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退職代行の利用がトラブルになるケース〜すぐに楽に会社を辞める方法

退職代行の利用がトラブルになるケース〜すぐに楽に会社を辞める方法

社内の環境など様々な圧力によって自分で退職を言い出せないという方のために、代わりに退職の意向を会社へ伝える「退職代行」というサービスが近年増えてきています。

退職代行を利用すればストレスなく楽に仕事を辞められると考える方も多いかもしれません。しかし、実際には退職代行を利用してトラブルになってしまうケースも多発しています。

そこで今回は、

  • 退職代行の利用で起こり得るトラブル
  • トラブルを避けるためのポイント

などについてご紹介します。
併せてトラブルがあっても会社を楽に辞める方法もご紹介しているので参考にしてください。

退職代行については以下の関連記事をご覧ください。

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1、退職代行の利用がトラブルになり得る9つのケースを事例で紹介

退職代行は、退職できない人の希望を叶えてくれるサービスです。たとえば、辞めさせてくれない会社に本人の代わりに退職の意思を伝えてくれます。そのため、自分で退職を言い出せない場合には退職代行の利用を考える方も多いでしょう。

しかし、退職代行の利用によってさまざまなトラブルも起こっています。
退職代行の利用で起こることの多いトラブルには具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

(1)退職代行業者のサービス金額が高額すぎるケース

退職代行業者のサービス金額は、業者ごとに異なります。そのため、1万円以下など格安の料金を謳っているような業者もあります。

しかし、格安料金を謳っていても、最終的にはオプションなどがつけられて高額な支払いになってしまうというケースも少なくありません。

また、退職代行業者のサービス金額の相場は3~5万円と言われていますが、サービス内容がただ退職を伝えるだけのものだと考えれば高額です。それに加えてトラブルが起こるリスクもあるため、料金に見合った対価が得られない可能性があります。

(2)退職代行の利用により有給消化や既定の給料の支払いを拒否される

退職代行を利用したことにより、会社側が

  • 有給消化
  • 既定の給料の支払い

を拒否するというトラブルが起こることがあります。

有給の取得は労働基準法第39条に規定された労働者の権利であり、退職代行を利用したという理由で拒否することはできません。

また、既定の給料を支払わないということも労働基準法違反になります(労働基準法第24条)。

こうしたトラブルは退職代行側でも対処してもらうことができますが、退職代行側が会社の言い分を依頼者に伝えないまま退職完了してしまい、結局本人が対処することになってしまうようなケースもあります。

(3)退職代行の利用により懲戒解雇扱いにされる

懲戒解雇とは、会社から労働者に与えられる最も重い懲戒処分です。

原則的に懲戒解雇は、

  • 「社内の秩序を著しく乱した場合」
  • 「会社へ不利益を与えた場合」

に与えられる罰則であり、

  • 刑事犯罪
  • ハラスメント
  • 業務命令違反

など重大な問題が起こった時にしか認められないものです。そのため、退職代行を利用したという理由で懲戒解雇扱いにすることはできません。

しかし、企業側が退職代行を利用した労働者を良く思わないため、懲戒解雇扱いにしてしまうようなことがあります。

懲戒解雇扱いになってしまうと、

  • 退職金の不支給
  • 失業保険の給付日数が少なくなること
  • 転職時に不利益になること

などデメリットが多いです。

(4)退職代行の利用により退職後に必要書類をもらえない

退職をすれば、会社から離職票など退職に伴う書類が送られてきます。

  • 離職票
  • 雇用保険被保険者証

は失業保険の手続きに必要な書類です。

しかし、退職代行を利用して退職に成功したとしても、その後会社からこうした書類を送ってもらえないようなケースもあります。そうすると、退職はできたものの、結局は自分で会社へ問い合わせを行う必要が出てきてしまいます。

たとえ退職することに成功できたとしても、退職後の書類をもらえなければ労働者としては不利益を被ることになってしまうのです。

(5)退職までの期間にパワハラなどの嫌がらせを受ける可能性

雇用契約が期間の定めがないものである場合、法律では、退職を通知してから2週間が経過すれば雇用契約は終了すると規定されています(民法第627条1項)。退職代行が退職を通知した後に有給があれば、最終出勤日以降を有給消化することができますが、消化できる有給がなければ出勤が必要になります。

その場合、退職代行を利用したことを知った上司がパワハラによる嫌がらせ行為をする可能性があります。もし有給消化をして出勤しない場合でも、わざわざ家まで押しかけてくるような迷惑行為をする上司も稀にいるため注意が必要です。

(6)非弁行為を行う違法業者に依頼してしまった

退職代行を利用して最も多いトラブルは、非弁行為を行う違法業者に依頼してしまったというケースです。

非弁行為とは、法律事務は弁護士以外の者は取り扱ってはいけないという弁護士法に違反する行為です(弁護士法第72条)。
退職代行業者が弁護士資格を持っていないにも関わらず、会社と退職に関する交渉を行えば非弁行為に該当します。

