交通事故で夫や妻を亡くしたら|損害賠償で損をしないための4つの知識

交通事故で夫や妻が死亡ー大事な家族が亡くなった場合の損害賠償の基礎知識

仕事やプライベートの中での交通事故で夫や妻、大事な家族を失ってしまった場合、突然の出来事にパニックになり、何も考えられないということも多いと思います。

しかし、交通事故に巻き込まれたときには、相手方から損害を賠償してもらわなければなりませんから、相手方と示談に関する交渉をしなければなりません。
特に、死亡事故の場合には、治療している期間も極めて短いか、存在しない(即死)の場合も多く、四十九日が終わった頃でも、まだ別れの悲しみや気持ちの整理も完全についていない状況なのに、相手方保険会社から示談を求められることもあります。

事故後間もない時期に、気持ちの整理もできないまま示談をしてしまえば、「本来得られるはずであった損害賠償すら手にできない」可能性もあります。
事故の状況がはっきりとわからないまま示談することは、様々な面で大きなリスクがあるのです。
そこで、今回は、

  • 死亡事故の被害者遺族となった場合に知っておくべき基本的な知識

についてまとめてみました。ご参考になれば幸いです。

また、以下の関連記事では交通事故での被害者が損をしないための知識について解説しています。突然の交通事故に遭遇されお困りの方は、以下の関連記事もあわせてご参考いただければと思います。

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1、交通事故で夫や妻を亡くしたら…損害賠償の3つの基準

交通事故で夫や妻を亡くしたら…損害賠償の3つの基準

家族が単独事故などでなく相手方のいる交通事故で亡くなってしまった場合には、通常、残された遺族は加害者に対して損害賠償を請求することができます。
損害賠償は、死亡事故によって生じた経済的損害・精神的損害について求めることができますが、実際に算出される(支払われる)損害賠償の金額は、用いられる算出基準によって大きく異なってきます。

(1)自賠責保険基準

自賠責保険基準は、自動車(原付含む)の所有者に加入が義務づけられている自賠責保険(自動車賠償責任保険)から保険金(損害賠償)が支払われるときの基準です。
自賠責保険基準は法令で定められています。
死亡事故の場合には、被害者1名につき総額3000万円を上限に、それぞれの損害費目について算出基準に基づいた賠償額が支払われます。

被害者(の遺族)が、弁護士に依頼せずに加害者側保険会社と直接行う示談交渉では、この自賠責保険基準で算出された損害賠償額がベースになることが一般的です。
しかし、自賠責保険は、加害者側に資力がない場合でも被害者が「最低限度の」補償を受けられるようにと設けられた救済制度ですから、自賠責保険基準で算出された賠償額はかなり低いものといえます。

(2)任意保険基準

任意保険基準は、任意保険会社が賠償金を支払う場合の算出基準です。
事故の加害者が加入する任意保険会社は、任意保険基準で賠償金を支払った後で自賠責保険から自賠責保険基準による保険の支払を受けている(求償)ため、賠償金総額が自賠責保険の上限額で収まらなかった部分が、実質的に保険会社が負担する額ということになります。

具体的な算出基準はそれぞれの保険会社によって異なりますし、一般公開されているものではありませんが、ほとんど自賠責基準と変わらない金額になることが多いです。

(3)裁判所基準(弁護士基準)

裁判所基準は、交通事故の損害賠償が訴訟で争われることになった場合に裁判所が賠償額を算出するときに用いる基準で、一般的には最も高額な賠償金額が算出されます。
裁判所基準は、「赤い本」とよばれる冊子(日弁連交通事故相談センター『損害賠償額算定基準』)にまとめられています(他にも、「青本」や「黄色本」等の複数の種類がありますが、「赤い本」が参照されることが多いと言えるでしょう)。

2、夫や妻を交通事故で失ったときに加害者に請求できる損害賠償の範囲とは?

