交通事故が発生する原因とはどのようなものでしょうか。
車を運転する以上は、交通事故のリスクはつきものです。
事故を起こしそうになってヒヤリとした・ハットしたという事例を「ヒヤリハット」と呼びますが、だれでも1度は危うく事故を起こしそうになったということはあるのではないでしょうか。
なくならない交通事故、その原因はなんでしょう?
今回は、
- 交通事故の主な原因
- 交通事故を起こすと負うことになる責任
などについて解説していきます。
事前に交通事故の原因について知っておくことは事故を回避することにもつながります。
是非参考にしてみてください。
交通事故の加害者について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
目次
1、交通事故の主な原因
引用:交通事故の発生状況
交通事故の主な原因は何でしょうか。以下まとめました。
これらの行動を意識的に控えることにより、交通事故発生確率は格段に下がります。
(1)最高速度違反
スピードの出し過ぎは、ブレーキが間に合わずに衝突事故を引き起こす可能性があります。
道路標識が無い一般道路では「時速60km」を越える速度で運転した場合、道路交通法22条違反となります。
交通事故を防ぐためにも、道路標識の速度を遵守し、標識がない道路においては時速60km以内の速度で安全運転を心がけましょう。
(2)脇見運転
運転に集中せず、他のことに気を取られた状態で運転をすることを脇見運転と言います。
例えば、タバコを吸いながら、飲み物を飲みながら、カーナビを操作しながら等、前方の状況を把握せずに運転することによって、前方不注意の状態が発生し脇見運転での事故が発生してしまう恐れがあります。
特に運転が慣れてきて余裕が出ると他のことに気を取られてしまい、運転に集中できないということにも繋がりますので、免許を取りたての初心に帰りハンドルを握りましょう。
(3)動静不注視
動静不注視とは、他の車両や歩行者の動きをしっかり確認せずに事故を起こしてしまう状態のことを言います。
最も多い例を挙げると歩行者との事故。
歩行者が車道で立っているので横断してこないだろうと車を発進させたところ、急に飛び出してきてぶつかってしまった等。
「~してこないだろう」という考えを持っていると、その結果と違った場合に事故が発生する可能性が上がってしまうため、過信せずに思い込みの運転はやめるようにしましょう。
(4)漫然運転
漫然運転は、集中力が低下している状態で運転を続けることを言います。
仕事で嫌なことがあって運転に集中していなかった、考え事でぼんやりしたまま運転をしていた等の理由で事故を起こす方は多数います。
メンタルの部分で落ち込んでいたりすると発生しやすいのが漫然運転ですので、どんな状態であっても、責任感を持ってハンドルを握ることを日頃から心がけておきましょう。
(5)運転操作不適
運転操作不適とは、運転技術の部分での操作ミスのことを言います。
よくある事例としては、ニュースでも多く取り上げられているアクセルとブレーキを踏み間違えてコンビニエンスストアへ突っ込んでしまうというものが代表例です。
自身の運転技術において、ハンドル操作のミス、ブレーキの踏み遅れなども事故の原因になりかねません。
普段から乗り慣れているマイカーであっても、違和感を感じたり操作に不安がある場合は、車に乗る前にチェックしておくようにしましょう。
(6)一時不停止
一時不停止は、道路標識や道路上にある「停止」の指示に従わないことを言います。
特に多いのが交差点での事故。
停止の標識を守らないことによって、交差する道路を走行する車との衝突事故や歩行者との接触をしてしまう恐れがあります。
停止の指示に従わなければ道路交通法43条によって違反になります。
普段の運転から走っている道路の標識、道路上の停止マークに注意をする運転を心がけましょう。
(7)信号無視
信号無視はその名の通り、黄色信号や赤信号なのに交差点へ進入する行為のことを言います。
他の車両との接触事故や正面衝突などの事故を引き起こす大変危険な行為ということを覚えておきましょう。
特に危険度が高いのが、赤信号での交差点進入。
事故を起こしたドライバーは急いでいる場合が大半です。
急いでいる状態で車に乗ると、運転も自然と荒くなる傾向にあります。
事故を起こしてしまっては用事どころではなくなってしまいますので、安全第一で無茶な運転は避けるようにしましょう。