そして、非弁行為が発覚すれば業者は罰則を受けることになり、退職に関する交渉などは白紙に戻されてしまう可能性があります。

退職代行業者を利用する場合には最低限、業者に顧問弁護士がついているかなど確認しましょう。

(7)そもそも会社が退職代行業者を相手にしない

退職代行業者が退職の旨を伝えても、会社側が取り合ってくれないようなケースも稀にあります。退職代行業者は弁護士資格がないため、合法性の判断が難しいと考えて退職代行業者との対話に応じないような企業があるからです。

実際には退職の意向を会社側に伝えるだけであれば退職代行業者でも合法ですが、弁護士ではない退職代行業者が会社と交渉などを行えば違法になります。

(8)交渉が必要な時に業者が対応しない

退職の際に、

  • 退職の条件
  • 未払の残業代請求
  • 有給取得

などについて交渉が必要なケースもあるでしょう。

こうした交渉は法律事務になるため、弁護士資格がなければ行うことはできません。つまり、原則として退職代行業者には対応できないのです。
そのため、交渉が必要な時に業者へ対応してもらえず、結局は自分で交渉が必要になってしまいます。

(9)会社から損害賠償を請求される

退職代行を利用して突然退職をした場合、会社から損害賠償を請求されるようなケースも稀にあります。

突然退職されたことで人手が足りなくなって会社に損害が出た、などという理由で損害賠償請求が行われることがありますが、こうした損害賠償にも退職代行業者は対応することができません。

こうした請求が行われることは少ないですが、企業側が嫌がらせなどで理不尽な請求を行う可能性が絶対にないとは言い切れません。

2、なぜ退職代行の利用時にトラブルが起きてしまうのか

退職代行を利用した際に起こり得るトラブルの事例を紹介しましたが、そもそもなぜ退職代行を利用することでトラブルが起こってしまうのでしょうか?

トラブルが起こる根本の原因には次の3つが挙げられます。

(1)会社に問題がある

たとえば

  • 会社側に退職代行への理解がない
  • 従業員を人ではなく労働力としてしか見ていない
  • 突然退職されたことを良く思わずに感情的に対処してしまう

などのケースでトラブルが起こりやすいです。

会社が不当な理由で適切な対処をしないような場合には、弁護士に相談して法的な解決を目指すべきでしょう。

(2)退職代行の業務が非弁行為に該当する可能性が高いため

退職代行の利用時に多いトラブルでもご紹介したように、退職代行の業者は法律事務を行うことができません。

弁護士事務所と連携をとって行っているようなケースであれば問題ありませんが、弁護士資格のない退職代行業者が交渉などの法律事務を行えば非弁行為に該当します。

そのため、

  • 十分な対応をしてもらえないこと
  • 法律の知識なく対応すること

でトラブルが大きくなるような可能性があります。

(3)本人の行動に問題があった

ご自身が

  • 会社との金銭トラブルを抱えている場合
  • 会社の就業規則などに違反している場合

には、退職時にトラブルが起こりやすいです。

退職代行は依頼主側からの話しか聞くことができず、退職の連絡を会社側へ行った際にトラブルが発覚する場合があります。そうすれば、退職代行業者はトラブルに対応できないため、

  • 退職代行の失敗
  • 更なるトラブル

に発展する恐れがあります。

3、退職代行を利用してもトラブルを避けるためのポイント

退職代行を利用する際には、トラブルが起こらないようにするために業者選びの際に慎重になるべきです。

退職代行でトラブルを避けるために、業者選びでは次のポイントを確認するようにしましょう。

(1)運営元を確認する

退職代行の運営元は、大きく分けると

  • 「弁護士」
  • 「労働組合」
  • 「民間企業」

の3種類があります。

トラブルを避けるために、退職代行業者の運営元を確認しましょう。

弁護士や労働組合であれば退職時の交渉を会社と行うことができ、弁護士であればトラブルが起きた場合、どんな組織よりも適切な対処が期待できます。

民間企業は費用を抑えることができますが、

  • 会社との法律問題の交渉
  • 裁判

に対応できないというデメリットがあるので注意が必要です。

(2)どこまで対応してくれるのか確認する

退職代行といっても業者ごとに対応してもらえる範囲は異なります。

ただ単に退職の意向を伝えるだけの場合もありますが、退職に伴い

  • 退職金の計算
  • 未払の残業代の請求
  • 有給消化

などについて交渉が必要なケースもあります。

こうした交渉は労働組合や弁護士であれば可能ですが、民間企業の業者は対応することができません。そのため、どこまで対応してもらえるのか確認してから依頼をするようにしましょう。

