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派遣社員も勤務時の通勤交通費は支給される!知っておくべきポイント5つ

派遣社員にも通勤交通費が支給される!知っておくべきポイント5つ

正社員には通勤交通費が支給されているにもかかわらず、派遣社員だからという理由で、勤務時の通勤交通費が支給されないのはやむを得ないと思っていませんか。

しかし、派遣社員だからといって、通勤交通費が支給されないというものではありません。

今回は

  • 派遣社員に通勤交通費が支給される根拠
  • 派遣社員の通勤交通費で注意すべき扶養認定の問題、社会保険料の問題
  • 派遣社員の通勤交通費の取り扱いで納得いかないときの対応

などについて弁護士がわかりやすく解説します。

あなたが適切に通勤交通費の支給を受けることができるようお役に立てれば幸いです。

契約社員とは何か知りたい方は以下の関連記事もご覧ください。

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1、派遣社員にも勤務時の通勤交通費は支給される 

派遣社員にも通勤交通費は支給される 

まずはじめに、会社が従業員に対して通勤交通費を支給しなければならないという法律はありません。通勤交通費は、会社が、就業規則等によって支給をする旨定めることによって、その支払いが義務づけられます。

そのため、社員に通勤交通費が支給されることになっているかどうかは、就業規則で確認することができます。

就業規則を確認した結果、正社員に対しては通勤交通費を支給する旨の定めがあったとしても、派遣社員に対してはそのような定めがないということもあるかもしれません。

しかし、正社員に通勤交通費が支給することとする一方で、派遣社員に対しては通勤交通費を支給しないこととするのは、不合理な待遇の格差を設けるものとして、違法とされる可能性があります。

(1)「同一労働同一賃金」による不合理な待遇差の是正(中小企業も2021年4月から適用)

「改正派遣法」が2020年4月に施行されたことにより、派遣労働者も、正社員との不合理な待遇格差が許されないことが明記されました。

そのため、正社員に通勤交通費が支給されるのに対し、派遣社員には一切通勤交通費が支給されないということが不合理な待遇格差とされる場合には、改正派遣法に違反することになります。

(2)派遣社員の待遇は、派遣先とのバランス、世間相場とのバランスが要求される

派遣社員については、雇用主(派遣元)と実際に働く職場(派遣先)が異なっています(下の図参照)。そのため、正社員とのバランスのとれた待遇を取らなければいけないといっても、正社員とのバランスのとれた待遇をどのように決定するか、について特別な配慮が必要です。

(図解の出典)厚生労働省

派遣労働者の皆様へ派遣で働くときに特に知っておきたいこと

派遣社員については、正社員との「不合理な待遇格差の是正」の方法として、2つの方式が定められています。

①「派遣先均等・均衡方式」

実際の就業場所である派遣先の正社員との均等・均衡待遇を図る、という方式です。法律上はこれが原則となっています。

この場合、派遣元では派遣先から正社員の待遇についての情報をもらう必要がありますので、改正された労働者派遣法第26条第7項は、派遣先は、あらかじめ、派遣元に対し、比較対象となる派遣先の労働者の賃金その他の待遇に関する情報等を提供しなければならないこととしています。

なお、派遣先が変われば派遣先の正社員の待遇が変わるので、それに応じて派遣社員の待遇も変える必要があります。

②「労使協定方式」

もう1つの方法は、派遣元において、派遣元と労働者代表との労使協定で、同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準と同等以上にする、という方式です

とはいえ、一般労働者の賃金水準と同等以上にすると言われても、どのように判断すればいいのでしょうか。以下、その考え方について説明します。

同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(以下「一般賃金」といいます。)は、賃金構造基本統計調査や職業安定業務統計などの調査結果をもとに、「基本給・賞与・手当等」、「通勤手当」、「退職金」の3つに分けて算出されます。もっとも、時間外、休日、深夜労働に関する手当は含まれません。各種統計調査のデータは毎年更新されるため、一般賃金はデータの更新に伴い毎年変化することになります。よって、派遣労働者の賃金水準もデータの更新に伴い毎年見直しをする必要があります。

2、派遣社員の勤務時の通勤交通費はどのように決まるのか

派遣社員の通勤交通費はどのように決まるのか

労使協定方式では、上述のとおり厚生労働省の各種統計データをもとに、派遣先企業のあるエリアで同種の業務に従事する同程度の能力と経験を有する「一般労働者」の賃金水準をもとに金額を決定し、以下のいずれかの方法により支給されます。しかし、あくまで通勤交通費であるため、実費支給の場合は実際に支出した金額しか認められない点については注意が必要です。

(1)派遣の通勤交通費は実費、または定額支給のいずれか

派遣社員の通勤交通費については、実費支給か定額支給のいずれかを採ることになります。

①実費支給の場合

派遣就業の場所と居住地の通勤距離や通勤方法に応じた実費を支給する場合には、「一般通勤手当」と同等以上と取り扱われるものとされています。ただし、協定の対象となる派遣労働者(以下「協定対象派遣労働者」といいます。)のうち、当該通勤手当の額に上限があることによって、通勤手当の額が、派遣就業の場所と居住地の距離や通勤方法に応じた実費に満たない協定対象派遣労働者がおり、当該上限額を協定対象派遣労働者の平均的な所定内労働時間1時間当たりに換算した額が「74 円」未満である場合には、次の②の定額支給の水準にあわせて、時給換算で74円以上にすることになります。

