事前に知っておきたい!相続税の税率と具体的な計算方法

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最近、新聞・雑誌では、「相続」というキーワードを見ない日が無いと言っても過言ではないと思います。

既にご承知のとおり、2015年1月1日から相続税の一部が改正され、みなさんは戦々恐々としていることでしょう。

これまで、相続税といえば、一部の富裕層に限られる話でしたが、今回の改正によって、相続税を課せられる範囲が拡がり、みなさんは漠然とした不安に駆られているのではないでしょうか?

その不安を掻き消すためにも、今から相続税の改正内容を家族みんなで理解して、継承する資産を将来にわたってうまく活用していきませんか!?

目次

1、そもそも相続税の計算方法は?

2、相続税の税率は?

3、具体的な相続税の計算実例

4、相続税を節税する方法は?

1、そもそも相続税の計算方法は?

相続税の計算は次の順番で行うこととなります。

【課税遺産総額の算出】
本来の相続財産※1
     +
みなし相続財産(生命保険金、退職金など)※2
     +
相続開始前3年以内の贈与財産※3
     +
相続時精算課税を選択した贈与財産※4
     −
非課税財産※5
     −
債務、葬儀費用等※6
     ↓
課税価格
     −
基礎控除※7
     ↓
課税遺産総額
【相続税総額の算出】      ↓
課税遺産総額を一旦、法定相続分で按分
     ↓
各法定相続人の税額を計算して合計※8
     ↓
相続税総額※9
【各相続人の税額を算出】      ↓
相続税総額を各相続人が取得した課税価格の割合で振り分ける
     ↓
各相続人の控除額と加算額を計算※10
     ↓
各相続人の税額

※1 現金、預貯金、有価証券、不動産等が対象となります。

※2 ・被相続人死亡後3年経過後に確定した退職金は、所得税の対象となります。

・生命保険金は、契約者(保険料負担者)と被保険者が被相続人で、保険金受取人が相続人の場合が対象となります。

※3 既に支払っている贈与税は、相続税から差し引きます。

※4 贈与時の価額で相続財産に加算されます。

※5 ・墓地、墓石、仏壇などが対象となります。

・死亡保険金や死亡退職金は、「500万円×法定相続人数」の金額が非課税となります。

※6 被相続人の通夜・葬式(葬儀料・お布施・火葬・納骨・弔問客への飲食代等含む)に掛った費用が対象となります。なお、香典返しの費用、墓石や墓地の買入れ費用、法事費用は葬式費用には含まれません。

※7 基礎控除額は『3000万円+600万円×法定相続人の数』となります。

※8 税率一覧表は、下記2をご参照ください。

※9 相続人の中に一親等の血族以外の兄弟姉妹がいる場合、その方達の相続税額に20%相当額が加算されます。

※10 配偶者控除、未成年者控除、障害者控除などの計算となります。

2、相続税の税率は?

相続税の税率は2015年1月1日から下記表のとおり変更となりました。

課税価格が高額であればあるほど税率が高くなっております。

【税率一覧表】

相続税率
改正前(2014年12月31日迄) 改正後(2015年1月1日から)
課税価格 税率 控除額 税率 控除額
1,000万円以下 10% 10%
3,000万円以下 15% 50万円 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,700万円 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

3、具体的な相続税の計算実例

では、これまでの内容をもとに具体的な計算してみましょう。

(1)事例の前提条件

①被相続人

②相続人

3人(配偶者、子ども2人(成人の長男と次男))

③相続財産

  • 現金 500万円
  • 預貯金 4000万円
  • 株式 700万円
  • 不動産(マンション) 2500万円
  • 死亡保険金5000万円(※1)
  • 負債100万円(※2)
  • 葬式費用100万円(※2)

※1

保険料負担者(被保険者):被相続人

保険金受取人:配偶者

※2

負債と葬式費用は死亡保険金から払ったものとする。

遺産分割協議内容:配偶者(現金、預貯金、死亡保険金)

長男(株式)

次男(マンション)

(2)本来の相続財産の算出

配偶者:現金500万円+預貯金4000万円=4500万円

長 男:株式700万円

次 男:マンション2500万円

7700万円

(3)みなし相続財産の算出

配偶者:死亡保険金5000万円

(4)非課税財産の算出

本事案では、死亡保険金の一部が非課税扱いとなります。

非課税限度額の計算式は次のとおりです。

500万円×法定相続人の数(相続放棄者含む)

よって、配偶者の相続財産の内、1500万円が非課税財産となります。

(5)相続人の課税価額の算出

配偶者:現金500万円+預貯金4000万円+(死亡保険金5000万円―非課税1500万円)

