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「再逮捕」について知っておきたい9つの重要なポイント

「再逮捕」について 知っておきたい9つの重要なポイント

「再逮捕」という一般的に使用される表現と、法律上の「再逮捕」は異なる意味を持っています。この点については一般的にはあまり知られていないかもしれません。

そこで今回は、

  • 再逮捕が行われるケースとは
  • 再逮捕時の勾留期間について

弁護士が詳しくご説明します。

弁護士相談に不安がある方!こちらをご覧ください。

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1、再逮捕とは?

まずは、そもそも再逮捕とは何かについて説明していきます。

(1)法律上の「再逮捕」と一般的な用法としての「再逮捕」

よくニュース等では、「○○容疑者が○○罪で再逮捕されました」などと報道されることがあります。

これは、おそらく、「再逮捕」を、いったん捜査機関に逮捕された者が、逮捕の理由となっている犯罪事実とは別の犯罪事実について再度逮捕される、という意味で使っていると思います。

本来、刑事訴訟法上、「再逮捕」とは、いったんある犯罪事実で逮捕をしたが、逮捕手続等に何らかの違法があった場合に、いったん釈放後、再度逮捕することをいいます。

つまり、「同じ犯罪事実で再度逮捕すること」が、法律上の「再逮捕」です。

従って、別の犯罪事実で逮捕することは、単なる2度目の逮捕なのですが、ここでは、一般的な用法に従い、この場合を再逮捕として、説明をしたいと思います。

(2)1つの犯罪事実による逮捕は原則として1回限りであること

現行の刑事訴訟法においては、同じ犯罪事実で逮捕できるのは原則として1回までとされています。

現行の刑事訴訟法においては、ある者が逮捕された場合、48時間以内に警察が検察官に送致(送検)しなければならず、送致を受けた検察官は、24時間以内に勾留請求を行うかどうかを決定しなければならないとされています。

そして、検察官の勾留請求に対して裁判所が勾留を認めた場合、最大20日間しか身柄拘束が認められないとされています。

そのため、捜査機関が、一つの犯罪事実について、身柄拘束をすることができるのは最大23日間(48時間+24時間+20日間)までとされています。

にもかかわらず、一つの犯罪事実で何度も逮捕ができることになると、この期間制限をしたことが無意味になることから、同じ犯罪事実で捜査機関が逮捕をすることができるのは1回までとされているのです(なお、検察官が起訴をした場合、起訴後、裁判のために身柄を拘束されるのは、起訴後勾留といって、この期間の制限を受けません。あくまで、捜査機関が取り調べのために身柄拘束できるのが最大23日間ということになります)。

ただ、ある犯罪で逮捕された者が、それとは別の犯罪を行ったことが判明した場合、その別の犯罪事実を理由に逮捕をすることは可能です。

このような2回目の逮捕が、一般的に再逮捕と呼ばれています。

2、どのような場合に再逮捕されるのか

次は具体的にどのような場合に再逮捕されるのかについて説明していきます。

(1)余罪が判明した場合

再逮捕されるパターンの一つとして余罪が判明した場合があげられます。

例えば、ある者が空き巣(窃盗罪)の疑いで逮捕されている場合に、取り調べの中で、別の空き巣(窃盗罪)が発覚した際に、その逮捕されていない方の窃盗罪で逮捕される場合です。

オレオレ詐欺のように被害者が多数いる場合も、被害者毎に詐欺罪が立件されるため、再逮捕される可能性が高いケースの一つです。

また、薬物犯罪の場合も、まず所持罪で逮捕された後、尿検査等によって使用も発覚する場合が多く、所持罪で逮捕された後に使用罪で再逮捕されることがあります。

(2)重大犯罪の場合

殺人のように重大な犯罪で取り調べに一定期間が必要と捜査機関が判断した場合、まず、死体遺棄罪で逮捕し、それによる身柄拘束期間が終了するのと同時に、殺人罪で再逮捕するといった場合があります。