夫や妻を交通事故で失ったときに加害者に請求できる損害賠償の範囲

夫や妻といった大事な家族を交通事故で失ったときには、加害者に対して、大きくわけて次のような損害賠償を請求することができます。

  • 葬儀費用
  • 逸失利益
  • 慰謝料

(1)葬儀費用

死亡事故によって家族を失った場合には、亡くなった被害者の葬儀費用を加害者(及び加害者加入の保険会社)に請求することができます。
ただし、葬儀費用として認められる範囲は、次のように、算出に用いられる基準によって異なる点に注意する必要があります。

  • 自賠責保険基準では、原則60万円(証拠があり、必要かつ妥当といえる場合には100万円まで可能)となります。
  • 裁判所基準では、原則として、150万円までの実際に支出した額(香典について損失を補填するものと扱わない代わりに香典返しは損害に含まれない)となります。ただし、具体的状況によっては、250万円を認めた例もあります。

なお、具体的事情(被害状況等)によっては、仏壇・墓石などの購入費用、遺体搬送料の補償を求められる場合もあります。

(2)逸失利益

逸失利益(いっしつりえき)とは、交通事故が原因で、本来得られるはずであったのに得ることができなくなってしまった将来の経済的利益(収入)のことを指します。
交通事故被害者が死亡した場合の逸失利益は、「基礎収入から考えて将来得られると予想される収入」から「生活費」と「中間利息」を控除した金額となります。

【死亡時逸失利益の計算式】

基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

①基礎収入の算出方法

たとえば交通事故によって夫を亡くしてしまった場合には、事故がなければ得られたはずの夫の生前の収入が基礎収入を決めるうえでのベースとなります。
亡くなってしまった人がいつまで働けたのかは、未来のことで誰にもわかりませんから、実務上、「67歳まで就労可能」であったという前提で計算します。

②生活費の控除

交通事故被害に遭わず、被害者である夫(妻)が生存していれば、生活費がかかります。
その生活費は、収入から捻出されていたはずなので、①の基礎収入からその分を控除する必要があります。
とはいえ、生活費が将来にわたってどのくらいかかるかということも、すでに亡くなってしまった人について正確に計算することは不可能です。
そこで、実務の上では、亡くなった人の家庭における立場や扶養している家族の人数に応じて設定される「生活費控除率」という指標を用いて計算することが一般的です。

一家の支柱で被扶養者1人の場合

40%

一家の支柱で被扶養者2人以上の場合

30%

女性の場合

30%

独身男性の場合

50%

上記の数字を、逸失利益の計算の際に引き算するということになりますので、生活費控除率が高い場合、逸失利益として算出される金額が小さくなってしまいます。

③中間利息の控除

中間利息の控除は、逸失利益に対する補償が、現在(被害者死亡)の時点での一括払いでなされることによる調整として行われるものです。
たとえば、これから数十年以上かけて1億円を得るはずだったとして、今の時点で1億円が支払われると、向こう数十年分の1億円の運用利息分(今は銀行利率が低いですが、投資等をすれば数十年後にはずっと大きな金額に増えているはずです。)だけ被害者が得をしてしまいます。
そのため、その分を差し引いて計算しなければならないという考え方が、中間利息の控除という考え方です。
中間利息の控除については、ライプニッツ係数という数値を用いて行うのが実務上で最も一般的な方法です。

そして、2020年4月の民法改正後に発生する交通事故に関しては、法律が定める金銭支払請求権の利率(当面は3%となる予定)にしたがって中間利息が控除されることになります(2020年4月の改正前は5%)。
そのため、2020年4月以降は、将来の運用利息分が低くなるため、控除される額が減り、逸失利益として支払われる額が多くなります。

(3)慰謝料

死亡事故の場合の慰謝料は、大切な家族を失ったということについて生じる精神的苦痛を補償するための損害賠償金です。
とはいえ、精神的な辛さを金額に評価することは簡単ではありません(お金に代えられません)ので、実務の上では、亡くなった方の遺族の人数や家族における立場などからある程度類型的に慰謝料の基準額が決められています。

①自賠責保険基準の死亡慰謝料

自賠責保険における死亡慰謝料の基準額は次のとおりです。

  • 本人の慰謝料:350万円
  • 遺族の慰謝料:慰謝料を請求できる人の数に応じて550~750万円(事故当時、被害者に扶養されていた人がいる場合には、さらに200万円加算)

自賠責保険において慰謝料を請求することが認められているのは、被害者の父母、配偶者および子(胎児も含む)です。

②裁判所基準の死亡慰謝料

裁判所基準の死亡慰謝料は、被害者の家族の中での役割に応じて金額が決まります。

それぞれのケースにおける原則的な慰謝料額は次のとおりです。

  • 被害者が一家の支柱であった場合:2800万円
  • 被害者が母親、配偶者(妻・夫)であった場合:2500万円
  • 被害者が独身の男女、子ども、幼児等であった場合:2000万円~2500万円

