ての取引について入力が終了したら?

全ての取引を入力した段階で、残元金がマイナスになっているか確認しましょう。
マイナスになっていれば過払い金が発生しています。
その上で、計算をした日付の、「残元金」と「過払利息残額」を加えたもの(いずれもマイナスになっていると思いますが、その合計が過払い金となります)がご自身の過払い金額となります。

6、過払い金があるのに請求しないと請求できなくなる?時効と時効を止める方法

ご自身で計算されてみていかがでしたか。
残元金がマイナスになっていましたか。

その場合には、過払い金があるということです。

ですが、これで安心して請求するのはまたの機会でいいや!とお考えの方いらっしゃいませんか。
もし、請求するのは後でいいやとお考えになって請求しないでいると、「時効」という制度によって、せっかくの過払い金を貸金業者に請求できなくなってしまう場合があります。

(1)消滅時効

どういうことかというと、法律の規定によって、最終取引日から10年が経ってしまうと、仮に過払い金があったとしても過払い金が消滅してしまうのです。

この場合、金額の多寡は関係ありません。
発生していた過払い金の全てが請求できなくなってしまうのです。

ですので、ご自身の取引履歴をきちんと見て頂き、最終取引日が10年経っていないかどうかをしっかり確認して下さい。

なお、過払い金の請求期限について詳しく説明した記事がありますので、ご興味があればこちらもご参考下さい。

(2)消滅時効を止める方法

では、もしご自身の取引履歴を見て、最終取引日からもうすぐ10年という場合にはどうしたらいいでしょうか。

先程も説明しましたように、10年経ってしまった場合には、時効によって過払い金は請求できなくなってしまいます。
ですので、何としてでも時効で過払い金が無くならないようにしたいものです。

そのような場合には、いち早く裁判を起こして請求する方法があります。
ですが、そんなにすぐに訴訟を起こすのは難しいでしょう。
ですので、もし、すぐに裁判を起こすのが難しいようであれば、まずは内容証明郵便等を貸金業者に送付して過払い金請求をする意思表示をしておきましょう(このことを法律上「催告」と言います。)。
催告をすることで、時効が完成するのが6ヶ月先延ばしになります。

ただ、この催告は、時効の期間が6ヶ月先延ばしになるだけですので、この6ヶ月以内に実際に裁判等を起こす必要があります。
もし、ただ単に催告をしただけでは、結局、時効によって過払い金は請求できなくなってしまいます。

なお、消滅時効を止める方法については、「過払い金返還請求する権利の消滅時効期間と時効を止める方法」でも説明していますので、もしよろしければこちらもお読み下さい。

7、これらの手続き、誰かにお願いできないの?できます!

以上から、過払い金を返還請求するには、請求の前に、次の作業が必要となることがお分かりいただけたでしょうか。

  • 自分はいつから借金をしているのかを知る(基本的に、過払い金は2010年6月以降の借金では発生しません)
  • 過払い金を計算するために取引履歴を取り寄せる
  • 過払い金を計算する
  • 時効にかかっている取引はないか確認する

また、請求においても、内容証明郵便を使って請求していくことが大切です。

そのため、

  • 取引先(借入先)が1社ではない
  • 借金が多額
  • 繰り返し借金をしている

という場合は特に、正確な過払い金額を求めることは大変な苦労と推察されます。
こんなとき誰に相談すればいいの?と思われた方、そんなときはぜひ、弁護士にご相談ください。
弁護士に依頼すれば、すべてを一任。スムースに手続きを進めてくれます。

また、弁護士費用は、発生した過払い金の中から支払うことができますので、ご心配に及びません。

ずっと借金生活だった、という方にも、ぜひ知っていただきたい「過払い金返還請求」。
貸金業者が法律以上に利息を受け取っていたのですから、返してもらわない手はありません。

まとめ

今回は、過払い金の計算方法について書いていきました。

今は、引き直し計算を自動で計算してくれるツールが出ています。
そのため、ご自身でも比較的簡単に過払い金の金額を算出することが可能です。

本記事に記載した詳細な方法を元に、ぜひ計算されて見てください。

もしも、その作業を誰かに頼みたい!と思われたら、迷わず弁護士にご相談ください。
まずは無料相談をお勧めいたします。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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