(8)安全不確認
運転中に他の車両や歩行者の確認が足りないことを、安全不確認と言います。
例えば、交差点での左右確認を怠り他の車両と接触してしまう、信号を確認することを怠り歩行者と接触してしまうことなどが挙げられます。
運転をする中で、安全確認というのは最も重要なことです。
自分は大丈夫という慢心が確認不足を引き起こすこともありますので、初心者マークを付けて運転していた時期を忘れずに運転することが重要です。
(9)ながらスマホ
運転中にスマートフォンを操作することを「ながらスマホ」と言います。
近年では様々なゲームやアプリをインストールして楽しむことができることから、運転中でもつい操作をしたくなるものですが、道路交通法第71条により違反行為になります。
平成23年は1、280件発生していた「ながらスマホ」ですが、平成28年には1、999件と約1.6倍までも膨れ上がっています。
運転中にやむを得ずスマートフォンの操作が必要な際には、必ず安全な場所へ車を停止した状態で操作をおこなうように徹底しましょう。
参考 政府広報オンライン その一瞬が交通事故に!こんなに危険! 運転中の「ながらスマホ」
2、よくある交通事故の種類は「追突事故」
引用:交通事故の発生状況
事故の種類は様々ですが、よくある事故の種類を以下まとめました。
(1)追突
交通事故の中で最も多いのが「追突事故」。
毎年約4割がこの事故という非常に多い比率です。
その中でも乗用車対乗用車での事故が多数を占めています。
前方不注意での追突、交差点進入時の追突など、一言で追突といっても道路の特性などが起因となることもあるので、いつも走行している道路だからといって油断せずに運転することが大切となります。
(2)出会い頭衝突
出会い頭の衝突は、見通しの悪い状況で発生しやすいです。
交差点での一時停止を怠ったり、カーブミラーを確認して安心してしまい目視確認を怠ってしまうなどの原因が挙げられます。
見通しの悪い道路においては、いつも以上に慎重に運転することを心掛けることが必要です。
(3)人対車両
人対車両は、歩行者との衝突です。
車を運転する上で歩行者の動きを確認することは当然なのですが、横断歩道ではない場所で歩行者が飛び出してくることも想定されます。
距離が近いところで歩行者を確認できている場合は、徐行するなど必要以上に注意を払っておく必要があります。
(4)右折時衝突
右折時衝突は、右折車と対向車の直進車と衝突することがほとんどです。
歩行者の確認に気を取られ、直進車に気が付かずに右折してしまったところ衝突してしまうということがあります。
右折時には直進車への注意も十分におこないましょう。
(5)左折時衝突
右折に比べて、左折時衝突は少なく思われがちですが、自転車やバイクなどを巻き込んでしまうことが多いのが特徴です。
特に後方に自転車やバイクが走行していることを確認できた段階では、早めにウィンカーを出し、巻き込み事故を防ぐようにしましょう。
(6)車両単独
車両単独は、他の車両や歩行者に関係なく、単独で起こす事故です。
例えば、見通しの良い直線道路で電信柱への衝突、路外への進入が挙げられます。
何か考え事をしながら運転をしていたり、ボーっとしていたり注意力が散漫になっているときに発生しやすいので、少しでも疲れが出ていると感じる場合には安全な場所へすみやかに車を停止させ、休憩をとりながら運転を再開することが必要となります。
(7)正面衝突
正面衝突は、車両同士または歩行者と正面から衝突することです。
主な原因として、居眠り運転、脇見運転などが挙げられます。
正面から衝突することで衝撃が強く、大きな事故に発展してしまう可能性が高いです。
また、雨天時は道路が滑りやすくなりますので、車もスリップしやすくなります。
正面衝突を避けるために、速度を落とした走行を心掛けましょう。
3、事故が発生した場合、被害者の93.1%は軽傷
引用:交通事故の発生状況
交通事故にあった場合の負傷の程度を調べました。
重度から順に、大きくは、死亡、重症、軽傷の3つに分けられます。
以下の表グラフの通り、軽傷で済む場合がほとんどですが、年間3千人以上が死亡、3万人以上が重症です。
死亡や重症も決して少ない数ではありません。
4、交通事故を起こすと負うことになる責任
交通事故は発生しないことが一番なのですが、万が一発生してしまった場合はどのようにすれば良いのでしょうか?