(3)いわゆる別件逮捕の場合

いわゆる別件逮捕も再逮捕のされるケースの一つです。

別件逮捕とは、ある犯罪の嫌疑(容疑)がかかっている被疑者(容疑者)に対し、その犯罪事実で逮捕できるだけの証拠がそろっていない場合に、別の軽微な犯罪事実でいったん逮捕し、その逮捕による身柄拘束期間を利用して、証拠の足りていない方の犯罪に関する取り調べを行い、それをもとに証拠を収集して、軽微な犯罪による勾留期間が満了する前に、本来逮捕したかった犯罪事実で再逮捕することをいいます。

ただ、本来、逮捕・勾留期間中の取り調べは、逮捕・勾留の理由となっている犯罪事実に限られるため、軽微な犯罪で逮捕しておいて、本当に取り調べたい重要な犯罪の取り調べを行うことは違法と考えられています。

ですから、いわゆる別件逮捕は、刑事訴訟法上違法と考えられているのですが、捜査の現場においては、このような形による逮捕・再逮捕が行われているのが現実です。

3、再逮捕された場合の勾留期間

再逮捕された場合、再逮捕されてから最大23日間、身柄拘束期間が延長されることになります。

例えば、A罪で逮捕されて23日後にB罪で再逮捕された場合、さらに23日間身柄拘束を受けることになります。

通常、再逮捕は、当初の逮捕・勾留の期間が満了した時点で行われますが、当初の逮捕・勾留の期間中に行われることもあります。

例えば、A罪で逮捕されて13日後にB罪で再逮捕された場合、通算の逮捕・勾留期間は36日間(13日+23日)ということになります。

4、再逮捕される場合の流れ

再逮捕される場合、既に身柄拘束を受けているので、あらためて連行されるということはありません。

ただ、

  • 逮捕に伴って行われる指紋の採取や顔写真の撮影などは再度行われますし、
  • 逮捕後に逮捕の理由となっている犯罪事実について、弁解を述べる機会(弁解録取といいます)も再度与えられます

なお、A罪で逮捕・勾留され、その勾留期間満了後に再逮捕される場合、いったんA罪については形式的に釈放という手続きをとったうえで、B罪で再逮捕されるという流れになります(ただ、釈放されるといっても、いったん家に帰される、ということはありません)。

5、再逮捕は何回までできるのか

1つの犯罪事実について1回だけの逮捕・勾留が認められていることから、犯罪事実が複数ある場合は、その分だけ再逮捕をされる可能性があります。

極端な例をいうと、20件空き巣に入っている場合、20回逮捕することも可能です。

しかし、現実的には、20件全てを起訴するということは考えにくく、主な数件を起訴して、あとは余罪として量刑で考慮するというのが一般的な裁判の流れです。

ただ、否認をしているような場合、捜査機関が自白をとろうとして長期間身柄拘束を行うこともあり得ますし、前記のように、20件あれば20回逮捕することも理論的には可能なので、注意が必要です。

6、再逮捕された場合に保釈は認められるか

逮捕・勾留された場合、勾留期間が満了するまでの間に、検察官が起訴するかどうかを決めます。

起訴された場合、裁判(公判)が終了するまで身柄拘束が継続します。

これを起訴後勾留といいます。

起訴前の勾留との違いは、警察や検査等の捜査機関による取り調べが行われない点にあります。

また、起訴前勾留は警察署内の留置所である場合が多いのに対し、起訴後勾留は拘置所に移される場合が多いといえます。

捜査のための逮捕・勾留から起訴後勾留になると、保釈請求を行うことができるようになります。

ただ、A罪で逮捕・勾留された後、B罪で再逮捕された場合、A罪では形式的に釈放されている場合が多いことから、B罪について保釈請求をすることになります。

保釈が認められるかどうかは、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがあるかどうか等の観点から判断されますが、それは身柄拘束の原因となっている犯罪事実に基づいて判断されるため、再逮捕された犯罪事実に関して判断されるということになります。