―負債100万円―葬式費用100万円=7800万円

長 男:株式700万円

次 男:マンション2500万円

1億1000万円

(6)課税遺産額の算出

1億1000万円―基礎控除額4800万円

6200万円

(7)法定相続分価格の算出

配偶者:6200万円×1/2=3100万円

長 男:6200万円×1/4=1550万円

次 男:6200万円×1/4=1550万円

(8)各相続人の相続税の算出

配偶者:3100万円×20% ― 200万円=420万円

長 男:1550万円×15% ―  50万円=182.5万円

次 男:1550万円×15% ―  50万円=182.5万円

(9)相続税総額の算出

(配偶者)420万円+(長男)182.5万円+(次男)182.5万円

785万円

(10)各相続人の実際取得した財産に応じた相続税額算出

配偶者:785万円×(7800万円/1億1000万円)≒556.6万円

長 男:785万円×( 700万円/1億1000万円)≒50万円

次 男:785万円×(2500万円/1億1000万円)≒178.4万円

(11)配偶者控除

今回の事例では『配偶者控除』が適用されますので実際に見ていきましょう。

『配偶者控除』とは、配偶者は被相続人の財産形成に多大な貢献をしていることが多く、

被相続人の死亡後の生活保障のため、相続した財産への課税を軽減するための特例措置です。

具体的には、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により取得した財産額が、次のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。

  1. 1億6000万円
  2. 配偶者の法定相続分額

今回の事例では、配偶者の実際取得分が1億6000万円未満ですので、配偶者は相続税が一切掛らないこととなります。

この制度は、数次相続の際に注意が必要です。

一次相続で相続税を出来る限り発生させないために配偶者へ多額の相続をしますと、その時の相続の際には相続税が掛らずに済みますが、二次相続が近い将来訪れそうな場合、二次相続で多額の相続税が発生する場合があります。

なお、当該控除を受けるためには、原則、相続税の申告(相続開始を知った日の翌日から10カ月以内)

までに遺産分割が決まっている必要があり、税務署へ相続税の配偶者控除の申告書を提出する必要があります。

(12)各相続人の相続税納付額確定

  • 配偶者:0円(配偶者控除適用)
  • 長 男:50万円(税額控除無し)
  • 次 男:178.4万円(同上)

いかがでしょうか?

大多数の家族が保有しているであろう主な財産を例に挙げて具体的計算をしてみました。

それでは、次に節税対策についてご説明いたします。

4、相続税を節税する方法は?

資産を相続人に有効に使って頂いて、かつ、相続税が削減される方法があるのであれば、誰でも知りたいですよね。

ここでは、代表的な節税対策をお教えいたしますので、ぜひご参考になさってください。

(1)生前贈与の活用

暦年課税方式

当該方式では、1年間の贈与によって取得した財産の合計額が110万円迄は基礎控除となり贈与税は掛りません。

ですので、例えば10年間、特定の方一人に贈与を続けた場合、相続財産を1100万円減らす事が可能となります。この方式は、例えば、家族以外の方への贈与でも適用できます。

ただし、相続発生3年以内に行われた贈与は、相続財産に加算されますので注意が必要です。

相続時精算課税方式

当該方式は、60歳以上(贈与した年の1月1日現在)の父母または祖父母から20歳以上

(贈与を受けた年の1月1日現在)の子や孫へ2500万円まで生前贈与した場合、贈与税が掛らない控除です。

なお、2500万円を超える部分については、一律20%の贈与税が課されます。

贈与財産の種類、金額、回数に制限はありませんので、例えば一括で2500万円を子や孫に渡しても、10年に渡って毎年一定金額を渡しても問題ありません。

当該方式は、贈与者ごとに選択できますので、例えば、父から2500万円、母から2500万円の贈与をそれぞれ受けた場合、当該方式であれば、いずれも非課税となります。

なお、暦年課税方式との併用は出来ませんので注意が必要です。

住宅取得資金の贈与非課税制度

父母や祖父母などの直系尊属(年齢制限はありません。)から20歳以上(贈与を受けた年の1月1日現在)の子や孫が、自己が居住するための家屋の取得(リフォーム含む。)のため贈与された金銭が1500万円(住宅の内容によっては最大1000万円まで)までは贈与税が非課税となります。

当該制度は、暦年課税や相続時精算課税との併用が可能ですのでプラス110万円又は2500万円の上乗せが可能となり、平成31年6月30日までに契約した住宅取得に適用されます。

なお、贈与した年の翌年3月15日までに住宅を取得して実際に居住し、または未完成や未入居の場合であっても、完成後すぐに居住することが確実であり、かつ、贈与を受けた方のその年の合計所得金額が2000万円以下であることが必要です。