(3)費用が適正か確認する

退職代行に依頼する前に、複数の業者の費用を比較するようにしましょう。

安すぎる値段設定の場合、後から追加料金を請求されるようなケースもあるので注意が必要です。依頼前には見積もりを出してもらい、オプションなどの追加請求が行われることはないのか業者にしっかりと確認しておくべきでしょう。

(4)民間企業の場合は顧問弁護士がいるのか確認する

民間企業の退職代行を利用する際には顧問弁護士の有無は最低限確認しておくべきです。顧問弁護士がいれば、非弁行為についても検討しながら対応していると考えられます。

しかし、顧問弁護士のアドバイスを業者側が守っているとは限らないため、顧問弁護士がついていても安心とは言い切れないでしょう。

(5)会社と金銭面でもめている場合は解決しておく

会社から給料の前借りをしているなど、金銭面でトラブルがあるという場合には退職代行を利用する前に解決しておくことをおすすめします。

金銭トラブルを抱えた状態で退職代行を利用してしまうと、会社側から訴えられてしまうなどトラブルがさらに大きく発展してしまう恐れがあるからです。

4、そもそも退職代行の利用が難しい人

退職代行を利用したいと考えても、そもそも退職代行のサービスを利用することが難しいような人もいます。

どういった場合に退職代行の利用が難しいのか見ていきましょう。

(1)有期雇用契約の社員

有期雇用契約の場合、やむを得ない事由がなければ期間途中に退職できないことが法律で定められています(民法第628条)。有期雇用契約の場合、無期雇用契約の社員とは異なって契約期間が定められているため、契約期間を満了しない限り退職することは難しいでしょう。

ただし、①やむを得ない事由があるときは期間途中でも退職することができますし、②雇用期間が5年を超え又は終期が不確定である場合に雇用期間が5年を経過した後、退職を申し出ることができます(民法第626条1項)。

(2)公務員

公務員は民間企業の社員とは異なり、

  • 自治体

が退職の処理を行います。そのため、退職代行などの第三者からの退職通知は受け入れてもらえない可能性があります。

とくに自衛官などは退職代行を利用した退職は難しいと言えます。

(3)職場との金銭的トラブルを抱えている人

会社で金銭的なトラブルがある状態で退職代行を利用する場合、トラブルに繋がりやすいため、退職代行の業者側から依頼を断られてしまうケースがあります。

具体的には

  • 職場にお金を借りている場合
  • 会社のお金を横領している場合

などが挙げられます。

退職代行を利用したい場合には、金銭的トラブルを解決してから依頼することをおすすめします。金銭トラブルの解決が難しい場合には、弁護士に相談してみましょう。

5、退職など労働に関する悩みは退職代行業者ではなく弁護士に相談すべき

退職をはじめとした労働に関する悩みは、退職代行業者ではなく弁護士に相談することもできます。

弁護士に相談すれば退職の交渉を任せることができるだけではなく、労働に関するさまざまな法的トラブルについて、包括的に対処してもらうことが可能です。

(1)退職に伴う手続きを全て任せられる

弁護士に依頼すれば、退職に伴う全ての手続きを任せられるというメリットがあります。

弁護士は代理人として、会社と

  • 健康保険
  • 年金
  • 雇用保険

などのやりとりをあなたの代わりに行います。

また未消化の有給休暇が残っている場合に、それを念頭に入れ、有給休暇消化の完了後に退職日を決定することを交渉することもできます。

また、会社に退職が認めてもらえないという場合には、弁護士の名義で内容証明郵便を送付し、会社との交渉を行うことも可能です。弁護士名義の内容証明郵便が届くということはあなたが本気であることを示すことにもなり、非常に効果的です。

(2)未払いの残業代も請求できる

残業代が未払いになっているようなケースでも、弁護士に依頼すれば未払いの残業代を計算した上で会社に対して請求することができます。

弁護士を介した請求ということもあり、会社側も真摯に対応してくれる可能性が高まります。

残業代だけではなく、規定通りに退職金が支払われない場合や、給料の未払いがある場合にも、弁護士から会社に対して、支払いを求め交渉することができます。

(3)不当解雇の場合にも対応してもらえる

会社から解雇通知を受けたものの、解雇理由が不当だったというようなケースもあるでしょう。こうした不当解雇にも弁護士に依頼すれば適切に対処してもえます。

具体的には、解雇の無効を主張し、それが認められた場合、就労していない期間中の賃金の請求やトラブル全体の解決金の支払いの請求などの交渉も併せて行うことができます。

まとめ

退職したくても自分で退職を言い出せないというようなケースもあるでしょう。 

退職を確実に実現したい場合や、スムーズかつ有利な条件で退職したいと考える場合には、弁護士に相談することをおすすめします。

退職代行を利用する前に、まずは労務問題の経験豊富な弁護士(たとえばウェブ上で労務に関する記事を豊富に取り扱っている弁護士事務所など)を探して無料相談を受けてみてください。

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