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遺言書の検認とは|適切な相続手続きをするための7つのこと

遺言書の検認とは、どのようなものでしょうか。

遺言書が見つかったときの相続手続のスタートは、遺言書の内容を確認して被相続人の意思を確認することから始まります。

そして、遺言書(公正証書による遺言を除く。)の保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません。また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。

しかし、「検認」と聞いてピンとくる方はなかなかいらっしゃらないのではないでしょうか。

今回は、「検認」について、その目的や手続の流れ等をご説明します。ご参考にしていただけますと幸いです。

遺言書の開封について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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1、遺言書の検認とは

「検認」とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にする手続です。

2、遺言書の検認をする目的は?

家庭裁判所が行う遺言書の検認は、遺言書の形式や態様等を調査・確認し、遺言書の内容を明確にして偽造や変造を防止する目的があり、いわば証拠保全としての役割を担っています。

また、遺言書の検認手続は、被相続人が残した遺言書の存在を相続人や他の利害関係者に知らせる目的もあります。

このように、検認手続は、遺言に書かれている内容そのものの有効無効を判断するものではないことから、検認手続を経たからといって、そこに書かれている内容がすべて有効なものとして認められるわけではありません。つまり、遺言書の内容が法に反するものであれば、その部分(あるいは遺言の内容全部)は無効となります。

逆に、検認は、あくまで外形的な確認手続なので、仮に相続人が検認手続を行わずに勝手に開封してしまったとしても、遺言の効力が失われるわけではありません。もっとも、この検認手続を経ずに、遺言を執行したり、家庭裁判所外で封印のある遺言書を開封したりした場合は、5万円以下の過料(罰金のようなもの。)に処されてしまうので注意が必要です。

3、検認が必要な遺言書の種類は?

まず、遺言の作成方法は、緊急を要する(伝染病で隔離されているなど)特別な場合(特別方式)を除き、次の3つの方式に限り認められています。

(1)自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言の内容をすべて、遺言者が手書きで作成するものです。

なお、 録音テープ、代筆、パソコンを使った遺言は無効なので注意が必要です。

(2)秘密証書遺言

被相続人が作成した遺言(署名以外は手書きでなくともよい)を封に入れ密封した後、その封書を公証役場に提出し、公証人と証人2名の立会いのもと、遺言書の存在を明らかにする、いわば自筆証書遺言と公正証書遺言の中間に位置する方式です。

(3)公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証役場で手数料を払い、公証人に作成してもらう遺言のことです。

上記のうち、(3)の公正証書遺言以外の方式によって作成した遺言書が、家庭裁判所の検認手続を必要とします。なお、特別方式の遺言の場合も検認手続が必要です。

4、遺言書の検認手続の流れは?

検認手続の流れは以下のとおりです。

(1)検認の申立

相続開始地(遺言者の最後の住所地)の家庭裁判所に申立てます。

(2)検認期日の通知

家庭裁判所は、遺言書検認の期日を相続人全員に通知します。

通知を受けた相続人が検認期日に立ち会うか否かは相続人の任意となっています。

(3)検認の実施

検認期日に相続人の立会いのもとに裁判所による検認が行われ、その結果が検認調書に記載されます。

(4)検認済証明及び遺言書の返還

遺言書は、検認後、申請により遺言書原本に、検認済証明書を契印して申立人に返還されます。相続人又は受遺者は検認済みの遺言書を使って相続登記、預貯金等の名義書換をすることになります。

なお、検認済証明は、その事件の番号、検認の年月日、検認済である旨および証明年月日、家庭裁判所名が記載されて、裁判所書記官が記名押印した証明文を遺言書原本の末尾に付記し契印する方法で行なわれます。また、遺言の執行をする際には、検認済証明書が必要となりますので、そのような場合には、検認期日終了後に検認済証明書の申請し、証明書を受領することになります(手数料は遺言書1通につき150円)。

(5)検認済の通知

裁判所からの検認済通知書により、検認に立ち会わなかった申立人、相続人、受遺者等に検認済みの旨が通知されます。

5、遺言書の検認の申立書の作り方は?

遺言書の検認の申立書の書式は、裁判所のホームページからダウンロードできます。

6、その他に申立てに必要な書類は?

標準的な添付書類は以下のとおりです。

(1)共通して必要なもの

  1. 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  2. 相続人全員の戸籍謄本
  3. 遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

(2)相続人が遺言者の(配偶者と)父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合

  1. 遺言者の直系尊属(相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合、父母と祖父))で死亡している方がいらっしゃる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

(3)相続人が不存在の場合、遺言者の配偶者のみの場合、又は遺言者の(配偶者と)の兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合

  1. 遺言者の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  2. 遺言者の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  3. 遺言者の兄弟姉妹に死亡している方がいらっしゃる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  4. 代襲者としてのおい・めいに死亡している方がいらっしゃる場合、そのおい又はめいの死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

※同じ書類は1通で足ります。

※もし、申立前に入手が不可能な戸籍等がある場合は、その戸籍等は、申立後に追加提出することでも差し支えありません。

※戸籍等の謄本は、戸籍等の全部事項証明書という名称で呼ばれる場合があります。

※審理のために必要な場合は、追加書類の提出を求められることがあります。

7、遺言書の検認にかかる費用は?

以下の費用がかかります。

  1. 遺言書(封書の場合は封書)1通につき800円分の収入印紙
  2. 連絡用の郵便切手です。

郵便切手代については相続人の数や裁判所によって異なりますが、およそ数百円程度です。

まとめ

今回は遺言がある場合の相続手続のスタートラインである「検認」についてご説明いたしましたが、いかがでしたか。遺言書の検認を要するかどうかについて、法的な判断が必要ですし、また、遺言者の出生から死亡までの戸籍等の収集をしなければならず、さらに、相続人の住所を調べて通知しなければならない等、検認手続には法的な判断や煩雑な資料収集が必要です。また、しっかりと「検認」を経ておくことが、その後の相続紛争を未然に防ぐという面もあります。ですので、自筆証書遺言が見つかった場合には、弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

この記事が少しでも参考になれば幸いです。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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