②定額支給の場合

定額支給の場合は、派遣先の一般の労働者(正社員)の1時間当たりの通勤手当に相当する額を支給しなければならず、令和3年度ではこの額は「74円」です。したがって、交通費を通勤手当として定額支給をする場合には、所定内労働時間1時間当たり「74円」以上の金額を通勤手当として支給する必要があります。

上記のような取扱いは厚生労働省局長通知に記載されています。厚生労働省局長通知は、通勤交通費だけでなく、賃金待遇全体についての大事な基準を示しています。

(参考)厚生労働省局長通知

令和3年度の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等 に関する法律第30 条の4第1項第2号イに定める「同種の業務に従事する 一般の労働者の平均的な賃金の額」」等について

(2)労使協定で決定される

適切な労使協定を締結するためには、きちんとした手続きを踏む必要があります。

派遣元と過半数労働組合又は過半数代表者(過半数労働組合がない場合)とが協議して、労使協定を締結します。その内容は労働者に周知されなければなりません。

労使協定締結に関して注意点を簡単にまとめておきます。

①労働者代表の選出方法

会社が勝手に労働者代表を指名することはできず、また、管理監督者は労働者代表にはなれません。

派遣労働者のことをよく考えて会社と交渉してくれる人であれば良いので、必ずしも派遣労働者から選ばなくても構いません。

労働者代表を選出するに当たっては、派遣労働者を含め、すべての労働者が投票、挙手、話し合い、持ち回り会議等の民主的手続きをとる必要があります。

②協定内容の定め方

通勤交通費に関しては、上記(1)に示されている基準に基づいて決定しなければなりません。このほか労使協定内容の詳細などについてはリーガルモールの「同一労働同一賃金」派遣労働者編を参照ください。

また、厚生労働省のリーフレットなどでわかりやすい解説があります。

過半数代表者の適切な選出手続きを~選出するにあたっての5つのポイントをご紹介します~

「過半数代表者に選ばれた皆さまへ」

3、派遣社員が通勤交通費をもらう上で注意すべきこと(税、社会保険料など)

派遣社員が通勤交通費をもらう上で注意すべきこと(税、社会保険料など)

ここまで、派遣社員の方でも通勤交通費がもらえるということをご説明しました。

これに加え、以下の通り、税金や社会保険料等の取り扱いがどうなるのかを把握しておく必要があります。

(1)税法上の取り扱い:通勤交通費が別立てか、時給に組み込まれるかで取り扱いが異なる

①「通勤交通費」なら一定の範囲まで非課税になる

国税庁のタックスアンサー(よくある税の質問)に基づいて解説します。国税庁の回答については、各設問のURLをご参照ください。

No.2508 給与所得となるもの

役員や使用人(労働者)に支給する手当は、原則として給与所得となります。

例外的に非課税になるものがあり、通勤手当については、一定金額以下の場合には非課税となります。

No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当

電車やバスだけを使用している場合には、非課税の限度額は、「通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額」です。

不自然に遠回りして多額の通勤交通費をもらう、などといったことは労働者として許されませんし、税務上も非課税と認められなくなります。

また、1か月当たり15万円を超える場合には、15万円が非課税限度額となります。

マイカーや自転車通勤の場合、あるいは、電車やバスと併用しているような場合など細かな規定があります。詳細はタックスアンサー(よくある税の質問)の該当箇所でご確認ください。

②時給に組み込まれていればその分も給与所得として課税対象になる

時給に組み込まれるかたちで通勤交通費が支給される場合は注意が必要です。

特に、配偶者控除や扶養控除等を受けている方は、その判定にも影響するので要注意です。

ここで注意しなければならないのは、いわゆる103万円の壁です。時給に組み込まれるかたちで、通勤交通費が支給される場合、通勤交通費についても給与所得して課税対象となります。そのため、現在の給与が103万円に近い人ならば、通勤交通費分の時給がアップするため上記の控除から外れる、といった可能性があります。

③時給に組み込まれている場合の対策(確定申告の活用)

通勤交通費が時給に組み込まれている場合、給与明細書に「時給に交通費を含む」等と記載されていたり、時給の内訳として交通費の記載があれば、年末調整や確定申告で還付される可能性があります。そのため、時給に組み込まれて支給されている場合は、確定申告をし、通勤交通費を控除した所得を申告することをおすすめします。

No.1191 配偶者控除

No.1180 扶養控除

(両者に共通する主な要件)

納税者と生計を一にしていること。

年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下であること)。

(2)社会保険料は通勤交通費も合算

①社会保険料の算定に当たっては、通勤交通費も合算される

健康保険や厚生年金保険などの社会保険については、基本給のほか、通勤手当なども含めて「報酬月額」を定め、これを元に「標準報酬月額」の等級を決定します。標準報酬月額等級により社会保険料が決まることになります。

従って、通勤交通費については、「通勤手当」として別立てになっている場合も、時給に含まれる場合も、社会保険の上では同じ取り扱いとなります。

もっとも、通勤交通費をもらえるなら、社会保険料の増額分よりも合計の収入額が高額になる場合が多いでしょう。そのため、社会保険料の増額を恐れるあまり通勤交通費の支払いの請求をためらう必要はありません。

(参考)

全国健康保険協会(協会けんぽ)

標準報酬月額・標準賞与額とは?