ちなみに、平成27年1月1日から平成31年6月30日までの間に住宅取得資金を贈与にて取得した場合の受贈者1人の非課税限度額は、住宅の種類や契約の締結時期によって異なります。

下記一覧表をご確認ください。

契約時期 非課税額(省エネ等優良住宅) 非課税額(一般住宅)
平成27年12月31日まで 1500万円 1000万円
平成28年1月1日~9月30日 1200万円 700万円
平成28年10月1日~平成29年9月30日 消費税10%の場合 3000万円 2500万円
消費税10%以外の場合 1200万円 700万円
平成29年10月1日~平成30年9月30日 消費税10%の場合 1500万円 1000万円
消費税10%以外の場合 1000万円 500万円
平成30年10月1日~平成31年6月30日 消費税10%の場合 1200万円 700万円
消費税10%以外の場合 800万円 300万円

教育資金の贈与税非課税制度

平成31年3月31日までの間に、両親や祖父母の直系尊属(年齢制限はありません。)から30歳未満の子・孫に教育資金(通学定期券代、留学渡航費なども含む。)を一括して贈与したときに、子・孫一人当たり1500万円までを非課税とする制度です。

子や孫が30歳の時点で1500万円の一部がまだ残っている場合は、残金に対して贈与税の対象となりますので注意が必要です。当該制度は、暦年課税制度との併用が可能です。

なお、学校以外(塾など)に支払われる場合は1500万円のうち500万円が上限とされます。

結婚・子育ての贈与税非課税制度

平成31年3月31日までの間に、両親や祖父母の直系尊属(年齢制限はありません。)から子・孫(20歳以上50歳未満)に結婚・子育て資金を一括して贈与したときに、子・孫一人当たり1000万円(結婚資金の場合は300万円)までを非課税とする制度です。

子や孫が50歳の時点で一部がまだ残っている場合は、残金に対して贈与税の対象となりますので注意が必要です。

(2)不動産の活用

相続で最も多い財産は、不動産、特に土地です。

土地の評価額を下げることが出来れば、自然と相続税も下がることとなります。

①小規模宅地等の評価減の特例(特定居住用宅地)

被相続人が居住していた土地について、ある一定条件の方が相続することで、当該土地の相続税評価額を80%減額できる特例です。なお、土地の面積の上限は330㎡です。

一定条件とは、次のとおりです。

  • ア:配偶者:無条件で80%減額となります。
  • イ:被相続人と同居の子:相続申告期限まで当該土地を所有・居住し続けることで80%減額となります。
  • ウ:被相続人と同居していない子:相続申告期限までに当該土地を所有しており、かつ、当該子またはその配偶者が所有する家に居住していないことで80%減額となります。

マンション投資

例えば、マンションの一室を貸付け用として購入した場合、土地の相続税評価額が50%減額となります。

そもそも、土地の相続税の計算方法は、路線価をもとに算出することとなり、通常、路線価は時価の8割程度ですので、これだけでも相続税が抑えられ、さらに、貸付け用として当該特例が適用された場合、そこからさらに50%減額となります。

とはいえ、あくまでも投資は投資ですので、リスクももちろんありますので十分注意が必要です。

例えば、購入した投資マンションの価値が下がってしまっては意味がありませんので、当該マンションの立地周辺状況を確認しておきましょう。

また、マンションのローンを変動金利で組んだ場合、将来の金利上昇リスクも出てきます。

(3)生命保険の活用

生命保険受取金には、相続税非課税枠が設けられております。

非課税額の計算式は次のとおりです。

『非課税額=500万円×法定相続人の数』

例えば、法定相続人3人の場合、500万円×3人=1500万円が保険金受取金の非課税額となりますが、実際の受取人が1人の場合であっても、1500万円までが非課税となります。

なお、この制度を利用するためには、保険の加入方法に一定の条件があります。保険契約者・保険料支払い者が被相続人で、保険金受取人が相続人であることが条件です。

例えば、夫婦・子ども2人の家庭の場合、夫が保険契約者・保険料支払い者で保険契約をする場合、保険金受取人は子どもにしておくと節税効果がより高くなると思います。

万が一、夫が亡くなった場合、妻は配偶者控除が適用されますので1億6000万円まで、または法定相続分までは非課税となりますので、そもそも妻は相続税が掛りません。

ですので、子どもに相続税が掛ってくる可能性がある場合は、妻ではなく子どもを保険金受取人にしておくと節税効果が最大限発揮されると思います。

また、保険にもいろいろ種類がありますが、終身保険であれば、確実に保険金を受け取ることが出来ますので節税対策に有効かと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

相続税が改正されましたが、節税対策の内容も拡充されておりますので、うまく対策を講じることで『争続』ではなく『円満相続』になることと思います。

皆様の相続・節税対策のご参考になれば幸いです。

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