7、再逮捕が違法となる場合

一つの犯罪事実について、逮捕・勾留は1回限りというのが現行法の原則です。

ですから、仮に、空き巣を行った場合で、住居侵入罪と窃盗罪が成立する場合であっても、まず、住居侵入罪で逮捕・勾留し、その後、窃盗罪で逮捕・勾留することは違法な再逮捕として許されません。

また、当初は強盗罪で逮捕・勾留していたものの、取り調べの中で窃盗罪しか成立しないということになっても、あらためて窃盗罪で再逮捕することはできません。

さらに、そもそも逮捕をするには、犯罪が行われたという嫌疑だけでは不十分で、その者が逃亡するおそれや罪証隠滅(証拠を隠したり、捨ててしまったりすること)のおそれがある場合に限られています。

ですから、このようなおそれがない場合に、ただ身柄拘束して取り調べをすることを目的に逮捕をするのは違法であると考えられています。

ただ、実際には、軽微な事案で、逃亡するおそれや罪証隠滅のおそれがほとんどないにもかかわらず逮捕されてしまうことも少なくありません。

ですから、刑事事件のプロである弁護士に、そもそも逮捕が許される場合なのかどうかを、被疑者の側に立って検討してもらうことも大切です。

8、再逮捕されそうになったときの対処法

既に逮捕状が発布されている場合には、逮捕を免れることはできませんから、逮捕後すぐに弁護士と面会をして対処法を相談することが重要です。

逮捕されると、すぐに捜査機関が取り調べをして調書を取ろうとします。

特に、証拠が少ないような事案については、まず被疑者の自白を取ろうとする傾向があり、被疑者が弁護士と面会する前に少しでも供述を取ろうとすることが少なくありません。

ただ、被疑者には黙秘権が認められており、何もしゃべらないことで不利益になることはありません

ですから、まず弁護士と面会するまでは何も話さない(供述調書にサインしない)というのも有効な方法です。

また、逮捕状が実際に発布されていない場合でも、捜査官から、「自白しないと再逮捕する」とか「自白すれば再逮捕しない」「自白すれば起訴しない」などと持ちかけられ、身柄拘束を長引かせたくないなら自白するよう迫られる場合もありますが、そもそも、逮捕するかどうか、起訴するかどうかを決定する権限が一捜査官にあることは滅多にありません。

ですから、このような利益誘導を受けた場合は、その旨をきちんとメモしておき、弁護士に報告して対応してもらうことが必要です。

9、再逮捕に関する相談先

逮捕や、再逮捕は、刑事事件に関する手続きです。

刑事事件に関するご相談は弁護士以外には認められていないので、何か不明な点があったり、不安な点があったりする場合は弁護士に相談されることをお勧めします

逮捕された場合、早い段階で当番弁護士もしくは被疑者国選弁護人と面会ができると思います。

その際に、きちんとその弁護士の氏名や連絡先を控えておき、弁護士に相談をしたいことが発生した場合は、警察官や留置所・拘置所の職員に申し出て、弁護士に連絡してもらうようにしましょう。

また、管内に事務所のある弁護士の名簿を見せてもらうことも可能です。

刑事事件で身柄拘束を受けていると、捜査機関側の人間としか接することがなくなるので、非常に不安だと思います。

ただ、そのような精神状態のなかにあると、不利益な供述調書を作成されてしまう可能性が高いので、自分の側にたって考えてくれる弁護士に常に相談をしながら捜査官に対応することが重要です。

まとめ

再逮捕は、それによって身柄拘束期間が延びてしまうことから被疑者にとっては非常に不利益な手続きです。

といっても、再逮捕が別件逮捕の目的で利用されたり、何度も逮捕が繰りえされたりするような場合は、これを違法な再逮捕として争うこともできますし、弁護士がついていることで、捜査機関が再逮捕をためらう場面もあると思います。

また、捜査官が、自白を迫るために、犯行を認めないと再逮捕するなどと言ってくる場合もあります。

ただ、捜査官の言っていることが本当に正しいのかどうか、身柄拘束を受けた状態ではなかなか判断することもできないと思いますので、逮捕や再逮捕に関して疑問がある場合は、速やかに弁護士に相談されることをおすすめします。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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