日本年金機構

標準報酬月額は、いつどのように決まるのですか。

②被扶養者の判定についても通勤交通費を含めて判断(130万円の壁に注意)

健康保険・厚生年金保険の被保険者の被扶養者になるかどうかの判定は、保険料と同様に通勤交通費を含めて判断します。

被扶養者に該当するためには、被保険者により主として生計を維持されていることが必要であり、年間収入が130万円未満である必要がありますが、この年間収入についても、通勤交通費を含めて、130万円未満かどうかが判断されることになりますので、注意が必要です。

(参考)日本年金機構

従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き

(3)会社の配偶者手当・扶養手当の判定にも影響しうる

税金や社会保険料のみでなく、会社から支給される配偶者手当や扶養手当の支給要件においても、通勤交通費も収入に含まれるものとして取り扱われ、その支給の有無や額に影響する可能性があります。

4、派遣社員が勤務時の通勤交通費について会社の取扱いに納得いかないときの対応

派遣社員が通勤交通費について会社の取扱いに納得いかないときの対応

派遣社員が、通勤交通費について、会社の取り扱いに納得がいかないなら、次のような対応を考えましょう。

(1)会社には説明義務がある 

今回の法改正で、派遣会社に対しては派遣労働者の待遇について説明義務が強化されています。

①雇い入れ時、派遣時の説明義務

派遣元は、派遣労働者を雇い入れるとき、及び派遣するときの2つの時点で、法で定められた一定の事項を説明しなければなりません(改正労働者派遣法第31条の2第2項・第3項)。

通勤手当の有無や額については、派遣時に説明すべき内容となります。

②派遣労働者の求めによる説明義務

派遣労働者から求めがあれば、派遣元は待遇決定に当たり考慮した事項等を説明する必要があります(改正労働者派遣法第31条の2第4項)。また、派遣元が、説明を求めたことを理由に派遣労働者に不利益な取扱いをすることは禁止されています(改正労働者派遣法第31条の2第5項)。

労使協定方式によって派遣労働者の待遇を決定する場合、通勤交通費について、派遣元は、派遣労働者に対し、前述2、(1)の基準に基づいて(2)労使協定でどのように定められたかを説明する必要があります。

(参考)厚生労働省リーフレット「派遣で働く皆さまへ

厚生労働省の以下のマニュアルでは派遣会社に対してきめ細かな注意が示されています。
「資料を活用しながら、口頭で直接説明することが基本となります。」「労使協定も提示しながら、派遣労働者が内容を理解できるよう、丁寧に説明してください。」などと書かれています。

(参考)厚生労働省

不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル~改正労働者派遣法への対応~

(以下、「派遣マニュアル」)23~25ページなど

(2)労働協定方式なら労働者代表に申し入れよう

労使協定の内容に問題があると考えるのならば労働者代表に説明を求め、必要があれば協定の改定を求めましょう。

(3)裁判外紛争解決手続きADR

派遣労働者と派遣元または派遣先との間で、トラブルになった場合には「都道府県労働局長による助言・指導・勧告」や「紛争調整委員会による調停」を求めることができます。
この制度は無料で利用できます。調停等の内容も公にされずプライバシーが保護されます。
また、これらを求めたことを理由として、派遣元および派遣先は派遣労働者に対して不利益な取扱いをしてはならないこととされています。

(参考)厚生労働省リーフレット「派遣で働く皆さまへ

5、困ったときには迷わず弁護士と相談

困ったときには迷わず弁護士と相談

以上の通り、派遣社員の同一労働同一賃金(不合理な待遇差の是正)については、大変きめ細かな配慮に基づいて制度が作られています。

とはいえ、派遣元が十分な知識を持っていなかったり、労働者代表がいささか頼りないとか、現実には様々な問題も起こりうるでしょう。

派遣社員が自分一人で行動するのは、決して容易なことではありません。

通勤交通費は賃金等の待遇の一部とはいえ、毎月支給されるものであり、積み重なれば大きな金額になります。疑問があれば、労働関係に詳しい弁護士に一度相談してみてください。

まとめ

同一労働同一賃金というのは働き方改革の重要な柱です。多様な働き方の選択肢を認めるのが国の方針です。

非正規であることを理由として不合理な待遇差を設けることは許されません。通勤交通費は一つの典型例であり、わかりやすい事例ともいえるでしょう。

労働者の側も正しい知識を持って、要求すべきことは要求すべきです。そのために専門家の力を借りてください。それでこそ、これまでの社会のあり方をかえていくことができます。

あなたが疑問をもち行動することが、働きがいのある住みやすい社会を作る一歩となっていくでしょう。

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