ここでは、交通事故が発生してしまった際にどのような責任が発生するのか見ていきましょう。
交通事故を起こしてしまった際には次の3つの責任が発生します。
- 刑事責任
- 民事責任
- 行政上の責任
(1)刑事責任
刑事責任とは、被害者を負傷または死傷させてしまった際に加害者が負う責任で、刑罰が科せられます。
(2)民事責任
民事責任とは、被害者が負傷したり車両を破損させてしまった際に発生する損害賠償責任です。
(3)行政上の責任
行政上の責任としては、日本の運転免許制度において存在している「点数制」において、事故や違反の内容に応じて点数が累積されてしまうなどの不利益を受けます。
更に詳しく知りたいという方は、「交通事故を起こしたら受ける行政処分と処分を緩和する方法」の記事を参考にしていただき、理解を深めていきましょう。
5、交通事故を起こさないための予防策
(1)安全確認を徹底する
交通事故の多くは安全確認の不十分です。
一時停止をしない、左右確認をおこなわずに発進してしまうなど状況は様々ですが、そのほとんどは運転者によって防ぐことができるものです。
いつもの道だから、事故を起こしたことがないからと過信せずに、車を運転する以上は事故が発生してしまう可能性があるということを念頭に、安全確認を徹底しましょう。
(2)自身の不注意をなくし、運転に集中する
運転中の不注意は主に、運転者のハンドル操作ミスやアクセル・ブレーキの操作ミスとなります。
アクセルとブレーキを間違えるというような操作については、完全に運転者の操作ミスとなりますので、逆のことを言うと、防げる事故と言えるでしょう。
何かに気を取られてしまい運転ミスが発生しないように、日頃から運転に集中するよう心がけることが必要となります。
(3)運転する車について理解を深める
車はメーカーや車種によって、車体の大きさや加速の仕方など異なります。
特に車体の幅については、他の車両との接触を避けるうえで把握しておく必要がありますので、自身が運転する車について日頃から理解を深めることも大切です。
(4)車間距離を保ち危険を回避する
車を運転するうえで車間距離を十分に保つことは大切です。
前方の車が急ブレーキを踏むかもしれません、急な車線変更をするかもしれません、
このようなことを事前に回避するために、車間距離を保つ癖を付けておきましょう。
普段から意識することで、余計な事故を回避することにつながっていきます。
(5)ながら運転をしない
「~しながら」というパターンで最も多いのが、スマホを操作しながらです。
道路交通法第71条により違反行為となっていますが、着信やメールが来るとつい運転中に手にとってしまう方も少なくないのではないでしょうか。
この一瞬に気を取られてしまうことで、本来発生するはずのない交通事故が引きおこる可能性もありますので、絶対に何かをしながらの操作は止めましょう。
(6)車のメンテナンスを怠らない
車検を受けたばかりの車であっても油断してはいけません。
例えば、タイヤのパンクやミラーが曲がっていたりという、車に異常が発生する可能性もあります。
運転前に車に異常がないか確認しておく必要があると言えるでしょう。
また、運転中に違和感を感じるようなことがあれば、速やかに安全な場所に車を停止させましょう。
参考 香里自動車教習所
6、万が一、交通事故を起こしてしまったら
(1)事故直後にすること
事故を起こすと気が動転して何をすればいいか分からなくなってしまうこともあると思いますが、運転者が行わなければいけないことは次の3つです。
- 負傷者の救護措置
- 警察への事故の連絡
- 二次損害発生の回避
周りの安全を確認したうえで、真っ先に負傷者の状況を確認し救護措置を施します。
その上で速やかに警察への事故の連絡として通報をおこないます。
自身が加害者となり、負傷者を出してしまったことは大きなショックです。
その場で気が動転してしまうことも分かりますが、事故の被害を最小限に抑えるためにも3つの事項については、運転者の義務として実施しましょう。
また、加入している任意保険会社にも連絡をしましょう。
(2)やってはいけないこと
事故をおこした当事者として、やってはいけないことも存在します。
「示談として処理する」、「警察への事故の連絡をしない」などは絶対にしてはいけない事項です。
後になってから、被害者から警察に連絡があり事態が悪化した状態で伝わってしまう可能性もありますので、事故現場から直接警察への連絡を入れるようにしましょう。
(3)弁護士に相談して適切に対応することが大切
前述の通り、交通事故の加害者には、刑事責任、民事賠償、行政上の責任という責任が出てくる場合があります。
普段から関わることがない言葉が出てくるので、ほとんどの方はどのようなものなのか分からないと思います。
また、被害者とのトラブルを避ける、示談交渉をスムーズに進めるという意味でも、可能であれば弁護士に交渉を依頼するというのが最善策です。
まとめ
交通事故の主な原因や事故の種類、事後処理について紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
交通事故は起こそうと思って起きるものではありません。
誰しも注意して運転しますが一瞬の油断によって発生するものなのです。
ただ、日頃から事故の種類や注意すべきことについて理解を深めることによって、緊張感がもて交通事故を回避できる可能性を上げることはできます。
車や運転技術について理解を深めていくように心がけておきましょう。