3、夫や妻を亡くしてしまった…死亡事故の損害賠償請求で特に注意すべきポイント

死亡事故の損害賠償請求で特に注意すべきポイント

死亡事故の遺族が加害者側に対して損害賠償請求する(示談交渉する)際に特に注意すべき点は、次の2点です。

  • 不利な過失相殺がなされないようにする
  • 適切な賠償額が算出されているか弁護士に相談する

(1)死亡事故は不利な過失相殺がされやすい

交通事故では、被害の大小を問わず、事故の双方に何かしらの過失があるケースが少なくありません。

たとえば、信号機のない交差点での衝突事故は、双方の前方不注意により事故が発生すると考えられていますし、自転車と自動車の事故でも、夜中に自転車が無灯火運転している場合や、スマホを操作しながら運転していたということもあるかもしれません。
このような双方に過失があるケースでは、それぞれの過失の程度(過失割合)に基づいて、最終的な損害賠償額を調整する必要があります。

死亡事故の場合には、遺族側は「交通事故の状況を全く知らない」ということもあるため、加害者側の一方的な認識に基づいて不利な過失割合を押しつけられてしまう可能性があります。
警察が作成する実況見分調書等の記録をきちんと確認することはもちろんのことですが、ケースによっては他の証拠(目撃者の証言)などを用意する必要が生じることもあるでしょう。

なお、実況見分調書の閲覧は、当該交通事故の捜査が終わってからしかすることができません。
死亡事故の場合、加害者が起訴されるのが通常でしょうから、刑事記録の閲覧・謄写は刑事裁判が確定してからということになります。
また閲覧・謄写方法もそれぞれの事件を管轄する検察庁によって異なりますので、交通事故を管轄する警察・検察に問い合わせて確認する必要があります。

(2)適切な賠償額が算出されているか弁護士に相談する

上記のとおり、損害賠償額の算定には複数の基準があり、加害者側の保険会社は基本的に自賠責保険基準に基づいて示談金の提示をしてきます。

しかし、弁護士が介入することで数千万円以上の増額が見込めることもよくありますので、大切なご家族の無念を晴らす意味でも、加害者側の保険会社から示談金の提示があった場合には、いちど弁護士に相談して、その額が適切なものであるかについて確認してもらうべきです。

なお、悪質運転(飲酒運転・酒気帯び運転・ながら運転・あおり運転など)の被害に遭って家族を失った場合では、「加害者を許せない、強く罰して欲しい」という感情を持つこともあるかもしれません。
その場合には、死亡事故の刑事裁判に対して、被害者として関与(意見陳述など)していくこともできますので、その点についても弁護士に相談してみるといいでしょう。
被害者参加制度についてより詳しく知りたい方は以下の関連記事で解説していますので是非ご覧下さい。

4、交通事故で夫や妻を亡くしてしまったらまずは弁護士に相談

弁護士に相談

死亡事故の示談は、「死亡」という極限の損害が発生しており、当然ながら損害額もその分大きくなるので、傷害事故の示談よりも交渉が難航する場合も珍しくありません。

しかし、遺族側は亡くなった家族の葬儀などの対応に追われるだけでなく、相続の手続きなどもありますから、これに加えて示談交渉も行わなければならないとなると、「悲しんでいる余裕すらない」ということもありえます。
そのような状況で、交通事故示談のプロである保険会社や保険会社が委任した弁護士と対等に損害賠償について話し合いを進めることは簡単ではありません。
相手方保険会社との示談交渉が大変、不安と感じた場合にはできるだけ早い段階で弁護士に相談されることをオススメします。
弁護士があなたの味方として適切なアドバイスをしてくれるでしょう。

まとめ

交通事故で大切な夫・妻を亡くしてしまったときには、示談交渉を行うことそれ自体の精神的な負担がかなり大きい場合も多いと思います。
弁護士に依頼をすれば、相手方保険会社とも対等に交渉できるだけでなく、すべてを弁護士に任せることで、亡くなった人の供養に専念することができます。

また「お金がすべて」というわけではありませんが、弁護士に示談を依頼すれば、適切な賠償金の獲得も十分に期待できます。
今後の生活のためにも、いちど弁護士に相談してみましょう。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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